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ガンダムヒロインズ MARK ]X->画像>2枚


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1 : 語るも良し!エロパロ書くも良し!
ガンダムの娘ッ子どもで妄想が膨らむ奴は集え!
ガンダム以外の富野作品やGジェネ、ガンダムの世界観を使った二次創作もとりあえず可!
で、SSは随時絶賛募集中!
■前スレ
ガンダムヒロインズ MARK ]W
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250978555/
■関連スレ
ガンダムビルドファイターズでエロパロ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1381888018/
機動戦士ガンダムAGEでエロパロ part2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1336492879



2 : ガンダムヒロインズ
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1007/10076/1007655458.html
ガンダムヒロインズ MARKU
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1040/10405/1040508424.html
ガンダムヒロインズ MARKV
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1056/10568/1056852515.html
ガンダムヒロインズ MARKW
http://pie.bbspink.com/eroparo/kako/1071/10716/1071647163.html
ガンダムヒロインズ MARKX
http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1082/10821/1082193496.html
ガンダムヒロインズ MARK VI
http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1093/10936/1093639318.html
ガンダムヒロインズ MARK VII
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1103/11032/1103211618.html
ガンダムヒロインズ MARK VIII
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1111/11118/1111804843.html
ガンダムヒロインズ MARK IX
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1120/11208/1120835291.html
ガンダムヒロインズ MARK,X ( 10 )
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133328333/
ガンダムヒロインズ MARK ]T
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149928068/
ガンダムヒロインズ MARK ]U
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169384276/
ガンダムヒロインズ MARK ]V
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197866886/
■公式サイト
SUNRISE official Site
http://www.sunrise-inc.co.jp/index.html
ガンダムオフィシャルズ
http://www.gundamofficials.com/
劇場版Zガンダム 星を継ぐ者
http://www.z-gundam.net/
AC:機動戦士Zガンダム エゥーゴvs.ティターンズDXサイト
http://www.bandaigames.channel.or.jp/list/ac_zdx/
GNO ガンダムネットワークオペレーション
http://www.gno.ne.jp/
■SS保管所
南極条約
http://nankyoku.sakura.ne.jp/
エロパロ板dat落ちスレ保管庫
http://eroparo.e-city.tv/index2.html
機動戦士ガンダム Voice Of The Earthまとめリンク
http://www.geocities.jp/spirit_shout/vote/index.html
■参考リンク
シャア専用辞典
http://www.geocities.jp/charsenyou_jiten/e/v.html#2

3 : フェニックステイルの第十一話を投下します。
紹介は当面、前スレ>>452を参照願います(後日、最新版の拙作紹介を用意する予定です)。
今回もエロ場面はありません。今しばらくお待ちください。

4 : 『スコット――スコット! 大丈夫か!? ああ、もうダメかと……っ!』
『う、うう……っ、班長……? ああ、そっか。あのときザクに吹っ飛ばされて……。ジオン残党には技術や経験とMSの性能で負けてても、ガッツじゃ負けないつもりだったんッスけどねぇ……』
 ジオン残党のザクUに人質に取られていたボールを曳航して警備会社のGMに引き渡すと、GMのパイロットは自身の負傷も構わずにボールのハッチへ飛びついてきた。
 そしてハッチを開放するとその幼い声の女性パイロットを抱き起こし、直接にその無事を確かめたのだった。
『ボールのパイロットは無事だったようですね。何よりです』
『ああ。本当に、救援を感謝する……本当に、本当にありがとう』
 フレームの歪んだボールを送り届けてきた、自らもボロボロの見た目になっているGMU22のパイロット――マコト・ハヤカワ准尉は感極まった警備班長に、あくまで淡々と返答した。
『いえ、何。古いGM乗りの間には、ボールは友達、という箴言がありましてね』
『?』
『宇宙に出てボール乗りが困っているのを見かけたら、他部隊だろうが何を置いても助けに行くものだという不文律があったんですよ。
 ――まあ近くのボールを助けようともしないパイロットに、GMに乗る資格などないということでしょう』
『ボールは友達、か。うちの部隊では、その箴言とやらは聞いたことがなかったな……だが、確かにその精神は同じだった。
 嬉しいよ。七年経った今も、あの頃と変わらない本物のGM乗りに会えて』
 澄まし顔で言ってのけたマコトに、警備班長はどこか遠い場所を懐かしむような口調で答える。
 機体を半壊されてただ戦闘の行く末を見守るしかなかった彼は、目の前のGMUがジオン残党に人質に取られた部下のボールを最後まで見捨てなかったことを知っていた。
『ここまでジオン残党を跳梁させているのは、今の連邦軍の責任でもあります。あの後も軍に残った者としては、淡々と責任を果たしていくだけです』
『そうか……。そっちの作業もいくらかはこっちで手伝えると良かったんだがな』
『無理は禁物ですよ。そちらのボール隊の推進剤、もうあまり残っていないでしょう。残骸の回収はこちらで済ませておきます』
 見上げるGMU22の視線の先では、配下のGMU三機が緩やかにスラスターを噴かしてゆっくりと機動しつつあった。
『おらシュン! ダメコンは利いてんだろ? 片腕ぐらい上がんなくたって、残骸回収程度は出来るだろうがよ!』
『せ、整備と応急修理よりも優先ですか……!?』
『当たり前だアホ! 後始末もせずに皆より先に一息つこうって甘えてんなら、後で修正ブチかましてやっかんな!?』
 半ばヤケクソ気味で指図するロブ・サントス伍長に押されるようにして、シュンのGMU23とアイネのGMU25は戦場跡に散らばるデブリの回収作業に駆り出されていた。
『クライネ伍長もだ! エゥーゴの裏切り野郎の一機やそこら仕留めたからって、それで任務は終わりじゃねえんだよ!』
『あっ、……はい……』
 エゥーゴ艦ジャカルタとその艦載機部隊が完全に去ってからというもの、どこか様子のおかしい新参の後輩もロブは平等に叱責した。
 それには単純に手早く目の前の仕事を終わらせる必要があるということの他に、自分たちを差し置いて撃墜数一を稼いだ新参者の増長を牽制するという意味合いもある。
 だがロブはそれ以上に、彼女のことを気にかけてもいた。
「困るんだよな。そういつまでも、腑抜けられていちゃあよ……」
 ちょっとした呼びかけにも反応の鈍さが見え隠れする今のアイネの様子は、明らかに戦闘までとは違っていた。
 戦闘で受けたショックの影響など考えなくても分かる。気合いを入れ続けてせき立てることで、抱えた傷を少しだけでも忘れさせてやる必要があるはずだった。

5 :  気持ちは分からなくもない。
 あからさまに地球連邦の敵でございますと顔に書いてあるようなジオン残党軍が相手ならまだしも、敵は仮にも同じ連邦宇宙軍を名乗りながら、多少の改装が施されていたとはいえ同じGMUで襲ってきた。あくまで表向きには『事故』の体裁を装いながら。
 そんな相手を返り討ちにして撃墜したところで、後に残るのは何とも言いようのない後味の悪さだけだ。
 敵か味方かもはっきり分からない曖昧な相手との、どこまでが戦闘でどこまでが建前になるかも分からない曖昧な接触。
 それは教本で学んだ国家の正規軍同士による正面衝突たる一年戦争や、その後に繰り広げられてきたジオン残党勢力相手の対ゲリラ戦とも異なる、まったく新しい形態の戦闘だった。
 地球連邦の内部から反乱分子を集めながら、各地のジオン残党をも併呑し、ますます勢力を強めて台頭しつつあるという反地球連邦組織エゥーゴ。
 今回の事件はトラキアにとって、ほんの始まりに過ぎないのかもしれない。
 自分が新しい時代の入り口へ押し出されつつあることを否応なしに思い知らされ、ロブは深い溜息を吐く。
「せっかくとっ捕まえた残党連中は奴らに持って行かれちまったが、まあ……誰も殺られなかっただけ、良しとすべきなのかねぇ……」
 先手を取って猛攻してきたリックドムとの、苛烈な射撃戦の記憶が肝を冷やす。シュンとの二人掛かりでようやく撃破に成功したが、相当に手強い相手だった。
 自分たちがそちらに気を取られていた間に突入してきたザクUとドラッツェは、マコトとアイネが撃破していた。こっちの敵が弱かったのか、それともあの二人が強かったのか。
 後者だろうな、とロブは思う。
 人質を取ってからの不意打ちで至近距離から降り注いできた、集中射撃の弾幕をあっさりと凌いでリックドムを斬り捨てたマコト。
 凶暴な操縦でシュンを手玉に取って追いつめていった改装型GMUの真正面へと飛び込むや、ビームサーベルでコクピットを一突きにして仕留めたアイネ。
 元からその実力に底知れないところがあった美人小隊長はまだしも、新参の可憐な美少女までが並外れた反応と戦果を示してみせた。
 会ったばかりの印象では、少し内気で控えめな感じのする、やや地味な感じながらも素晴らしく可愛い――それもパイロットスーツの胸を激しく突き上げて自己主張する、すこぶるつきに大きな乳房が魅惑的な美少女だった。
 そんな彼女に目の前で死なれていれば、たいそう寝覚めが悪かっただろう。
 だが逆に、アイネがあの難しい局面で果敢に動いてシュンを助けながら、同時にエゥーゴのMSを瞬時に一機撃墜したという事実も、ロブを悩ませるには十分すぎた。
「勘弁してくれよ……」
 今のロブはアイネに対して、どう声をかければいいかが分からない。
 シュンを助けて敵機を撃墜したことを素直に称えるべきか。
 そのため勝手に持ち場を離れた結果として、苦労して捕獲したジオン残党のMSをエゥーゴに奪わせてしまったことを咎めるべきか。
 半分は連邦軍らしいエゥーゴなどというわけの分からない敵のパイロットを殺したことについて、思い悩んでいるかもしれない彼女に何か慰めの言葉をかけるべきなのか。
 シュンに対しても同じだ。とにかく生き残ったことを労うべきか、よその部隊から新参してきた後輩の抜け駆けなどに救われたことを責めるべきか。
 それらすべてを先達として背負い込むには、ロブ・サントス伍長はまだあまりにも若すぎた。
『オラオラ、ボサッとしてんな! とにかく拾える部品はぜんぶ拾う! それがジオン残党の手がかりにもなるし、俺たち自身のためにもなるんだよ!』
 だから今のロブは、とにかくわめき散らして二人を追い立てていくしかなかった。彼が今ある現実の重さを忘れさせてやりたいと思っている相手は、二人の後輩だけではないのだ。

6 : 「よっ、と……」
 そんな彼らがGMUのマニピュレータを駆使して拾い上げていくのはもっぱら、先ほどの戦闘で情け容赦なく引きちぎられたジオン残党MSの残骸だった。
 当のパイロットたちの身柄をエゥーゴ戦艦ジャカルタに奪われてしまった今、それら遺棄されたMSの残骸だけがジオン残党組織に関する数少ない手がかりである。収拾し分析する必要があった。
 出来あがったばかりのめぼしいデブリを次から次へと回収しながら、ロブが回線にため息を吐く。
『しかし、くそ、けっこう爆発して細かくなっちまってんのが多いな……これじゃ大して銭にもならんぜ』
『えっ、……銭?』
 ロブの愚痴を聞き咎めて、思わずシュンが聞き返す。
『たりめーだろ馬鹿。こちとら慈善事業やってんじゃねーんだからよ。ただでさえ上からの予算も補給も渋くなってるところに、自前の持ち出しだけで任務続行してられるほど今の連邦軍は甘くねーんだよ。
 トラキアの格納庫で整備班が中心になって奴らの残骸から搾り取れるだけの情報を搾り取ったら、使えそうな部品はバラして取り置き、あとはジャンク屋に流してポッポナイナイよ』
『で、でも、本気でジオン残党組織の情報を取るなら、艦の格納庫なんかより、もっと設備の整った後方の施設へ回して見てもらった方がいいんじゃ……』
『だからそれじゃあ、俺らがただのタダ働きになって終わりだろうが! ンなきれいごとだけで部隊は回んねえし、トラキアもGMUもマトモに動かせやしねえんだよ!』
『えっ、えええ……っ』
 シュンは思わず顔面を引き攣らせながら、視界の端で淡々とデブリを集め続けるアイネ機を捉えていた。操縦者の感情を感じさせない、その淡々とした機械的な挙動を。
 自分を守るために命がけで彼女が前へ出てくれて、その結果、勝利と引き替えに何かしらの傷を負ったことはシュンにも分かる。
 いま思い出されるのは、愛機GMU25を申し送りながら奪われたとき、最後に直接会ったときの、頑なに自分の殻を閉ざそうとする少女のどこか悲しげな俯き顔だった。
 あの少女が、自分を守ってくれたのだ。
 一度は衝動と欲望のまま、彼女を傷つけ辱めようとした自分を。
 彼女のために、自分に何が出来るのだろうか。
 いくら思考を巡らせても、思いに答えは出そうになかった。

7 : 「GMU24、サントス伍長より報告。残骸回収作業、五分以内に終了します」
「甲板班、カタパルト甲板上にドラケンで展開完了。いつでも残骸受領できます」
 トラキア艦長席のリドリー・フランクス大尉は、もはや傍目にも分かるほど不機嫌な表情のまま、次々に入る報告を無言で受けていた。
 エゥーゴ戦艦ジャカルタの反応がトラキアのセンサーで追えなくなって三十分後、リドリーは艦内の配置レベルを引き下げていた。非直だった乗員の多くは自室や食堂、酒保などに引き上げている。
 だがトラキア艦長の表情だけは、未だに厳しいままだった。むしろジオン残党やジャカルタとの接触中よりも、今の方が話しかけづらい雰囲気を醸し出している。
 艦長席前の艦橋主モニターへ大映しになって出ている、リドリーの上官――第223戦隊司令リード中佐とのレーザー映像回線が、今の不機嫌さの元凶だった。
『おう、いまデータの受信が終わったようだ。しかし、そうか。こんな辺境にまでとうとうエゥーゴの艦が来たか、リドリー』
「ええ。しかもデータにない新型戦艦です。マゼラン改よりでかいうえに、MSデッキとカタパルトを二組も付けていました。MS格納庫も相当大型のようです。今回出してきたMSは八機だけでしたが、中にはまだ隠し玉をしこたま仕込んでいたでしょう」
『マゼラン改よりでかいと来たか。アレキサンドリアよりもか?』
「あれとは同格でしょうね。艦載機のほうもデータベースにない新型ばかり、三機種を確認しています。こちらで拿捕したジオン残党勢力の奪取を狙って、事故の体裁を装って仕掛けてきたところを一機、返り討ちにしてはいますが――」
『ほう、エゥーゴの新型機を返り討ちに? あのきれいどころがやったのか?』
「いえ、例のアバリスから拾った新人です。さっそく良い働きをしてくれました」
 リードの言う『きれいどころ』がトラキア乗員でも最古参の部類に入るMS隊長であることは容易に想像できたが、リドリーはいつにも増しての仏頂面で上官の憶測を否定した。
『ン? なんだ、そうなのか……しかしアレだな。お前のところのハヤカワ、大ベテランの割に戦果はいまいち振るわんな。あれだけ実戦経験があって、いまだにシングルエースにも届かんのではな。
 それで生き残っているからには、そう無能というわけでもないのだろうが。あれでもっと撃墜数を出していれば、うちの艦にでも呼んでやるんだがな。少なくとも目の保養にはなる』
「ハハハ。司令、ご冗談を」
 リドリーは口元だけで乾いた笑い声を上げる。目は笑っていない。額に立った青筋は制帽の陰に隠れて見えないはずだ。
「あれと本気で戦うとなれば、本艦独力では不可能です。戦隊の総力を挙げる必要があります。全艦を結集して一気に叩くべきかと」
『リドリー。戦隊の現状は知っているだろう?』
 話題を戻してきた部下に、リードは呆れたように言葉を吐いた。
『戦隊は今の任務だけ、ジオン残党の相手をしてやるだけで手一杯だ。このうえエゥーゴなんて余計な連中まで始末に負えるか』
「……しかしエゥーゴは、明らかにジオン残党との連携を図る姿勢を見せています。早急に叩かなければ、ここを連中の根城にされる危険すらあります」
『いいから落ち着いて話を聞けよ、リドリー。誰も手を打たんとは言っておらんだろうが』
「……と言いますと?」
『古来より、毒を制すには毒を用いるが常道だ』
 主モニターで、リードは笑みを深める。

8 : 『エゥーゴが来たって? 大いに結構なことじゃないか。これでこちらも大手を振って、あの連中を呼んでこられるってものだ』
「まさか、……司令……」
『《ティターンズ》に通報した』
「…………」
 リードの唇が歪み、リドリーの口許が引き攣る。
『情報提供に感謝する、とよ。ただちに部隊を寄越すそうだ。これで戦力の件はクリアだな、リドリー?』
 ティターンズ。
 デラーズ紛争後、ジオン残党勢力の掃討を目的にして地球出身者によって編成された特殊部隊。
 その規模と権能は拡大の一途を辿り、今や押しも押されぬ地球連邦軍中枢のエリート集団と成り果てている。
 そして、宇宙居住者への理解に乏しい地球出身者の将兵がしばしば宇宙で乱暴狼藉を働きがちなことや、組織そのものがスペースノイド全般へ敵意を向けるかのように振る舞っていることも、リドリーは知っていた。
「司令、……毒蛇を家に入れると仰せですか……」
『人聞きの悪いことを言うな。単に時流を読んだだけだ。ティターンズは間違いなく、これから連邦軍の主流になる。なら、今のうちに顔を繋いでおいたほうがいい……おい、俺たちにもようやく運が向いてきたと思わないか?』
 口の中が急激に乾いていくのを感じながら、リドリーは楽しげな上官をただ能面面で見つめている。
『そうそう、そっちから頼まれたデータも転送してやったし、もうすぐ補給のほうも届くはずだ。忙しくなるぞ、リドリー。ルナツー時代を思い出すな?』
 リードとリドリーは一年戦争当時、ルナツー艦隊に所属するサラミス級巡洋艦の若手艦長としてともに『ルナツー冬の時代』を戦い抜いた先輩後輩の間柄だった。
 多数のMSを擁する圧倒的に優勢なジオン艦隊相手に艦砲とボール、時にはノーマルスーツの白兵戦まで繰り出しながら死力を尽くしてゲリラ戦を挑んだ、悪夢のような日々。
 多くの部下が虫けらのように死んだ。二度と思い出したくない。
『たかが中尉と新品少尉ごときが、いきなり巡洋艦を任せられたんだ。あんなこと、平時じゃ絶対にあり得なかったよな。
 また今度も来るぞ、ああいうでかい荒波が。もう乗るしかない。乗ってあの後、俺たちを追い出しながらルナツーに居座ったような連中を見返してやるのさ――俺もお前も、こんな辺境でこのまま朽ち果てていいタマじゃないんだからな』
「……万全の、準備を……整えておきます」
『頼むぞリドリー。また追って連絡する』
 リードが回線を切ると、操舵士の青年や通信士の娘らが遠巻きのまま、ちらちらと艦長の様子を窺う。
「エゥーゴに、……ティターンズだと……?」
 砂鉄のような言葉を吐き出す。
 主モニターの映像回線が切られて数分が経っても、リドリーはなお凄まじい眼光で、主モニターを撃ち抜くように睨み据えていた。

9 : 今回は以上です。
なおスレ移行に伴い、拙作を第一話から少しずつ修正しつつ、
試験的にPixivへの保管作業を開始してみました。
ご興味がおありの方は、フェニックステイルで検索してご覧ください。

10 : 今まで気づきませんでしたが、512KBではなく500KBでスレの書き込みはストップしてしまうのですね。
前スレを半端に止めてしまったことと、この新スレ立てが遅れたこと、重ねてお詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。

11 : GJ!

12 : 悪い、Gガンダム最終回だけど、レインがコアになったデビルガンダムだけど、
止められる存在がなければ、宇宙全体をDG細胞で感染させ、レインは死ぬこともできなく
永遠にウルベの道具にされてたわけじゃん
そういう、IFパターンの絶望的な未来のSSある?

13 : 無い
自分で書くべし

14 :あは〜ん

15 : ↑は前スレの過去ログをまるまる転載しているらしいURLを書き込んだところ、削除されてしまったようです。
前スレのログを見たい方は『ガンダムヒロインズ ]W』で検索してそのURLまでたどり着くか、
Android環境なら2chmateとdatmateで閲覧されるのがよろしいかと思います。

16 : うむ

17 : ここまで>>1乙なし
>>1

18 : ISAP氏復活祈願

19 : そういえば宇宙世紀の避妊技術ってどのレベルなんだろうか…。
まだゴムが現役なのかアフターピルが一般なのか

20 : ゴム現役を信じて書く!

21 : >>20
いつ頃投下出来そう?

22 : >>21
>>20で期待させていたら申し訳ありませんが、フェニックステイルの輩です。
こちらは年内投下を目処にしている次の次ぐらいの投下で、がっつり本番を書く予定です。

23 : >>22
これは御無礼致しました。
他にも職人様が現れたのかと。
「フェニックステイル」続きを心待ちにしております。

24 : 前スレを基準にすると年に一度は投下があったようなので、そろそろ他の方の投下もある頃かと思います。
それまではスレの保守代わりと思って拙作の連投を見逃していただければ幸いです。

25 : Gジェネの投下はあるはず

26 : 本当に書き手が一人しかいないわけじゃないよね??

27 : 1人見かけたら60人はいると聞いた

28 : 金目当てのアホな規制連発や代替エロSS発表媒体の発達でエロパロ板自体の衰退がものすごいので、
もうこれ以上書き手が戻ってくることはないかもね……

29 : ハマジュド(ハマーン☓ジュドー)SSを不定期で投下する予定ですが、宜し
いでしょうか?

30 : ばっちこーい

31 : 無重力環境下でのおっぱい描写が、こんなに悩ましいものだったなんて……

32 : 再会 ―ジュピトリスにて―
「三年間は地球は見納めだね」
ジュピトリス2の展望室の窓越しでジュドー・アーシタは遠ざかる地球や月面
都市フォン・ブラウンを見て感慨深く、言った。
「色々とあったわね、ジュドー」
隣にジュドー・アーシタと同じガンダムチームでZガンダムを駆って、各地を
転戦したエゥーゴの女性パイロット、ルー・ルカがジュドーの顔を覗くと彼の
右腕に手を絡ませ、抱き締めた。
「お、おい。ルー、人が見てるだろ!」
「気にしないの、ジュドー」
付き合いの長い恋人みたく、ルーは発達した胸をジュドーの右腕に密着させる
とルーは顔を見上げてウィンクして微笑んだ。
―そんなのも悪くないな―
ルーの仕草を見て、ジュドーは赤面しながらも彼女の意外な一面を新鮮な気持
ちで見つめた。
無意識にジュドーは彼女の青い長髪に顔を埋め、華のような整髪用の匂いを嗅
いでいた。
「ね…ジュドー。何時でも良いわ、部屋に来て」
彼の胸元でルーは囁くように言い、「本当に何時でもいいわよ!待ってるわ」
と右腕から体を離し、一言伝えると彼と同じ部屋に一足先に足取り軽く向かっ
た。
展望室に一人残されたジュドーは小銭入れから硬貨を出し、自販機でホットコ
ーヒーを買い、一口飲むとホルダーに音もなく置き、窓越しから再び地球を見
た。
美しい姿を保っている地球やそれを取り巻く星々は、第一次ネオ・ジオン戦争
があった事にも関わらず、その姿を以前と同じだった。
だが、多くの血が大河のごとく流され、多くの命が地球や宇宙で星のように散
った。
エルピー・プルやプルツー、マシュマー・セロやグレミー・トト、キャラ・ス
ーンの最期がジュドーの脳裏を過ぎり、彼の瞳から涙が滲み、頬を伝った。
―みんなバカだよ。大人たちの戦争で何で死ななければ無かったんだ―
涙を服の裾で拭い、ジュドーは温くなったホットコーヒーを一気に飲み干し、
空になった紙コップをダストボックスに捨てると用を足す為にトイレへ向かっ
た。

33 : ん? 一区切り?

34 : >>32の続きです。
ジュピトリス2内部の便所清掃はネェル・アーガマと遜色なく、隅々まで手が
行き届いていた。
男性用の便器の前に来ると小便を出し終えて、ズボンの中に戻すと洗面台で手
を洗おうとしたが、ジュドーの瞳が男性便所の壁に寄りかかっているサングラ
スの若い女を捉えた。
黒く艶のある長い髪で、長袖の白いシャツの胸元から覗く白磁のようなキメの
細かいとマッチングし、彼女の美しさを際立たせており、黒のジーパンは彼女
の肉感的なヒップや引き締まった脚を一層、引き出していた。
「お姉さん、ここは男子トイレだぜ。ここを出て右にちょっと曲がった所に女
子トイレがあるよ」
ジュドーは彼女がトイレの場所を間違えたと思い、親切心に女子便所の場所を
教えると両手を丹念に液状石鹸で洗い、流水で泡を流した。
濡れた両手をペーパータオルで拭き上げダストボックスに捨て、便所から出よ
うとした。
便所の入り口にサングラスの若い女が壁から身を離し、塞ぐように立っていた

「あの…お姉さん?誰か、人探ししているならオレが手伝うよ。ほら、渡る世
間に何たらとか旅は道連れ世は情けって言う言葉もあるしね」
「お前は優しい子だ。だが、警戒心だけは抱いておくべきだよ」
若い女の笑みと共にアルトの冷たく高圧的な声に、ジュドーの表情から笑みが
消え、体を強ばらせていた。
「あんたは…誰だよ。オレはお姉さんを知らないし、年頃の少年を見つけてい
きなりお前呼ばわりしちゃあ…失礼だよ」
「お前が私を知らなくても、私はお前を知っている」
若い女の言葉にジュドーの翡翠の瞳から警戒の色が浮かび、彼女を見据えたが
内心では動揺していた。
―一体…この女(ひと)は誰だ―
―オレは前にこの女(ひと)と会っている!―
若い女はサングラスを外し、奥に隠された菫色の冷たく鋭い瞳が露わになった

吸い込まれるような菫色の瞳に魅入られ、ジュドーは宇宙の最奥部に引き込ま
れる感覚に陥り、一瞬だが現実を見失った。
「そうだよ…ジュドー・アーシタ」
女が彼の名前を言った途端、ジュドーの意識は強制的に現実に戻され、無意識
に後ろに下がったが洗面台に腰が当たった。
「あんたは…ハマーン・カーン!」
戦争終盤、モウサ内部の一騎討ちでジュドーの差し伸べた手を拒絶し、愛機の
キュベレイを内壁に激突させ、散った筈のネオ・ジオンの女帝ハマーン・カー
ンの姿を見てジュドーは唾を飲み込み、見据えた。

35 : >>35の続きです。
「幽霊なら足や影も無かろう?」
「あんたは何をしに来た、復讐か!?オレが憎くて復讐するならしても良い、
だが他の人間を巻き込むな!!」
「復讐か…。今の私にはそんな事をする権力(ちから)はもう無い」
激昂するジュドーにハマーンは自嘲めいた雰囲気を漂わせた。
「なら一体…」
「ジュドー、お前に誘われたのだよ。モウサ内部の一騎討ちで敗れた私にお前
は言った…一緒に来いと」
ハマーンの「お前に誘われた」の言葉にジュドーの激昂は収まり、代わりに戸
惑いの感情が現れ、隠そうとしても隠しきれなかった。
「オレがあんたを誘った…?」
ジュドーの脳裏にモウサ内部の一騎討ちでボロボロになった純白のキュベレイ
が閃光に包まれる光景が過った。
「そうだ。内壁にキュベレイが激突する寸前にお前の声が響き、フフ…無意識
にコックピットから脱出した」
脱出の経緯を言い、ハマーンはジュドーの近くに歩み寄った。
「あんた…そこまでしてオレに会いに来たのか」
「女帝の私はモウサ内部で散った。今、お前の目の前にいる私はただの女だよ

顔を近づけて唇を重ねようとするハマーンにジュドーは慌ててしまい、赤面さ
せながら「ち、ちょっと待って!」と止めた。
「触れられるのが怖いのか?ジュドー」
「そういう訳でも問題じゃないだろ!公衆の面前で幾ら何でもいきなりキスは
恥ずかしいぜ!」
年頃の少年らしからぬ古風な事を言ったジュドーを、ハマーンは一瞬面食らっ
たが「フフッ」と思わず笑った。
「何が…可笑しいんだよ!」
「老人ならまだしも、年頃の少年らしからぬ古風な事を言ったお前が面白くて
な」
「オレだって人様並みの常識がありますからね!そう言うのは部屋で…」
この先の言葉を言おうとした途端、ジュドーは部屋がルーと相部屋なのを思い
出し、血の気が引き、真っ青になった。
ルー・ルカとハマーン・カーンはエゥーゴの一パイロットとネオ・ジオンの女
帝で、面識は無かったが気性の強さは双方とも尋常では無い。
南極条約で禁止されている化学兵器と核兵器を同時に保管するに等しい行為を
思わず言ってしまったジュドーは背中に悪寒が走った。
「ジュドー。どうしたのだ?」
「へ、へ?あ。そう言うのは人目につかない所でさ、ホラ!個室式のトイレが
あるしね!」
ジュドーの慌てぶりにハマーンは目を点にして見ていたが、これ以上追及せず
、彼女は頷いて承諾した。
彼女がこれ以上追及しなかった事とこの場にルーがいなかった事にジュドーは
内心、安堵した。

36 : >>35
GJです。まさか冒頭からのトイレがけしからん行為の舞台になるとは……
ルーとの三角関係がどう転ぶか、楽しみですな。

37 : 年内最後の続き物、第十二話を投下します。
本作はオリキャラ主体、グリプス期の地球連邦軍一般部隊のサラミス改とジムUが舞台のSSです。
第七話までは若干の加筆修正版がPixivに保管されておりますので、ご興味おありの方はフェニックステイルで検索してみてください。
今回はソフト百合? 的な感じでの着衣乳揉みまでです。
注意事項は特にありません。
残念ながら、がっつり本番までの場面展開は年内に間に合いませんでした。

38 : 『MS格納庫内与圧完了。コクピットハッチ開放よろし』
 コンソールの片隅で上がり続けていた外気圧計表示が基準値に達するとともに、MS格納庫管制からの通信が入った。
 僚機とともにトラキアへ着艦し、ジオン残党MSの残骸はすでに甲板班のプチMSへの引き渡しを終えていた。アイネは今、リニアシートにその背を深くもたれ掛けながら、ただ全天周モニターに映る格納庫の風景を見つめている。
 アイネが乗るGMU25はすでに融合炉を停止させており、機体もMSベッドにその身を預けていた。自然冷却など期待できない宇宙空間で運用されて熱を溜め込んでくるMSには、稼働の都度に母艦や基地施設での冷却措置が必要だった。
 やはりコンソールに表示されている機体温度が順調に低下していくのをただぼんやりと見つめながら、すでに機体格納後の各種点検を終えていたアイネは、僚機から少し遅れてハッチを開く。
「――?」
 人の気配を感じて顔を上げた。
 機体内外のわずかな気圧差が風を揺るがす中、アイネが見上げた先に、機外風景を背に腕組みしてアイネ機のハッチに立つノーマルスーツ姿があった。
 MSやその機材相手に五体で格闘する作業量が多い整備兵は、パイロットスーツと同規格のノーマルスーツを着用することも多い。だから顔はともかく、その体型には見覚えがあった。
 細身ながらもやや上背があり、控えめながらも程良く膨らんだ胸が性別を教えている。襟元には曹長の階級章があった。
 出撃前にこのコクピットからアイネが撃退したガルノフ軍曹を引っ掴み、減圧されていくMS格納庫から引きずり出していった女性整備兵だ。
 彼女がヘルメットを外して背中へ掛けると、短いポニーテールにまとめた癖の強い赤毛が揺れて、いくぶん中性的な風のある整った顔立ちがアイネをじっと見つめてきた。アイネよりいくらかは年上に見えるが、若く愛嬌のありそうな娘だ。
「…………」
「あ、あの……?」
 だが、そんな彼女から無言のまま真剣な表情で見下ろされ続けて、アイネはリニアシートから戸惑いながら呼びかけた。とりあえず、こちらもヘルメットを脱いでみる。
 何だろう。何か、機体に問題でもあったのだろうか。機体に負荷の掛かる格闘戦を数回こなしてきたとはいえ、一見して分かるような問題は生じていなかったはずだが。
「…………、うん」
 やがて意を決したように一人頷くと、彼女はコクピット内へ飛び込んできた。アイネのすぐ目の前まで赤毛のポニーテールが近づく。
 機体の外装ではなく、操縦系に何かを感知したのだろうか? 通常の機能点検はすでに済ませており、そこでは異常も見つからなかったのだが。
 だが迫る女性整備兵のグラブがアイネの胸元へ伸びたかと思うと、ぐにいっ、とパイロットスーツの胸元を突き上げる左右の山体へ十指を深く食い込ませていた。
「!?」
「…………」
 突然の無体に目を白黒させるアイネを前に、整備兵はその真剣な面持ちを崩すことなく無言のまま、その両掌にさらなる握力を加えてくる。
「あ、何をっ!? だっ、だめ……っ、だめです……そんなっ、やめて、ください……っ」
 シュンやガルノフのときと異なり同性相手とはいえ、全天周モニターはまだ生きている。
 映し出される格納庫内で近くを飛び交う他の整備兵たちからは、リニアシートに押し込まれたまま乳房を揉みしだかれているアイネの姿など見えるはずもないのだが、断ちがたい羞恥の感覚は女の感覚をいっそう敏感にさせてしまう。
 そしてスーツの厚い生地に包まれた乳房は、ただ揉まれるままに変形する。整備兵は握りと強弱を変えながら、時には山頂を目指すように指先を登らせ、ついにはその頂点を人差し指の先で弾いてのけた。
「あッ!!」
「…………」
 ひときわ敏感になってしまっていた場所を責められ、思わず切なげに声を出しながらのけぞるアイネの乳房へ顔を埋めながら、その感触をたっぷりと楽しんだ整備兵はそこでようやく、万感の思いとともに吐き出した。
「す、素晴らしい……! なんという感触。吸いつくような手触り、指を押し返してくるはちきれんばかりの弾力、そしてこの圧倒的な存在感、思わずいじめたくなってしまう敏感さ……! 間違いない! これは流行る!!」
「駄目だ。そんな行為は流行らないし流行らせない」
 そのときコクピットハッチの開口部から聞こえた声に、アイネは希望の光を見る。
「じゅっ、准尉ぃ……」
 少女が涙のにじんだ瞳で直属上官へ助けを求めると、マコトは溜息混じりに整備兵を制止した。

