
財務省が3日発表した2018年4~6月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の設備投資は前年同期比で12.8%増となった。プラスは7四半期連続で、伸び率はリーマン・ショック前の07年1~3月以来、約11年ぶりの高水準だ。製造業で半導体関連を中心に生産能力を引き上げる動きが広がった。
製造業は19.8%増。業種別では情報通信機械が66.1%増となり、最も上昇に寄与した。半導体や同製造装置向け部品の生産能力を高めようとする動きがけん引した。化学や輸送用機械も2ケタ増で、いずれも自動車や同部品の生産能力を引き上げた。非製造業は9.2%増で、運輸業・郵便業で駅周辺の再開発投資などが活発だった。
今回の法人企業統計の結果は、10日に発表がある4~6月の国内総生産(GDP)改定値の設備投資に反映される。8月10日公表の速報段階では、季節調整済みで実質前期比1.3%増だった。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は「設備投資は明確な上振れでGDP全体を押し上げる」と指摘している。
経常利益は17.9%増だった。金額は26兆4011億円と過去最高だった。製造業では情報通信機械で半導体関連が好調だったほか、海外向けを中心に生産用機械の半導体製造装置や建設機械の売り上げが伸びた。非製造業では、サービス業で子会社の配当金増が利益を押し上げた。売上高は5.1%増だった。
3日発表した17年度の設備投資は5.8%増だった。金額は45兆4475億円と、さかのぼれる01年以降で過去最高だった。経常利益も11.4%増の83兆5543億円と過去最高だった。利益剰余金(内部留保)は446兆円と前年から9.9%増え、6年連続で過去最高を更新した。
2018/9/3 8:54 (2018/9/3 10:39更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34897250T00C18A9000000/