39 : 「ウェンディ、挨拶代わりのスキンシップならそのあたりにしておけ。クライネ伍長は繊細なんだ。私やウェンディと違ってな」
「マコト! この娘のおっぱい凄いよ! これは男を狂わせる!」
「私の目の前で女もひとり狂っているように見えるが」
 目を輝かせて鼻息荒く叫んだ赤毛の娘へ呆れかえって言い放つと、マコトはアイネの胸を今なお弄びつづける女性整備兵を紹介した。
「クライネ伍長。残念ながら、彼女がMS整備班長のウェンディ・アーデル曹長だ。ウェンディもトラキアの古参で、私とも古い付き合いになる」
「あ、アーデル曹長……よ、よろしくお願いします……」
 スーツの生地が突っ張るアイネの胸の谷間から見上げるように笑顔を出して、ウェンディがアイネに応じる。
「ウェンディでいいよ。よろしく、アイネちゃん! あとね、あたしはMSだけじゃなくて身体の整備もしてあげられるから、疲れたなーと思ったときはいつでも声を掛けてね! アイネちゃんのこと、もうすんごい気持ちよくしてあげちゃうからっ」
「……一応言っておくとクライネ伍長、ウェンディのマッサージは真面目に効くぞ。試してみる価値はそれなりにある……まあ、途中でおかしな方向へ脱線しなければ、の話だが」
 現在進行形で胸の膨らみをマッサージされながらあからさまにどん引きしているアイネを見て、ほんの申し訳程度に気を遣ったのか遣っていないのかよく分からないようなことをマコトが言った。そんな説明など一切関わりなく、上目遣いのままでウェンディが問いかける。
「あー、アイネちゃん。どしたの? おっぱいはこんなに柔らかいのに、表情は硬いね?」
「初対面の変な女にいきなり抱きつかれながら、いいように乳を揉みしだかれればそうもなるだろう」
「マコト、変な女って誰? いやアイネちゃん、ハッチ開けた瞬間からすでにもうなんか表情暗かったからさ。なんかあったのかなーって……あ。イベルのことならご心配なく。あたしが責任持ってしっかり焼き入れとくからさ」
 イベル――イベル・ガルノフ軍曹のことだろう。出撃前にこのコクピットで雄の巨体に覆い被さられるようにしながら身体を弄ばれた記憶が蘇り、アイネは少し身を堅くする。同時に説明を求めるように向けられてきたアイネの視線に、マコトは淡々と答えた。
「……ウェンディは、ガルノフと特別な友情関係にあるんだ」
「んー。友情っつーか、なんつーか……お互いに足りない持ち物を、欲しくなる都度貸し合ってるだけというか……」
「?」
 マコトとウェンディが適当にぼかした話を理解しきれずに小首を傾げるアイネを、ウェンディは豪快に笑って押し切った。
「あっはっはっは、ほんとに可愛いねアイネちゃん。うん、とにかく後でアイツは枯れ果てるまで搾り取っといたげる。とりあえずアイツに関しては、しばらくアイネちゃんに手を出す余裕なんか完全になくさせたげるから、安心してね」
「は、はあ……搾る??」
 まだ話についてこられていないアイネへ向けて、ウェンディは巨大な山塊の浅い谷間からどこか仄暗い笑みを浮かべてくる。
「ふふ、そう……搾るの。たっぷり。赤いの出ちゃうぐらいね。まあ、イベルは搾り取って何とかするにしても――アイネちゃんみたいに可愛くてえっちな体の女の子には、さぞかし悪い虫も付きやすいでしょうなぁ」
「早速でかいのが一匹付いているように見えるが」
「アイネちゃん、とりあえずMSパイロットの同僚男子諸君らには用心しときなよー」
 ウェンディは冷たい目をしたマコトを鮮やかに流して言った。
「イベルはあたしが搾り取るとしても、ロブもあれでけっこうな助平だからねえ。要注意だよ。でもまあ、シュンぐらいは大丈夫かな……? そもそもあいつ、女に興味あるのかどうかもよく分からんし」
「…………」
 最後に出てきた少年の名前で、アイネの表情に生じた一瞬の変化をウェンディは見逃さなかった。
「んんん? ほう、これは……もしかしてアイネちゃん、シュンとはもうすでに何かあった系の……?」
「え? ちっ、違いますっ!」
 かっと頬を赤らめながら、アイネは叫ぶように言い返す。確かにあの正体不明の情欲と情事のことはマコトから厳に口止めされてはいるが、そうでなくともわざわざ自分から人に言って回るつもりもなかったからだ。

40 :  だがウェンディは目を輝かせてアイネの胸から身を乗り出し、その反応へ意外なほどの深い食いつきを見せてきた。
「おおおおお!? こ、これは意外な展開……! まさか! まさか、あの朴念小僧にアイネちゃんがっ!?」
「いっ、いえっ! そ、そうではなくてですね!?」
 どうやら自分がカーペンター伍長に対して男女の特別な感情でも抱いているかのように思われてしまったらしいと察して、アイネは慌てて否定する。その本気ぶりが伝わったのか、ウェンディも次第にトーンを落としていく。
「ムッ、……と、いうことは、逆……? つまり、シュンの方からアイネちゃんに……?」
「えっ。いやっ。あの、その……っ」
 踏み込んできたウェンディへどう切り返せばいいか分からず、今度は明確な否定も出来ないまましどろもどろになったアイネの双乳を、鬼の形相でウェンディがむぎゅっと鷲掴んだ。
「ああっ!?」
「この胸か! やはりこの胸かっ! この胸があのシュンをも狂わせたのかっ!!
『MSで初出動する前に、キミの操縦桿とビームライフルをあたしの格納庫で機能点検してみない?』って誘ったときも本気涙目で断りやがったアイツを雄の本能に狂わせたのは、この胸なのかっ!!」
「あ、あの、アーデル曹長……? ちょっとホントに何言ってるのか分からないですね……あッ……」
「一体いつの間に私の部下へそういうおかしな誘惑を掛けていたんだ……ウェンディの自由奔放な神出鬼没ぶりには、毎回驚かされるばかりだな」
「いやあ、それほどでも」
 揃って戦慄の表情で言うアイネとマコトに、まったく褒められていないウェンディが照れ隠しのように頭を掻いてのける。
 その間にも彼女は残った片手でアイネの乳房をぐにぐにと揉んで、パイロットスーツの張りつめたラインをいいように変形させていた。
「整備班長! ウェンディ曹長っ!!」
「うげっ」
 そのときコクピットハッチの外から娘の怒声が飛び込んできて、呼ばれた彼女が表情を軽く引き攣らせた。
 揺れる赤毛のポニーテール越しにアイネが見れば、空中で若い女性整備兵が腰に両手を当てながら、眼鏡越しにコクピット内の整備班長を睨みつけているところだった。
「何をいつまでも油売ってるんですかそんなとこで! 22は全身の外装がボロボロ、23は肩もバズーカも壊されて、25は三回もサーベル戦をやってるんですよ!? なんでこんなときに班長不在なんですか!」
「おうおう、張りきっちょるねぇ……有能で士気が高い部下を持ててあたしゃ幸せだよ。
 分かるかねマコト? これこそ後進をしっかり育てているあたしと、後進がイマニイマサンでぱっとしないあんたの差なのだよ。人材育成も職業軍人の大事な務めよ?」
「……努力はしているさ」
「うん、知ってる。だから今だって、ちょっと手伝いに来てやってるわけじゃんかよぅ」
「能書きはいいですから、さっさと来てくださいっ!」
 頭から湯気も沸かさんばかりの女性整備兵から指さされると、さすがのウェンディもいよいよ諦めたように息を吐く。
「あーあ。ここが引き際かぁ……残念。もうちょっと楽しんでいたかったけどなぁ……またね、アイネちゃん! バイ!」
「あっ……」
 アイネの乳房に顔を突っ込んだ反動で跳ね返ると機敏にハッチへ足を掛け、ウェンディはコクピットに爽やかな笑みと敬礼だけを残して格納庫へ消えていった。
 後に残されたのは、まだ頬を紅潮させたままの少女と、いつも通りに泰然自若としたままの娘がふたりだけだ。
「……何だったんでしょう……」
「まあ昔から、ウェンディはだいたいああいう奴だ」
 あえて対象について触れようとしないまま発したアイネの質問に、マコトはただ鷹揚な頷きだけで答えてのけた。
「かなり面食らっただろうと思うが、あれで別に何も考えずにやってるわけじゃない。……ほぐれたか?」
「えっ?」
 マコトの言葉で、ノーマルスーツのグラブ越しに同性の手でいいように捏ね回されていた乳房と、その左右の頂に今も残る熱と尖りを意識しかけて、アイネの頬はさらに赤みを深くする。
「い、いいえ……」
「そうか。では当直にサントス伍長を残し、カーペンター伍長とクライネ伍長は休養に艦内へ下げる。整備はウェンディたちに任せて、今は体力だけでも回復させることに専念するように。私は艦橋へ報告に上がる」

41 : 「准尉、……」
 そのまま迷いなく踵を返し、ハッチに足を掛けて去っていこうとするマコトの背中に、アイネは発作的に腰を浮かせて叫んでいた。
「私……私っ、ずっと前から覚悟してたつもりでしたっ!」
 動きを停め、無言のまま振り向いたマコトに、立ち上がったアイネは堰を切るように溢れ出してきた言葉を叩きつけていく。
「MSに乗って自分が殺されるのも、相手を殺すのも……覚悟、してたつもりでした。ルウムをめちゃくちゃにしたジオンの残党と戦って、いま生きてるみんなを守るためだったら、何でも出来るって思ってました。
 でも、エゥーゴのGMと戦って……相手のパイロットをビームサーベルで殺したときから、私、震えが止まらないんです。
 何か……他に何か、もっといい選択肢を、私は気づかずに見逃してしまったんじゃないかって。取り返しの付かないことを、してしまったんじゃないかって……」
 アイネは息を切りながら、肩越しに見返してくる上官の瞳をじっと見つめる。
 理不尽なことを聞いてしまっているのかもしれない、という自覚はあった。
 でも、この人なら、きっと何かを知っている。根拠を説明できない確信が、今までトラキアで過ごした決して長くない時間でアイネの中に生まれていた。
「君は、正解を知りたいのか? あの戦場の」
 見下ろしてくる視線をまっすぐに受け止めながら、アイネは無言のままで頷いた。マコトが向き直り、じっと黙して答えを待つアイネに正対しながら言葉を投げ落としてきた。
「そうか。なら私より、彼と話した方がいい」
「『彼』――?」
 言われて視線を上げた先に、隣に駐機したGMU23のコクピットハッチから飛来してくるノーマルスーツ姿を見つけて、アイネは再び表情を堅くした。
 そうして25のハッチ前で身体を止めたシュンの方も、何か覚悟を固めてきたかのような顔でマコトに敬礼し、そしてアイネに向き直る。
 そういえばあの一件の後、この三人だけで顔を合わせるのは初めてだった。
「では、よろしく頼む」
「あっ――准尉!?」
 それだけ言い残すとマコトはハッチを蹴り、再び敬礼するシュンの傍らを抜けてデッキへ降りていってしまった。
 またしても逃げ場のないコクピット内で男と一対一で対峙するという状況に追い込まれながら、しかし今のアイネは臆することも退くこともなく、真正面から迎え撃つようにシュンをきっと見据えていた。
 確かに緊張を孕みながらも、二人の視線は外れることなく真っ向からぶつかり合った。
「クライネ伍長」
「……はい」
 アイネの名をはっきり毅然と呼んだきり、シュンはハッチの外で動かなかった。長い沈黙がコクピットに降りる。
 だが何度目かの深呼吸のあと、シュンはアイネにはっきりと呼びかけてきた。
「ありがとう、クライネ伍長。さっきの戦闘でクライネ伍長の掩護がなかったら、僕は確実にあのエゥーゴ機に殺されていた」
「……何かと思えば……。私はMSパイロットです。一度MSで出撃すれば、そこに個人的な感情を持ち込むようなことはしません」
 言いながら、アイネはその目に強く力を込める。
 あの行動は決して、シュンに対する何か個人的な感情で動いたわけではなかった。恩に着せるつもりも、実力を見せつけたつもりもない。
 あのとき必要だと思ったから、そうした。
 それだけだ。その正しさなど、知らない。
「君を尊敬する」
「……えっ」
 しかし次に飛んできた言葉に、アイネは小突かれたように息を呑んだ。
「君は自分を犠牲にする覚悟で、僚機を――僕を守ってくれた。君が守ってくれなかったら、僕は今こうして君にお礼を言うことも、あのときのことを……謝ることも、もう出来なかった。
 クライネ伍長、君は本当に勇敢な兵士だ。心から尊敬する。そして、ありがとう」
「何を……言って……」
 今までとはまったく異なる理由からアイネは頬を紅潮させ、息も止まらんばかりに心臓に早鐘を打たせていた。

42 :  その混じりけのない真っ直ぐな真摯さは、彼女が今まで男性から一度も向けられたことがなかったものだった。
 だからアイネは直視できずに、シュンの瞳から視線を逸らした。
「……カーペンター伍長……あなたの、機体は……その……動かしやすかったです。とても丁寧に整備されていて、おかしな癖がなくて……だから初めて乗る私でも、扱えました」
「良かった」
 その逸らした先へも暖かい言葉を被せられて、アイネは自分の言葉を失う。シュンもそれきり黙り込み、二人の間を再び沈黙が支配した。
 しかしそれは今までとは、まったく種類の違う沈黙だった。
 だからマコトがGMU25のコクピットハッチに取り付き、何か紙袋を抱えたまま黙って立っていることに二人が気づくまでにはしばらくの時間がかかり、そして気づいたときには揃って頓狂な声を上げてしまった。
「准尉!」
「艦橋へ上がられたのでは!?」
「これを取りに行っていただけだ」
 マコトが言いながら紙袋から投げ渡してきたものを反射的に受け取り、アイネとシュンは目を丸くする。
「……これは?」
「員数外の増加食だ。腹の足しにしておけ」
 三人の掌中には今、赤いリンゴが収まっている。
「さっき《リバティ115》についていた民間警備会社のMS班長にもらった。それなりの高級品だそうだが、ぜひ皆で食べてほしいということだった」
 声の調子を落としながら、マコトは自分とシュンの背中を使って外からの視線を遮る。そして艶やかで小さな唇の前に、人差し指をそっと立てた。
「そんなに数がないから、整備の連中には内緒だぞ」
 そのとき全天周モニターに通信小窓が開き、当直配置に残るロブ・サントス伍長の姿が映った。ヘルメットは外していないがバイザーは上げて、グラブにはやはりリンゴが見える。
 しかし可笑しいのはロブがパイロットスーツのグラブに、清潔そうな白いハンカチが当てていることだった。操縦桿やコンソールの他にも工具やMSを直接触り、宇宙の真空に触れることもあるグラブで直接リンゴを手にすることに抵抗があるのだろう。
『小隊長、さっさと片づけちまいましょうよ。整備の連中、いつまでも誤魔化してらんないッスよ』
 確かに整備兵がいつ直接話を聞きに来るかも分からない。それを思えばロブが神経質になるのも分からなくはないが、そのしぐさが妙に可笑しくて、アイネの口許にくすりと小さな微笑がこぼれた。呆れたようにシュンが尋ねる。
「……いいんですか、これ?」
「構わんさ。向こうもドラッツェの40ミリを食らったときに貨物が破損したことにしておけば、多少の融通は利くんだろう。諸君、食え」
「あっ」
 言うが早いかマコトがリンゴをかじり、咀嚼していく。甘酸っぱい香りがコクピット内に立ちこめて、今頃になって空きっ腹を思い出したアイネも思わず喉を鳴らした。
「戦闘糧食、……手をつけてなかったなぁ……」
 アイネがまじまじと手元のリンゴのみずみずしい光沢を眺めている間に、マコトのリンゴはすでに果肉をあらかた削り取られていた。
 冷たく冴えた美貌からはとても想像出来ない早食いぶりを見せつけながら、黒髪の美女は二人のリンゴを見下ろす。
「要らないのなら、私がもらうぞ」
「えっ? あ、いやそのっ!」
 マコトの健啖ぶりに思わず見入っていたアイネとシュンが、手元のリンゴを守るように胸へ抱き込む。二人同時のその動作で、二人の間にばつの悪い笑みが生まれた。
 あの警備会社のGMやボールのパイロットも、今頃なにか食べているのかな。
 戦って、生き残った。
 今はきっと、それでいい――
 シュンの方を見ると、向こうもちょうどこちらを見返すところだった。互いの表情に苦みが走り、次いで、内側からこみ上げてくるような笑みにそれが破られる。
 ハッチを開放したままのコクピット内からもう言い訳も利かないほど濃厚な果実の香りを充満させながら、アイネは芯だけになったリンゴをつまんでぶら下げるマコトを、
ハンカチ越しに苦労しながら慌ててガツガツと食うロブを、苦笑しながら頬張るシュンを、全天周モニターの向こうで部下とやり合いながら整備に奔走するウェンディを見る。
 そう。
 巡洋艦トラキア。
 ここが私の、これから生きる場所なんだ。
 リニアシートの上で食べる赤いリンゴは、甘い命の味がした。

43 : 年末ということでとりあえず、トラキア隊的に一段落です。
がっつり本番の年内投下は無理でした。申し訳ありません。
年始にはジャカルタ隊側のえろいのを投下したいと思います。

44 : GJ!
いつも乙です!

45 : 「ああ、すごい……クライネ伍長の胸部ダクト、とってもバーミンガム級だよ」
「ダメですカーペンター伍長、大胆すぎます……こんなところで私のAパーツにB整備を始めちゃうなんて……あッ……」
「外部装甲パージ……ああ!? 震える山!?」
「あ、ああ……防衛線を抜かれた私の山岳要塞が二つとも、カーペンター伍長に至近距離から光学手段で偵察されてる……いやぁ、そんなにじっくり地形情報集めないでぇ……」
「もう我慢できない、このけしからん二個要塞へ同時に徹底的な空爆と砲撃を開始するよ……見てごらんクライネ伍長、こんなに、こんなに山の形が変わっているよ!」
「だめえっ、そんなに弾着観測で修正しながら山頂司令部へ効力射を続けられたら、私の最終兵器がっ……機動ビグ・ザムが出撃しちゃうぅっ!」
「何っ!? 山頂に突出してきた巨大MAから、拡散メガ粒子砲で奇襲攻撃!? 圧倒的じゃないか!! クライネ伍長、こんな強力武装を隠していたのかっ!!」
「イヤ、私の出した拡散メガ粒子、ビーム攪乱膜で吸収しちゃらめぇ……ああ、そんなっ!? カーペンター伍長のビームサーベルに、前へ出過ぎたビグ・ザムが二機とも両断されちゃうぅっ!」
「ぷはぁ……っ。見てよクライネ伍長、僕のエネルギーゲインはとっくに通常の三倍を超えたよ。もう戦艦の主砲並みの威力なんてもんじゃないんだ」
「すごい……カーペンター伍長のビームライフル、とってもハイパーバズーカです……」
「うん、クライネ伍長のBパーツハードポイントも、すっかりマグネットコーティング済みだね」
「ああ、ホワイトベースが後を付けられてしまったの? いやぁ、私の秘匿宇宙船ドックが位置特定されて開放されちゃう……!」
「クライネ伍長、第一次攻略隊、降下開始するよ……うっ、対空砲火がきつい……降りられるのかよぉ……っ」
「敵MS隊が、基地内へ侵入してくる……あぐうっ、そんな……!? 一気に、要塞の最深部までぇ……っ!?」
「潜入完了……! クライネ伍長、動くよっ、君の要塞内で破壊工作を開始するよっ!!」
「らめえっ私のジャブロー、もう敵MS隊に参謀本部まで何十回も侵攻繰り返されちゃって陥落寸前なのぉっ! 損害すごすぎて何も作戦立案できないぃ! もうダメ、自爆装置、自爆装置作動しちゃううううっ!!」
「散るよ! ジャブローに散るよ、クライネ伍長っ!!」
「だめぇっ、ダメですカーペンター伍長! その焦点前にはぁっ、我が艦隊の先鋒がぁっ!!」
「う……ッ! あ、ああ……っ……この一撃が……歴史を変える……っ……」
「ああ……ガンダムの、実戦データが届いちゃった……私のジャブローで……私のジャブローで、GMの生産が始まっちゃう……カーペンター伍長……責任、取ってくださいね……」
「うん、クライネ伍長。二人でいっぱい僕らのGMを量産しよう。ジオンのMSに負けないぐらいのMSVを展開しようね……」

「みたいなことやってんのかなあ。いいなぁパイロット同士」
「あなたは何を言っているんですか。通常の三割り増しで頭おかしくなってるんですか。いいから手ぇ動かしてください手ぇ」
「いいなぁコクピットラブ。ヤりたい放題だな地球連邦軍。どうなってんだよ地球連邦軍」
「だから手ぇ動かしてくださいって」

46 : 最近の設定ではアムロが操縦したガンダムの実戦データと、少なくとも前期量産型のGMとの関連性はあまり無いそうですね。
とりあえず、これで>>22の宣言は守れたかと思います。
>>44
いつも素早い反応ありがとうございます。
あなたの存在が拙作の強い励みです。
スレのみなさま、よいお年を。2014年もよろしくおねがいします。

47 : 乙でした。
来年も楽しみに待ってます。

48 : あけましておめでとうございます。
正月三が日はスマホ書き込みも規制解除だそうです。
今年もスレの発展を願って、積極的に投下していきたいと思います。
最近、AOZの1(マンガ4巻と小説上下巻)と2(小説8巻とマンガ1巻)を一気に読破しました。
前スレでAOZ2のマンガ版の話題をあげていた方もおられたようですが、スレでの認知度はどんなものなのでしょうね。

49 : あけましておめでとうございます。
ジュドハマはやはり( ・∀・)イイ!!
>>36さんへ
コメントありがとうございます。
古参の書き手さんと比べると、俺のSSはまだ発展途上ですが最期まで書き上げ
ます。
ルーとハマーンをどう絡ませるか考えると、楽しい物がありますね。
2014年もよろしくお願い致します!

50 : 新年早々>>35の続きを投下致します。
はいッッッ!!(Byディオ・ブランドー)
個室式のトイレは少々広い程度だが、二人になると少々手狭に感じられた。
彼女が黒い髪のカツラを外すと、ワインレッドの髪が露わになった。
露わになると同時に整髪料の甘い匂いが漂い、ジュドーの鼻腔を擽った。
「何だか、このシチュエーションは…とても嫌な思い出が…」
「フフ、嫌な思い出とはこうか?」
顔を寄せ、ハマーンはジュドーに迫り壁まで追い詰めると、手をついて彼の逃
げ道を塞いだ。
ジュドーは逃げようとしたが菫色の瞳に魅入られてしまい、猫に睨まれた鼠の
ように動けなかった。
「サダラーンでお前に拒まれたからな…フフフ」
妖艶な微笑みを浮かべると、自分の唇をジュドーの唇に重ね、両手を彼の首に
回し、彼も負けじと抱き締めた。
互いの舌が口内で絡み合い、唾をすする音とくぐもった声が個室式トイレに響
き、淫靡な雰囲気を醸していた。
ハマーンの紅を薄く塗った唇はジュドーの唇から離れ、吸血鬼(ヴァンパイア
)のように彼の首筋に移ると、唇で強く吸い、歯で軽く噛み、舌で嘗めた。
首筋を唇と歯、舌で愛撫する彼女に対抗するかのように、ジュドーは右手でジ
ーパンの生地越しに彼女の尻を手で撫で、指で揉み、左手で背中を撫でた。
「ん…ふぅん」
彼に背中の敏感な所を撫でられたハマーンは思わず体をびくつかせ、一瞬、首
筋を噛んでしまい、唇を離した。
「痛っ…」
「ジュドー、すまない…」
「良いよ。それより、もう我慢出来ないよ…ハマーン」

51 : ジュドーって経験どうなんだろう…。
エル辺りと…かな?
ルーはあまりシテくれなそうだし
プルは論外だろうし

52 : >>51さんへ
ジュドーはこういう性経験は程遠そうな気がすると思いますな。
彼に限らず、カミーユ、マシュマーやグレミーも余りガツガツしてなさそうな
感じがしてます。
逆に女性陣、特にエルやルー、ハマーンが肉食系のイメージが強いと思います


ジュドーはズボンをトランクスごと下におろし、猛っている自分自身のモノを
剥き出しにした。
硬くなり、上に真っ直ぐに勃っているジュドーのモノをハマーンは唾を飲み込
み、身を屈めると舌を出して先端を軽く突付き、裏を嘗め、口に含んだ。
彼女の口腔内の温かい感触と唇と舌で舐められ、ジュドーの背中に戦慄が走り
、初めて味わう感覚に彼の表情は羞恥で紅に染まった。
同じジャンク屋のビーチャやモンド、イーノと共に成人雑誌で男性のモノを女
性が口で愛撫するページを好奇心で見ていたが、実際に味わうと癖になる。
しかも相手が行きずりの女ではなく、嘗て自分に尋常ならざる執着を剥きだし
たネオ・ジオンの女帝ハマーンと言うこともあり、一層拍車をかけていた。
「あんた、ネオ・ジオンのお偉いさんだったから男に不自由しなかったんだろ
?」
「フッ、部下にそう言う姿を見せるわけにもいかんでな。小姓を呼んで夜の伽
をさせていたよ。最初はそれなりに満足していたがお前と出会ってから、満足
できなかった」
ジュドーのモノから口を離し、ハマーンは自嘲めいた表情を浮かべて彼に執着
していた過去を振り返った。
「サダラーンで出会って以来、私の心はお前に囚われたようだな」
「そう?」
自分を見上げる菫色の瞳にジュドーは照れ笑いを浮かべ、それにつられるかの
ようにハマーンも微笑んだ。
―あんたってそんなに微笑むんだ―
冷徹な女帝の顔しか知らないジュドーは、重石が取れた彼女の微笑みを見て新
鮮な気持ちがもたげた。

53 : このハマーン様はいわゆるはにゃーん様ではないようだ
ところで、投下がぶつ切りなのはなぜ?
ある程度まとまっていたほうが読みやすいけれど……

54 : 続き物、第十三話を投下します。
本作はオリキャラ主体、グリプス期に地球連邦宇宙軍の辺境一般部隊に所属するサラミス改とジムUが舞台のSSです。
第七話までは若干の加筆修正版がPixivに保管されておりますので、ご興味おありの方はフェニックステイルで検索してみてください。
今回は姉御肌の金髪巨乳娘を四肢拘束して、がっつり本番で中出しまで。
凌辱ではありませんが和姦と呼べるかも微妙なものです。
いよいよトンデモ要素が全開になってきますので、広い心でご笑覧ください。

55 :  時間はわずかに遡る。
 曳航されてくるヌーベルGMUの胴体には、ぽっかりと穴が開いていた。
 今なお臨戦態勢にある連邦軍巡洋艦トラキアとそのMS隊の前で回頭し、緊張の宙域から離脱していこうとするアイリッシュ級戦艦ジャカルタ、後部MS格納庫。
 そこは装甲シャッターに区切られ、艦前方に伸びる両舷カタパルトと直結した格納庫から独立している。
 肩を貸すようにして僚機を曳航してきた先行生産型ネモが後部カタパルトデッキへ着艦すると、そのまま後部MS格納庫へ搬入されたヌーベルGMU07は力なく崩れ落ちた。
 胴体部のコクピットハッチには、直径一メートル近い穴が開いている。
 チタン・セラミック複合装甲を焼き切られて生じた穴の周りには融解、蒸発しながら押しやられてきた装甲材がへばりついてはいたが、すでに冷え固まりつつあるようだった。
 地球連邦軍一般部隊のGMUが繰り出してきたビームサーベルの刺突は、コクピットハッチの装甲板を突き破りながら内部のイジェクションポッドを串刺しにして貫通。
 メガ粒子の剣はその途中でパイロットが座っていたリニアシートを完全に蒸発させていたが、背面装甲とバックパックにまでは抜けずにそこで止まっていた。
 だからヌーベルGMU07の機体に開いている穴は、ハッチ正面にある一つだけだ。
 追って後部デッキへ着艦してきたリックディアスが、その傍らでコクピットハッチを開く。
 出てきたノーマルスーツはまっすぐヌーベルGMUのコクピットハッチへ取り付くと、そのまま破孔からイジェクションポッドの内部へ入り込んでいく。
 リニアシートやコンソール、パイロットスーツまでもが一瞬のうちに蒸発して飛び散り、原形を留めることなく微細な破片となって全天周モニターの残骸にへばりついているコクピット。
 その内部をその肉眼で確認しながら、リックディアスのパイロットはバイザーの下に深い笑みを浮かべた。

56 : 「こちらですわ、おじさま」
「お、おう……」
 ノースリーブにミニスカートという大胆な構成のエゥーゴ女子制服でトランジスタグラマーの肢体を包んだ美少女、リアンナ・シェンノート少尉は時折八重歯を見せた笑顔で振り向きながら、ドッツィ・タールネン少佐を先導していた。
 右手でリフトグリップを握って艦内通路を流れつつも、彼女の左手はミニスカートへ申し訳程度に添えられていて、白く輝くニーソックスを履いた魅惑の太股から、その奥の空間が直接見えてしまう事態だけは防がれている。
 しかしリアンナの無重力に泳ぐスカートは本当に短く、ふとした拍子でシルク地らしき白い輝きが時たまちらりと視界へ侵入してくることを、ドッツィは完全に阻止できていなかった。
「あ、アカン……アカンやつや、これは……」
 最後に女を抱いたのはいつだったか。そうでなくともリアンナの美貌と蠱惑的な仕草は、あまりに刺激が強すぎる。パイロットスーツの股間で、ドッツィの巨砲はもはや痛いほどにいきり勃っていた。
 眼前の美少女を今すぐ組み敷いてあの扇情的な制服をこの手で破り裂き、乙女の素肌とぬくもりを味わいながら秘密の花園へ土足で踏み入って自慢の息子を暴れさせたい。そんな衝動に駆られる。
 だが、それこそがエゥーゴの狙いなのだ。
 彼らの戦艦の中で、仮にも士官でありMSパイロットでもある女性と肉体関係を持つなど、もうその時点で彼らに金玉を握らせるようなものだ。今後の組織間交渉にどう影響するかなど分かりきっている。
 耐えるんや、今は耐えるんやドッツィ……! 耐えて耐えて耐え抜いて、後で一人になったときにこの子の髪のにおいとか腿の線とか乳の柔らかさとか、思い出しながら大事に大事に使うんや!
「……あら?」
「はおっ!?」
 ぐっ、ときつく目を瞑り、瞼に焼き付かせたリアンナの無防備な姿を確認するように楽しみながら自分へ言い聞かせていたドッツィは、その動きへの反応が遅れた。
 リフトグリップを離して壁を蹴り、急停止していたリアンナの尻へドッツィは顔から突っ込む。まくれ上がったミニスカートの下で肌触りの良い絹糸のショーツへ頬を擦り付けるようにしながら、そこに包まれた豊かな尻肉で跳ね返された。
「がほ……っ」
 屈強なドッツィの体重は小柄なリアンナの倍近かったが、何せ打ち所が打ち所だけにただ跳ね返されて悶絶し、慌ててスカートの中から頭を出して喚いた。
「ちゃ、ちゃうねん少尉! これはな、ワシが少尉にやましいことを考えたりなんかやらしいことしようと思とったりしたわけとはちゃうねん!!」
「……どういうことなんですの?」
「へっ……?」
 ――いやぁ痴漢セクハラ強姦魔ですの犯されますわ誰か来てくださいまし!
 リアンナにそう叫ばれながら、手ぐすね引いて待ちかまえていたエゥーゴの強面どもに囲まれる事態を想像していたドッツィは、尻から突き飛ばされながらも冷静に姿勢を立て直し、前方を注視している彼女をおそるおそる見上げた。
 彼女の見つめる先には、パイロットスーツ姿の若い男二人がいる。何かいいことがあったのだろうか、彼らの表情は喜びと希望に溢れ、それを噛みしめているのがこの遠目にも分かった。
 だがそんな二人を見るリアンナの目は今までドッツィに向けていた笑顔が嘘のような冷たい真剣さに満ち満ちていて、その迫力にドッツィは喉まで出かけた言葉を引っ込めた。

57 :  相手がこちらに顔を向けてくるタイミングで、リアンナはいくらか和らげた表情で呼びかけた。
「あなたたち、どうかなさいましたの? 何かありまして?」
「あっ、シェンノート少尉――ちょうどいいところに!」
 リアンナを見つけたエゥーゴのパイロット二人は、息を切りながら笑みをこぼす。
 二人は先ほどの連邦軍トラキア隊との接触で、コクピットをビームサーベルで貫かれて戦死したマイン・ハフナー少尉が率いる列機パイロットたちだった。
 リアンナが違和を感じたのは、そんな彼らの表情に浮かぶ奇妙なほどの明るさである。
 彼らが出身地である鉱山衛星から行動を共にしてきたマインは、彼らにとって単なるMS小隊長である以上に、人間的な尊敬と憧憬を同時に集める『姐さん』だったはずだ。
 そのマインを失ってしまった今、悲嘆と絶望と敵への憎悪に暮れることこそあれ、こんな喜びに満ちた表情を浮かべていることなど、決してあり得ないはずなのだが。
 彼らは通路の壁を蹴りながら近づいてくると、リアンナの間近で身体を止めながら喚いた。
「シェンノート少尉! 生きてたんス! 姐さん生きてて、後部デッキから集中治療室に搬送されてたんス!!」
「……えっ?」
 そのまま固まるリアンナに、もう一人が畳みかけるようにまくし立ててくる。
「連邦軍が突き刺してきたビームサーベルが、実はコクピットの姐さんのところをうまいこと外してたらしくて……あれでヌーベルの操縦系と通信系はやられたし、姐さんも気絶しちまってたけど、姐さんはちゃんと生きててくれてたんですよ!!」
「回収したロストフ隊長が後部デッキから機体を搬入したとき、コクピット周りをもう一回よく見てみたときに気づいたらしくて!
 何日かは面会謝絶で療養に専念しなきゃならないけど、後に残るような大きな怪我もないらしいっス!!」
「そうそう! あと何日かしたらまたリハビリして、多分またMSパイロットにも復帰できるだろうって……! 良かった……本当に良かったぁ……!!」
 口早に喚き散らしながら、彼らはこみ上げてきた嬉し泣きの涙に暮れる。
「それは……良かったですわね。私もマインさんがいてくださらないと、いまいち張り合いがありませんもの……」
「そッスね!」
 どこか消え入るように先細ったリアンナの言葉を押し潰しながら、二人はすでにその後ろのドッツィへ挑むような視線を放ってきた。
「おう、そっちのオッサンが例のジオン軍かぁ?」
「ウチの姐さんが命張ってあんたら助けたんだ! しっかり働いてくれよな!」
「せやな……まあ、ワシらを助けてもうた分の恩返しぐらいはさしてもらうわ」
「期待してんぜ?」
「姐さん退院したら挨拶に来いよな!」
 非正規軍のジオン残党とはいえ、少佐の階級章を付けたドッツィ相手にタメ口を叩きながら、ハフナー小隊の軍曹二人は逆方向に消えていった。
「なんやよう分からんけど、仲間が助かったみたいで良かったな。……シェンノート少尉?」
「…………」
「どないしたんや? 行かへんのか?」
「えっ? ああ、いえ……そうでしたわね。お部屋まではもう少しですの。参りましょう、おじさま?」
 彼らの姿が見えなくなっても何か考え込んでいたリアンナは、ドッツィに問いかけられるとそれまで通りの笑みを浮かべてみせた。
 その表情筋の動きは今までと同じはずなのに、ドッツィにはなぜか今のリアンナがまったく違う誰かに見えた。

58 :  目覚めたのは、薄暗い部屋の中だった。
 重力はなく、身体はベッドに横たえられている。だが両手と両脚はX字を書くようにぴんと伸ばされたまま、それぞれ手首と足首を何か頑強な拘束具でベッドに堅く戒められていて、自由に動かすことが出来ない。
 身体が熱い。全身がひどく火照っていて、抑えきれないだけの強い熱量を帯びてしまっている。
 そして、裸だった。
 彼女は何一つ身につけていない、すべてを露わにさらけ出す生まれたままの姿で、その薄暗い部屋に拘束されていた。
「……お目覚めかね、ハフナー少尉」
「っ、てめ……っ、……隊長……?」
 薄暗い闇の片隅が動いたと思うと、それまで何かの居並ぶ端末の画面をじっと見ていた男の影が揺らいでいた。
 それが戦艦ジャカルタのMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉だったと気づくまでに一瞬の間があり、そしてマイン・ハフナー少尉は彼の姿を見た瞬間、得体の知れない鈍い疼きを自らの女芯に感じていた。
「おとこ、……おとこっ……」
 その存在を認識した瞬間にはうわごとのように言葉が漏れ出し、すでにたっぷりと潤っていたマインの秘所からさらなる愛液が溢れ出す。
「ずいぶん苦しそうだな、少尉」
「あアッ!?」
 その剥き出しの肩にロストフが軽く触れただけで、マインの肉体に電撃にも似た鋭く、そして甘い痺れが走ってしまう。
 今まで決して関係良好とは言えなかった――むしろ憎い連邦軍の出身者であるだけでなく、人間的にもどこか虫が好かないとまで思っていた男に触れられただけで、マインはその頬のみならず全身の白い柔肌をことごとく紅潮させてしまっていた。
 たっぷりとした肉感的な乳房はさらに大きく張りつめて乳首を尖らせ、秘裂はいっそうの水気に溢れながら腿に愛液を伝わせていく。
「ああ、ああああああ……っ。なに……なんだよ、これぇ……っ」
「ハフナー少尉。君は出撃し、そして撃墜された」
「げ、撃墜……?」
 ……そうだ。あたしは連邦軍の一般部隊相手にドジを踏んだジオン残党のバカどもを助けて拾い上げるため、リアンナの奴と一緒に小隊の舎弟どもを率いて出撃した。
 のんきにバズーカを構えてた連邦軍のトロそうなGMUを輪から弾き出してボコボコにして、いよいよコクピットを潰してやれるって段になったところで、連邦軍のGMUがもう一機割り込んできた。
 そいつは生意気に、ビームサーベルなんか抜いてきやがって。あたしもアツくなって、そいつとサシの本気で斬り合って……斬り合って、……そのあと……どうなった?
 なだれ込んでくる灼熱の閃光、陽炎になって消し飛ぶコクピット内のすべて、燃え上がる間もなく破裂していくパイロットスーツ――
「っ……!?」
「落ち着きたまえ」
 がち、ぎち、ぎちぃっ、とマインの四肢を戒める拘束具が軋んだ。
「そ、そんな……あたしは……あたしは、死ん、だ……!?」
「違うな。君は生きている。生きているんだよ、少尉」
 言いながら、ロストフはマインの震える青い瞳を覗き込んだ。
「君はただ混乱しているだけだ。無理もないことだよ。普通なら死んでいてもおかしくない修羅場をくぐったのだから。
 そうだ、少尉……いま、欲しいものはないかな? 何でもいいから、好きなように言ってみたまえ」
「ほ、ほしい……もの……?」
 うわごとのように呟きながら、しかしマインの思考には、自分が身動き一つも出来ないよう厳重に拘束されていることや、一糸まとわぬ生まれたままの姿を一対一でこの男の眼前に晒していることに関する疑問はいっさい上がらなかった。
 なぜなら彼女の思考はすでに、たったひとつのものに対する強烈な渇望によって、すべてを塗りつぶされてしまっていたからだ。
「何でもいいんだ。食事や飲み物、自由な睡眠、酒、強力な新型MS……自分がいま切実に必要性を感じているものを、何でもいいから言ってみたまえ。
 任務を果たすべく、自らの犠牲を厭わず果敢に邁進した君のためだ。功に報いて労を労うため、隊長として最大限の努力を尽くそう」
 四肢を拘束されたままのマインを、ロストフは穏やかな瞳で見つめる。
 そのマインの濡れた瞳は、ロストフの全身を嘗め回すように眺める。やがてその視線が一点に止まったとき、濡れた唇から自然に言葉がこぼれ落ちた。
「……ちんぽ……」

59 : 「ン……? ハフナー少尉。今、なんと言ったのかね?」
「えっ……!? う、嘘っ。あ、あたしは今、いったいなにを……っ!?」
 自分の発言から一歩遅れて、その言葉の異常さに気づいたマインがかっと赤面しながら身をよじった。
 手首足首を拘束する枷がギシギシと軋み、張りのある大きな乳房が振り乱されて、色素の薄い乳暈が桃色の残像を曳いて弾み飛ぶ。
「なんで……なんであたし、あんなことをっ!? そ、そもそも……なんであたしは裸なの? こんな……こんなヤツの目の前でっ!」
「おやおや。君の上官に対して、ひどい言いぐさだな」
 取り乱すマインからこんなヤツとまで呼ばわられても、ロストフは眉の一つも動かさなかった。泰然としたまま、同じ質問を繰り返す。
「さあ、ハフナー少尉……素直になるんだ。言ってごらん。君は今、何が欲しい?」
「な、なにを……! あたしには今、欲しいものなんか……欲しいものなんか……っ!!」
 いつも通りの男勝りな勝ち気さで言い返しながら、しかしマインの視線はその一カ所へと吸い寄せられていく。
 連邦軍制服のトラウザスを履いた上官、ベリヤ・ロストフ大尉の股間へと。
 そこに普段とは異なる明らかな屹立の気配を感じて、マインの喉がごくりと鳴った。同時にじん、と甘い痺れが、自らの秘裂から奥へと染み渡ってくる。
 あれが、欲しい。
 さっきからずっと全身に感じている、怖いほどの熱さ。
 あの太くて大きな男そのものをあたしの奥まで埋め込んで、もっともっと熱くして、どこかずうっと遠くまで飛ばしてほしい。
 あたしの足りない部分を、肉体と精神の両方にぽっかり開いたこの空洞を、こらえきれない寂しさを埋めてほしい……。
「困ったものだな。君がはっきり口にしてくれない限り、私の方からは何もしてあげることが出来ないのだがね」
「…………」
 戒められている手足が恨めしい。これさえなければ自分の方からこの男へと襲いかかって、四の五の言わせず組み敷きながら無理矢理にでも男の逸物を自由にすることが出来るというのに。
 ロストフは股間を堅く勃起させてはいても、その逸物をマインに対して使おうとする素振りはまったく見せていなかった。
 渇望するものが目の前にあるのに、触れることはおろか、直接目にすることすらかなわない。その絶望が彼女にきゅっと唇を引き結ばせ、目頭を熱くさせた。
「分かったよ……。言えば……言えば、いいんだろ……?」
 マインは恥辱に耐えながら火照りきった顔に薄く涙を浮かべ、目を伏せながらも、ついにその懇願を口にした。
「ちんぽ、……ちんぽが欲しい……っ。あんたの……隊長のちんぽで、あたしを……あたしを、むちゃくちゃにしてほしい……っ!」
「そうか……。君が欲しいのは……これか?」
 言いながら、MS隊長はその配下にある美人小隊長の目の前でジッパーを下ろし、そこから己が分身を取り出していく。
「ああっ……!」
 すでにその尖端を淫靡に濡れ光らせている巨根の凶悪な赤黒さに、マインは息を呑みながらただ目を奪われた。ただ目にしたというだけのことで、彼女の剥き出しの秘裂は熱い蜜を溢れさせていく。
「さあ、少尉……。私のこれを、君の自由にさせてあげよう。どこだ……? 君はこれを、どこに欲しい……?」
「どこに、って……そんなの、決まってるだろ……っ!」
 それを目にしてしまって、マインの股間に走る甘い痺れがいっそう強くなってきている。しかし欲する場所まで口にするにはまだマインに残る羞恥心が邪魔をして、はっきり言葉に出すことが出来ない。
 ロストフはそんな彼女へ穏やかに笑うと、ものを取り出したまま不意にマインとの距離を詰めてきた。
「少尉。こういうことは君の口から、はっきり言ってもらわないと困るのだよ」
「ん……ッ!?」
 視線を逸らして俯いたマインの頬に、ロストフの怒張がその尖端を押しつけてくる。
 これほどの至近距離で男の勃起したペニスを見るのは、マインが生まれて初めてのことだった。雄特有の異様な臭気が彼女の意識を支配していく。
「あ、ああ……すごっ、……おっきい……っ……」
 間近な存在感にただ圧倒され、小さく口を開けて食い入るように見つめるだけの彼女の後頭部をロストフは不意に右手で抱き寄せると、腹へ付くほどに反り返っている逸物をその唇へ押し寄せた。
「んむ!? はぷうぅっ!!」

60 : 「ああ、……いいぞ……少尉……」
 突如として、上官の男根をその腔内へと押し込まれたマイン。巨大な逸物はただの一押しで喉元近くまで易々と達して、マインをえづかせる寸前で侵攻を止めた。
「少尉。まずは、味わいなさい……歯を立てないようにね……」
「ン、……んぷ……っ、んく……んむ……あむ……っ」 
 最初は文字通りに面食らっていたマインも、ロストフの熱を帯びたペニスをその腔内いっぱいに感じるとその双眸を蕩けさせ、自ら愛おしげに頬張ると前後しはじめた。
 唾液を絡ませながら舌を繰り出し、不器用で不慣れな動きながらも粘膜で搾るようにしながら健気に愛撫し、初めて頬張る男性自身を味わっていく。
「そう、そうだ、少尉……いいぞ……ううっ!」
「んっ!? んっぶぅっ!?」
 その途中で、ロストフの雄が爆発した。マインの喉奥から逆流して腔内を埋め尽くすほどの白濁液が雄の熱量とともに放たれて、青い瞳を大きく見開かせる。
 シャギーの掛かった長く美しい金髪ごと後頭部を押さえ込みながら、ロストフは最後の一滴までを彼女の腔内に射精した。
 ぬめつく粘液の余韻を味わいながら逸物を唇から引き抜いていくと、別れを惜しむようにすぼめられた唇から唾液と精液の混じり合いが糸を引き、そして恍惚とした表情のマインがごくんと喉を鳴らした。ロストフの子種汁を、一滴残らず飲み込んだのだった。
「おい、これだけ……? これだけじゃねぇだろうな……? もっとぉ、……もっと寄越せよぉ……っ……!」
「分かっている」
 言いながら、ロストフは彼女の正面で身を屈めた。今度は彼女のそれより自分の目線を下げて、再び身体を寄せていく。
「いい乳房だ」
「あ……ッ!」
 そして賞賛とともに、ロストフの手がマインの胸に伸びた。はちきれそうに膨らんだ十九歳の若い乳房を、男のごつい両手が左右同時に握り込んでいく。
 敏感な桃色の頂への不用意な直撃だけは避けながらも、ロストフが硬軟織り交ぜた握りで巧みにその山体を変形させていくと、マインは切なげなあえぎ声を掠らせながら乳首を男の手指へ触れさせようと身をよじった。
「あ……ッ! てめぇっ、なにあたしの乳揉んでんだよ……ッ、あふッ!!」
「素晴らしいな、少尉。この艦の女性たちの中でも、トップクラスの大きさではないかな。ノーマルスーツや制服、君たちの小隊がよく着ている作業服のときもずいぶん立派に見えていたものだったが、少尉……今までこうして男に触れさせたことはあるのかね?」
「そんなこと……っ、あるわけないだろうがぁ……っ!」
「ほほう。では――」
 言いながら、ロストフは白い乳房の峰のその頂へと唇を寄せた。恥ずかしげにその尖端部を眠らせていた陥没乳首を口に含むと、マインがひっと息を吸い込んで身をよじる。
「あっ!? あああーーーっっっ!!」
 ロストフは逃すことなく舌を使って乳暈を裾野から舐め上げ、続けて直上から火口を攻め抜く。
「あ、あたしの乳! あたしの乳がぁ、こんな奴なんかに揉まれて吸われて変にッ、変になるぅぅ! 何これぇ! 何だってんだよぉっ、どうなってんだよぉぉぉ!!」
 頭上で響くマインの甘い悲鳴を聞きながら、その乳房を両手で裾野から搾り出すように揉みあげると、頬張った乳暈ごと出るはずのない母乳を狙うように吸い上げていった。
 何度も乳首を替えながらマインの双乳を丹念に吸いしゃぶり上げたロストフが唇を離すと、てらてらと汗と唾液に濡れ光る乳頭は恥ずかしげに隠れていた暈の中からその頭を突き出し、今にも母乳を分泌しそうな授乳器官としての威容を誇っていた。
「初物か。これほど見事に育った乳房が一度も男に愛でられることも赤子を育てることもないまま、危うくビームに焼かれて原子の塵に還るところだったとはな」
「もう……もう、我慢、できないぃ……っ。はやく……早く、チンポ寄越せよ……さっさとあたしに挿れろぉっ!」
 その唇と喉で逸物を味わったうえ、乳房を弄ばれて性感をさらなる高みへと導かれていながら、まだ男の指にすら触れられていない雌の部分がマインの魂へと上げる悲鳴は、もはや一瞬すらも耐え難い域に達していた。
 いやいやをする頑是無い赤子のように、滂沱に溢れた青い双眸で男の慈悲を乞うようにすがりつきながら、マインは必死にロストフの肉槍を求める。
 だが必死の哀願を穏やかな表情で受け止めながら、ロストフは腰の動きを止めてひどく冷ややかに言い放った。
「ハフナー少尉。君が本当にこれを欲しいと思っているのなら、私に対してもそれなりの態度――お願いの仕方というものがあるのではないのかね?」
「な、なに……?」

61 : 「誠意が感じられないようなら……これの今この場での君への提供は、見送らせてもらうとしよう」
「…………ッ!!」
 ロストフが勃起したままの肉棒をジッパーの内側へしまいこもうとした途端、がちがちがちぃっ、と手首足首の拘束具が異様な音を鳴り響かせ、頑強な造りのベッドそのものが不気味に軋んだ。
 それはおよそ人間の力とは思えないほどの強烈な破壊力を想像させたが、ベッドと拘束具はそのマインの暴力もどうにか耐えきってしまい、彼女は息を切らせてうなだれた。
「うっ、ううう……っ。わっ、分かった……分かったよ……。……ください……」
「……どうした? ずいぶん声が小さいようだが、何か言ったかね、少尉?」
「…………!!」
 女の唾液と己が精液の混合物に塗れたままの分身をトランクスの内側へしまい込み、淡々とジッパーまでを上げていくロストフの仕草に、マインは涙も唾液も鼻水さえも垂れ流しながら喚いた。
「ロストフ大尉の、隊長のおちんぽくださいっ!! お願いしますっ、あたしのメス臭いぐちょぐちょのおまんこに、隊長の立派なすごいおちんぽ挿れてください! お願いします! おねがいしますっ!!」
「…………」
 そこまで一気に吐き散らして肩で息するマインは、近づいてくる男の気配に紅潮しきった頬を上げた。
 目の前にあれほど望んだ男の剛直がそびえ立ち、それが自分の股間へ迫ってくるのを目撃して、マインはすべもなくあえぎ散らした。
「あっ! あっ! あああっ!! ひううっ!!」
 肉棒の尖端に秘裂から溢れかえった愛液へ触れられると、それだけでマインは反応して呼気を吐き出す。
 ロストフの剛直はもはや彼女の最奥までを一突きで貫き通してなお余るほどの堅さと大きさに張りつめたまま、美しき金髪処女の膣口へと添えられた。
 ロストフの口許が歪む。
「よく言えた、少尉」
「ああ、あッ! おちんぽ……隊長の、隊長のおちんぽ来るぅ……っ!!」
 そして少しずつ、少しずつ、ロストフはマインへの侵入を開始した。むっちりとした安産型の尻肉を両手で掴み、その侵攻経路を安定させる。
 水没洞窟と化したマインの秘所はただ貪欲に、ねっとりと媚肉を絡みつかせながら締め上げて味わうように男を受け入れ、呑み込んでいく。
 それは素晴らしく滑らかな、男に心地よい挿入だった。女は男の侵入が深まる度に高まっていく天井知らずの性感に、ただ目を見開きながら耐えるしかない。
「あ、あ、あ、あ……ッ!!」
「……ほう……」
 だがその途中で征服行為に抵抗を感じ、ロストフは緩やかな腰の動きを止める。口許の笑みを深めた。
 マイン・ハフナーという女性が、今までの人生で一度もここまで他の男を迎え入れたことがなかったという、その純潔の証――そこにロストフは、足を踏み入れようとしているのだ。
「君の処女を、奪うぞ……いいな?」
「はい! きて……来てぇっ!!」
 答えの分かりきった質問のあと、ロストフは躊躇もなく、それまでの穏やかさが嘘のような鋭さで一気に腰を突き込んだ。
「……ふッ!!」
「アグゥッ!?」
 儚い抵抗のすべてを一瞬のうちに蹂躙して突き破り、ロストフはマインの最奥へと到達した。
 子宮口まで突き抜かれたマインは声にならない絶叫を放ちながらその全身を痙攣させ、同時に今までにない強い力で侵入者である剛直を締め上げに掛かる。
 その強引な誘惑は二発目の射精を搾り取ろうとするかのようだったが、ロストフは下腹に力を込めてその吐精感をこらえ、ベッドの尻肉を掴みながらのピストン運動を開始した。
「あッ! あッ! あッ! ああッッ!!」
 雄そのものの荒々しい前後運動に、マインの胸に実る二つのたわわな果実が円弧を描くように大きく、激しく揺れ弾む。
 かつての陥没が嘘のように左右で勃ち上がったその可憐な尖端は、薄暗い室内照明の下で弾み転がる白い双肉塊の頂で鮮やかな桜色の軌跡を曳きながら乱れ飛ぶ。
 シャギーのかかったセミロングの金髪を振り乱して身も世もなく絶叫し続けるマインを、ロストフはひたすら激しく犯し続けた。
 二人の結合部から無重力空間へ溢れ出し、水滴となって室内へ漂う体液の中に、次第に掻き出されてきた破瓜の鮮血がにじみ出てくる。
 四肢を拘束された金髪巨乳美女に対する一方的な合体は時を忘れるほどに長く続き、彼女の意識を蕩けさせていく。
 そしてロストフもまた、この金髪の乙女との交わりから得られる深い満足感の累積が、彼自身の生殖本能を新たな領域へ押し上げつつあることを感じていた。
 犯しながら耳元に囁く。
「少尉……どこに射精してほしいんだ?」

62 : 「ふえっ、ひゃっ、ひゃへい……っ?」
 ロストフの激しい腰使いにぬめる膣内を何度も激しく抉られながら、押し寄せる快楽の圧倒的な荒波に、マインはその思考能力を完全に麻痺させられてしまっていた。
「私は、もうすぐ射精する……いま君の中にある私自身の切っ先から、精液をたっぷりと吐き出す。君は、どこに出してほしい? 顔か? 胸か? 尻か? それとも――」
「はぐうっ!」
 ひときわ鋭く押し進められたロストフの腰使いが、マインの奥を抉り込む。
「このまま、中、……か? どこがいい、少尉? 君が望む場所に、私の精液を残さず注ぎ込んであげよう」
「ど……どこ、って……」
 すでに性欲の牝獣と化しているマインに、まともな思考能力などほとんど残っていない。そんな彼女でも意識の端で、避妊具も付けずに行われる膣内射精に伴う危険ぐらいは認識することが出来ていた。
 このままナカに出されたら、自分は妊娠するかもしれない。
 お腹が大きくなったら、もうMSに乗り続けて皆の仇を討つために戦い続けることも出来なくなる。エゥーゴの戦士ではなく、ひとりの母親として生きるしかなくなる。
 戦えない身体になるのも、母親になるのもイヤだ。
 そこまで認識していながら、マインは肉の内側から沸き起こってくるその欲求を拒むことが出来ない。
 だって、子宮が望んでいる。
 早く精液を飲みたいって。
 いちばん子宮に近い場所まで精子を送り届けに来る、太くて堅くて長いちんぽを絞り上げて、金玉の奥から最後の一滴までを吸い上げながら子宮の中に飲み干せ、って。
 子宮があたしに命じている。
 こんなの、逆らえるわけがない。
「……にゃかっ! ぜったいに、じぇったいにぃっ、あらしの、にゃかぁぁあっ!!」
「中か。膣内でいいのかっ。私が中に出せば、君は妊娠してしまう可能性が高い。本当にそれでいいんだなっ」
 ロストフに言われるまでもない。マインはその危険を知っている。身も心も認識したうえで、それでも子種を欲している。
 絶え間なく繰り返されるピストン運動と愛撫に魂までも蕩ける中、マインは声を振り絞って叫んだ。
「いいのおっ。にゃんでもいいっ、濃くてドロドロで熱いのほしいっ、隊長のあの苦くてくっさいせーえきぃっ、あたしのなかに、おまんこの奥にぃ、あるだけ全部ぶちまけて出してえええぇぇぇぇっ!!」
「……分かった」
「あぐっ!?」
 マインの腰を抱き寄せていっそう深く突き上げながら、その肩口でロストフの口元が歪む。
「アッ、アッ……アッアッアッアッ、ああ、アアア……ッ」
 ロストフの腰使いが、その頂点めがけて激しさを増していく。ご無沙汰のまま胸を弾け飛ぶ乳房がそのたっぷりの質量でマインの顎を打ったが、腰ごと抱き寄せてきたロストフの厚い胸板に二つまとめて押し潰された。
「出すぞ……ッ」
「イク……イクウウウッ!!」
 ――あたしは、妊娠する
 最後の瞬間にそんな警告が意識のどこかで生まれたが、快楽の圧倒的な怒濤の前に流れ去ってしまっていった。
 そしてマインの最奥付近まで深く突き込んだまま、ロストフは己の逸物のカリ首を膣奥へしごき上げるように押しつけた。
「……ふッ、うぅっ……!」
「あっ!? ああっ、あああああああーーーッッッ!!」
 恋い焦がれるように待ち望んでいた肉の脈動を膣奥に感じて、マインは背筋を跳ね返らせながら声も限りに絶叫した。
 おびただしい量の精液が、子種を求めるように下がってきていたマインの子宮めがけて一気に注ぎこまれていく。
 尽きることを知らぬかのように汲み上げられてくる精液を放ちながら、延々と脈打ちつづける亀頭の凶悪な震えに、なすすべもなくマインは絶頂した。
「れてるぅ……あたしのなかで、たいちょーのせーえきいっぱい、いいっぱい出てるぅぅぅ…………っ!!」
 自らの卵へと雄の子種を受け入れ、新しい生命の芽吹きをその胎内へ宿していくという雌の悦びのなかで、マインは限界まで目を見開いておとがいを反らし、声も限りに絶叫していた。
 想像をはるかに越える喜悦。
 鉱山衛星の男所帯に生まれて十九年、汚れを知らぬままに強く美しく育った乙女が、その人生で今まで一度も知ることのなかった雌の無上の悦びを、ロストフの肉棒と自分の子宮が教えてくれた。
「はあっ、あっ、あっ、ああっ……ああ、あああああ……っ」
 濁流のように押し寄せた限界以上の快楽は、マインの意識とわずかに残った理性をも完全に押し流してしまっていた。
 電源を断たれた照明のように、ふっつりと意識が失せる。
 ロストフの剛直に最奥まで貫き通されながら、滂沱に濡れる青い両目を見開いたままでマイン・ハフナーは気絶した。

63 : 「ふむ、ここまでか……。私もまだ、もう少し楽しませてほしかったのですが……完全に落ちてしまいましたか」
 意識を失ったマインの紅潮しきったままの頬を撫でさすると、彼女ではない誰かに言いながら、ロストフはその怒張を秘裂の最奥から引き抜いた。
 ぬめる水音が男の名残を引き留めようとするかのように大きく響きわたり、白濁液と破瓜の鮮血と愛液が混じり合った粘液が二人の間に糸を引きながら溢れ、そして途切れる。
 ロストフは元いた端末の位置まで戻り、それらの動作状況を確認する。この部屋に配置されていた、多数の観測機器を。
 二人が繰り広げた情事の一部始終はあらゆる角度から観測され、記録され、分析されていた。
「マイン・ハフナー少尉。やはりP因子保有者でしたか」
 ちょうど観測機器の陰になる位置から響いた声にも動じることなく、ロストフは陰茎にぬらつく二人の粘液を拭き取ってトラウザスのジッパーを上げた。
「ええ。彼女の場合は鉱山衛星をティターンズに襲われた際の、鉱山側の記録映像にアクセス出来ていましたのでね。P因子の有無については、早い段階で確信していましたよ」
「それにしても――何度見ても、理解に苦しむ現象ですね。発現を間近で観測できた今でも、信じられません」
 機器の向こうでキーボードを叩きながら、理知的な声の女は唸るように続けた。
「……ビームサーベルの直撃ですよ? ガンダリウム合金の装甲さえたやすく貫き蒸発させる、超々高熱高圧のメガ粒子です。そんなものの直撃を受けた人体が消し飛ぶどころか、かすり傷の一つも受けず、ただ気絶しただけで生き残るなど……」
「物理が物理に働きかけて生じるがごとき弱々しい力など、しょせんその程度だということです」
 事も無げに言い放ちながら、ロストフは端末を操って次々に観測データをチェックしていく。
 その中には事情を知らない人間にとっては、単に四肢拘束された若く美しい巨乳の金髪娘が地球連邦軍人とのセックスをせがんでよがり狂った末に中出しされて気絶する、そんなポルノビデオにしか見えないだろう光学映像記録も含まれている。
「恐ろしいことをおっしゃるお方だ。……その物理の弱々しい力に頼って生きる今の世界など、あなたが理解するその力にとっては砂上の楼閣のようなものだとでも?」
「いえいえ。私にも理解など出来ていません。だが確かにこの力は、現実として存在している。だからあなたがたに協力を依頼し、こうして少しずつ分析と研究を進めているわけです」
 核爆発にも匹敵すると言われる熱と破壊の中で、生身の人間を無傷のままで生き残らせるなど、人智をはるかに超えた力によるものだとしか言いようがない。
 それを解析し、もしも自在に利用することが可能になれば、世界はドラスティックに激変する――かつてトレノフ・ミノフスキー博士が発見した粒子が、その後の世界の有り様を決定的に変えてしまったのと同じように。
 そしてその新たな力の秘密を握った者は、世界を支配するにも等しい力を得るに違いなかった。

64 : 「いま必要なのは、少しでも多くの研究資料を収集することです」
「分かっていますよ。今回でまた一つ――いや、二つ追加、ですか。ハフナー少尉と、彼女のお腹にあるあなたの受精卵を加えて」
「そちらの処置もよろしくお願いしますよ。我々にはジオンの残党を引き込みながら、ティターンズの戦力をこちらに引きつけるというという『表』の任務もある。まだ彼女には、MSを降りてもらいたくないのでね」
「医療班と調整しておきます」
「しかし、やはりここに来て良かった」
 傍らから取り上げた電子端末のページをめくりながら、ロストフは満足げに言った。
「アイリッシュ級にディアス、ネモにヌーベル。モンブランなぞとたった二隻でグリプスへ向かう羽目になったブレックス准将には申し訳ありませんが、わざわざこれだけの戦力を仕立てた甲斐はありそうですよ。
 私もさっそく、面白そうな相手を見つけてしまいました」
 自分で言うほどの罪悪感など欠片も感じさせない愉快そうな声に、女性研究者が訊いた。
「大尉が接触したという、現地部隊のMS隊長ですか?」
「ええ。マコト・ハヤカワ准尉。資料をよくよく見返してみれば、彼女もなかなか面白い経歴を持っているようですよ。実に興味深い……一度じっくり、話を聞いてみたいものです」
「ですが先ほどの現地部隊――トラキア隊、でしたか。エゥーゴには非協力的な部隊だと聞いていますが?」
「ええ。ですから、次に会うときは戦場です」
 ロストフは笑みを深めた。
「あの古めかしいモビルスーツも、無粋なノーマルスーツもすべて宇宙の塵と焼き捨てて、彼女の素肌に直接尋ねるに限ります」
「確かに敵ならば、『確認』の手間に遠慮は要りませんからね。なるほど、むしろ好都合でしたか。ここまで無理を押し通した手前、上も目に見える成果を欲しがっています――自由に使える新しい試料、期待してますよ」

65 : 今回は以上です。
話としてはここでようやく一区切り、第一章おしまい、ぐらいかと思います。

66 : GJ!
ああっ、マコトがっ、マコトが狙われているっ!
オカルトかと思ってら、ちゃんと不死身の理由があったんですね。

67 : 失礼。
思ってら

思ってたら

68 : 南極条約閉鎖されたな

69 : ちょっと容量オーバーで投稿できなかったので、ぶつ切り式で投下しますので
何卒、ご容赦下さいまし。
「ジュドー!」
ルーの声がするとジュドーは現実に引き戻され、体を強ばらせた。
「どうした?」
「ルーだ。やばいな、見られたら…」
ハマーンと一緒にいる所をルーに見られたら、想像するだけでジュドーの背中
に戦慄が走った。
「どうした、ルー!」
「部屋に来ないから、どこ行っていたのかと思ったのよ」
「ああ、ゴメンゴメン!ちょっと…!?」
この先の言葉を言おうとした途端、ハマーンはジュドーのモノを再び咥え、唇
で吸った。
「…誰かいるの?」
「誰も居ないよ。ちょっとホットスナックを食い過ぎて、お腹を壊したんだ」
ハマーンに自分のモノを咥えられながらドア越しのルーに、ジュドーは嘘をつ
いてこの場を逃れようとした。
「医務室から薬をもらって来るけど…」
「大丈夫だよ。出せば、スッキリする」
「そう、それならいいわ。暇だからって遊んでばっかりじゃダメよ、ジムがあ
るからそこで体を鍛えてね」
「ああ」
「じゃあ、部屋に戻るから」
そう言い、ルーが男子便所から出ていき、ジュドーとハマーンの二人だけにな
った。
「っ、いきなり何するんだよ。あんたは」
「今さっきのはルーと言う女か?」
「エゥーゴのパイロットでオレ達ガンダムチームの一員だよ」
「ジュドーの好みか?」
「あんたには関係ないだろ!」

70 : ハマーンの挑発にのせられ、ジュドーは両手で彼女の頭を掴むと自分のモノを
強引にねじ込んだ。
ねじ込まれたハマーンは瞳を白黒させたが、ジュドーは構うこと無く彼女の口
腔内を堪能するかのように頭を動かした。
尿道が迫り上がる感触に押され、ジュドーは一気に喉奥までねじ込みロックし
た。
彼女の口腔内でジュドーのモノが膨れ上がり、脈打つと同時に精液が放出され
、少量が気管に入った。
「うぶぶぶっ、ゲホゲホゲホッ!!!」
開放されたハマーンは激しく咳き込み、精液を少し吐き出した。
「お、おい…大丈夫かよ」
咳き込む彼女を見てジュドーは狼狽し、身を屈めるとハマーンの背中を擦った

最初は激しく咳き込んだが次第に収まり、唇から少しはみ出た精液を手の甲で
拭った。
「大丈夫では無かろう?」
菫色の瞳が冷たく、そして鋭くジュドーを見つめると狼狽した彼の表情から血
の気が一気に失せた。
「窒息寸前だ。女を何だと思っているのか、貴様?」
冷たく睨まれ、高圧的な口調とプレッシャーに飲み込まれ、ジュドーの背中は
冷や汗が流れた。
「あんたがルーの事を…、好みとか」
「だから何だと言うのか?」
唇の片方の端を上げて冷たく笑い、顔をジュドーに寄せた。
「…あ、いや、その、ま!ごめんなさい、ごめんなさい!ハマーンさんが美し
すぎて調子に乗っちゃいました!!ほんとにごめんなさい、オレってマジでバ
カです!!」
「ククククッ、それがどうしたのか?ジュドー・アーシタ」
寒気のする笑みと高圧的な口調による追及に、ジュドーは魚のように口を閉じ
たり開いたりしており、言い返そうにも言い返せなかった。
「面白い子だよ」
狼狽し、青ざめるジュドーを見てハマーンは気の毒に思った所為かこれ以上の
イタズラをやめた。
「あんた鬼だっつぅの!!」
青ざめた表情に生気が戻り、ジュドーが泣き出しそうな勢いで抗議するのを見
てハマーンは思わず笑った。

71 : 南極条約なくなった

72 : 南極条約がどうした?
なんか関係あんのか?

73 : 保管庫閉鎖されたんだよわかれよ

74 : あれが保管庫?
もう十年ぐらい機能してなかったろ?
なんで今さら話題にする必要があんの?
中の人なの?

75 : ISAPのクソ信者なんだろ

76 : 何にせよ>>2にあるSS保管所は全滅なのね。
いよいよ次はPixivを>>2に載せるしかないのか。。

77 : 最近行ってみたら「暫く停止致します」になってたから
閉鎖ではないみたい

78 : 突然どうしたんだろうな?
お絵かき掲示板は動いていたからたまに覗いていたんだが…。

79 : このスレ絵師いるの?

80 : バイブ入れさせたまま出撃させたい…
けどそんなことしたら戻ってこれないよなぁ。

81 : >>80
誰が誰に入れさせると嬉しいのか簡潔に述べよ

82 : 「おじさまにエゥーゴの方で新しくMSを用意いたしましたの。私と一緒に出撃してくださいまし」
「おう! 新型機か。さすがエゥーゴさんは羽振りがええのう」
「ただ、条件があるんですの……」
「お、おう……何や。何を恥じろうとるんや、シェンノート少尉。何でもええから言うてみ」
「出撃の間、コレを……おじさまに、付けていてほしいんですのっ!」
「アッー!? 刺さった!? 何やコレ、ずっぷりワシの奥まで挿さりよったあああ!? アホな! 深い! しかもぶるぶる、ぶるぶる震えよるっ……ぬ、抜けへん!?」
「うふふふふ。ソレが振動する強弱は私の手元で自由自在ですの。それからこうして一回挿してしまったら、もう私が解除コードを入力しない限り二度と抜けませんわ。もしも無理矢理抜こうとしたら、そのときは……ああ、恐ろしい! そのつもりでいてくださいましね」
「あ、アカン……アカンやつや……に、逃げな……逃げな……」
「あと、おじさまの機体が私から離れすぎたりして信号を受信できなくなったら、それはもう取り返しのつかない勢いでぐりぐりブルブルしはじめちゃいますの! ああん! おじさま、一体どうなってしまいますの!?」
「」
「うふふ、いけないおじさま……これだけで股間のザクマシンガンをこんなにジャイアントバズにしてしまうなんて、はしたないですわね。もう私からは逃げられませんわよ? 一緒に帰ってこられたら、そのときは……次のご褒美を、差し上げますわ」

「そうですわね……こういう風に使うのならやはり、安全装置付きのリモコン式が一番ですわね……」
 乗機と新装備との調整が進むジャカルタのMS格納庫を物憂げな美貌で眺めながら、そんな風に乙女の物思いにふけるリアンナであった。

83 : >>80の内容をなんとか拙作に当てはめてみようとしたものの、この組み合わせしか出てきませんでした。
本編もまた近いうちに投下します。

84 : 永井一郎さんの御冥福をお祈り致します。
今後のゲームとかのナレーションどうなるんだろね。

85 : >>83
GJ!
永井さんの御冥福をお祈り致します。
天国でドズルと再会しているころでしょう。

86 : >>84-85
こういうことになる前に後進の人に禅譲させておけばよかったのに……と、失礼ながら。
まぁ、それをやる暇が出来ない程に「あの人たち」のインパクトが大き過ぎたって事なのかもしれないんだけど。

87 : ユニコのブライトさんは、違和感あんまりなかった。
カツオもワカメも、最初微妙な違和感あったが十分なじんだ。
でも波平さんの後任さんは大変だなあ。
タラちゃん、更にはサザエさんの交代時も厳しいだろうなあ。
マ・クベって今ゲームなんかじゃ誰がやってんの?

88 : >>87
>タラちゃん、更にはサザエさんの交代時も厳しいだろうなあ
その二人だったら何とかオッケーなんじゃあないのか? 波平さんは……

89 : >>87
今のマ・クベは田中正彦さんみたい
しかし、こういう雑談が成立するぐらい人が戻ってきたのかな

90 : まあ、全部俺の自演だけどな

91 : フェニックステイルもハマジュドも全部お前が書いてたのかw

92 : >>89
水が綺麗になったから、魚が帰ってきたんだよ。
最近、ISAP死ねを連呼してた人がこなくなったじゃないか。

93 : ハマジュドの人は鋭意書きため中かな?
話としてまとまった量を一度に投下されるのでないと、せっかくのSSにも反応しづらいから頑張ってほしい
人が戻ってきたのなら、SSもさらに充実してくれるといいね〜

94 : ISAP自身はそうでもないが、アンチと信者が同程度にゴミすぎた

95 : 過去ログ読むと確かにひどい人も大勢いるね>信者
しかしまあ、あれだけの人数が熱狂していたのは間違いなく凄い時代だったのだと思う
最近は社会全般でスマホへの移行が進んだ上に、2chではそのスマホが主要三社一律規制だからな
それでこのスレにもROM専にならざるを得なくなった人も大勢いたと思う
でも、ここにはまだ書き込み環境のある生き残りが多少はいるのだから、SSも感想も雑談も盛り上げていければいいね

96 : エロパロ板の書き込みがまた面倒くさいことに……自分のメイン環境では書き込み不可になってしまいました。
誰か生きてる人、いますかー。

97 : エロパロ板の危機はとりあえず去ったようだ
ところで一時期騒ぎになった南極条約は死んだままみたいだな

98 : >>97
>>1のリンクから2.0に誘導されたが死んでるか?

99 : おー、復活してるな
これは意外だった

100 : 注意事項:オリキャラ監禁凌辱、孕ませ、輪姦です。そのうえトンデモ現象が山盛りになっています。
いつもの続き物の一部ではありますが、今回はフェニックステイルを今まで読んでいただいていなかった方にも、注意事項が気にならなければ独立してお楽しみいただけるかと思います。
手始めにどうぞ。
フェニックステイルを読んでいただいている方に関しては、第一話から分岐した一種のIF展開的なもののようななにか、としてお楽しみください。
全編ほとんどエロだけで、話の中身のようなものはほとんどありません。

101 :  奇襲だった。
 胴の中央を背から光弾に撃ち抜かれてくの字に折れた、地球連邦軍所属のGMUが次の瞬間に火球へ変わる。
「二時方向から敵機三! ゲルググタイプ!」
『なっ、敵? 敵が来るのかっ!?』
 全天周モニターから照り返す僚機の爆光に必死の表情を照らされながら、少女は自らのGMUからビームライフルの火線を放って迫る敵機へ応戦した。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
 だがその間にも不気味な呪文を唱えながら迫る敵機の前に、僚機は次々に被弾しては爆散し、脱出した小隊長のポッドは敵のゲルググに捕獲されるや、その掌中でビームナギナタに貫き通されて弾け飛ぶ。
 ついに友軍のMS隊は新兵の彼女一人を残して全滅した。
「こっ……このおおおっ!!」
 それでも母艦のサラミス改級巡洋艦だけは守ろうと、黒髪の少女は単機でなお果敢に挑みかかる。
 だが、そんな少女の気迫をあざ笑うように、ジオン残党のゲルググはその足止めに一機だけを残すと、あとの二機がサラミス改からの寝ぼけたように疎らな弾幕をあっさり抜き去った。
 艦橋を踏みつぶすように取り付いたゲルググが有無も言わせずビームライフルの連射を撃ち込むと、融合炉をズタズタに引き裂かれたサラミス改はその輪郭をあっさりと崩して巨大な光輪を広げ、巨体の原形も残すことなく爆炎を上げて弾け飛んだ。
「よっ、よくもおおおぉっ!! ――あぐっ!?」
 帰る場所を奪われて自暴自棄になった彼女のGMUを、ゲルググは三機掛かりの巧妙な連携であっさりと撃破していく。
 頭部や四肢が次々に薙ぎ払われ、とうとう胴体だけになった少女のGMUをゲルググ二機が左右から捕らえる。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
「あ、ああ……あああああ、そ、そんな……私、もう……」
 敵機のパイロットらしき若い女たちの不気味な呪文が接触回線越しに聞こえてくる中、隊長機らしきゲルググがコクピットハッチの直前にビームナギナタの光刃を突きつけてきた。
「ごめん……ごめんね、シエル……私のこと、あんなに鍛えてくれたのに……私一人だけじゃ、やっぱりダメだったんだね……」
 もはや逃れられない死を前にして、遠く離れた親友の名を呼びながら恐怖に震える少女の眼前へ、ゲルググ隊長機のパイロットらしき髭面猪首の屈強な男が接触回線経由で通信小窓を開いて割り込んでくる。
『娘! 腐敗極めし連邦畜生道にあって最後まで踏みとどまらんとしたその気概は見事なり! しかしその存在を現世に留め置いては、我ら大ジオン仏道の禍根とならん! これにて完全成仏いたすべし! 喝(カァーツ)ッッッ!!』
「あうッ!?」
 ビーム刃が正面いっぱいから迫る。瞬時に外部装甲もろとも全天周モニターを溶断しながら侵入し、CGから実体そのものとなって少女のいるコクピットを貫通した。
 少女の全身が光に呑まれる。
 強固なヘルメットがバイザーもろとも砕け散り、清楚なショートカットの黒髪を吹き散らし、可憐な面差しが死の恐怖に引き攣る様を露わにする。
「きゃああああーーーっ!!」
 少女の肢体を包んでいたパイロットスーツはメガ粒子の中で、内側から弾け飛ぶようにして破裂した。
 パイロットスーツの胸部裏側に補強されていた、少女の大きすぎる乳房をGから守るためのバストパッドも、その爆乳を最後に直接包んでいたIカップのスポーツブラジャーごとバラバラにちぎれ飛びながら、灼熱の閃光に焼き尽くされていく。
 光熱の奔流に剥き出されたMSパイロットとして規格外の爆乳が、その頂に桜色の巨乳輪を咲き誇らせながら激しく揺れ弾んだ。
 みっちりと詰まった乳肉の頂でその大きさに見合うだけのよく発達した桜色の乳暈と、その中心から起き上がってくる乳首の突端までが露わとなって、薄紅色の軌跡を描きながら暴れ狂う。
 人体など瞬時に蒸発させる死の閃光の中で、股間の茂みの下に潜む秘裂がじっとりと濡れそぼり、粘りのある体液を溢れさせる。
 死に直面した生命が最期の瞬間に暴走させる生殖本能が、無垢な少女をその肉体に初めて知る倒錯した絶頂へと導いていく。
 ――ああ、シエル……! わたし、もうイッちゃうぅ……っ!
 すべてを蒸発させながら押し流していく閃光の中で、少女の意識は消失する。
 次の瞬間には機体の破壊された融合炉も暴走し、GMUはそのパイロットの爆乳美少女を抱いたまま巨大な火球と化し、宇宙の塵と消滅した。

102 :  そして永遠にも一瞬にも思えた暗転の後、彼女は再び目を覚ました。
「ん、……」
 視界に入るのは、周囲一面を埋め尽くしながらゆっくりと流れていく穏やかな星の海。
 自分がMSコクピットの全天周モニターの中にいるのだと気づきながら、少女はうつろな熱を帯びた瞳であたりを眺め渡す。
「え、……何、これ……私、まだ……生きて……?」
「目覚めたようだな、連邦外道の妖怪変化!」
 そして、少女は気づいた。
 左右の宇宙空間には、編隊を組んで飛ぶゲルググの姿がある。そして正面にはリニアシートに座るジオン軍パイロットスーツ姿の巨漢が、身も凍るほどの鋭い視線で自分を射貫いていることに。
 自分が一糸まとわぬあられもない裸身をさらしながら、両手首と足首を手錠に戒められていることに。
「じ、ジオン兵……あなた、さっきの!?」
「すべての罪咎を焼き清める、我が大ジオン仏道の聖なる奈落業火に焼かれてなお完全成仏に至らぬとは……娘! 汝のその身、人のそれに非ず! 即ち汝、妖怪変化なり!!」
「な、何を言って……あうッ!?」
 戦いに敗れ、敵に捕らわれた――その事実を察して青ざめた少女の胸元に、ジオン兵の手が迷いなく真っ直ぐ伸びる。
 そこを隠そうとした腕をあっさりねじ上げると、こぼれ落ちた巨大な乳肉果実の片割れを、スーツのままの手袋が荒々しく握りつぶす。
「ああッ!! いっ、痛ッ!!」
 愛撫などとはとても呼べないあまりに強すぎる握力に、たまらず少女は悲鳴を上げる。屈強な男の五指の隙間から、若くみずみずしいたっぷりの乳肉が、その剛力から逃れようとはみ出るほどに溢れ出す。
 だが少女は単なる痛みだけではなく、乳房の芯から股間へ流れ、そして脳髄にまで届いた甘い痺れを同時に感じていた。
 ――こんなに乱暴に触られたおっぱいが、あそこが……からだじゅうが、さっきから、熱い……どうして……?
「フム……!」
「あ、うッ!!」
 その疑問を考える余裕も与えられないまま、異様な眼力を持った男は握り込んだ乳房の頂を乱暴に指先で押し込み弾き飛ばしながら、少女へ一方的にまくし立ててくる。
「娘! これほど豊かに乳を実らせていながら、こうも搾られて一滴の母乳も出さぬとはな! 男を惑わすばかりの役にも立たぬ飾り物をこうも大きく誇示するとは、なんたるふしだらな乳よ!
 すでにこの事実を以て、連邦の腐敗は天地神明に曝された!!」
「あっ……!?」
 今にも握り潰されるかと思えていた乳房が、不意に握力から解放される。
 だが息をつこうとした少女は、男の次の行動を目にして凍りついた。
 男は片手で少女の両腕を戒めたまま、もう片手を自らの喉元へやった。パイロットスーツのジッパーを一気に、一番下まで引き下ろす。
 そして男の股間から飛び出してきた赤黒い肉柱は、ただそそり勃つ雄渾なる姿形を見せつけただけで、少女から抵抗の意志いっさいを完全に奪い去るほどの凶暴さを発散させていた。
「あ、ああ……そ、そんな……」
 そして目撃した瞬間に、少女は理解してしまっていた。
 もはや正規軍ではないジオン残党兵が、怨敵である連邦兵を捕虜にしたときどう扱うか。
 これからこの場で何が行われ、そして自分がどうなってしまうのかということを。
 ――レイプされるんだ、私
「かくなるうえは、妖怪変化! 我が大ジオン金剛棒にてその煩悩を突き晴らし! ただちに極楽浄土へ往生すべし!!」
「あッ!?」
 少女の股間へ男のごつい手指が無遠慮に伸びると、二本の指先がいとも簡単に花園の濡れた入り口を広げる。
「ええい、すでに準備万端とはな! 腐敗極めし連邦色欲淫蕩の性、まっこと救いがたし!!」
「な、何をっ!?」
 もはや相手の目的を確認するためではなく、単に弱々しい拒絶の意志の発露として発されたか細い悲鳴になど男が聞き入ることはない。
 男は水音を立てて割り開いた肉の洞窟の開口部へと腰を寄せ、その割れ目などよりずっと大きな己が分身を、避妊具など着ける素振りもまるで見せないまま無慈悲にあてがう。
「す、すご……っ」
 赤黒い肉棍の切っ先が秘裂に触れるほど近づいたことで、少女は改めてその絶望的な大きさを思い知った。こんなものを受け入れることなど出来るわけがない。

103 :  しかし男は少女の逃亡を許すまいと、荒々しい両手で左右の豊かな尻肉を握り締めてしっかりと抱え込み、おびえる少女の退路を完全に封じた。
「ひっ……! お、お願いやめて、そんな……っ、そんな大きいの、入らな……っ」
「覚悟、連邦妖怪変化! 金・剛・調・伏!!」
 そして男は前戯もなしに逞しい両腕で少女の腰を一気に引き寄せ、己の頑強な腰を叩きつける。
「!!!」
 ぱぁんっ、と爆ぜるような破裂音が球形のコクピット内へ鳴り響いたとともに、雄の肉杭は少女を最奥まで貫き通していた。
 少女はもはや悲鳴すら上げられず、ただ限界まで瞳を見開いて声もないまま絶叫するしかない。
 少女の股間から脊髄を通して脳天にまで突き抜けた衝撃波が、一瞬遅れて胸の乳房に伝わり、その無重力下の半球形をだぷんと大きく波打たせる。跳ね返った桜色の尖端から汗の滴がぴゅっと飛び散り、全天周モニターの星空に触れて潰れた。
 男の侵入に対して抵抗らしい抵抗も出来ないまま、何の余韻もなくただ一瞬で摩滅した処女膜が鮮血を噴き出し、二人の結合部分からじわじわと溢れ出す。
 よく鍛えられて引き締まった少女の膣は男の侵入に最大限の抵抗を見せたが、凌辱の肉杭はその堅さも鋭さも勢いも遙かに彼女を上回り、濡れた膣内を裂けるほどに押し開きながら最奥まで貫き通しきっていた。
 合体、されてしまった。
「い、いた、……い……っ……」
 破瓜の流血が逸物の根本にまで届いたとき、衝撃に見開かれたままだった少女の瞳が涙の粒を溢れさせた。
 秘裂を満腔に満たして異物の侵入に備えていた愛液も、これほど巨大な挿入物の前で膣内を保護しきれるはずもなかった。肉棒を伝って流れ出る少女の出血は、ただ破瓜のために生じたものだけではない。
 目尻からこぼれた水滴はコクピット内の無重量空間をゆっくりと漂い、やがて星空を映す全天周モニターの画面に触れて潰れる。
 そして少女を貫通した男は破瓜の余韻もそこそこに、左腕で腰を抱えたまま猛然と凌辱の抜挿を開始した。
「ひっ! ぐぅ! いぎぃっ! あぐうぅぅっ!!」
 男が進める巨体の腰使いを受け止める度に、少女は膣奥まで突き抜ける衝撃で身体の底から悲鳴を上げた。
 MSパイロットとしてよく鍛えられた少女の肉体は、それ以上の蹂躙を拒否して排除しようとするかのように強く厳しく凌辱の肉棒を締め上げる。だが男自身のまさしく金剛石のような堅さの前には、その女犯の快感を上積みするだけでしかなかった。
 あまりに太く堅い雄肉の棍棒はカリ首が膣口から顔を出すごとに、胎内に満ちた少女の愛液と鮮血を掻き出してはコクピット内へと飛び散らせていく。
 少女がこれまでの人生で誰の侵入も許したことのなかった引き締まった膣内は、休むことを知らない巨大な男根が繰り広げる往復運動に蹂躙されて、血を流しながら押し広げられていった。
 両耳にかかる黒髪の房を揺らしながら、少女は身も世もなく泣きむせぶ。
「ああ! ああ、こんなの……こんなのぉ……っ!」
 ――わたしの、なかが……このひとの、おちんちんの、かたちに、されちゃってるよぉ……
 だが寄せては退き、退いては寄せる、時化た海に逆巻く怒濤のような男の力強い腰使いを受けてがくがくと揺れる少女のおとがいから漏れる悲鳴の中に、次第に甘いものが混じりはじめた。
「すっ……すごっ、いっ、いい……っ……」
 男の猛烈な突きを膣奥で受け、衝撃だけを雌芯に残して膣口まで退いたそれが再び少女を最深部まで抉り込む。
 まるで終わりの見えない壮絶な往復運動の中で、はちきれそうに大きく張った乳房がその桃色の尖端で円弧を描くように大きく激しく揺れ動き、桃色の残像を曳いて振り乱される尖った乳首から玉の汗を弾き飛ばしていく。
「あっ……あッ、アッ、アッ、アッ……」
 いつしか甘い喘ぎを殺しきれずに漏らしはじめた少女は、その両手首の戒めも解かれていた。彼女はその両手をそっと下ろすと、自分を真っ向から犯し続ける男の背中へ回していく。
 ぎゅっと抱きしめると、男の逞しい胸板との間に左右の尖りを突き立てながら、胸の果実二つが潰れて広がった。
「わたしのっ、いちばん、奥、ぅ……そんなにゴンゴン、激しく叩かれたらぁ……っ!」
 乙女の花園は繰り返される抜挿のなかで鋤き荒らされ、媚肉は耕すように解きほぐされながら、次第に子を産む畑へと造り替えられていった。
 存分に潤いながら耕され続けた少女の膣奥では、子種を待ちこがれるように子宮が下がっていく。
 男が女を犯す、その行為の先で当然に導かれる結果へと向かって、少女の肉体が整えられていく。

104 : 「きゃふぅっ!?」
 正面から犯されていた少女が突き込まれながら身体を回され、体勢を後背位へと入れ替えられた。
 侵入角度を大きく変えた蹂躙の男根はいっそう深く少女を犯し、上下の濡れた唇から鋭い悲鳴を吐き出させる。
 少女はとっさに星空へ手を突き、背後からの凌辱に耐えた。
 同時に乳房は二つとも全天周モニターの星空に押し潰されて、胸から左右に大きくはみ出す。
 爆乳は少女の汗をたっぷりと画面へ塗りつける肉筆と化しながら、少女自身と背後から犯し続ける男の体重の総和に負けて、その豊満さをつきたての餅のような柔らかさで変形させていく。
「ああ、こんな……いやぁ、こんなの……こんな、動物みたいなのぉ……」
「人道(にんどう)踏み外せし妖怪変化は、先ず畜生道経て還るべし!! ふっ、ふっ、ふっ、フウゥッ……!」
 膣を犯し抜いてまだ余長を有する肉杭の先が子宮口を突きながら、汗にまみれた少女の尻肉が男の腰を弾き返すたびに小気味よいほどの破裂音を跳ね上げる。そのリズミカルはあたかも木魚を叩く僧侶のようであった。
 猛烈に前後する腰使いで少女を犯し続ける男は今や、膣内の締め付けだけでなく、胸の乳房に負けずに熟れた尻肉の張りつめた弾力もそのピストン運動のサイクルに取り込んでいた。
「あぐっ、うぅぅっ、こ、こんな姿……みないっ、でぇぇ……っ!」
 彼女たちの機体と並進する左右のゲルググのモノアイがこちらへ向かって動く度、少女はコクピット内で犬のように犯されている自分のみじめな痴態を見られているように感じて涙ぐむ。
 少女の肉体は背後から両脚を抱え込まれて男の肉棍に貫かれ続けながら、寄る辺ない無限の星空へ向かって前のめりに倒されている。
 初体験の痛みと悦楽が溢れかえる中で、少女は無防備な自分の裸体がこのまま宇宙空間へ落ちて溶け去るような感覚に陥っていた。
「うッ――」
 無言のまま、ただ少女を力強く犯し続けていた男が、そのとき大きく息を吐き出した。同時に少女を踏みにじる凌辱の周波がさらに激しさを増して、彼女は本能的にこの行為のひとつの到達点が近づいてくるのを感じてしまう。
 そして、男が絶叫した。
「妖怪変化ッ! 汝、今こそ涅槃に至りて昇天すべしッ!!」
 少女の胎内を貫き通して子宮口を叩き続けていた肉杭が、男の叫びを最後に往復運動を止め、少女の最奥に身を留める。
「っ!?」
「降魔! 調・伏!!」
 ――なにか、くる
 その杭先が膨らみながら脈打ったと思えた瞬間、少女は自身の胎内に弾ける熱いほとばしりの直撃を感じていた。
 おびただしい量の熱い粘液が吐き出され、少女の子宮にもっとも近い場所から、そのさらなる奥を目指して注ぎ込まれていく。
「あっ!? ああ、あああああーーーっ!!」
 刹那、電撃にも似た強烈な痺れが全身へ走って、貫かれたまま少女は弾けるようにその背を反らせた。
 全天周モニターから離れた乳房はその最後の一突きでだぷんと大きく揺れたきり、次第に振幅を縮めながら、尖り勃ったままの乳首を宙に漂わせていく。
「来てる……っ、なに、これ……なにか……あついのがなにか、わたしのなかに、きてるぅ……っ!
 いやぁ……! やめて……止めて……抜いて……っ、抜いてぇ……!
 こんなの……こんなにいっぱい最後まで、中に、出されちゃったら、もう、わたしっ……わたしぃ……っ!!」
 背後から深々と打ち込まれた肉杭に征服されたままの膣奥は、必死に身じろぎして固めを脱しようとする少女の意志に反してひくつき、その杭先から溢れるように押し出されてくるおびただしい精液を従順に呑み込んでいく。
 ――自分が女性であることを、汚されてしまった。

105 :  そして、その熱い迸りが子宮めがけて注ぎ込まれ、彼女の内側を溢れるほどに満たすと同時に、少女の背筋へぞわりと悪寒が走った。
「あ、あああ……ッ!?」
 彼女の脳裏に、鮮明な像が結ばれる――それは艦砲射撃にも見まがう極太のビームにコクピットブロックを直撃されて、貫通されるやたちまち巨大な火球と化して宇宙に消滅していくGMUのイメージだった。
「直撃……? うそ……わたしの卵子が……精子に、直撃された……? ……撃墜……、されちゃったの……?」
 その瞬間、少女は本能的にその事実を直感した。
 何百人という味方を殺した敵兵の精子が、今この瞬間、おなかの奥で自分の卵子に植え付けられた。
 受精した――妊娠、させられてしまった。
「う、うそ……うそ……うそ……」
 自分の身に起こった事実を受け止めきれず、ただ呆然と放心する少女をよそに、全天周モニターに艦船が映り込み、減速して相対速度を合わせたゲルググがその格納庫に着艦する。
「……わたし……わたし、まだ、お母さんになりたくないのに……みんなを殺した、敵の……ジオンの残党兵の赤ちゃんなんか……産みたく、ないのに……ぃ」
 うわごとのように呟きながら放心していく少女の膣奥へと、すべてを吐き出し塗り込め終えて、凶暴そのものの肉杭がゆっくりと引き抜かれる。
 ごぽんっ、と大きく水音を立て、ねっとりと糸を引きながら、この爆乳の美少女パイロットを今こそ完全に撃墜した巨砲が誇らしげに、再び虚空にそそり勃つ。
 胎内すべてを埋め尽くす膨大な白濁に、かすかな赤の混じり合った濃厚な粘液が、熱い湯気を立てながら溢れ出し、少女の処女喪失と膣内射精が同時に行われたことを見せつけた。
 そして高らかに男は宣じる。 
「娘! 汝の胎蔵に今こそ、刻……至れり! 喝ッ!!」
「あぐぅっ!?」
 男の絶叫とともに、少女はその腹に異様な疼きを感じて跳ね上がった。狭い全天周モニターの内側を浮遊してすぐに身体をぶつけ、そして少女はその変化に気づいた。
「!? な、なに……これぇ……」
 うつろな瞳で少女が自分の下腹を見下ろせば、その核心まで貫かれて徹底的に汚されぬいた腹はいつの間にか、もはや抱えきれないほどに大きく膨らみきっていた。
 それは紛れもなく、出産を間近に控えた妊婦の腹だった。
 西瓜ほどもあった乳房はさらに一回りも大きく膨らみ、そして桜色の美しかった乳暈はすっかり色素を沈着させ、全体を炭のような黒に染めあげてしまっている。
 つい数分前まではMSを駆って勇敢にジオン残党の脅威に立ち向かっていた連邦軍の新任少女パイロットの身体は、ジオン残党兵の想像を絶する凌辱によって、もう完全に臨月の妊婦のそれに作り替えられてしまったのだった。
「あ、ああ……やっぱり……やっぱり、できちゃった……あかちゃん、できちゃってたんだ……いまので、わたし……。わたし、もう……ごめんね……ごめんね……」
 少女はもう焦点の合わなくなった瞳のまま、静かに涙の堰を切ると顔を覆って泣き崩れながら、誰に宛てたかも分からない謝罪の言葉を繰り返すばかりだった。
 着艦軌道に入ったゲルググが、甲板に降り立つ。その衝撃がコクピット内を振動させると、少女の乳房も弾けるように小さく揺れて、色素沈着した左右の黒い乳首から白い母乳を幾筋かぴゅっと噴き出した。

106 :  だが男は自ら犯した少女が妊娠に至るまでの一部始終を見届けながらも、不満げに叫んでコンソールを叩いた。
「ええい、業深き妖怪変化の娘よ! その腹に輪廻転生を抱えても、いまだ完全成仏に至らぬというか! しからば!」
 MSの収容を終えた艦内格納庫のハッチはすでに閉じており、庫内には空気の注入が始まっている。
 その与圧が完了すると、男はゲルググの全天周モニターのハッチを開いた。濃厚な性臭の立ちこめた空気が気圧差で外へ流れ出していく。
「かくなるうえはその六根に宇宙(そら)の衆生より法悦の限りを得て、涅槃に至るがよい!!」
「え……っ?」
 ただ友軍を殺戮したのみならず、自分を犯して処女を奪ったうえ、ためらいもなく膣内射精して妊娠にまで至らせた相手からの言葉を理解できないままの少女の手首を、男は片手で掴み上げるとそのまま機外へ放り出した。
 力を失った少女は膣口からは紅白の入り混じった粘液を、尖ったままの左右の乳首からは溢れる母乳を垂れ流しながら、ただその身を格納庫内に漂わせていく。
「ひょお! こいつはすげぇ戦利品だぜ!」
「いつ以来の女だ?」
「もうボテ腹になっちまってるけど、乳もすんげぇデケェし可愛いじゃんよぉ」
「あっ……」
 半ば放心したままの少女の裸身が流れていく先には、戦利品として投げ与えられた女体に野卑な歓声を上げるジオン兵の男たち。
「い、いや……」
 欲望に満ちた数十の視線に曝され、凍りついたままの彼女の肉体が流れ着いてくるのを待ちきれないとでも言うように、男たちは次々と跳び上がって空中で少女に群がった。
「いやああああああぁっ!!」
 左右の乳房が別々の男に捉えられ、両方ともが乱暴に揉みしだかれると、潰された乳腺がたまらず黒い乳輪からシャワーのように勢いよく母乳を噴き出す。
「見ないで! 私のこんな姿、お願いだから見ないでえぇっ!!」
「おー、このおっぱいただデケェだけじゃなくて、もうしっかりミルク出るようになってんのな」
「安心しなよ嬢ちゃん。こっちの穴もすぐに次を使えるようにしてやるからなぁ」
「あっ!?」
 少女の両足は空中で大股開きにされて、すでに凌辱の限りを尽くされた秘裂を男たちの眼前に曝される。そのまま揃えた指を突っ込まれ、濃厚な精液と血と愛液の混じりものを掻き出された。
「いやあっ、見ないで! 来ないで触らないで、もう私にこれ以上ひどいことしないでぇっ!!」
 しかし少女が必死に振り絞った可憐な悲鳴など、最初から男たちの意に介するところではない。まとわりつく十数人が我先にと彼女の身体を思うがままにまさぐっていく。
「それにしても美味そうなオッパイしやがってよぉ」
「先っちょからミルク垂らしやがって。へへ、腹のガキより先に飲ませてもらうぜ」
 大きな乳暈もろとも二人の男に乳首の先を頬張られると、奥に張りつめていた大量の母乳が勢いよくその腔内へと吸い上げられていく。
 甘噛みされた乳首がぴゅっと母乳を発射し、乳暈の下端からざらりと攻め登ってきた舌に乳汁を舐め取られて、嫌悪感と同時に脊髄を昇りあがってくる異常な快感に少女は身震いした。
「あっ、あああーーーっ!! いやっ! いやあああああっ!! うぐっ!?」
「おら姉ちゃん、喚いてねぇでしゃぶってくれよ!」
 泣き叫んだ少女の悲鳴は、その半ばで唇に押し込まれてきた太く臭い男根に封じ込められた。
「ん、ぐっ!?」
 さらにそのとき下腹に走った衝撃が、少女の両目をいっそう大きく見開かせる。
「おらよぉっ、オマンコいただきぃ! へへへ、こんにちわ、赤ちゃん――ってなぁ。孕んでるくせによぉ、ずいぶんよく締まるじゃねぇか!」
「こっちの穴はまだ処女かぁ?」
 まだゲルググパイロットの精液が残ったままの膣内へも別の男が堅く逞しいものを挿入し、同時に尻穴までもを別の男に犯されて二本の肉棒が腹の中で擦れあうのを感じると、少女はさらに迫りくる肉棒をその両手で食い止めるように握り込むしかなかった。
「んぐっ……んぶぅっ、んぐ、あぐぅ、えぐっ……!」
 ――ああ、こんなの……こんなの、すごすぎる……こんなに大勢の男の人たちから一度にからだじゅうめちゃくちゃにされて……今度こそ、完全に壊れちゃうよぉ……
 ――ごめん、シエル、……ハヤカワ准尉……わたし……もう……
 次々と発射されるジオン兵たちの白濁液を身体のあらゆる箇所へ塗りたくられながら、輪姦され続ける少女の意識は薄れ、溢れる光の中に溶けていく。
 捕らわれた少女パイロットを襲う凌辱者たちの宴は、まだ始まったばかりだった。

107 : 今回は以上です。
MSの全天周モニター式コクピットを活用した情事には、まだ研究の余地があると思います。

108 : >>107
GJ!

109 : 続き物の第十四話を投下します。
今回の注意事項は特にありません。
Pixivに保管庫があります。
過去分や拙作の概要に興味をお持ちの方は、フェニックステイルで検索してみてください。微修正版が第九話まで保管されています。

110 : 「……いやぁっ!!」
 全身にぐっしょりと汗をかいたアイネが跳ね上がるように目を覚ますと、マコトの寝顔が正面にあった。
「……!?」
 とたんに心拍数がさらに大きく跳躍し、アイネは固定ベルトの下で布団をぎゅうっと抱きしめながら身を縮こめる。
 いまアイネが身を起こしたベッドはマコトの部屋の、その本来の主が普段使っているベッドの対面側――つまりは天井部分に臨時で取り付けられていた。
 だからそこからほんの二メートルばかり先の正面に、安らかな寝息を立てる凛とした東洋系美女の寝顔が覗けるのは当然のことだった。
 帰投後の残務処理を終え、自分がこの相部屋へ戻って就寝したときにはまだ一人だったから、マコトはその後に仕事を済ませて戻ってきていたのだろう。
「ハヤカワ、准尉……。…………。……夢?」
 アイネは先ほどまで大きく膨らんでいたような気がする腹を、タンクトップの下でそっと撫で下ろす。
 すべやかな肌の下に張りつめたしなやかな腹筋と、引き締まった胴回りはいつものままだ。決して臨月を迎えた妊婦のようになどなってはいない。
 アイネはそのまま腹筋に沿って、その両手を胸にそびえる巨大な二連峰へと登らせる。
「ん、……」
 両手でそっと揉みほぐしてみた、ブラジャーのない裸のままの胸も……ちょっと張ってるし、先っぽ堅くなっちゃってるけど……ふつう。このぐらい、まだ、ふつう。たぶん。強弱をつけながら何度か握ってみても、母乳なんか出たりしないし。
「……夢、かぁ……。……だよねー……」
 そして少女は、そっと安堵の息を吐く。
 だが股間に手をやって下着の内側を確かめたとき、アイネは水音の淫靡な響きを聞いて頬を染めた。甘いうずきが身体に響く。
「う、うわ……っ。なに、これ……」
 その手を眼前に戻して、ぐっしょりと濡らす自らの愛液の量にアイネはうめいた。
「な、なんなんだろ、これ……。私……欲求不満になっちゃってるのかな。昨日もカーペンター伍長にガルノフ軍曹……別々の男の人と二回も、あんなにいやらしいことされちゃったから、ちょっと変になっちゃってるのかなぁ……」
 自分で言った拍子に、アイネは再び枕を布団ごと抱きしめる。
 自ら積極的に頬張った堅く反り返った同僚少年のペニス、腔内へ吐き出されてそのまま飲み下した精液の味とにおい。
 裸の乳房を揉み吸われたうえ、その男根を挿入されそうになった処女喪失の危機。
 閉じたコクピットの中で男の巨体覆い被さられ、パイロットスーツ越しに熱を帯びていく身体中をまさぐり、弄ばれた記憶。
 脳裏に甦る淫らな記憶の奔流で真っ赤に染まった顔面を、枕の奥深くまで埋め込みながらアイネはうめいた。
「あ、あああああ……。やっぱり、私、もう、死にたい、……かも……なんで私、あんなこと……最近こんな……こんな……」
 そうだ、そもそも自分は昨日から変だった。
 初めての部隊配属、初めての哨戒任務、初めての実戦、そして初めての被撃墜と初めての部隊全滅――そして記憶にない初めての緊急機外脱出と、初めての宇宙漂流。
《大ジオン仏道》のゲルググに撃墜されて気絶する直前の記憶は、ビームナギナタで乗機のコクピットを刺し貫かれ、灼かれていくパイロットスーツというとんでもない情景で終わっている。
 バカバカしいにもほどがある。本当にそんなことがあったのなら自分の肉体はとっくに蒸発して、希薄なガス雲になって冷たい宇宙を漂っているはずだ。
 どこでこんなふざけた記憶が紛れ込んだのか分からない。きっと脱出装置の作動時に気絶したあと漂流しながら見た悪夢があんまり鮮明だったので、さも現実に体験したことかのように記憶にまで焼き付いてしまったのだろう。
 ひどい夢は実際に体験した事実であるかのように、現実の記憶にまで焼き付いてしまうのだろう。きっと、そうだ。
 そう結論を出して、アイネは再び眉根を寄せた。
 では今見た夢も、記憶に焼き付いてしまうのだろうか?
 自分がビームに直撃されたのに死ななかったり、わけのわからないことばかり言う大ジオン仏道の捕虜になったと思ったら敵機のコクピット内で即座に強姦されて、そのまま臨月の妊婦みたいな身体にされたり。
「むかむかする……。なんだこれ……。すっごく、……すっごく、頭に来るなあ……」
 おぼろげだった夢の輪郭をたどるごとに、アイネの表情がどんどん険しくなっていく。

111 :  しょせん夢での出来事とはいえ、どうして自分がジオン残党兵などの慰み者にされなければならないのか。しかも一方的に強姦され凌辱されながら、同時に自分の内側から沸き上がった快楽の波などにも弄ばれなければならなかったのか。
 腹の底からふつふつと沸き上がる屈辱と憤怒と敵意が、アイネの奥にわだかまっていた雌の劣情を忘れさせた。
「――バカバカしい! なにが大ジオン仏道だっ、今度は私が奴らを全滅させてやる!」
 思考の切れ端が思わず大声で吐き出されてしまったことにアイネは驚き、ぎょっとしながらマコトの様子を凝視した。
 だが、寝顔の様子に変化はない。マコトはすっかり熟睡しているようだった。
「…………」
 じいっと息を殺しながらそのまま数十秒間を見届けて、アイネはふうっと大きく息を吐く。
「……喉、……乾いちゃったな……」
 身体と布団からベッドのベルトを外すと、アイネはそのまま床に降り立った。そうして部屋の冷蔵庫に向かう途中で、気配を殺しながら、引き寄せられるようにマコトのベッドに近づいた。
「…………」
 その長く艶やかな黒髪と白い肌の鮮やかな対照に、ほう、と息を吐きながら、いつもの凛々しさと裏腹に可憐で無防備なその美しさを、アイネはじっと堪能した。
 ああ、准尉。寝顔までこんなに素敵だなんて。一晩中でもずっとこのまま見守っていたい。今夜のハヤカワ准尉も、とてもお美しいです。
 常夜灯の下でおぼろに浮かび上がる憧れの同性上官の寝顔に胸をときめかせ、もう少し側まで近づこうと忍び寄る。
「っ!?」
 そのとき不意にマコトが寝返りを打ち、アイネはびくんと立ちすくむ。マコトの唇が言葉を紡いだ。
「――エリナ……」
 それきりマコトはアイネの反対側を向いたまま、いっさい言葉を発さない。
 ただの寝言だったらしい。
「…………」
 アイネは黙りこくったまま、その場で錆びた歯車のような回れ右をしてマコトに背を向けた。
 冷蔵庫から取り出した飲料パックでわずかに唇を湿らせると、手早く上下の制服を身につけてそのまま部屋を出てしまう。
 通路に身を躍らせるとリフトグリップを掴んで、MS格納庫を目指していく。気むずかしげに眉根を寄せて通路の彼方を睨みつけながら、アイネはひとり小さく呟いた。
「エリナ、って……誰」
 そんな彼女が通り過ぎていく傍らで、ドアの一つが開く。次の瞬間、そこから野獣じみた敏捷さで躍動してきた人影が通路の壁と天井を蹴飛ばしながら、思考に沈んで反応の遅れたアイネへ肉薄。
「あっ!?」
 そして人影はそのしなやかな四肢を、少女を捕らえて抵抗を封じながらその身体へと絡みつかせていた。
「おーっ! どしたぁ、アイネちゃん! またまた表情暗いぞぉ!」
「うひいっ!?」
 制服ジャケットの胸を露骨に突き上げている乳房の両方を、背後から鷲掴みに握りしめられてアイネはびくんと背筋を震わせる。見れば赤毛のポニーテールを揺らしながら、長身の女性整備兵が満面の笑みでアイネの胸を両手で揉みしだいていた。
「ウェ、ウェンディ曹長っ!?」
「くうーっ、制服越しにでも感じるこのたっぷりボリュームともっちもちのやわらかさ! コレはいいねぇ! おっきぃねぇ! ぷりんぷりんでシビレるねぇっ!」
「や、やめてくださ……っ、あ……ッ!」
 アイネがこの乳房をウェンディに揉まれるのは、何もこれが初めてではない。
 しかし前回揉まれたときに着ていたパイロットスーツの生地に比べれば、連邦軍制服上衣のジャケットなど薄布のようなものだ。アイネはその下にタンクトップと例のビキニトップしか着ていない。もちろんノーブラである。
 ジャケットの布地を内側に崩して巻き込みながら、着衣越しとはいえ乳房へ伝わってくる指遣いは、巧みな緩急を付けながらみずみずしい乳肉を揉みほぐしていく。
「あ、んう、っ……!」
 ウェンディが繰り出す女性特有の柔らかな愛撫は、頂点付近に大きく広がる敏感な暈まで触れずともたっぷりと厚い脂肪をまとった乳房の芯にまで届いてきて、アイネは思わず唇からこぼれ落ちそうになった熱いあえぎをすんでのところで食い止める。
 ――きもち、いい……おっぱい触られてきもちよくなったりしちゃ、だめなのに……女の人に、こんなえっちな触られ方するなんて……カーペンター伍長やガルノフ軍曹の触り方と、ぜんぜん、ちがう……
 ブラ着けてないんですから先っぽのほう触るのやめてください、と言おうとしてアイネは途中で思いとどまった。
 他の女性が相手ならまだしも、ウェンディ相手にそんなことを言ってしまったら、何かもっと恐ろしいところまで――それこそ、もう取り返しの付かないところまで行ってしまいそうな気がする。

112 :  もっともウェンディにしてみれば感触からその無防備さまでを知り尽くした上で、あえて感じやすい標的を外すことでアイネを焦らして楽しんでいるのかもしれない。
 その表情を探ろうとしてそのときようやく、アイネはMS整備班長のあり得ない服装に気づいた。
「あ、アーデル曹長!? な……なんですか、その服!?」
「ん? あれ、言ってなかったっけ? MSだけじゃなくて、身体の整備もあたしにおまかせ! って」
 いたずらっぽく舌を出しながら、ウェンディはそこでようやくアイネから身体を離して敬礼してのけた。
「ウェンディ・アーデル曹長、実は看護師免許も取得済み。トラキアMS整備班長と、衛生班員を兼務しているのであります」
「え、えええええ……」
 今のウェンディはノーマルスーツでも作業服でもなく、清潔そうな医療用白衣にスレンダーな肢体を包んでいる。いっぱしの美人看護師で通るだろう。洒落のコスプレにしては手が込みすぎていた。
「そんな兼務ってあり得るんですか……?」
「いやー、一年戦争の前にはあたし看護学生だったのよ。紆余曲折あって、結局整備兵に落ち着いたんだけどね。まあ、デキる女は何でもデキるってことで!」
「は、はぁ……」
 ウェンディの押しの強さに思わず納得しかけたところで、そのとき通路の先の交差点から現れた影に、アイネは心臓を突き上げられるようにして立ち止まった。息を呑みながら名を呼ぶ。
「――ガルノフ軍曹」
「く、クライネ伍長……!?」
 向こうも驚愕に目を見張りながら呼び返してきたのはアイネと同じ連邦軍制服を着ている巨漢、トラキアMSパイロットの一人であるイベル・ガルノフ軍曹だった。
 昨日の格納庫での顔合わせの後、GMU25のコクピットで一人になったところへ滑り込んできた笑顔の迫力を思い出し、アイネはその場に凍り付く。
 ただその姿を目にしただけでも、身体をまさぐってきた男のごつい手のひらを通じて芯までほぐされていった熱までが戻ってきたかのようだったが、アイネはMSパイロットとしての矜持を頼みに踏みとどまって、きっと強い視線で見返した。
 そして同時に、二つのことに気づく。
 ガルノフの両手を覆って固定する、簡易ギプスのような何かが存在していることに。
 そして昨日は自信に満ちてアイネをガンガン押しまくってきたその表情が、今は狼に追いつめられて狩られる寸前のウサギのような惨めさに染まりきっていこうとしていることに。
 ああ、そうだ。あのレイプまがいの行為の最後に、私の反撃でこの人は両手を怪我したんだった。……でも、どうしてあんな風に撃退できたんだろう?

113 :  緊張するアイネの傍らからウェンディが、取るに足りないつまらない獲物を前にした狩人の冷たい瞳で進み出た。
「んんん〜? おやおや、誰かと思えば……昨日の一大事に両手バッキバキにされてて肝心なときに出撃できなかった、クソ役立たずなトラキアの動く人間粗大ゴミことガルノフ軍曹殿じゃありませんかあ。
『格納庫内活動中の不注意自爆事故』ごときで唯一の存在意義が使えなくなったくせに営倉入りだけは免れて、仕事もないのにギリギリなんとか役に立つのがその粗末な大砲だけって楽しい? ねえ今こうやって生きてて楽しい?」
 一応は怪我人の相手にそこまで言わなくても……とアイネもさすがに内心で少しは同情したが、ガルノフは完全に出会ってはいけない天敵に遭遇してしまった小動物のような視線をこちらに送ってくるばかりだった。
 だが同時に、アイネは軽く苛立ちもしている。
 ウェンディ曹長はともかく、なんで私の方にまで怪物を見るような目を向けてくるんだろう。ひどくないかなこの人。
「うぇ、ウェンディ……」
「はぁ……? 曹長、を付けて呼びなよデコスケ野郎。もっぺん搾って殺すよ?」
 ウェンディは殺気に満ちた瞳のまま、アイネを抱きすくめるようにしながらその肩から身を乗り出す。少女の頬へ唇を寄せながら、ガルノフへ冷たく言い放った。
「ねぇ、イベル……もしも次、アンタがこの子におかしな手出ししくさったらどうなるか……わかるよね? 分かってるよねぇ……?」
「ば、バッカじゃねぇの……い、言われなくたって、出すわけねぇだろ……」
 精一杯の虚勢を張ってガルノフはウェンディに言い返すが、アイネが見ても一目で虚勢と見破れてしまうほどのお粗末さでしかなかった。
「じゃ……じゃあな。俺、行くところあっから」
「おう、さっさと帰れ負け犬。あくしろよ。消毒すんぞ汚物が」
 尻尾を巻いた犬のように目を伏せて、そそくさとガルノフが二人の目の前を行き過ぎていく。
 ウェンディの話を聞いた限り、ガルノフが自分に働いた性的行為の件に関しては正規に取り沙汰されず、有耶無耶になっているようだ。正直、アイネにとってはその方がありがたかった。せっかくの新任地でこれ以上変な噂を立てられるのはあまりに辛い。
 当分MS操縦も出来ないだろう両手の怪我に加えて、ウェンディからのこの仕打ち、そして本人の情けない態度を見れば彼の現状も察してやれる。さすがに気の毒でもあり、まあとりあえずは許してやるか、という気分にならないことはなかった。

114 :  ガルノフの背中が完全に交差点の向こうに消えていくまでを見送ると、ウェンディは今までの殺気をまるきり嘘のように消した笑顔をアイネに向けた。
「さっ、アイネちゃん。気を取り直して、いっしょに行こっか」
「ひゃっ……!?」
 さりげなく腿からそっと愛撫しながらアイネの腰を優しく抱き寄せ、やや中性的な端正さのある顔に頼りがいのある笑みなど浮かべられると、アイネは自分が分からなくなりそうになってしまう。
「ど、どこへですか……?」
「ん……? そんなの、決まってるでしょ……全部あたしに言わせるつもり?」
「な、なにを……!?」
 ダメだ。このままこの人と一緒にいたら、自分はどこかおかしな方向に落ちていってしまう。
 私はノーマルなのに。オールドタイプなのに。ニュータイプじゃないのに。さっき一瞬おかしな光が見えそうになった。変な方向に目覚めてしまう。
 このまま流されていては、ダメだ。
「あ、あのっ」
「ん?」
 アイネは意を決してまなじりを上げ、腕の中から身を翻すと決然とウェンディへ告げた。
「私、MS格納庫に行きますっ。昨日帰投した後、機体をほとんど整備班の人たちに任せちゃいましたから。今のうちに、自分でも確認しておきたいんです」
「おー、えらいね」
 にっこりと微笑みながら受け止めた、ウェンディの表情に邪気はない。こういう顔をされてしまうとウェンディのことが頼りがいのある優しい先輩に見えてしまって、アイネは若干鼻白む。
「でも、アイネちゃん、さぁ。機体の整備状態がパイロットにとって大事なのは間違いないけど……もっと大事なこと、忘れてるんじゃない?」
「……もっと大事なこと?」
「漂流後のちゃんとした健康診断。まだ、やってなかったでしょ」
「……あ」
 言われて初めて、アイネはウェンディの服装の意味に気づく。
 白衣もナースキャップも、単なる気まぐれなコスプレではなかったのだ。
「MS戦の後に機体を撃墜されて、ポッドどころかスーツまで破損しながら身体一つで宇宙漂流してたんでしょ。大事になる前に、悪いところないかちゃんと見ておかないとね」
 そうだ。今までの時間の密度が濃すぎて忘れていた。こんな状況を経験したからには、健康診断は不可欠なはずだ。万一、出撃中に人事不省にでも陥ったりしたら取り返しがつかない。

115 :  ウェンディが改めてアイネを誘うと、今度はアイネも素直に従った。リフトグリップを掴んで二人で同一方向に流れていくと、すぐに医務室へ到着した。ウェンディがロックを開けてアイネを内部へ導き入れる。
「本当は昨日のうちに済ませておきたかったんだけどさ。艦長の面接とか、貨物船襲撃事案とかでアイネちゃんもこっちも忙しくて、まだそこまで手が回らなかったのよね。だ、か、ら――」
「えっ?」
 ウェンディはにっこりと微笑みながら自然な仕草で手を伸ばし、アイネのジャケットからファスナーを下ろした。
 バストを窮屈に閉じこめていたジャケットは、それだけで簡単に内側から左右へ弾け飛ぶ。汗を吸って肌に張り付いたタンクトップの白い谷間と、透けたビキニトップの周縁までを曝してしまう。
「今こそあたしの手で、ちゃんとした健康診断を済ませておかないとね? デリケートな肌に傷とか付いてたりしたら大変だし!! さあアイネちゃん、すべてを私の前に委ねさらけ出しなさい!」
「ギャーッ!!」
「おおっと!!」
 悲鳴を上げて咄嗟に逃げようとしたアイネの退路を、再び絡みつくウェンディの体術があっさり断ち切る。
「いいじゃないのよ減るもんじゃなし! ククククク、アイネちゃん……ここまで来といてもはや隠し事はナシやでぇ……はよう女同士で素っ裸になろうやぁ……!」
「ヒィッ!?」
 赤い前髪の奥で女の眼光が不気味に煌めき、アイネを捕らえた拳の中から軟質の巻き尺が姿を見せる。
「コレでアイネちゃんの気になるところはぜぇーんぶ、あたしが直接測ってあげちゃうからねぇ……?」
「ギャーッ!!」
「ククク、バカめもはや逃げられぬわ!」
 アイネは涙目で自動ドアの枠を両手で掴んでその場に踏ん張ろうとするが、まったく無駄だった。ウェンディの腕力はその細身からは信じられないほどに強く、必死でこらえるアイネの指がドア枠から一本、また一本と剥がれていく。
「ギャーッ!! イヤッ! イヤッ! イヤアーーーッ!!」
 やがて無情にもすべての指が剥がれ落ちると、医務室の自動ドアが情け容赦なく同時に閉じる。アイネの姿はひとたまりもなく医務室に引きずり込まれて消えた。
「あぁっ、いやぁ……だれか、たすけてぇ……っ……」
 このとき医務室の壁に耳を押し当てでもすれば、そんな会話が聞こえてきただろう。
 だが密室と化したその空間で何が行われているのか、それ以上のことはもはや余人に窺い知る術はなかった。

116 :  地球と月の中間にあるその宙域は、かつてサイド5――ルウムと呼ばれていた。
 人類史上最大の破壊と虐殺が行われた狂気の戦場、一週間戦争に続いて繰り広げられた宇宙史上最大の殺戮劇、ルウム戦役の舞台である。
 一年戦争末期までルウムで残存していたコロニーはテキサスただ一基で、そのテキサスすら末期の戦闘に巻き込まれて壊滅している。
 一年戦争後に発動されたコロニー再生計画に伴い、このL1点のコロニー群はサイド5からサイド4へと名前を変えた。
 だが変わったのは、その名前だけでしかなかった。
 デラーズ紛争の災禍によって生じた北米復興と連邦軍再建の巨大事業は、本来ならばコロニー再生計画に充てられるはずだった地球連邦政府の予算を圧迫。
 そのため宙域を漂うデブリの除去も、破壊されたコロニーの移送と再建も遅々として進むことなく、かつてルウムと呼ばれて地球圏最大の栄華を誇ったコロニー群は戦禍に破壊され尽くした無惨な姿を曝したまま、八年を経た今なおこのL1点に無数の残骸を留めている。
 サラミス改級巡洋艦トラキアの舷窓からその茫漠とした暗礁宙域をひとり見つめていたマコト・ハヤカワ准尉は、その静かな通路へ近づく人の気配に顔を上げた。
「ヤッホー、マコト。診断結果を持ってきたよん」
 現れたのは白衣に身を包んだMS整備班長、ウェンディ・アーデル曹長だった。
「結果は?」
「うん、この艦の設備で分かる範囲内では異常なし。アイネちゃん、やっぱり至って健康体だね。このまま普通にパイロット勤務続けてもらって問題なさそう。
 ただあたしとしてはどちらかというと、こちらの凶暴すぎるわがまま3サイズの方が気になりますなあ……ってか何なのよ、何これ本当にどうなってんの?
 いくらなんでもおかしいでしょ、何食ってどういう風に育てばこんな風になんの? ニュータイプ? ニュータイプなの??」
「別にニュータイプでもオールドタイプでも、彼女に健康上の問題さえないならそれでいい」
 途中から露骨に目の色が変わっていたウェンディの報告を、マコトが醒めきった目でカルテを奪って断ち切った。自分で直接目を通していく。
「まあ、アイネちゃん、なかなかいい娘じゃん。かわいいし、巨乳だし、おっぱい大きいし、ボインちゃんだし」
「他に触れてやるところはないのか」
「うん。だからね――」
 ナースキャップの下でウェンディは微笑む。
「あの子をちゃんと拾ってきてくれたマコトは、偉いよ」
「…………」
 アバリス隊への救援活動からMSデッキに帰還したマコトは、まず誰より先にウェンディを呼び、戦闘宙域から回収してきた裸身の少女を隠せる布切れを要求した。
 MS隊長とMS整備班長。MS格納庫内で最高位にあるその二人が抱えて運ぶ人間大の何かについて、問いただせる者がいるはずもなかった。
 こうしてマコトはアイネを自室まで収容することに成功したのだった。
 ウェンディの協力でそこまでの経路を隠蔽することが出来ていたから、アイネの生存状況に対する多少の疑惑は残るにしても、あのときマコトが見た真実にまで余人をたどり着かせることはないはずだった。
「あー……しっかし、いいなーマコト、相部屋いいなー。あたしがあの娘と相部屋だったら、もう毎晩絶対寝かせないのになー」
 ウェンディは赤毛の短いポニーを後ろに組んだ両手で抱え、ニヤニヤと満面の笑みを浮かべながら艦内通路に漂った。
「ウェンディにも同室がいるだろう」
「無理ムリむーりー。あたしはね、いきなりおっぱい揉んだときに『きゃっ!』とか『や、やめてくださ、い……ひゃうっ!』とか、ああやって可愛く反応してくれる女の子が好みなの。
 宇宙の真空みたいな冷たい目でぎろりと見られて『……何やってるんですか、先輩……』みたいに、こっちが凍え死ぬかと思うようなリアクションしか取ってくれない後輩なんかはお呼びじゃないのー! そもそもあの子おっぱい小さいし!」
「ああそうか、彼女の反応は普段からのそういう積み重ねの結果だったのか」
 マコトは整備班で頭角を現しつつある娘のことを思い出しながら、ウェンディの豊富な演技力を黙殺した。

117 :  自分で両肩を抱き締めて一人で悶絶していたウェンディが、上目遣いでマコトを見つめてくる。
「――で、マコト。やっぱり、あの子には何も教えないつもりなの?」
 ふざけた笑顔のうわべを崩すことなく、声色だけをわずかにずらして問いかけてきたウェンディに、マコトはカルテへ視線を落としたままゆっくり頷いた。
「知る必要がない。そもそも今から改めて説明したところで、とても信じられないだろう。――何もかもが、悪い冗談としか思えない話なんだからな」
「マコト、それは――今のアイネちゃんが、まだ何も知らないから……このままずっと知らずにいてくれれば、エリナみたいな目に遭わせずに済むと思ってるから?」
「私の指揮下にある限り、もう二度と彼女は撃墜されない」
 不意に視線を上げたマコトの目が、真正面からウェンディを射貫いた。
「だから彼女はもう二度と、そのことと向き合うこともない。知ることもない。私の他の部下たちと同じように、必ず最後まで生き残ってもらう。ただ、それだけだ」
「……そうだね。今のところ、あの子が『ああいう風に』なっちゃってる現場を見たのは、あんたひとりだけだもんね。――今ならまだ、なにもかも隠し通せる。ずっと『魔法』が解けないままにしておける」
 ウェンディはそっと腕組みしながら微笑み、通路の内側へもたれるように身体を流した。
「マコトの好きなようにやんなよ。またいつでも、あたしは共犯になってやるからさ。それとマコト、もう一件。――こっちの分析結果も上がったよ」
 白衣の胸から紙片を取り出すと、ウェンディは指先でマコトへ弾き飛ばした。無表情に開いてその情報に目を通したマコトは、ウェンディを鋭く見つめて問いただした。
「間違いないのか?」
「ま、九割五分はね。いやー、今回はツいてたよね。ドッツィ・タールネンだっけ? 奴らが退かずにマコトとやり合ってくれたおかげで、尻尾がだいぶ掴めてきたかもしれない」
「……ザクUもリックドムも、回収できた四肢はすべて互換規格の新造品か」
「そう。設計だけは基本に忠実なくせに、大物から小物まで、今時アナハイムの部品がろくに入ってないわけですよ。かといって公国軍時代の純正品在庫に頼ってる風でもない。
 結局、構成部品のほとんどが出所不明の互換品――今じゃジオン系MSの保守整備には、ジオニックやツィマッドを買収したアナハイム製の部品が不可欠なはずなのにね」
「やはりか」
「このご時世に連邦軍工廠でもアナハイムでもなく、MSの部品をほぼ一式丸ごと揃えられる連中をバックに付けてるってわけ。
 やっぱり奴ら、まっとうな『ジオン残党』じゃあない。《ルスラン・フリート》――これは本当に、あんたの仮説通りの連中かもね」
「何を言っている、ウェンディ。ここは『魔の宙域』だぞ」
 そのとき初めて、マコトは口元に薄い笑みを浮かべた。
「死んだと思った女が生き返って男を襲い、ザクやリックドムを未だに量産し続ける連中がいる。何でも起きるさ。――ここは、そういう場所なんだからな」
 言い捨てるなり胸元へ紙片を収め、マコトはそれきり振り向きもせずにMSデッキへ向かって通路を蹴った。
「ウェンディ。格納庫で」
「あいよ、マコト。格納庫でね」
 一人残されたウェンディは、マコトの見ていた舷窓を見つめる。
 トラキアが行く窓の外にはかつて二十億人の生活を包んだ大地の残骸が、ただ冷たい宇宙に広がるばかりだ。

118 : 今回は以上です。

119 : GJ!

120 : ハマーン様は状況から色気のない下着だろうか
…それとも年相応に下着は洒落たものを着用?
それとも豪奢な下着?

121 : 年相応といっても、あの人、88年でも二十歳かそこらじゃなかったか

122 : 二十歳くらいだからこそ、お洒落してるのかもしれない

123 : ハマジュドさんはもう三ヶ月投下なしか

124 : そういやアイネはいまノーブラだけど下の方はどうしてるんだっけ

125 : パイロットスーツを付けるのにアンダーを付けずにいたら、
いつの間にか普段も着けないようになっていたとか?

126 : そういやトイレパック問題があるから下は着けないのが普通なのか>>ノーマルスーツ

127 : 連絡を。
現在、フェニックステイルの作品紹介となる挿絵類を依頼中です。
幸い絵師募集に対する応募があり、順調に進めば六月中には取得出来るものと思われます。
第一弾にはアイネを予定しておりますが、拙作で他にどこか挿絵を希望される人物・場面等ありましたら、ご一報ください。
参考にさせていただきたく思います。
本編の方も連休中に投下できるよう準備中です。

128 : メカ設定画があったら楽しいだろうな。

129 : 今までフェニックステイルに出てきたメカでオリジナルなのは、
ドッツィ・タールネン専用ザクUとイーデン・モタルドゥ専用リックドム、
それにヌーベルジムUぐらいという地味な品ぞろえですが……よろしいんでしょうか(汗)

130 : そういうのだからこそイイ!と言いたい。
地味なバリエーション機、どこが?って言うようなカスタム機、微妙なオリジナルカラー、そう言うのがソソル!
ユニコでもMSVでおっさんを釣ろうとしてたでしょ?
アレはアレでスタンダードモデルはいねーのかよwって感じだったけど。

131 : 確かに新型とか専用機とかよりバリエーション機の方が「それっぽい」よね。
シャアだって専用機ではなくて専用カスタム機だったのが「ガンダムっぽさ」だったのになあ。
「個人専用機種」ってのは萎えるわ。

132 : 意外にただの量産機とその地味な改修機にも需要があるようで、スレの懐の深さを感じます。
逆にヒロイン格のアイネやマコトの機体が、特に改造されているわけでもないただのジムU、
というのはスレ的にどうなのだろうかと気になったりもしますが……。
カラーリングの設定はちょっと盲点でした。
文字媒体ではありますが、今後は塗装についてももう少し考えてみます。
さて、連休最終日になりましたが、フェニックステイル第十五話を投下します。
今回はほぼ説明回です。特に注意事項はありません。まともなエロ場面もありません……
Pixivに個人保管庫があります。
ご興味がおありの方は、小説タグ「フェニックステイル」で検索してみてください。
もしくはジムUとかサラミス改とかでも出ます。

133 :  巡洋艦トラキア、MS隊小会議室。その正面スクリーンに、いくつものMSが宇宙を背にして浮かび上がる。
 戦闘中のもの、何事もなく暗礁宙域を通り過ぎて行く様の粗い望遠、そして撃破され、捕獲されたもの――そのいずれもが型式は異なれど、かつてのジオン公国軍が運用した機体だ。
「《ルスラン・フリート》。サイド4宙域のこの一隅に巣食って活発に活動するジオン残党の連中は、今まで得られた情報を総合する限り、自らについてそう名乗っているものと考えられる。
 最近接触のあった《大ジオン仏道》や《キャリホルニヤの悪夢》についても、この《ルスラン・フリート》に所属している公算が極めて高い。言わば総元締めと見ていいだろう」
 トラキア艦長リドリー・フランクス大尉が、MS会議室にMS隊の主力――MSパイロット全員と整備班の一部を集めて始めた教育はまず、今のトラキアが直面している二つの敵、すなわちジオン残党とエゥーゴに関して触れるものだった。
「このルスラン・フリートの特色の一つが、確認されている主力艦船の少なさだ。これだけ活発に動いていながらムサイ級巡洋艦はおろか、パプア級やパゾク級といった支援艦の類すら、今までほとんど確認されていない。
 MS母艦としてはジッコ級突撃艇などの小型戦闘艇や、せいぜい民間貨物船の改修型を用いる場合がほとんどと言っていいだろう。
 従って、連中の拠点があると見られる暗礁宙域から長距離での作戦能力は著しく制限されている。余所の宙域で悪さをしているかどうかはよく分からん。
 一丁前にフリートなんぞと名乗ってはいるが、その艦隊戦力はきわめて限定的ということだ」
「……大ジオン仏道もドッツィ・タールネンも、襲撃の際に母艦は尻尾を見せなかった。まともな戦闘艦がないから母艦はひたすら後ろに隠れて、MSだけを極端に突出させた運用をせざるを得ないってことか……」
 リドリーの説明を聞きながら、会議室の後列席についたアイネは今までの経験に照らしてひとり納得し、頷く。
 彼女が巡洋艦アバリスで初の部隊配置を迎えてから、まだ四日も経っていない。そのときから今まで、まともに知る機会もその余裕も与えられなかった『敵』に関する情報に、アイネは貪欲に食いついていた。
「だからといって、連中を馬鹿にすることは出来ない。というのは少なくともMS戦力に関しては、非常に潤沢な物量を抱えているものと推測されるからだ。
 現時点までに得られた情報を総合して本艦で行ったルスラン・フリートの戦力見積もりでは、最低でもこうなる」
 一面をジオンMSの映像で埋めていたスクリーンが閃き、今度はいくつものグラフが現れる。
 ここ最近で発生した宙域内でのジオン残党MS確認情報、襲撃事案などで確認された機種と機数の合計が資料として示され、その最後には各種情報資料から推計されるというルスラン・フリートのMS機数があった。
「さ、三十機……!? こんなにいるの!?」
「これ、ゲリラ戦じゃなく真正面からぶつかってきたとしても、うちの戦隊より優勢なんじゃねっスか……」
「ろくな母艦がねェから、戦力の機動運用も集中運用も出来ない。それだけが救いってとこだな」
 今度はアイネからだけでなく、傍らのロブやガルノフからも呻きが漏れた。シュンが顎に手をやりながら呟く。
「でも、変ですよね……。ジオン残党って言ってみれば結局、終戦時に共和国へ復帰せずに雲隠れした公国軍部隊のなれの果てでしょう?
 ろくな補給もないまま今まで連邦軍に掃討され続けてきたはずなのに、ここまで大きな戦力が未だにひとかたまりで生き残っているのって……おかしくないですか?」
「ルスラン・フリート――というより、本宙域のジオン残党組織に顕著な戦力の拡大が見られはじめたのは、ここ二年ほどの話だ」
 シュンの疑問を受けるようにして、リドリーが話し始めた。同時にスクリーン上のグラフ群が、時系列別の活動状況報告にフォーカスする。

134 : 「デラーズ紛争後に草創期のティターンズが中心となって積極的に展開した一連の掃討戦が収束に向かい、大打撃を受けた宇宙のジオン残党どもが鳴りを潜めた頃になってから、奴らは時代の流れに逆らうようにしてその勢いを増してきた。
 原因は分からん。ティターンズなどの圧迫によって、宇宙で生き残っていた残党勢力が、この旧ルウムという地球圏最大の暗礁宙域の一角に集結してきたのか。
 あるいは何らかの強力なスポンサーからの支援がこの近辺で得られるようになったから、ここを拠点に盛り返してきたのか。曖昧な可能性だけならいくつも存在するが、確かなことは三つだ。
 一つは、我々の正面に存在するジオン残党勢力は、どうやらこの地球圏でも最大級の勢力を誇っているらしい、ということ。
 もう一つは、この宙域を担当する我々の戦隊は、その戦力に対処するには力不足だということ。
 そして最後の一つは、《エゥーゴ》はそんなルスラン・フリートの戦力を狙い、同盟を目論んでここにやってきた、ということだ」
「……《エゥーゴ》!」
 その組織名を耳にして、若いパイロットたちはみな前のめりの姿勢になった。
 A.E.U.G.――エゥーゴ。反地球連邦組織を名乗るこの非合法武装集団がいったい何者なのか。連邦軍からの通り一遍の説明の他には、曖昧な噂でしか聞かないその正体を求めて、皆が表情に真剣さを増す。
「……正直なところ。この俺自身も昨日あの《ジャカルタ》に出くわすまで、奴らについて深く知っていたわけではなかった。
 地球連邦政府の宇宙政策に不満を持つ連邦軍部隊を唆して正規の指揮系統から離脱させ、弱体化し孤立したジオン残党組織に潤沢な補給を与え、また一般市民にも訓練を施して、自軍の戦力に組み込んできた連中。
 エゥーゴの第一線にいるのはそういう手合いだが、その背後関係には謎が多い。月の巨大軍需産業が絡んでいるという話もある……その関係か、今や月の連邦軍はほとんどがエゥーゴに近いそうだ」
「アナハイムか……」
「万年低重力の腰抜け野郎どもが、武器商人風情に金玉抜かれやがって」
 戦艦ジャカルタは悪びれもせずに環月方面軍所属を名乗った。新鋭戦艦を中核にした装備優良部隊を、ああも堂々と動かせる――月の連邦軍に食い込んだというエゥーゴの細胞は、よほど深い部分まで組織を蚕食しているものと思われた。
「だが無論、月の企業体だけがエゥーゴの背後にあるすべてではない。かつてのジオン公国と異なり、明確な国家としてのかたちを持たない、反地球連邦というイデオロギーの元に結束した雑多な勢力の集合体……それが、エゥーゴということのようだ」
「なぁんだ艦長。そいつぁつまり、ただの烏合の衆ってことじゃねっスか」
「足並み揃うわけがねぇ……月の低重力野郎に、死にかけジオンの落ち武者上がりに、そこらの適当な素人デビューの寄せ集め? この前は奇襲だったから不覚を取ったみたいだが、この俺が怪我を治して戦隊も準備を整えてぶつかれば、次は一発で粉々に蹴散らしてやれるぜ」
「頼もしいな、ガルノフ。だが、このデータを見てもまだそう言えるか?」
 画面が再び切り替わり、戦艦ジャカルタとその艦載機の画像、映像を映し出す。同時に昨日観測された、そのデータも。
「奴らの装備はご覧の通りだ。新型戦艦《アイリッシュ》級、そしてよく分からんジムU改修型、それにジム系らしい新型とリックドムに似た新型。装備の質、量ともに充実している。そして、搭乗員の練度も……そうだな?」
 リドリーの視線がマコト、シュン、アイネの三人をなめる。エゥーゴMS隊と直接渡り合ったその三人の返した無言が、リドリーからの問いかけに対するもっとも雄弁な返答となった。

135 : 「今回の接触で確認された、エゥーゴのMSは三機種。いずれも連邦軍のデータにはない機体だ。マコト。特にこの、ジャカルタのMS隊長……ベリヤ・ロストフ大尉だったか。彼の機体について、説明を頼む」
「はっ。MS隊各機とトラキアに残った映像記録から、この機体の特性を分析しました」
 正面に出たマコトは一瞬ウェンディと目配せを交わすと、淡々と説明を開始した。
「一見した機体形状はリックドムの流れを汲むようにも見えますが、この機体はジムUやガルバルディβのような既存機種の改修型ではなく、またハイザックのように冒険を避けた手堅い新型機でもありません。
 最新技術をいくつも大胆に盛り込んで一から新規に設計された、きわめて野心的な機体だと思われます」
「根拠は?」
「まず、コクピットの配置です。従来型MSの大半は、コクピットを機体中央――胴体部に設けるのが通例でした。ですが光学及び赤外線画像記録を分析する限り、当機のコクピットハッチは胴体部に確認できません。おそらく、頭部に存在するものと思われます。
 おそらく広角式と思われる頭部のモノアイセンサーは、稼働レールを持たない固定式のようです。この仕様変更によって頭部にコクピット分の容積を稼いだのでしょう。
 もともとリックドム級の重MSですが、そうして胴体部のスペースに余裕を得た分、加えてさらに大型の高出力ジェネレータを搭載している可能性が高いということです」
「この、背中の大物については?」
「『バインダー』でしょう。MSの宇宙機としての主推進機関となるバックパックへさらに、それ自体が推進力を持つAMBAC肢を追加したようなものです。
 ハイザックの放熱フィンなどとはまったくの別物です。扱いは難しいはずですが、使いこなせば、極めて高度な機動性、運動性を実現するはずです。実際にあのわずかな時間でさえ、挙動の軽さが目につきました。
 ……いずれにせよ武装の使用や戦闘機動までは見られなかったため、本格的な戦闘力については未知数の部分が大きすぎます。が、この機体については、警戒しすぎてもしすぎるということはないでしょう。新機軸の技術が多すぎるのです……まるで『ガンダム』のように」
「……『ガンダム』?」
 ざわめきが漏れた。
 エゥーゴの背後には、月の軍需企業体――おそらくはアナハイム・エレクトロニクスが存在する。それが事実ならばエゥーゴは、この地球圏で最高峰のMS開発技術を握っているということになる。
 確か戦後の一時期、アナハイムが主導でガンダムタイプMSのトライアルを行っていたというまことしやかな噂が流れたこともあった。
 ならばそのアナハイムが背後についているエゥーゴは、ガンダムに相当する最新技術で作り上げたMSを装備していたとしてもおかしくないのではないか。
 自分が付け加えた一言が場の部下たちに動揺を広げたところを見て、マコトは淡々と言い添えた。
「ガンダムだろうが何だろうが、MSだ。そのパイロットが全員アムロ・レイというわけではないし、弾を食えば墜ちる。戦場では過小評価も過大評価も害悪でしかない。そこを忘れるな。
 当機の分析結果は、次回の訓練から仮想敵機として反映させていく」
「分かった、マコト。また分析結果に続報があれば頼む。さて」
 MS隊長から場を引き継ぎ、部下たちの表情を俯瞰しながら艦長が再び正面に出る。
「戦慣れした古参兵が揃っているうえ、物量も馬鹿にならないジオン残党ルスラン・フリート。最新装備を十分に揃えたエゥーゴ。この二つが今、俺たちの目と鼻の先で手を組もうとしているわけだ。
 よって戦隊司令部は事態の深刻さを認識し、新たな手を打った」

136 : 「新たな手……?」
「《エゥーゴ》掃討のため、《ティターンズ》の部隊がコンペイトウから本宙域に派遣される。合流後、ティターンズ主導で新たな任務部隊が編成されることになるだろう。本艦はそこに組み込まれる」
「…………」
「あの……クソ野郎どもの下に付け、ってことっすか……」
 途端にしん、と沈黙が降り、エゥーゴに対するものに勝るとも劣らないティターンズへの嫌悪感が部下たちの顔に現れるのを見ても、あくまでリドリーは平静を通した。
「同時に、本艦の目的地も変更となった。《P-04》だ」
「うげっ」
「ああ……」
「マジかっ、……やっと上陸できると思ったら、あんなクソ田舎かよっ!?」
「? P-04?」
 悲嘆していっせいに肩を落とす僚友たちの中、アイネだけがそのコードネームらしき地名を理解できずにきょとんと首を傾げる。
「初めての者もいるな。サイド4宙域再開発拠点《P-04》。これが我々の当座の目的地だ」
 次にモニターへ映し出されたのは、宇宙に浮かぶ巨大な岩塊。その岩肌と周囲の宙域にはいくつもの明かりが浮かび、人間活動の存在を教えている。
 中心に埋め込まれたシリンダーは、疑似重力を生み出す巨大な居住区だろう。
「《P-04》は宙域掃海と廃棄コロニー再生事業の前進拠点となるべく、暗礁宙域近傍の資源衛星を改装した軍・公・民の寄り合い所帯だ。
 本艦はここに寄港してMSを含む補給物資の受領を受け、新たに編成される《エゥーゴ》討伐部隊の指揮下に入る」
 同時に出された三次元の宙域図を見て、アイネは同僚たちの反応に納得する。ルウム戦役のおびただしい名残ゆえ、魔の宙域だの辺境だのと好き勝手に呼ばわられるL1宙域の中でも、さらに暗礁宙域に接して位置している。
「そしてP-04は救援した貨物船《リバティ115》の目的地でもある。よって本艦はこれよりP-04まで、護衛を兼ねてリバティ115に同行する。では諸君に改めて、ここから当分の道中をともにすることになった《VWASS》の諸君らを紹介しよう」
「……う゛ぃわす? 同行??」
「班長、入りたまえ」
 話へついていけずに目を瞬かせたアイネをよそに、インターホンを介したリドリーの呼びかけで扉が開いた。
「失礼します」
 どこかで聞いた声だなとアイネが思う間もなく、連邦軍制式の――トラキア隊が使っているものより一世代古い、一年戦争型の黄色いパイロットスーツを着た中年の男と、好奇の視線できょろきょろと周りを見渡す、少年のような風貌の少女の二人が入ってくる。
 リドリーは咳払いして、会議室の正面を二人に譲った。
「では班長、自己紹介を頼む」
「はっ、艦長殿。ヴィックウェリントンエアロスペースセキュリティーズ――VWASS第104航宙警備班長、テッド・バートン予備曹長です」
「同班員、アシュリー・スコット予備上等兵です!」
 短髪の男が堂々と名乗りを上げれば、緩いくせっ毛のショートカットを揺らして元気良く少女も続く。
「ああ、この人たち……」
 軍人らしい基本教練で正面に立った二人がそこまで言い切ると、ようやくアイネも彼らの正体に思い至った。
「さっき《リバティ115》に付いてた、民間警備会社の……」
「巡洋艦トラキアの現役MSパイロット諸官らの勇敢な支援に、VWASS航宙警備班長として深く感謝申し上げます。こちらのスコットがボールごと捕獲された際、ザクUを撃破してくださったパイロットの方は――」
「え?」
「彼女です、バートン班長」
 不意に自分へ向かってきた話に目を丸くするアイネへ、それまで沈黙を保っていたマコトが不意に水を向けた。

137 : 「――こちらの女性が……!」
「は、はいっ……。あ、アイネ・クライネ伍長です!」
 慌てふためいて起立するアイネにバートンは相好を崩し、力強い笑みを浮かべてくる。傍らの少女も大きな瞳を見開いてアイネを見ている。
「クライネ伍長、実に素晴らしい剣閃でした。トラキア隊は若い方でも、高い練度をお持ちのようだ」
「じ、自分はただ、夢中だっただけです……。あ、ありがとうございます……」
 不思議な面映ゆさに頬を染めながら、バートンを直視しきれずにアイネは俯いた。
 同時にバートンの小脇から、じっとこちらを見ている少女のことも意識する。まるで小動物のようにアイネを一心に見つめている彼女は、アシュリー・スコット予備上等兵と言ったか。
 アイネがドッツィ・タールネンの機体から斬り離して救ったボールのパイロットが、彼女だったということらしい。
「それではバートン班長、席に着いてくれ」
「はっ」
 バートンとスコットは連邦軍式にリドリーへ敬礼すると、席へ向かった。
 頼みのマコトは正面脇に位置を取っており、ガルノフやシュンには近寄りがたく、ロブにも微妙に遠慮して、ウェンディからは本気涙目で逃げてきたアイネは今、一人でぽつんと離れている。
 そのアイネの隣に、スコットが勢いよく飛び込んできた。にっこりと微笑まれたので、とりあえずアイネも愛想笑いを返す。適切な距離感が掴めなかった。
「VWASSは地球連邦政府の認可を受け、連邦軍の払い下げ装備を取得して宇宙での警備業務を請け負う民間企業だ。バートン班長のように実任務に当たる人員は、地球連邦軍の予備役軍人でもある。
 マコト以下のMS隊は特に、VWASSの諸君との連携を密にするように。
 ジオン残党ルスラン・フリートの活動がますます活発化し、さらにエゥーゴの侵入までもが確認された。宙域の緊張は高まり、もはや予断を許さない。この状況下で、諸君らの協働一致を期待する――以上!」
「気をつけェ!」
 マコトが号令し、会議室の全員が一斉に起立して艦長との敬礼を交わす。続けてマコトが全員に達した。
「MS隊も解散とする。事後は所定通り各個に行動。別れ」
 ルスラン・フリート、エゥーゴ、ティターンズ、任務部隊、P-04、VWASS。
 自分を取り巻く環境の激変を感じながら、やはりあのエゥーゴとの戦いが運命の転機だったことを痛感して、アイネはそっと天井を仰いだ。
 同時に、傍らに立つボーイッシュな少女――アシュリー・スコットからの視線に気づく。
「クライネ伍長殿! 先ほどは救援、本当にありがとうございました!」
「私は、ただ夢中だっただけだよ。あなたを本当に助けたのは、ハヤカワ准尉。准尉がリックドムからの奇襲を捌いてカウンターを決めていなければ、私の突撃だって成功しなかったもの」
「ハヤカワ准尉殿……あの美人の隊長殿でありますね! トラキアMS隊には美と強さを兼ね備えた女性がこんなにいらっしゃるのですね! 感激であります! 憧れます!」
「えっ? 美、美と強さ、って……わ、私も??」
 あまりにまっすぐに届いてくる賞賛に、アイネは思わずふらつきそうになりながら少女を見返す。彼女の瞳に邪気はなく、どうやら本心からそう言ってくれているのだと直感的に分かってしまって、アイネは赤面しながらどうしようもなくうろたえた。
 ――私なんかのことを、そんな風に思ってもらえるなんて……。
 自分の未熟さに照らして分不相応に思う気持ちと、救った年下の少女の存在を感じて得た暖かな感情がない交ぜになって、アイネの胸中に渦を巻いた。
「あ、ありがとう……」

138 : 「ところで、伍長殿」
「ん? 何かな?」
 アシュリーの視線が、アイネの目線から少し下がった。
 興味津々の幼い瞳が自分と、そして会議室前方で残務処理するマコトの胸の間をしきりに行き来していることに気づいて、アイネは笑顔をわずかに強ばらせる。
 ああ、オチが読めたような気がする。
「一流パイロットたる女性には、やはり立派なバストが不可欠なのでありますか? 准尉殿も伍長殿も、素晴らしくご立派なものをお持ちのようで――」
 二人に比べればずっと慎ましやかな自分の胸の膨らみの存在を、ぴったりとしたパイロットスーツ越しに確かめるように両手で包み、アシュリーはささやかな脂肪を捏ねるようにしながら切なげにアイネを見つめる。
「これが貧弱な自分とお二人の、差……、なのでありましょうか!?」
「そっ、それは……たぶん、全然、まったく何も関係ないと、思うよ……」
「ふぎゅっ!?」
 そんなアシュリーの脳天へ唐突に拳骨が落ちて、少女はそのまま頭を押さえてうずくまる。
「何をやっとるかこの阿呆! どうしてもトラキアに来たいジムUのパイロットに会いたいって言うから連れてきてやったと思ったらこれか、さっきの戦闘で頭でも打ったか!? また精密検査をやり直すぞ!!」
「はっ、班長ぅぅ……後生ッスからどうか、どうかそれだけはお許しをぉ……あ、班長! 班長も自分の胸がばいんばいんのたゆんたゆーんなないすばでーに育った方が、強そうだと思っていただけ――ぱぎゅっ!!」
 有無も言わせぬ二発目の拳骨が、今度こそアシュリーを完全に沈黙させる。疲れ切った声でバートンが言った。
「……どうも、クライネ伍長。うちの馬鹿がご迷惑をおかけしました」
「あ、いえ……そんな、私は別に……」
「では、のちほど格納庫で……」
 頭頂部からプスプスと煙が出ているようにも見える少女の襟を引きずって、心底恥ずかしそうに会議室から退場していくバートン班長を見送りながら、どこも大変なんだなぁ……とアイネは思った。
「ああ、もう……。とにかく行きますよ、カーペンター伍長」
「えっ?」
 アイネはとりあえず、ニヤニヤしながら一部始終を黙って見ていたガルノフとロブを眼光一睨みだけで下がらせると、ものすごく気まずそうに目線を逸らしていたシュンを捕まえながら会議室を出た。
 格納庫へ向かうリフトグリップを掴みながら、後ろのシュンへ向かって呼びかける。
「25をもう一回調整します。手伝ってください」
「それは、構わないけど……クライネ伍長。僕の方からも条件がある」
 意を決したような声に追われて、アイネは思わず振り向く。そこには混じりけのない、真剣そのものの眼差しがあった。
「? 条件?」
「クライネ伍長。僕と、付き合ってくれ」
「…………。……えっ」

139 :  ガン、カツン、カン、と、細かな衝突音がひっきりなしに艦内へ響く。
 エゥーゴ戦艦ジャカルタの艦橋は先のトラキア隊との接触時とも異なる、異様な緊張感に包まれていた。
 ジャカルタはいま暗礁宙域の深い部分へ、ゆっくりと、しかし確実に進行しつつある。そして進行するほどに宙域のデブリは密度を増して、戦艦ジャカルタの真新しい装甲板に細かな傷を刻んでいくのだった。
 艦の前方宙域には、飛び交うスラスターの火光が見える。MS隊が常時前方に展開して、艦の行く手を遮るデブリを排除しているのだ。
 万一の事態に備えて対空火器にも実員が配され、主砲も万全で待機してはいるが、まだこれまでのところ、そこまで派手にデブリを破壊しなければならないような状況には陥っていない。
 そう済むようにこの宙域での操艦を采配してきた艦長席に座る老練の船乗り、デミトリ・スワロフ中佐はしごく泰然としたものだったが、操舵士やレーダー手以下の艦橋要員の表情は鬼気迫るものだった。
「どういう神経してんだ、本当……こんなところに何年も潜んでやってるなんて、信じられねえよな……」
「並みの大型艦が通れるようなところじゃないだろ……MSや突撃艇だってどうか、ってとこだぜ――うわ!?」
 MS隊の前衛をすり抜けたか、一メートル近い大きさのデブリが艦橋めがけて飛び込んでくる。迎撃も間に合わずに艦橋ガラスへ衝突したが、大した被害を与えることもなくデブリは粉々に砕け散った。
「MS隊ィ! 前方監視、ちゃんとやってんのかァ!?」
『07。やっておりますわ。ただ、少々濃くなって参りましたの。こういうときに限ってマインさんがおられないのは残念ですわね』
「ハフナー少尉はまだ検査入院中だ。今日のところはシェンノート少尉の仕事にかかってるんです。よろしく頼みますよ……」
『はいな。紅茶の用意をお願いいたしますわね』
 今日もヌーベルジムUでデブリ警戒任務に当たるリアンナ・シェンノート少尉からの報告が入って、通信手はほっと息をつく。だが普段なら一服の清涼剤となっていただろう美少女との通信を終えても、艦橋に垂れ込める重苦しい空気は消えることがなかった。
「お、おい……今の……」
「あ、ああ……」
「……人、……だったよな……」
「…………」
 隣同士の二人が言葉を交わしたきり、それきり黙り込む。
 L1宙域。ルウム戦役の名残。この宙域で命を奪われた二十億の死者は、八年の時を経てなお彷徨い続けているのだ。
「なんてとこだよ。薄気味悪い――」
「この経路で、本当に来ますかね、連中……」
『必ず来ますよ』
 自信に満ちた呟きが不意に割り込んできて、クルーたちはぎょっと視線を交わす。発信源はジャカルタのMSカタパルト甲板へ武装して出たまま、じっと動かないリックディアス。
 ジャカルタMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉の機体だ。

140 : 『タールネン少佐のMS隊をあの貨物船の襲撃位置まで輸送した彼らの母艦は、一部始終を観測していたはずです。彼らは見ていますよ、我々を。その戦力を整えながら、今、この瞬間にもね。
 ……一瞬の油断が命取りになります。実のある交渉へ繋げるためにも、彼らへ隙を見せない操艦をここから先もよろしくお願いしますよ』
「君に言われるまでもないな。索敵、そろそろ頃合いだぞ。彼らが動くならこの辺りだ――あらゆる兆候を見落とすな」
「…………」
 艦長からの注意喚起にレーダー手は静かに息を呑み、緊張感を増した表情で再び索敵に没頭した。
 その両目が不意に見開かれる。
「――レーダーに感! 七時にMS……五機を確認!」
『10よりジャカルタ、十二時にMS――中隊規模!』
『こちら04、三時下方にもMS、少なくとも六機以上!』
「なんだこれ、一斉に出てきたのか……囲まれてる!?」
「所属不明機より、通信入ります! ……なんだ……何を言っているんだ、こいつら……!?」
 宙域を漂う暗礁に身を隠しながら寄せてきた、ザクUが、リックドムが、ドラッツェが――そしてゲルググが、戦艦ジャカルタとそのMS隊を押し包むように姿を現す。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』
「エレイン信女、フローラ信女。汝らゆめゆめ用心せよ。修羅道の気配あり。数で圧するフリート主力との合同なれど、相手の力はまっこと恐るべし。ゆめゆめ油断してはならぬ」
『御意!』
 ひたすら念仏を唱え続けていた少女たちの声が、そのときだけは男の命に唱和する。
 ゲルググのコクピットで大ジオン仏道を率いる男、ゲオルグ居士の澄み切った瞳が全天周モニターを通して、エゥーゴ戦艦のカタパルト甲板で向き直ってきた重MSの固定式モノアイとぶつかり合う。
「刻、来たれり――か」

141 : つC

142 : 今回は以上です。
>>66
今更ですが……
アイネたちが不死身なのは、MS戦とエロ場面をシームレスに繋ぐための舞台装置であると同時に、ストーリーの中核にもなっています。
でも、そのことを知っているのはマコトやベリヤなどごく限られた人間のみ。それがここからどう転がっていくのか、気楽に見ていただければと思います。
需要の有無は分かりませんが、第十三話とαみたいながっつりしたエロはしばらくお休みです。
もう数話の間はぬるエロ混じりの平常進行、ときどきMS戦、みたいな構成になるかと思いますが、お付き合いくだされば幸いです。

143 : >>141
支援ありがとうございました〜。
貧乳娘も逐次増強中ですが、どんな塩梅ですかね。

144 : GJ!

145 : 個人的にはチチナシはデッドウェイト
巨乳こそ真理
あくまで個人的にはだけど

146 : 爆 アイネ
巨 マイン、マコト
美 リアンナ
普 ウェンディ
貧 アシュリー、シエル
現在のおっぱい戦力図はこんな感じです。
私も巨乳好きですけど、話と描写を作るうえではある程度バラケていたほうがいいですね。
ウェンディとリアンナの濡れ場がさらっとスルーされたまま、話は続いていきます……
VOEを読み返してみると、フォウの胸のサイズが意外に可変だったりしたことに驚いたりします。

147 : チチナシなのにデッドウェイトとはこれいかに

148 : このスレは巨乳派に無血占領されたのか……

149 : キッカもお姉ちゃんもおんなじ女だろ

150 : じゅーりょくの無い方がおっぱいよく育つのかね…

151 : ぷりんぷりんのメロン乳でパイロットスーツの胸をぱんぱんに膨らませたきれいなお姉ちゃんたちが宙を行き交うMS格納庫って胸熱?

152 : 胸厚…じゃなくて胸圧…でもなくて胸ある…ちっがーう…胸熱。
パイロットスーツは共用品なので胸の大きい人が着るとどうしてもぱつんぱつんになるとか。
(配属されてすぐなので合うスーツが準備されてないとか)

ネネカ隊とシュラク隊のレズバトル見てみたいなぁ…。

153 : パイロットスーツの生地の伸縮性ってどのぐらいのものなんだろう

154 : あ、雑談なのに名前を消してませんでした……
アイネのキャラデザ画がちょっとずつ出来上がってきました。

155 : 募集したのって集まってるの?

156 : はい。ご応募いただいた方とやりとりさせていただいています。
アイネはびっくりするほどエロかわいいですよ!

157 : すごく楽しみw
ありがとう!

158 : 過疎

159 : 拙作ヒロイン・アイネの設定画を、Pixivにて公開させていただきました。
全年齢版(パイロットスーツ、連邦軍制服、表情集)とR-18版(スポブラ、裸身)に分けて投稿しています。
全年齢版の方はPixivアカウントの無い方にもご覧いただけるはずです。
全年齢版 http://www.pixiv.net/report/illust/?id=44214507
R-18版  http://www.pixiv.net/report/illust/?id=44214590
それではまた近いうち、本編の投下に参ります。

160 : 申し訳ありません、↑のアドレスは誤りでした。
正しくは、
全年齢版 http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44214590
R-18版  http://www.pixiv.net/report/illust/?id=44214590
です。お騒がせいたしました。
それではまた近いうち、本編の投下に参ります。

161 : たびたび申し訳ありません。
R-18版のURLは
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44214590
でした。
失礼いたしました……。

162 : GJ!

163 : >>157
どうでしょう?
イメージと合っていましたか?
>>162
ありがとうございます〜
いまいち不人気な感じのアイネですが、これでテコ入れになってくれると嬉しいです。

164 : >>163
正直、勝手なイメージはもっとリアル寄りの外人さんな感じだったけど、
予想外に幼い感じのアイネちゃんもかわいいです!
今後、SSが投下されたらこのかわいらしいアイネちゃんが浮かぶと思います!

165 : >>164
返信遅れました……ありがとうございます!
もっとアダルトな感じのリアル外人寄り…そんなイメージのアイネ像もあったのですね。勉強になりました。
アイネが18でマコトでもせいぜい23と、気づけば女性キャラは小娘ばかりしかいない拙作ですが、近いうちにはもっとちゃんとした大人の女性も出そうと思っております。
滅多に感想のいただけない拙作なので、お答えいただき非常に嬉しかったです。
さて、次以降フェニックステイルを投下します。
今回の注意事項は特にありません。
残念ながらエロなし、MS戦のみです。

166 :  貨物船《リバティ115》を先導するように、デブリ密度の増した宙域を行くサラミス改級巡洋艦トラキアのMSカタパルトから、二機のMSが射出された。
 機種はいずれも地球連邦軍の量産機、RGM-79RジムU。二機とも左手にはシールドを備え、片方は右手にハイパーバズーカを、もう片方はビームライフルを装備している。
 ビームライフルを装備したジムUがトラキアのすぐ前方で制動を掛けて足を止める一方で、ハイパーバズーカを持ち、腰回りに予備弾倉を装備したジムUはそのまま加速を続け、距離を開いていく。
『再度、本訓練の状況を徹底する』
 右手にビームスプレーガンを携え、トラキアのカタパルト甲板に残っていたジムUから、落ち着いた女の声で通信が入った。
『23は赤部隊となり、トラキアを仮想敵艦として対艦攻撃を実施。25は青部隊となり、トラキア直掩機としてその攻撃を阻止する。22は全般統制と全周警戒、事故対応を兼務。
 本訓練は艦対空戦闘訓練も兼ねるため、トラキアの主砲、対空機銃の一部も状況に参加する。ただしトラキアは戦術運動を行わず現航路を維持し、火力戦闘のみ展開するものとする。
 青部隊の目的は23の撃墜、もしくは撃破判定獲得による対艦攻撃の阻止。赤部隊の目的はトラキアへの対艦攻撃による大破ないし撃沈判定の獲得。いずれかの発生をもって、状況終了とする』
「了解」
『了解!』
 これより一時、かりそめの敵となる少年の声が通信回線越しに聞こえて、ジムU25を操る少女――アイネは表情を引き締める。
 アイネがアバリス隊への着任早々、哨戒任務の途中でいきなり命じられた部隊全力での戦闘訓練とは異なり、今回の訓練に直接参加するのはシュンの23とアイネの25だけだ。
 マコトの22がトラキアの甲板上に出て訓練中の敵襲に備えつつ訓練全般を統制しているから、アバリス隊全滅の二の轍を踏むことはないだろう。
 アイネは先行したシュンの機体が消えた宙域を睨み、戦意を固める。一対一。必ず勝利してみせる。
『状況開始!』
 マコトの凛とした号令を最後に少年の機体との通信が断たれ、それが決戦の引き金となった。

167 :  四機中三機の艦載機を艦外へ送り出したトラキア格納庫には、入れ違いにVWASSの半壊したジムとボール五機が機体を収めていた。残ったジムUとジムの傍らにMSに比べれば小型といえ、さすがに五機ものボールが林立していれば迫力がある。
 与圧を終えたトラキア格納庫内では、これからボール隊の被害と損耗状況の細部確認に続いて、トラキアMS整備班による修理と整備、補給作業が予定されていた。
 MSに比べて簡素な運用設備しかない船舶でも安定して運用できることがボールの強みではあるが、さすがに本格的な戦闘に投入された後では相応の整備を必要とする。そのためにはトラキアの与圧されたMS格納庫はうってつけだ。
 所用の物資に伴う出費は後でVWASSに要求できるし、むしろそうして新しいコネを開拓しておいた方が今後、連邦軍正規の補給より当てになってくる可能性もある。
 加えて脅威度の高い宙域へ近づく前に手持ちの戦力を少しでも増強しておきたい、という艦長の思惑あっての措置だった。
 しかし今そのMS格納庫では艦外映像を映すモニタの前に、ちょっとした人だかりが出来つつある。
 もちろん格納庫内から艦外の状況を把握する程度の機能しか期待されていない代物だが、観衆はめいめい好き勝手な感想を漏らしながら、暗礁宙域に舞う噴進炎の光条を見つめていた。
「それにしてもシュンの野郎、アイネちゃんに決闘申し込むたぁな」
「あいつもいつの間にか言うようになったよな。実戦くぐって度胸が付いたのかね?」
「おっ……そろそろ始まる感じ?」
 そんな整備兵たちの後ろに、彼らを率いる若い娘――ウェンディ・アーデル曹長が楽しそうに足を止めると、整備調整のために同行していたVWASSのテッド・バートン班長とアシュリー・スコットも一緒になって覗き込んだ。
「アーデル曹長、何が始まるんです?」
「ウチのMS隊の模擬戦訓練です。伍長クラスの若手同士が、やるって言って聞かなくて。それをマコトが許可したんで、みんな昨日の今日だってのにこの盛り上がりなんですよ」
「――ちょっとみんな!? 何やってるんですか!」
 だがそのとき格納庫全体に、空中から若い娘の声が響きわたった。中破したVWASSのジムへ付き、損害状況を把握していたメガネで童顔の女性整備兵だ。
「げっ、エイムズ軍曹……」
「何だよ、マリエル? 一緒に観ようぜぇ」
 ジムU23――イベル・ガルノフ軍曹からシュン・カーペンター伍長に乗り手を変えた機体の機付長、マリエル・エイムズ軍曹。
 彼女は二筋に分けた焦げ茶のお下げ髪を振り回しながら、幼い顔立ちを気むずかしげにしかめて、メガネの奥から眼光鋭く叫んでのける。
「だから決闘じゃなく、ただの模擬戦訓練です! だいたいみんな何やってるんですか! VWASS機の整備作業だって前倒しで進めていかないと、いつまで経っても終わらないんですよ!」
「いやー、だってさぁ……シュンとアイネちゃんの決闘なんだぜ? どうやったって気になっちゃうでしょ、これ」
「そんなの聞いてませんっ!」
 年上の男性整備兵も、マリエルの一睨みで簡単に沈黙させられてしまう。
 まだ年若い整備兵ながらも任務への実直さと機材への確かな観察眼を基に実績を積み重ね、整備班においてウェンディに次ぐポジションを実力で勝ち取りつつあるマリエルには、MS格納庫内の誰もが無視しきれない発言力がある。
 だがマリエルがそうして支配しかけた格納庫内の空気は、一瞬にして鶴の一声でひっくり返された。
「ようし、あたしが許可するッ! MS整備班は今から別命あるまで全体休憩〜!!」
「んなあっ!?」
「うひゃほーーーう!!」
 格納庫全体に凛と響いたウェンディの叫びが、部下たる整備班員たちから地鳴りのような反響を引き出した。
「見たい奴はモニター前へ集まれ! 冷えてる飲み物もってこい! 箱ごとな箱ごと! みんなで観戦しようぜぇ!」
 整備班長のお墨付きを得て、一気に生き生きと動き出した整備兵たちの流れに逆らうように、マリエルはウェンディへ詰め寄った。
「あ、アーデル曹長……!? な、なに考えてるんですかっ!?」
「え? いや、あの戦闘から今まで整備班はフル稼働でさ、結構シフトもキツキツだったでしょ? ここらで大きめに息抜きしないと、皆もう保たなくなっちゃうんだよね。
 身体的だけじゃなくて、精神的にさ。こんな疲れた状態で他に気を取られながら作業しても、能率上がんないじゃん? 気分転換だよ〜」
「…………!」
「まあ人間みんながみんな、マリエルみたいにいつまでも頑張り続けられるわけじゃないってことだよ」

168 :  ポン、と小柄な彼女の肩に手を置きながら隣を抜けて、ウェンディは壁際の通信端末の受話器を取った。画面には彼女らの頭上、カタパルト甲板上に立つジムU22機上のMS隊長が映っている。
「んふふ……。ってことで、マコト! いつでも始めちゃっていいよ!」
『整備班の余興のためにやる訓練ではないんだが』
 呆れ気味に言ってのける彼女の口調にも、ウェンディはすっかり慣れている。馬耳東風と受け流し、楽しげに尋ねる。
「で、あの二人、勝負に何を賭けてるの?」
『いや特に何も。少なくとも、私は聞いていない』
「……えええええ〜〜〜?」
 途端にウェンディの表情が失望に染まった。駄々っ子のように文句を垂れ流しはじめる。
「なんだよー、せっかくの勝負なんだぞー! 推進材にしたって演習弾にしたって、実機訓練なんてタダで出来るもんじゃないんだぞー! せっかくなんだから、せめて当事者同士は何かいいもん賭けろよぉ! 盛り上がんないでしょーがー!」
『だから格納庫を盛り上げるために企画した訓練ではない。あくまで練度の把握と向上が目的だ』
 大人げなくじたばたと手足を振り回すウェンディへ機上のマコトが釘を刺し、あくまで淡々と二人の訓練開始を見守る。
「……そうだ! アイネちゃんの処女と、シュンの童貞を賭けさせよう。シュンが勝ったらアイネちゃんの処女をいただいちゃえて、アイネちゃんが勝ったらシュンの童貞を食べちゃえるってことでどう?」
 何の脈絡もなく通信が切れた。
 ウェンディは無言でひたすらボタン連打で呼び出しを繰り返したが、マコトは全く応じず、やむなくウェンディが手元のキーボードで文字メッセージを送ると、ようやくマコトが冷たい瞳のままで回線を復帰させた。
「ああ、もう……。はいはい、真面目な話をすればいいんでしょ。エゥーゴの緑ジムUの件ね。
 あれから例のリックドムもどきと一緒に、こっちの動きも分析してみてたけど……これってウチのジムUどころか、ハイザックよりいい動きしてるよね。動きのキレも出力も、すべてが一段上の性能って感じ」
 素直に感心したように言うウェンディが出した携帯端末は、シュンのジムU23を襲ったエゥーゴ機の躍る肉食獣のような機動の記録分析動画を映している。
「シールドの打突技だけでシュンの23を部隊から切り離しながら半殺しにしてのけたパイロットの腕もたいしたもんだと思うけど、機体性能の方もかなりキてるわ。よくこんなのに勝てたよねぇ。
 アイネちゃんって格闘戦ならマコトはともかく、その他のボンクラ連中からは頭一つ抜けてるんじゃないの?」
『当然の結果だろうな。修羅場をくぐった数が違う。彼女は『本物』の死線を知っている』
「シュンには勝ち目ないってこと?」
『そうとも限らない。私があえて最も経験の浅い彼にハイパーバズーカを預けている理由を、本当に理解していてくれるなら、あるいは……な』
「ふーん。……おっ。始まった?」
『そうらしい。ウェンディ、また後で頼む』
 モニターを囲む整備兵たちが上げる歓声に、ウェンディは通信を切りながら自身をそちらへ泳がせた。

169 : 「…………」
 全周囲を油断なく警戒しながら、アイネのジムU25は暗礁宙域内を航行していた。
「思ったより、デブリの密度が濃いな……。過度の加速は禁物。訓練中の事故で機体大破なんて、シャレにもならないよ……」
 冷静に自分を戒めながら、しかしアイネは同時に自らの狩りの獲物となる少年のことを思って不敵に笑った。
「さあ、カーペンター伍長。どう出てくるのかな?」
『僕と、付き合ってくれ』――最初は何を言われているのかまったく分からなかったが、よく聞いてみれば何のことはない、単なる実機模擬戦訓練の申し出だった。
 毒気を抜かれたようにアイネがそれを承諾した後、聞けばハヤカワ准尉への上申や関係各方面への調整も、彼が主体となってやってくれたらしい。熱心なことだ。
 だが、悪い気はしない。正規のMSパイロットとしてまっとうに扱ってもらえる、そして実戦に即した訓練が出来る。それは素直に有り難いことだとアイネは思う。
 対等のライバルが存在することも、また。
「――!」
 そろそろか、と思っていたアイネの直感を裏付けるように、油断なく索敵していた彼女の視界をスラスターの火光が遠く横切る。
 破壊されたまま漂流する無数の融合炉からミノフスキー粒子が垂れ流され続ける暗礁宙域では、レーダーの効力はきわめて限定的にしか期待できない。
 アイネは即座にメインカメラを向けて望遠を掛け、慎重に航路を取りながら接近していく。目指す機影はすぐに捉えた。
「へえ。ほんとにハイパーバズーカで私と戦うつもりなんだ」
 ハイパーバズーカの長砲身とシールドを油断なく構えながらデブリ群を背にして飛ぶシュンのジムU23を見つけて、アイネは不敵な笑みを浮かべた。
 ハイパーバズーカはMS戦にも高度に対応した火器だ。ジェネレータへ負担を掛けることもなく、うまく弾種を使い分ければ、多様な局面に対応できる。
 榴弾や榴散弾を『置いて』敵の動きを牽制したところへ、狙い澄ました本命の徹甲榴弾を叩き込んでトドメ、などという運びも夢ではない。
 だが一対一ならば、ビームライフルの有利は動かない。
 ビームライフル普及後の連邦軍MS隊におけるハイパーバズーカの位置づけは、あくまでも支援火器の域を出ない。運用そのものを廃止した部隊すら少なくないほどだ。
 確かに実弾火器はジェネレーターへの負担を掛けないが、とにかく砲身が長くて砲弾も重い。どう頑張っても身軽には戦えない代物なのだ。
 弾速が違う、精度が違う、射程が違う、取り回しが違う。そしてMSがシールド以外でビームを受ければ、ほぼ確実に貫通される。
 要は総合的に見て同一機種の一対一で戦うならば、ビームライフル装備のアイネに不利な要素はほぼ無いということだ。むろん技術や条件次第では覆しうる程度の差ではあるが、アイネはまったく負ける気がなかった。
 目標は視認できていても、まだ必中を期せる距離ではない。何とかして、もう少し距離を詰めなければ――だがシュンはビームライフルの有効射程外から、早々に戦いの火蓋を切った。
「……榴散弾!」
 砲口炎が閃き、縮射演習弾――砲の口径よりずっと小さな弾体が小さな砲口炎に蹴飛ばされ、初速だけは実弾に遜色ない勢いで射出される。
 そして演習用の低出力レーザーを前方へと円錐状にまき散らしながら、回避機動するアイネの脇をすり抜けていった。
 レーザーで模擬的に再現された榴散弾の破片の傘がジムU25の機体各所に設けられたセンサーに拾われ、機体の制御系に被弾の状況を付与する。
 幸い回避運動への入りが早かったため損害判定はほぼ無かったが、シュンは矢継ぎ早に榴散弾を放ってきた。
「へえ、さっそく戦訓復習の時間ってわけですか!」
『キャリホルニヤの悪夢』率いるリックドムが仕掛けてきた大胆な火力戦に影響されたか、シュンの発砲間隔は短い。初弾による制圧効果を確認する前に、ハイパーバズーカが次弾装填と照準を完了するが早いか速射してくる。

170 : 「でもカーペンター伍長、残念……これ、レーザー模擬戦なんですよねっ!」
 果敢なバレルロールを打って左右に弾けるレーザーの雨を突き抜けながら、アイネは力強く微笑んでシュンのジムU23を見据えた。
 前回の実戦でリックドムが撃ち込んできたのは当然実弾だったから、炸裂したその破片と爆炎が壁となって視界を遮り、ジオン残党は二機のMSをその掩護下で突撃させることが出来ていた。
 だが今回のシュンには突撃を買って出てくれる友軍機も、それどころか実弾なら発生しているはずの爆発もない。アイネは視界を遮られることも、爆圧に機体を揺らされることもない。
 縮射演習弾が発するレーザーは機体のセンサーを反応させて損耗の状況を付与してくれるが、それだけだ。他には何の効果もない。それは軍という組織が実戦ではないものを実戦に見立てて訓練しようとするとき、そこに生じる誤差のひとつだった。
 アイネは回避機動と前面に押し立てたシールドで、飛来してくる榴散弾の破片――という想定になっている、レーザー光線――をことごとく防御し、さらにビームライフルの銃口を23へ向けた。
 肉薄するアイネにビームライフルの有効射程はすでに割られて、彼我の間隔は中距離から近距離へと移行しつつある。
 だがシュン機は宙域に漂う大型のデブリを盾にしながら機動することで、アイネから直接の射線を取らせない。そして自分からはアイネ機の取り得る予想進路上へと砲弾を間接的に『置き』にかかっていた。
「ちょこまかと動くっ! カーペンター伍長、バズーカ背負ってなかなかやるじゃないですか……!」
 デブリの少ない清浄な宙域ならまだしも、すでに《P-04》に近づいた宙域に漂うデブリは相当な濃度に達して、MSの機動を制限している。
 シュンはすでに弾種を榴散弾ではなく、より爆発威力の大きい榴弾に切り換えて応戦していた。弾体に内蔵される炸薬量は榴弾の方がずっと大きく、それを反映して演習弾が発するレーザー出力も高まっている。
 直撃弾は言うまでもなく致命的であり、至近弾でもかなりの打撃効果になる。四肢をいくつか持って行かれてもおかしくない。
 シュンは付近のデブリ浮遊状況からアイネの予想接近経路を割り出し、そこへ先行して榴弾を撃ち込んでいくことで、アイネの肉薄を阻止しながら機体に損耗を蓄積させ、機動を鈍らせたところへ直撃弾を送り込もうと狙っているのだ。
 ビームライフルなどと異なり、直線弾道で即座に直撃させる必要のないバズーカだから出来る戦術だった。
 シュンはデブリの背後を選んで巧みに射点を取りながら、時にアイネの前進を阻み、時に近弾を浴びせては、ダメージを一方的に蓄積させていく。
「くっ、また……っ! でも、――行ける!」
 一見して完全に押されていながら、しかしアイネにはもう一つ、勝負どころの当てがあった。
 大型の砲弾を扱うハイパーバズーカは、撃ちまくってしまえばすぐに弾倉交換が必要となる。
 MSの機体構造は完全な人体の模倣ではないから、バズーカ砲尾の弾倉を背中へ回した左手で交換するのもお手のものだが、少なくともその弾倉交換の時間には戦闘能力の死角が生じる。
 先のリックドムは二門のジャイアント・バズを装備していたうえ、機体各所に増設されたミサイルランチャーで再装填時の隙を補っていた。
 だが、単に武装を持ち替えただけの標準型ジムUに過ぎないシュン機では、そうやって再装填の隙を補える武装は頭部60ミリバルカン砲しかない。
「あと、一発……!」
 機体に損害付与を積み重ねられながらも、肝心の戦闘能力は維持したまま確実に距離を詰めてシュンへとにじり寄っていたアイネは、シュンの弾数を数えていた。
 そして弾倉に残る最後の一発をシュンが放って撃ち尽くした瞬間、アイネは一気に飛び出して急加速で接近した。
「さあ、これでおしまいっ!」
 細かなデブリが機体とシールドを乱打するのも構わず、最短距離を突進する。すぐに射線を取ってビームライフルを構えた。
 至近距離だ。ビームライフルの速射を叩き込めばシールドもろとも機体を撃ち抜き、撃墜判定をもぎ取れる。

171 :  だが彼女はそこで、シュン機が左手に握っているものが予備弾倉ではなかったことに気づく。
「……あっ」
 ハヤカワ准尉が前回の戦闘で、ジオン残党とエゥーゴのMS隊を手玉に取ってのけた短銃身ビーム砲――ビームスプレーガンが、23の掌中にあった。
 それを一気に構えるや、シュンは連射モードでスプレーガンを放った。
 近距離ならば収束の粗さも出力の低さも問題にならない。低出力、低収束であるがゆえの低負荷が可能とする圧倒的な手数が、嵐のように連続した弾着となってアイネ機を襲う。
 これまで防御の要として機能してきたシールドがひとたまりもなく大破判定を受け、そのままコクピットをかばった左腕にまで損害付与が及ぶ。姿勢制御に異常が生じ、運動性が低下する。
 アイネもほとんど同時にビームライフルの速射を叩き返していたが、先行して生じた機体の損害が精確な射撃のための挙動を妨害し、またシュンは打ちはじめの早さと、スプレーガンゆえの手数の多さで彼女を完全に圧倒していた。
 この至近距離での威力は、ビームライフルもスプレーガンも大差ないのだ。
 それでもビームライフルの数発がジムU23に少なからぬ打撃を与えたものの致命傷にまでは至らず、その間にアイネの25はシュンの猛反撃にコクピットと融合炉への損害を付与されて――機体大破、状況終了の警告表示が全天周モニターに出現した。
 前方至近のシュン機がようやく、ビームスプレーガンの銃口を上げてアイネ機から照準を外す。その動作を見届けた瞬間、アイネは近距離赤外線通信を開き、激情のままに喚いていた。
「か、隠し武器なんてっ!! 卑怯です、カーペンター伍長!」
『卑怯、か……否定はしない。アーデル曹長に調整をかけて、ハヤカワ准尉のスプレーガン改の予備を模擬戦仕様で出してもらったんだ。そして予備弾倉に偽装して、ここまで隠し持ってきた』
「そうまでして……そうまでして、私に勝ちたかったんですか!?」
『そうだ』
「……っ」
 はっきりとシュンに即答されて、アイネは思わず口ごもる。
『前の戦闘で、君の戦いと、君の強さを見せつけられて……どうしようもなく、心が焦った。君との力の差に、自分の無力を思い知らされた』
「何ですか、それ。だからって、単なる目先の勝ち負けだけにこだわるなんて……何でもいいから私に一回勝てばいいなんて、そういうの、底が浅いって思わないんですか」
 それでもなお言い返すアイネに、あくまで淡々とシュンは続けた。
『僕は僕の戦い方を見つけなければ、君といっしょに戦う資格をなくしてしまう。だからどうしても、まず一度……どんな手段を使ってでも、僕は君に勝ちたかった』
「それで勝って、……そうまでして私に勝って、どうするつもりだって言うんですか」
 通信小窓から、じっと真摯にアイネの瞳を見つめながら、シュンは最後まで言葉を連ねる。
『君とともに戦うために、今、僕はやっと自分を許せるようになったと思う。だから次は、今度は、きっと――これからは僕が、必ず君の背中を守る』
『…………』
 アイネはシュンを直視できなくなって、通信小窓から視線を外した。
 今の戦いが、もし実戦だったとしたら。
 敵のMSがどんな兵装を持っているかなんて、そんな情報は分からない。敵はエゥーゴの新型機かもしれないし、ジオン残党の改造機かもしれない。パイロットに強烈な個性があって、思いも寄らない戦術を採ってくるかもしれない。
 シュンがビームスプレーガンを隠し持ち、最後の切り札としてアイネにそれを使ってきたのは、実戦ならばごくごく普通にあり得ることだった。
 あれだけの実戦を経験して、それを学んだはずだったのに、自分はそうした事態を想定していなかった。詰めが甘すぎた。
 彼は、身をもってそれを自分に教えてくれた。それなのに自分は短慮に、彼を卑怯者などと罵ってしまった。
「……ごめん、なさい……」
『――クライネ伍長?』
 小さく零したその言葉が、少年の耳に届いたかどうか。
 いずれにせよアイネは次の瞬間には毅然と顔を上げて、未だに目線は合わせないまま、今度ははっきりと言い放った。
「覚悟しておいてください。次は絶対、負けませんから」
『…………。ああ!』
 それきり全天周モニターに映る暗礁宙域の光景を無言のまま、シールドの内側で頬を染めながらじいっと見つめて――だからそのときアイネはそれに気づいて、シュンも彼女の表情の変化から同じく気づいた。

172 : 『……クライネ伍長、どうした?』
「今、……暗礁宙域の奥で……なにか……」
 言いながらアイネは訓練装置に付与された疑似損耗付与を解除し、機体の全機能を回復させていた。同時に火器管制系を操作し、ビームライフルの出力制限を一気に戦闘基準まで引き上げる。
 続けて何かが『見えた』ように思えた宙域を指定し、頭部メインセンサー群を向けて望遠を掛けた。
「高熱源反応感知……MSらしき所属不明機の接近を確認!」
 同時に火器照準用レーザーの照射を機体が検知し、アイネは即座に急旋回と急加速を掛けてその照準から逃れていた。
 予測される敵接近経路とジムU25の間にデブリを置いて身を隠すように小移動しながら、シュン機も同様に機動しているのをアイネは見た。
「23――カーペンター伍長、今の!」
『照準レーザーだった! ジオン残党――いや、エゥーゴか!?』
 隠れる場所に事欠かない暗礁宙域。デブリの海に紛れて潜み、獲物を待ち伏せていた地球連邦軍の敵対勢力が、今この瞬間に牙を剥いたのだ。
「21、22! ハヤカワ准尉! 現出した所属不明機からの敵対行動確認!」
『捕捉している。22急行中。23、25は現座標周辺にて警戒監視』
『敵が近すぎます! 准尉の到着まで、間に合わない……!』
「この……っ!」
 アイネはビームライフルの銃口を巡らせてその機影を捉えようとするが、高速で大胆に機動する目標は火器管制が照準を付ける直前になってデブリに隠れ、そのままデブリ群の陰を縫うように迂回しながらもなお接近してくる。
「速いっ!」
『なんて腕だ! 宙域内のデブリを、障害物として完全に使いこなしてる……!』
 重力の均衡によってあらゆる物体が吹き溜まる暗礁宙域とはいえ、それらのデブリは決して一カ所で静かに留まっているわけではない。寄る辺なく絶えず漂い、動き続けている漂流物だ。
 先の模擬戦ではシュンもデブリを利用してアイネとの戦闘に活用してみせたが、大胆に最短経路を選り抜いて迫るこの機体の動きはその速さも鋭さも、シュンやアイネの機動を圧倒的に上回っていた。
「!? 後ろにもう一機いる!?」
 しかもそのうえ二人が狙おうとした不明機の後方、別の方角からも照準レーザーが来て、慌てて回避機動を強要される。その照準はデブリの海を通しているとは思えないほどに精確で、その前方を来る不明機への照準が封じられてしまう。
「23、カーペンター伍長! 演習弾しかないバズと不慣れなスプレーガンじゃ無理です! 私が前衛で支えますから、なんとか准尉と合流してください!」
『いいや、どのみち近距離でしか射線が取れないここならスプレーガンでも同じだ! 言い合う暇も惜しい、二機で連携して死角をなくす!』
「カーペンター伍長……!」
 実弾の無いハイパーバズーカを捨てて、シュンの23が右手でビームスプレーガンを構え直す。アイネも覚悟を決めて背中を合わせ、二機一体で死角を消した。
 たった二機での全周防御陣形。油断なくシールドを構えながら、ビームライフルの照準を操作する。
 口の中がからからに乾く。相対距離が詰まったことで角速度が上がり、敵機の機動を実際以上に速く感じさせる。

173 : 『……クライネ伍長、どうした?』
「今、……暗礁宙域の奥で……なにか……」
 言いながらアイネは訓練装置に付与された疑似損耗付与を解除し、機体の全機能を回復させていた。同時に火器管制系を操作し、ビームライフルの出力制限を一気に戦闘基準まで引き上げる。
 続けて何かが『見えた』ように思えた宙域を指定し、頭部メインセンサー群を向けて望遠を掛けた。
「高熱源反応感知……MSらしき所属不明機の接近を確認!」
 同時に火器照準用レーザーの照射を機体が検知し、アイネは即座に急旋回と急加速を掛けてその照準から逃れていた。
 予測される敵接近経路とジムU25の間にデブリを置いて身を隠すように小移動しながら、シュン機も同様に機動しているのをアイネは見た。
「23――カーペンター伍長、今の!」
『照準レーザーだった! ジオン残党――いや、エゥーゴか!?』
 隠れる場所に事欠かない暗礁宙域。デブリの海に紛れて潜み、獲物を待ち伏せていた地球連邦軍の敵対勢力が、今この瞬間に牙を剥いたのだ。
「21、22! ハヤカワ准尉! 現出した所属不明機からの敵対行動確認!」
『捕捉している。22急行中。23、25は現座標周辺にて警戒監視』
『敵が近すぎます! 准尉の到着まで、間に合わない……!』
「この……っ!」
 アイネはビームライフルの銃口を巡らせてその機影を捉えようとするが、高速で大胆に機動する目標は火器管制が照準を付ける直前になってデブリに隠れ、そのままデブリ群の陰を縫うように迂回しながらもなお接近してくる。
「速いっ!」
『なんて腕だ! 宙域内のデブリを、障害物として完全に使いこなしてる……!』
 重力の均衡によってあらゆる物体が吹き溜まる暗礁宙域とはいえ、それらのデブリは決して一カ所で静かに留まっているわけではない。寄る辺なく絶えず漂い、動き続けている漂流物だ。
 先の模擬戦ではシュンもデブリを利用してアイネとの戦闘に活用してみせたが、大胆に最短経路を選り抜いて迫るこの機体の動きはその速さも鋭さも、シュンやアイネの機動を圧倒的に上回っていた。
「!? 後ろにもう一機いる!?」
 しかもそのうえ二人が狙おうとした不明機の後方、別の方角からも照準レーザーが来て、慌てて回避機動を強要される。その照準はデブリの海を通しているとは思えないほどに精確で、その前方を来る不明機への照準が封じられてしまう。
「23、カーペンター伍長! 演習弾しかないバズと不慣れなスプレーガンじゃ無理です! 私が前衛で支えますから、なんとか准尉と合流してください!」
『いいや、どのみち近距離でしか射線が取れないここならスプレーガンでも同じだ! 言い合う暇も惜しい、二機で連携して死角をなくす!』
「カーペンター伍長……!」
 実弾の無いハイパーバズーカを捨てて、シュンの23が右手でビームスプレーガンを構え直す。アイネも覚悟を決めて背中を合わせ、二機一体で死角を消した。全周防御陣形。油断なくシールドを構えながら、ビームライフルの照準を操作する。
 口の中がからからに乾く。相対距離が詰まったことで角速度が上がり、敵機の機動を実際以上に速く感じさせる。

174 : 申し訳ありません、>>173は同一内容の重複です。飛ばして読んでください。

175 :  敵はいつ撃つ? こちらはいつ撃つ?
 跳ね回るように早鐘を打つ心臓を必死で押さえ込みながら、アイネはビームライフルの照準に、いよいよ中距離を割り込んできた目標への修正リードを与えて――
『23、25、撃つなよ!』
「准尉!?」
 そのとき不明機にも劣らぬ勢いでデブリを縫って突進してきたジムU22、マコトの機体がビームスプレーガンを構えて両者の間へ割り込む。
 22のその突出を脅威に感じたか、不明機は急旋回で軌道変更するもののさすがに減速し、今まで二人のジムUに掴ませていなかったその機影をようやくメインセンサーが捕捉する。型番を表示した。
「RGM-79GS、……ジム・コマンド?」
『ゲンさん、毎度ながらずいぶんなご挨拶ですね』
『うるせえよマコト。こんなときだけチャッチャと動きやがって。てめぇこそいい加減、模擬戦の度に弾くその下手クソな三味線やめろ。どうやったって本気でやらねえってんなら乳揉ませろ、乳』
 通信回線で下品に笑う男の声に、アイネは思わず眉をひそめる。
 同時に、不明機から識別信号が発信された。後方のもう一機――こちらはRGC-80、ジムキャノンだった――からも同様だ。
 ジム・コマンド空間戦仕様とマコトのジムU22は、ビームガンとスプレーガンの銃口を互いに油断なく向けあいながら、気の置けない間柄のように通信越しに笑ってのけた。
『P-04防空隊ゲンナー・ウェズリー少尉、巡洋艦トラキアMS隊と接触だ。案内する』

176 : 今回は以上です。
このゴチャゴチャした戦闘描写、どれぐらい伝わってるんでしょうか。

177 : GJ!
私は別にゴチャゴチャしてるとは思いません。
文章だけで読者の脳内に戦闘をイメージさせているのだから、
すごい才能だと思います。
頑張ってください。

178 : 今までのスレの反応を見るかぎりでは誰得の感を拭えませんが、拙作第一話のアイネ被撃墜場面の挿絵が出来ました。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44879985
R-18なのでPixivアカウントをお持ちの方しかご覧になれませんが、よろしければどうぞ。
しかしこのシチュが好きな方ってここにおられるんでしょうか。

179 : GJ!

180 : >>177,179
ありがとうございます。
今後もマイペースでぼちぼちと続けていきます。

181 : 最初から読みたいんだけど、まとめサイト御臨終だよね?

182 : >>181
何を最初から読みたいの?
VoE?

183 : Voice of Earthなら↓である程度読めるよ。
http://www.eonet.ne.jp/~spiritshout/vote/top.html

184 : >>183
ありがとう!
元々「フェニックステイル」の事だったんだけど、前スレリンクであっさり1話からあった。
よく見ずに失礼しました。
でも、折角だから「Voice of Earth」も読んでみようと思います。
いいリンクをありがとうございます。
時間掛かりそうだけど、楽しみ。

185 : >>184
拙作の方でしたら、Pixivの方で全般に小修正を実施して挿絵を付与したものも第13話まで用意しておりますので、アカウントをお持ちでしたらそちらをご利用いただければと思います。
VoE初見の新規の方も来られるようになったんですね。また人が増えると嬉しいです。

186 : VOEの最後の投下も既に5年くらい前だからなw
前スレか前々スレだったかで言及されてたけど
当時のクソ信者(&ISAP当人含めて)ほとんどいなくなったんじゃねーの

187 : 正直、一発ネタ的なVoEの二次創作……Zガンダムを一次とすると三次創作? 的な短編はやってみようかなーと思っていた時期があったりします。
私も新参なのでVoEの連載中を知っているわけではなくて、後から過去ログで読んだだけなんですが、今はもう当時の人は誰もいないんですかね。

188 : 二次創作は別に楽しむこともできるがVOEの場合
「新訳ZよりVOEの方が付き合い長い」と言い出す奴もいて原作厨、冨野ヲタの身にとっては気分が悪かった
今やってる北爪漫画も同様に

189 : セシリアさん以外のギレン総統の秘書官ってどんな女性達なんだろう…。
デギン公の奥さんってどんな女性だったのかねぇ?
あの頃だったら整形技術とか進んでるのかなぁ…。

190 : 整形技術が進んでるならシャアは顔を変えそう
キンケドゥの傷も消せそうだし

191 : 泣き虫セシリア

192 : サラミス改のMS格納庫って、いつの間にか搭載機数6機に増えてたんですね。
昔の設定では4機だったはずなのに……同じサラミス改でも新旧の違いがあるってことなんでしょうか?

193 : >>192
新旧の違いはあるかもしれないけど、
まあその辺りはあまり気にしなくてもいいんじゃないかな。
自動車とかでも乗りやすいようにバージョンアップされるのと同じように
MSの重要性から更み格納庫を増やしたサラミスも生産されてるってことで。
4機ってのは連邦軍のMS小隊編成が4機だからだっけ?
予備機も含めて6機搭載できるようにしましたとかなってるんじゃないのかな?
(そのため居住性がちょっと犠牲になってます、たとえば個室⇒相部屋とか)

194 : >>192
新旧の違いはあるかもしれないけど、
まあその辺りはあまり気にしなくてもいいんじゃないかな。
自動車とかでも乗りやすいようにバージョンアップされるのと同じように
MSの重要性から更み格納庫を増やしたサラミスも生産されてるってことで。
4機ってのは連邦軍のMS小隊編成が4機だからだっけ?
予備機も含めて6機搭載できるようにしましたとかなってるんじゃないのかな?
(そのため居住性がちょっと犠牲になってます、たとえば個室⇒相部屋とか)

195 : Pixivの方で、アイネのあられもない挿絵がだいぶ増えました。良かったらご覧になっていってください。反応いただけると嬉しいです。
他の登場人物のキャラデザや、メカ絵の方も準備中です。次はマコトか、それとも……小説本編の方もそのうち。
>>189
Vガン小説版だと生身で核爆発食らって全身火傷したカテジナが、クロノクルにザンスカール本国で皮膚移植手術を受けさせてもらってましたね。
>>193
サラミス改で六機積めるなら、アルビオンの六機搭載とはいったい……という気分になるんですよね。
とはいえアルビオンの場合はコアファイターや最新鋭機多機種運用のための整備機材やらで大変だったからで、ジムだけに絞れば倍ぐらい積めたのかもしれませんが。
平時の勤務ローテーションを考えるだけでも、トラキア隊の四機って単艦運用にはかなり厳しいですね。やっぱり六機欲しい。いや、露天係留も使って九機……

196 : 爆死シーン前後と立ち絵以外もある?

197 : 今ある絵はアイネ設定画(立ち絵+表情集)と第一話の被撃墜場面だけですね。
爆死シーンといっても、実際にはアイネはあそこで死んではいないのですが……
キャラ設定画とか以外の系統でいま進捗しているものだと、第八話のマコト対ドッツィのMS戦ぐらいでしょうか。
アイネの普通の濡れ場は近いうちに着手する予定ですが……
ご希望に添えるかは分かりませんが、お望みの場面とかありますか?

198 : 個人的には、アイネタソがシュン君に迫るシーンと大慈恩仏道のMSが見てみたいな
無理言う気はないから御負担にならない範囲で

199 : 了解です。順番は前後するかもしれませんが、実現できるようにしてみます。
とりあえず本編を進めます……

200 : 試読者募集見た。
わざわざあそこで指摘してる人も多分分かってたんだろうけど、俺もそうだろうとは思ってたわ。

201 : Pixivにアイネの非R-18絵が追加されました。
可憐な雰囲気をお楽しみいただければと思います。
>>200
ここであの件を宣伝したくはなかったのですが、指摘を受けた以上は……お手すきの方がおられましたら、参加していただけると嬉しく思います。

202 : 楽しませて貰ってるから
折角だから報酬は別にしても助力出来るならしたい気持ちはあるんだけど
なんかちゃんと回答できる自信がないなあ

203 : >>202
お気持ちありがとうございます。
またPixivの方にコメントか、こちらにでも感想をいただければ結構です。
一応、試読依頼の方もより軽易な設問集も準備してみます。

204 : マコっちゃん思ってたより童顔なんだねえ

205 : まあパイロット歴八年の古参兵といっても実年齢は23やそこらの、現実に当てはめれば大卒新社会人一年生ぐらいの女の子ですし……。
今回描いてもらったカットの中では、ふっと気が抜けたときの表情が好きです。
二話〜三話のアイネがやっぱり悪評でした。
一応シュンとは少しずつ和解? していますが、今の彼女はどうなんでしょうね。

206 : 新絵も巨乳子で俺得w
試読者集まった?

207 : マコトのあられもない姿と、マインとシュンの設定画が追加されました。よろしければどうぞ。
>>206
いつもありがとうございます。
ただアイネとマコトはこちらのスレッドで『予想外に幼い』という評価をいただく一方、
あちらでは『(特にアイネは)作中年齢より少し上に感じる』という感想もいただいており、人の印象というのは難しいものと感じております。
試読者、非常にしっかりした方に来ていただけました。
現状認識の精度を高めるために感想母数は欲しいところですが、今現在の問題点はある程度まで掌握できつつあるか、と思っております。
現状での最大の課題はやはり、アイネの悪印象をどう緩和するかですね。第二話〜第四話あたりに最低限の改稿を実施して、彼女への悪印象を改めたいと計画中です。

208 : なんとこんなスレが!
しかも誰も居ない。
カキカキするなら今のうち…
「悪友〜秘薬〜」
いきます。一年戦争後ジャブローに勤務するブライト艦長とミライさん。
それにからむ女好きの同僚、アレクセイのドタバタエロです。
(あんまりエロくないです…)
のんびり書きますがどうかお付き合いください。

209 : 「大尉、聞きましたか?ほんと、驚きですよねぇ。」
ニコライが興奮気味に声をかけてくる。
「何のことです?」
ブライトはわけもわからず聞き返す。
「アレクセイ・ルシコフ、ご存じですよね。確か大尉とは士官学校の同期で。」
「まさか、見つかったんですか?」
「そのまさかなんですよ。」
一年戦争のさなか、地上部隊の増員としてかり出されたアレクセイが消息を絶ったことはブライトも聞き及んでいた。
激しい戦闘の中で、遺体さえ見つからない兵士は少なくない。
戦場に消えた多くの僚友と同じく、彼もまたどこかで命を落としたのだろうと思っていた。
「今まで見つからなかったのが、一体どういうわけです。戦争が終わって、もうずいぶん…」
ブライトは怪訝な顔で聞く。
「お会いになります?これがなかなか、まあ、本人から聞いてみて下さいよ。」
「面会、可能な状態なんですか?」
「実は、見つかったのは1週間前なんです。
 脱走兵でないかの取り調べがすんで、やっと、無罪放免になったわけで。
 あ、おそらく医務フロアですよ。」
「ちょっと、いいかな。顔を見てくる。」
「そうぞ、ビックリしますよ、ワイルドで。」
「ありがとう。」
ワイルドって何だ?
ブライトはそんなことを考えつつ、小走りにエレベーターへと向かった。
アレクのやつ、あいつだけは殺しても死なないと思っていたが、さすが、しぶといやつだ。
しかし里のご両親はひとり息子の帰還にほっとしてるだろうな。
しかし、1年ぶり…か。
エレベーターを降りて医務室に向かう廊下を歩いていると、向こうから、声がする。
「おおっ、ブライト、ブライトだよなっ」

210 : 真っ黒な人物が手を振っている。
…誰だ?
地上勤務で目を酷使しすぎたせいか、近眼が進んでいるらしい。
メガネかコンタクト、作り替えなきゃな。
近づいて行くと、相手は猛烈な勢いで走ってきた。
「よう、やっぱりお前だ!」
「…アレク…か?」
記憶の中のアレクセイはどちらかと言えば、端正な白い肌の持ち主だった。
それが…ひげもじゃの赤…黒…?ニコライの言った「ワイルド」とはこのことか。
「だよぅ、もう忘れちまった?薄情だぞブライト。
 お前も、生き残ったのか?サイド7に向かったまでは聞いてたんだが、
 何かえらいご活躍だそうじゃねえか。同期の俺も鼻が高いよ。」
そう言いながら抱きついてくる。
「さっき聞いたんだ、驚いたよ。それで、やっぱ顔くらいは見ておかないとと思ってな。
 しかし、えらい変わり様だな。一体何があったんだ。」
「それなんだがさあ、話すと長くなりそうでさ、でも、聞きたいだろ?」
「…ま、そうだな。」
聞きたいような、聞きたくないような、妙な気分だ。
と言うのも、ブライトの中でアレクと言えば、
‘女の尻ばかり追いかけ回している’
まさにそういうイメージしかないからだ。
実際、一緒にいた頃も、やれどこの店の女が可愛いとか、新しく配属されてきたウェーブ(女性兵)がどうとか、そんな話ばかりで、配属前に女を買いに行こうと言い出したのもまさに、彼だったのだ。
「で、さ、ここだけの話、もあるんで、お前んとこ、行っていいか?
 俺んとこ、散らかっててさ、荷物、勝手に箱詰めされてて、整理済んでないんだよ。
 秘蔵のコレクションも勝手にいじられてるんだぜ、ひどいだろう?」
アレクは意味ありげに目配せをする。
「これ出してOKもらえたらな。」
ブライトはファイルを持ち上げてみせる。
「お、おうよ、じゃあ、もう一こ検査済ませたら着替えてくるわ。このまんまの格好じゃな。」
検査着をひらひらさせてはしゃぐ。
「終わったら連絡くれよ、これ、通信機のIDな。」
アレクセイ小さな紙片をブライトのポケットに突っ込み、検査室に消えた。
「変わって…ないな。」
ブライトはあきれたようなほっとしたような笑みを残して、その場を立ち去った。

211 : 「相変わらず片付いてんな、お前のところ。」
ソファーにゆったりと腰掛けて、アレクセイは陽気に口笛を吹く。
「わかったら散らかさないでくれよ。」
本当とのころ、ブライトは彼を部屋に入れるのに抵抗があった。
婚約のことは未だ話していない。
取り越し苦労かも知れないが、女好きなアレクにミライを会わせたくはなかったのだ。
毎夜身体を重ねている今のミライが、ほかの男になびくとは思えない。
…いや、しかし、スレッガーの例もある。
自分とのことを見ても、彼女は押しの強さに弱い…気がする。
女癖の悪いアレクからは遠ざけておくに越したことはない。
…しかし、この部屋、どう見ても女性の影がある。
こいつに限って見落とすはずがない。
やきもきしながら落ち着かないブライトにアレクは何か飲み物をと要求する。
「相変わらず、ずうずうしいやつだな、お前。」
ブライトはちらりと時計に目をやる。
確か今日のミライは、面談がいくつもあって、終わるのは7時頃のはずだ。
まだ3時間以上ある。それまでに帰せばいい。
「で、話ってなんだ?」
ブライトは自分も腰掛けて聞く。
「聞きたいだろう?聞きたいよな?」
「はいはい、どうぞどうぞ。」
「よし、心して聴け。」
アレクは満足そうに話し出す。
「俺がさ、なんで姿を消してたかの話なんだが、これがすごいアドベンチャーでさ。」
「ほう」
「最初は戦闘機で森林地帯に入っていったら、速攻打ち落とされちまって、
 運良く木に引っかかって命は助かった。でもそこがどこか分からなくなってな。
 ただ、耳を澄ませると水の音が聞こえたんで、しめたっ、と思って歩いてくと、
 思った通り川にぶち当たったのさ。」
「運だけは強いよな。」
「そうそう、でもさ、そこで疲れ切っちまって、まずは一晩そこで明かすことにしたのさ。
 そうしたら、大雨が降り出して、流された(笑)」
「笑い事なのか」
「まあ聞けよ、ここからがアメージングなんだぜ。
 もう終わった、そう覚悟を決めた俺が目を覚ますと、目の前に…」
「まさか美女とか言うんじゃないだろうな?」

212 : 「お前よく分かったな!そう、肉感的なボディの美女が目の前にいるんだよ。
 とうとう天国に来ちまったのかと思ったら、隣におっさんがいて現実だと分かった。
 おれは、原住民の女に助けられたんだよ。
 そこはさ、呪術師が治める集落で、宇宙世紀の時代に腰蓑一枚で暮らしてる。
 つまりはパンツをはかないんだ。
 しかもだよ、それ、男だけじゃないんだぜ!」
興奮気味に話すアレク、あきれ顔のブライト。
「お前に取っちゃ、目のやり場がないな。」
そうそう!もう辛抱たまらんのよ。
「で、酒池肉林の日々から抜けられず出てこなかったのか?」
「いや、ちがうちがう。いくらなんでもそりゃ偏見よ。
 そこはさ、何でも呪術師の意向で動くわけ。
 だから女たちも、そいつの許可なく俺とやれないし、
 俺も勝手には集落を出られないのさ。」
「黙って出てきたらいいじゃないか。」
「それが現在地も右も左も分からん。俺はやむなくそこで暮らす決意をだな。」
「やむなく…なぁ…?」
「ブライトお前信じてないだろ、その目は!」
「……」
「で、な、郷に入っては郷に従えと、俺も腰蓑一つで集落の働き手になったのさ。」
「お前に限って女の尻は無視して働くなどあり得んな。」
「いや、それがな、まあ、聞いてくれよ。
 呪術師にはな、神との対話をする儀式というのがあって、祠の中から毎夜毎夜…」
「変なまじないでも聞こえてくるのか。」
「あの声だよ。」
「あの声?」
「そう、あの声。」
「は?」
ブライトは意味が分からず聞き返す。
「おっ前、ほんっとカマトト野郎だな、これだから童貞は…」
「ちがうけどな。で?」
「女の、あえぎ声だよ。」

213 : 「女に飢えて幻聴まで聞いたのか?」
「ちがうって。そこではさ、毎夜、選ばれた娘が呪術師と交わるのさ。
 そのときの、快楽にもだえて漏らす声が、神との対話、らしい。」
「……」
「すごい話だろ、お前でも興奮するだろ、ブライト?」
「それ、話作ってるだろう?」
「ぜんぶマジだよ、毎夜毎夜集落にひびきわたる、なまめかしい声、
 しかも年端もいかぬ娘のだぜ?」
「のぞいたのか。」
「まさか、そんなことしたら、へたすりゃ命がない。
 儀式の前に娘は皆の前で踊りを披露するんだ。腰蓑一枚で、おっぱいぶるんぶるんして。
 それから呪術師の待つ祠の中へ入っていく。
 で、しばらくすると、中から聞こえてくるわけさ。
 『あぁん、はぁん、ぁぁぁあんっ!』って!
 俺もう、目もこっちもギンギン…で、…あ」
アレクの演説が止まる。
「ギンギンで、で?」
ブライトはその先を促す。
「いや…その…」
「あら、お客様?」
背中がひんやりとする。
声のする方を振り返ると、ミライがいた。
「…あ」
「お邪魔してごめんなさい。ちょっと資料を忘れてしまって…
 あの…時間がなくてお構いできないの…本当はお茶くらい入れなきゃいけないのに。」
ずいぶんと恐縮している。
「いいんですよ奧さん、俺等よろしくやってますので、お気遣い無用ですって。」
「…ま…ぁ、では、すみません。ブライト、よければ先にお食事済ませておいてね。
アレクに奧さんと呼ばれたミライは照れくさそうに出ていく。
突然のことに、結局ひとことも話せないまま、ブライトはその背中を見送った。

214 : 「奧さんってなんだよ。」
ブライトは微妙な顔をする。
「彼女がお噂の、ミライ・ヤシマ嬢。」
「何だ、知ってたのか。」
「俺の情報網をなめてもらっては困るね。
 あんな良いところのお嬢さん、堅物のお前がどうやって口説き落としたんだ?」
「偶然避難民として俺の指揮する艦に乗り合わせたんだ。
 仕事ぶりを見ててくれてたんだろ。」
「…へえぇ。」
「何だよ。」
「抱き心地、よさそうだな。」
「おっ、おっ前!」
「ムキになるなよ、人の奧さんに手を出すようなことはしないよ。ましてやお前の。」
「まだ奧さんじゃない。」
「婚約者?…だったらいいのか?ブライトが人の婚約者盗ったように、さ。」
「…なぜそれを。」
ブライトは面食らう。
「言ったろう?俺の情報網。女ってのは噂好きでさ。いっくらでもべらべらと。」
「みんな、知ってるってことか。」
「それなりには知られてるんじゃね?」
「…そうか。わかったから、こっちの話はもういいから。」
「あ、さっきの続きね、そうそう、たぶん奧さんは何も聞いてないから、安心しろよな。」
「だから」
「もう奧さんみたいなものだろ、細かいことはいいじゃないか。
 それより、どこまで話したっけ?」
「夜な夜なアンアン聞こえてギンギンの所までだ。」
そう吐き捨てるように言うブライトが、アレクにはおかしくて堪らない。
「そうそう、毎晩アンアンでギンギン。
 呪術師は、そうだな、たぶん50〜60はいってる。
 相手の娘の年の頃が、これ、すごいんだな。もう犯罪。
 しかもそこの集落の女は、処女を呪術師に捧げるんだ。
 いい年したおっさんが、娘、ヘタしたらみたいな年の女を満足させ続けるんだぜ。
 どんだけ絶倫でテクニシャンなんだ!?ってもうそれが気になって気になって。
 おれはその秘密を知らずに帰れるかって思ったわけさ。」

215 : 「どんな状況でも、そんなことばかり考えてるんだな。感心するよ。」
「いやぁ、それほどでも。」
「誉めてないよ。」
「ハハ、それでさ、俺はベッドテクニックを伝授してくれと直談判したわけ。」
「そんなもの、秘伝だろう、教えるわけ…」
「いや、ちょっと考えてから、こう言ったんだ。
 『この集落に貢献しろ。働きを認めたら、それを授けて、お前を帰してやる』って。
 それから俺は働きまくったさ。知識と体力を総動員してさぁ。」
「腰蓑一枚でか。」
「そうそう、ワイルドだろう?
 で、しばらくして、呪術師に呼ばれた俺は、ある薬を手渡されたんだ。
 その薬って言うのが、ほんの一滴指先につけて娘に舐めさせる。
 そうすればどんな青い芽のごとき少女でも、緊張で固くなった娘でも、
 たちまち女の悦びに目ざめて快楽にむせび泣くって代物らしくてさ。」
「へっ、ばからしい。」
「最後まで聞けよ。おれはそれを手土産に、案内役つきで集落を出た。
 そこから二日ほど歩いて、あと、いかだにも乗ったな。
 気がついたら、ジャブロー基地の見えるところに。」
「夢でも見てたんじゃないか?」
「バカ言え、ぜんぶマジだよ。その証拠に、俺、腰蓑のところだけ白いままだぜ?見るか?」
「見る、って言うと思うか?分かった分かった、信じるよ。」
「で、これがその、‘呪術師の秘薬’」
アレクはポケットから小瓶を取り出して見せた。
ブライトはため息をつく。
「あの、な、腰蓑一枚の原住民が、そんなガラス瓶作るわけないだろ。
 ちっとはましな…」
「いや、もともとは木の実でできた容器でもらったんだ。
 これはこっちで俺が。」
「なるほどな。」
「…で、さ、お前、いつの間にか大尉に昇進、同期の中では出世頭だなあ。」
「一応、艦長の任を帯びてたから、形式を整えたんだろ。」
「…まあまあ、それで、俺もちょっとくらいは恩を売っておいた方がと思ったりしてだな…。」
意味ありげな顔で見てくるアレクにの意図を、ブライトはすぐに察する。
「断る。」
「まだ何も言ってないじゃないか。」
「どうせその怪しい薬を土産にやるとか言い出すんだろう?」
「何で分かった?」
「お前の考えることくらい。俺はいらん、そんな為体の知れない物。」
「怪しくないって!呪術師が365日使ってる効果の確かな物だぜ?」
「十分怪しい。それに、必要ない。」
「なあブライト、ミライさんに、使ってみたいと思わないか?」

216 : 支援
……続くのか?

217 : 乙!
>>216
続かない訳ないだろw
でしょ?期待してるよ?ねえ?

218 : すみません、連投規制にひっかかったまま放置してました。
続きです。
↓↓
「本音が出たな。人の嫁を実験台にする魂胆か。」
「実験台って、俺はお前たち夫婦の充実したセックスライフを応援しようとだな…」
「だからまだ夫婦じゃないって。」
「今嫁って自分で言ったじゃん。もうそんな細かいことは…
 ハッ!まさかお前、まだなのか!?そうなんだな!?
 いくらまじめが服着て歩いていると言われたブライト君とは言え、
 結婚まで貞操を守ろうなんて…そこまでとは思っていなかったぜ。」
「おい、ちょっとまて!」
「あぁまぁまぁ、恥ずかしがることはない。
 この混乱の時代になんと立派な心がけじゃないか。
 しかし、だな、後になるか先になるかはささいな違いだぞ。
 愛し合う男女の睦み合いを誰が批難しようか?いや、だれもしないさ。
 神さえも君たちを祝福すると俺は思うね。」
「……」
大仰な演説を前に、ブライトはあきれてものも言えない。
「そこで、だ。ほうらここに打ってつけものがある!」
アレクは小瓶を持った手をたいまつのように掲げて立ち上がる。
「これさえあれば童貞のお前でもちゃんっとミライさんを昇天させてあげられるぞ。
 まさに、‘初めてでも安心’ってやつだ!」
「……」
「どうだ!?」
「…なあ、アレクさんよ。」
「ん?その気になったか?」
「さっきも言ったと思うけどさ、俺、童貞ちがうから。
 つまりは間に合ってるってこと。自分の目当ての女に使えばいいだろう?」
「いや、それがな、その気のない女をその気にさせる効果まではないんだよこれが。
 いくら俺でも帰ってきて早々女をベッドに持ち込むのは無理ってもんだぜ。」
「知ったことか。」
「まあそう言うなよ。これを与えてからアレすると、性感が通常の3倍で絶頂が止まらない…
 つまりはそういう行為が取り敢えずはあるお前にピッタリ、だと思わんか?」
さっきは‘初めてに打ってつけ’とか言っておきながら、今度はそうくるか。
さすがに普段から女口説きまくってる男は違うわ、とブライトは妙に感心する。

219 : 少し頭の軽い女ならこれにころっと引っかかるのだろう。
「だからそんな変な薬を使う気はない。だいたい取り敢えずって何だ。」
「えー、だってお前のことだしさ、どうせ、ちゃちゃっと揉んでちゃっと入れて
 そんでもってちゃちゃっと腰振って終わりみたいな、淡泊なヤツだろう?
 俺の貸出人気ナンバーワンだった『女を堕とす最凶テクニック』
 興味示さなかったの同期でお前だけだぜ?
 みんなあれ観てシミュレーションしまくってたのにさあ。
 …あ、あのとき、配属前の、お前ひとりさっさと帰っただろ?
 気乗りしないのは分かってたけど、あれ、一番はお前のためだったんだぞ。」
「女買いに行くのがか?ばかばかしい。」
「奥手のお前に素人が無理なら、せめて…という親心だ。」
「はいはい、せっかくのご親切すまなかったね。」
「そう、君は反省すべきだ。人の親切はありがたく受けるのが人の道ってもんだ。」
「…そういうのを‘余計なお世話’って言うんだ。」
「何でだよ。お前、もしかしたら死んでたかもしれんのだぞ。
 女の柔肌も知らず宇宙の塵になるなんて…俺だったら耐えられないね!
 生きて帰ったからいいものの、へたすりゃあ…」
「なあアレク…お前さ、あの時点で俺が童貞じゃない可能性とか考えなかったわけ?」
ため息交じりにブライトがこぼした台詞に一寸黙ったアレクは、噴き出す。
「バカだな、俺に見栄はってどうするよ。
 いいじゃないか、今は無事卒業してんだろ?それも…」
言いながらうっとりと虚空を見つめる。
「ミライさん、いいおっぱいしてたしなぁ…腰回りの肉付きも…」
「服の上から人の嫁を値踏みするのはやめろ。」
「まだ嫁じゃないんだろ。」
「アレク」
「はいはい、心配すんなって、でな、あのお嬢さんがだ、
 お前に跨がって『あぁん、ブライト!もっとォ!』って乱れまくる姿…。
 どうだ、お前だって見てみたいだろ?」
「だ・か・ら…」
「あ、もしかしてバレたらまずいとか思ってる?
 大丈夫大丈夫、舐めてみたが無味無臭、絶対分かりっこないって。」
「相手もいないのに試したのか。」
「おう、あ、これな、男は何ともないから。効果があるのは女だけ。
 だからさあ、今夜あたり、さ。きっと新しい世界が開けるぜ。 」

220 : 「わかったからもう帰れ、な。」
「ブライトぉ…」
「男の甘え声なんて気持ち悪いだけだ。はい、これもちゃんと持って帰れ。」
ブライトが小瓶をアレクのポケットに放り込んだとき、
「あ!」
「なんだ?」
「トイレ貸してくれよ、う〇こ出そうなんだよ。」
「はぁ!?」
「俺も戻って早々漏らしたなんて噂が広まったら評判が地に堕ちるだろ、頼むよトイレ!」
ブライトの返事を待たずにアレクはトイレに飛び込んでいった。
「…なんなんだ、あいつは…」
しばらくしてトイレから出てきた悪友の背中を押す。
「はいはい、もう帰った帰った、さっさとどこぞで女でも口説いてこい、な。」
「あ!」
「まだ何かあるのか?」
「うんこ…流し忘れた…かも。」
「もうわかったから、俺が流しておくから、帰った帰った。」
「ブライトつめたぁい…」
「いい加減にしてくれ。」
「へへへ、じゃあな。」
相変わらずのニタニタ顔のまま、手を振って去って行くその姿が見えなくなるまで、ブライトは扉の外で見送った。
ふう…やれやれ。
大きく息を吐いてソファーに腰を沈める。
アレクセイ…人は悪くない、だから嫌いな人間ではない。
むしろ…好き、といってもいい。
や、そういう意味ではないからな。
人の輪の中に入っていくことが得意でないブライトを、さりげなく引っ張り出す役目を負ってくれていたことには感謝しきりだ。
なんだかんだ言って、世話になってきた。
あいつがいなければ自分はもっと人付き合いが苦手だったかも知れない。
そう思うと、あの騒々しさも女癖の悪さも可愛くさえ思えてくる。

221 : そのうち…ミライのこともちゃんと紹介しないとな。
さすがにそういう心配までは、いらないだろ…
そんなことを考えかけて、ブライトはハッとし、立ち上がる。
う〇こ!流してなかった!
慌ててトイレを見に行く。
帰ってきたミライとあいつのう〇こがご対面なんて勘弁してくれ。
「……」
きれいに流された後の便器。
「……んだよ、流してるじゃないか。」
胸をなで下ろした瞬間、別の物が目に入る。
例の小瓶…それにメモの切れ端が添えられている。
「感想、よろしくな!」byアレク
「あンのやろう…」
ブライトは頭をかきむしった。
必要ない、使わないとあれだけ言ったのに、しつこいヤツだ。
押しの強さは対女だけにしておけよ。
ミライを紹介するなんてとんでもない話だな、と思いなおす。
明日にでも返すか。どうせ今返そうにもつかまりそうにないしな。
小瓶を棚に置くと、気を落ち着かせようと水を飲もうと冷蔵庫を開ける。
「紅茶…のほうがいいか。」
仕事のことなどで落ち着かないとき、ミライはいつも温かい紅茶を入れてくれる。
うん、そうしよう、今は紅茶の気分だ。
ケトルで湯を沸かして、ポットに葉を入れる。
「こうやって…しばらく蒸らすんだよな。」
滅多にしないことをするのも気分転換にもってこいだ。
カップに注ぐとよい香りがただよう。
「うん、落ち着く。あいつにも入れてやるんだったな。」
水しか出してやらなかったことを少しだけ後悔しながら、椅子に腰掛ける。
「……」
最初の一口を含みながら、目線が…
いやいやいやいや…
ブライトはそこから目をそらす。
…ちらっ

222 : いやいやいやいや…
――「なあブライト、ミライさんに、使ってみたいと思わないか?」
アレクの言葉を思い出す。
いやいやいや…
――お前に跨がって『あぁん、ブライト!もっとォ!』
――どうだ、お前だって見てみたいだろ?」
――きっと新しい世界が開けるぜ。
頭をぶんぶん振って悪魔のささやきを振り切る。
――「『あぁん、はぁん、ぁぁぁあんっ!』って!」
うぁ、俺は何を考えてるんだ。
薬盛ってなんて、主義に反する、絶対にやらないぞ。
ちらっ…
無味、無臭か…本当か…な。
手にとって、眺める。
…いや、べ、べつにミライになんて考えているわけじゃない…ぞ、
これは…理系男子としての正当な科学的興味であって…下心なんぞかけらも…
新しい世界…俺に跨がって……いや、ちがうちがう、決して想像してなどっ!
一滴…だけ…舐めさせ…ちがう、俺が味見を、か、科学だっ味覚も科学のうち!
そ、そうだ、紅茶に混ぜると、酸性なら明るいオレンジ色に変わってミライにバレて
……ち、ちがう、小学校の時にやった化学実験の再現だ、決してミライに飲ませようなどと
…飲ませて…「あぁん…ブライト…ぉ…もっと…」
だから違うって!
はっ、手が滑った…一滴どころか、2、3滴は入ってしまったじゃないか…。
色に…変化はなし…と言うことは、酸性の線は消えたな。
味の方は…と、ふむ、これならミライに飲ませてもばれない…
…じゃなくて、これはあくまで科学であって!
――ミライが俺の上で
――見たくないのか?
――新しい…世界
――「『あぁん、はぁん、ぁぁぁあんっ!』って!」
……って何にやけてるんだ俺は、ゃ…決して…そんなやましい考えなど…微塵も…
……
……いや、ぜんぜん
……つゆほども
……まさか、そんな
……いやいやいやいや
……ほ、ほんのすこしくらい
……ちょ、ちょっと魔が差しただけだ
……み、ミライ…怒るかな

223 : 仕事行ってきます。
続きはまた…

224 : カチャカチャ
…ん?
カチャカチャ
ガバッ
「はっ、俺は!?」
…ソファーでうたた寝してしまった…らしい。
「あら、お目覚め?かまわないから休んでてちょうだい。」
ミライはシンクで洗い物をしているようだ。
「…いや、すまない。」
「きっと疲れてるのよ…夜だってちゃんと寝てない…」
と言いかけて顔を赤らめる。
ふふん、と小さく笑って、ブライトは身体を起こした。
ほぼ毎夜、すんなり寝ていないのは確かなことだ。
しかしそれなりには鍛えた若い身体にはどうってことはない。
むしろ、適度な疲労と精神的充足がその後の深い眠りを約束してくれる。
体調は、すこぶる良好なブライトだった。
ふとテーブルに目をやるとあったはずの物が消えているのに気付く。
「あ、紅茶…片付けた?」
「え…ごめんなさい、もう、ひと口ふた口しか残ってなかったから…。」
「や、いいんだ。ありがとう。」
最初からあれをミライに使うつもりなどないのだ。
アレクの話はかなりうさんくさいし、そんなものに頼らなくともミライとの交わりは充実している。
…正直に言えば、多少の興味は…あった。
けれどあれはもう、カップの底に残った紅茶と一緒に排水口の向こうだ。
あの薬…明日、あいつをつかまえてちゃんと返却しよう。
目の前で食器を拭いている女のことは、いつもどおりふつうに抱けばいい。
この身体ひとつで、彼女に何度も悦びを与えてきたんだ。
そんなことを考えていると、美味しそうな匂いが鼻をくすぐりはじめた。
「何か作ってる?」
食堂に行けば、栄養バランスを考えた食事が無料で提供される。
だからミライの手料理を食べるのは休日くらいだった。
「お疲れでしょう?あまり手の込んだものではないけれど。」
うたた寝をしている姿を見て、部屋を出ないで済むようにと考えてくれたのだ。
「ありがとう、ミライも、仕事で疲れてるのに。」
「私はだいじょうぶよ。さあ、できたわ。」

225 : テーブルを挟んだ向こうに、小さいけれど丸い瞳。
手が込んでいないと言われた夕食は、十分に美味しく、彩りもよい。
「さっきのお客様、初めて見たわ。もちろん、軍の方よね。」
フォークでマカロニをつつきながら首をかしげるミライ。
「軍学校のさ、同期なんだ。戦地で消息不明だったんだが、やっと、帰ってきた。」
「まあ、ご苦労なさったのね。」
「…うーん、どうかな。」
腰蓑一枚で女といたすことばかり考えていたなど、ミライに想像もつくまい。
「おつらかったでしょうね。きっと、帰りたくて、耐えて…。」
「あいつはどんな環境でもポジティブなヤツだから、そんな悲痛な話でもないと思うよ。」
「そう…?」
「いつか、紹介するよ。」
「ええ。私の知らないブライトのこととか、聞いてみたいわ。」
なぜか顔を赤らめて、微笑む。
そうか、俺だけの知り合いに‘婚約者’として紹介することは滅多にない。
女性にとっては、うれしくも恥ずかしくもあることなのだろう。
もぎたての桃のような、柔らかな頬。
サラダのマヨネーズのせいか、わずかに艶めく、くちびる。
――「ブライト」
――「ブライト…」
――「ブライト…ぉもっとぉ…っ」
「ブライト?」
ミライの声に引き戻される。
「ブライト、やっぱりすこし疲れてるんだわ。
 さっきから何だかなんだかぼうっとして。」
「いや、だいじょうぶだ。すまない、ちょっと仕事のこと思い出して…」
「ほんとに…だいじょうぶなの?無理はしないで。前のようなことがあったら…わたし…」
そこで言葉に詰まって涙ぐんでいる。
「いやっ、ほんと心配いらないって。
 ミライの手料理食べたから、ほら、こんなに元気だ。」
わざとらしく胸を叩いてみせると、ミライは表情を崩す。
「もう…ブライトったら。」

226 : くだらん妄想でミライに心配をかけてしまうなんて、俺としたことが。
アレクセイのヤツめ、お前のせいだぞ。
けっこう卑怯な責任転嫁をしながら、ブライトは心の中でつぶやいた。
――――――
カチャカチャ…
ソファーのブライトは、目を閉じたまま、食器を洗う音を聞いていた。
…しあわせだなあ。
上の許可待ちのために未だ籍を入れられないとはいえ、
こうやって同居する宿舎を与えられてともに暮らしている。
彼女はブライトのために部屋を整え、食事を用意し、体調を気遣ってくれる。
これはブライトの要望から始まったことなのだが、浴室では身体まで洗ってくれる。
そして夜は…
そこまで考えたとき、ふと、さっきまで聞こえていた音が止んでいることに気付いた。
目を開けると、ミライがキッチンに立ったままじっとして、額に手を当てている。
「どうかしたのか?」
「ええ、だいじょうぶ…。」
その声には力がなく、近づいてみると顔がいつもより赤い。
さっきのは照れてたんじゃないのか。
「風邪でもひいたんじゃないか?少し座って…」
ブライトが言いかけると、目の前の身体がふらついた。
「だっ、ミライっ」
思わず後ろから抱きかかえる。
そのときだった。
「はあぁぁ…あぁっ」
え…?
今の色っぽい声は…何だ?
気がつけばブライトの手はミライの胸にあった。
…うっわっわわわわ!!
慌てて放すとミライはまたぐらりと揺れる。
うわわわわっ!!
今度は下から抱えて、ソファーに横たえる。
「だいじょうぶ…か?きみこそ無理してるんじゃ…」
「ごめんな…さい。でも、そんなこと…ないのよ。」
「いいからすこしじっとしてるんだ。僕はシャワーしてくるから。」
「ブライト、私が洗わないと…」
「何言ってるんだ、今はミライの身体がだいじだろ。」
「……」

227 : 返事も待たず、ブライトはひとり浴室に飛び込んだ。
こんなときにまでサービスばかりさせるわけにはいかない。
……いや、それより
ブライトは自身の身体を見下ろした。
息子が力強く天井を向いている。
「…たくっ」
例の薬のことで、今日は妄想が頭から消えない。
食事をしていても、ミライの口元、胸元についつい目が行った。
そして…さっきの…声。
一瞬だったが、エロモードなブライトの耳を撫で上げるには十分だった。
こんな姿をミライには見られたくないし、ビックリさせるだろう。
ミライの体調が思わしくないなら、今夜はひかえめに…いや、控えるべきだ。
今はとにかくこの昂ぶりを鎮めなければならない。
……どうやって?
って、それしかないよな…。
ミライ、すまんがオカズになってくれ!!
壁に手を突いてもう一方の手を熱塊に添えたとき…
「っ!?…ミ…ミ…わわわわわ!!」
浴室の扉が開いて、そこには一糸まとわぬ姿のミライ。
慌てて手をそこから離したブライトに、抱きついてくる。
「ど…どうしたん…だ、休んでろって…」
「…ブライ…ト…わ…たし…」
どうやらろくに聞いていないようだ。
しかも身体が熱っぽい。
「ダメじゃないか、無理したら…」
……え?
以前ちょっとした弱みを握って、毎日一緒に入浴することを承諾させたブライトだったが、、
その際ミライが提示した条件は、浴室の照明を落とすこと。
今ここには、明々と灯りがともっている。
「…ミライ?」
呼びかけるとうっとりとしたような目が、見つめてくる。
「ブライト…なん…だか…わ…たし…」
まさか。
「どうしたんだ。」
「へん…すご…く…あ…つぃの…」
ゴクリ。
ブライトの身体も熱くなる。
「…もしかして、残ってた、紅茶、飲んだ?」
「ごめんな…さい…いいかおり…もったい…なくって…ぁ…はぁ…」
ま、ままま、マジか!?
正直、半信半疑だった。
いや、9割方信用していなかった…が、これはどうだ。
ベッドの中ではしっかり感じてよい声で啼くとはいえ基本的にはされるがままのミライが、
自分から服を脱いでこの胸に飛び込んできた。
灯りを消して、とも言わず、ピンクがかった胸を、押しつけてくる。
「…ラ…イト」
ねだるように向けられた唇を、そっとついばむ。
「ん…」
舌をいれれば、ちゃんとからむ。
いつもの遠慮がちなミライとは大違いだ。
そう感じて、ブライトはほんのすこし、罪悪感をおぼえる。
貞淑なミライを、薬でこんなにして、それで、いいのか?
いくら事故とはいえ、これではあまりにも…

228 : あれ…?
はたと考える。
その気のない女には効果がないはずじゃ…?
と言うことはつまり…恥ずかしさに‘その気’を隠していただけ…なのか?
ミライ…ほんとうはきみも…だとすれば…
「…ほしいのか?」
ミライがうっすらと開いた目を潤ませて、こくり、とうなずくのがわかる。
のぞまれて、拒む理由はない。
ブライトはもう一度、さっきより深く口付けた。
背中にミライの指先を感じる。
押しつけられたたわわな胸が、柔らかく、熱い。
そのまま壁に押しつけてそっと指先を秘所にのばすと、温かい潤いが触れた。
「ん…ふっ」
唇をふさがれたまま、ミライはうめく。
身体がぴくりぴくりと震えて、快感を伝えてくる。
指にミライから生じたぬめりをまとわせ、ふくらんだ粒をなでる。
「……っ…っっつ!!」
ミライの手がブライトを掴んで、身体を硬直させる。
次の瞬間、ふっと崩れ落ちてゆく。
…え?まさかまさかの…もう?
――性感が通常の3倍で絶頂が止まらない
聞いてはいたが、これほどとは。
しゃがみ込んだミライは、更に息を荒くしている。
ブライトはふと、ある物に目を留めた。
半透明のボトルに入った、透明な粘性の液体。
いつも髭剃り用のローションとして使っているそれを、確かアレクは性的な目的に…
うろ覚えの昔だが、そんなことを聞かされたのを思い出したのだ。
「…ブライト…」
ミライがうわごとのようにつぶやく。
ブライトはローションをたっぷりと手にこぼし、無防備に揺れるミライの胸に塗りたくる。
「…ぁ…ああぁっ」
とたんに声が響き渡る。
ぬめぬめと滑って頂きの蕾をつまみ上げると、ミライは首を振って叫んだ。
「ア…あああんっだめえぇぇっ」
そのまつげには露が光っている。
「だめなの?」
「…っ、め…ぇ…」
感じすぎて声が震えている。
ブライトは開いている方の手を秘所に添えて、その入り口をかき混ぜるようにすりつけてゆく。
愛液とローションが混じってピチャピチャと音を鳴らす。
「は…ぁぁあっ…やああぁ…っ」
一瞬でのぼりつめたミライに休息を与えることはせず、なかに指をさしこんでみると、
媚肉が蠢いてブライトを締めつけ、また、声のトーンが上がる。
「い…やぁ…ああっ…だ…めぇ…」

229 : 前置きが長かったですがなんとかエロにたどり着けました。
取り敢えず今日はここまで。
続きはまた…お目汚し、失礼致しました。

230 : 乙〜!

231 : GJ!
無人の荒野に神が降臨したか…!

232 : 昼休み。
更新するなら今のうち〜
↓↓
上と下からつややかな声を響かせ、ミライはまた、気をやった。
指はそのままに、唇を重ねていく。
舌先がそっと触れると、ミライの方からからんでくる。
薬のせいとはいえ、今日のきみはなんていやらしい…
唾液をくちゅくちゅといわせながら、指先はよく知ったミライの弱いところを探る。
「ん…はぁ…っ」
そこにたどりつくと、ミライは苦しげに唇を離しておとがいをそらせた。
「あ…ぁ…ああっ…っ」
まるで娼婦のような、艶姿。
つんと立った乳首が、ローションでテカテカと光っている。
「…ぁ…だめ…ぇ…ああっ」
ミライは何度目かの絶頂を目指して快感をため込んでいく。
その姿を見たブライトは、すっと指を抜く。
「……ぁ…」
すこしばかり安堵したようなため息をもらして手をだらりと落とすミライ。
ブライトはその前にあぐらをかいて座り、上半身を傾けて頬にそっと口付けた。
「もう…満足かい?」
ミライは半分ぼうっとしながら、離れてゆく唇を目で追う。
「…ブライト」
「それとも、これが、ほしい?」
顎で指し示された先に、赤黒く光る、象徴。
「…ぁっ」
薬に奪われながらもわずかながら残されたミライの羞恥心が、直視することをためらわせる。
「だ…だめよ…ブライ…ト」
「どうして…?指だけじゃ、物足りないだろ?」
「そんなっ…はしたない…」
顔を斜め下に背けて、目をつぶっている。
「自分から僕に抱かれに来たんだから、今日のミライは十分にはしたないよ。」
「そんな…ちがうの…これは…」
言い訳も浮かばず、言葉がとぎれる。
まさか薬を盛られているなどとは思ってもみないミライは、
ブライトに指摘された己の状況を理解できないでいるのだ。

233 : 「…ミライ」
「……」
「いいんだよ。そのために、こんなになってるんだから。」
「……」
「ほしいんだろ」
「…ブライト」
赤らんだ頬が上を向き、小さな瞳が、揺れている。
「おいで」
ブライトは腕を伸ばすと、ミライを引き寄せて口付けた。
ミライはあらがうことなく、その動作を受け入れる。
舌をからませ唾液を流し込むと、そのまま、ミライの喉奥に吸い込まれる。
肉付きのよい臀部が抱えられて、ブライトの膝に乗る。
「ミライ」
顔を離したブライトは、ミライの耳元でささやく。
「自分で、入れてごらん。」
「…っ!?」
驚いて離れようとしたミライの身体を抱いたまま、ブライトは入り口に自身をすりつける。
「ほら…こんなになって…僕もきみも…」
「い…や」
「やじゃないだろ…」
軽く腰を前後させると、こすれあってぴちゃりと音がする。
「ほら…ミライ」
「いゃ…あ…あ」
薬に性感を高められた身体が、素直に反応を示す。
ブライトはそのまま秘唇と陰核を擦っていく。
「あ…ああっあっ…めぇっ…」
本能と理性の間で、必死に耐えようとするも身体はいうことをきかない。
「あ…やあぁぁぁあぁっ、あああぁっっ」
一分も経たないうちに、ミライは打ち上げられてしまった。
「…ぅ…ふ…ぁ…」
力なくブライトに上半身を支えられるミライ。
「どうする…?後ろにおりるかい?…それとも、このまま、おろそうか?」
「……ん…ぅ」
「どうしたい?」
「お…りる…?」
ミライの意識は、半分くもっている。
「僕からおりるか、僕の上に、か。」
「…ブライト…の?」
つぶやいからて、その意味を解する。
ミライの濡れた蜜口はブライトの剛直の真上。
ブライトが支える力を緩めれば、おりる場所は、そこしかない。
「い…ゃ」

234 : 「じゃあどうしよう?腕、そろそろ限界だ。」
限界なのは腕だけではない。
返事をせかすように、もう一度先を擦りつける。
「…あぁ…め…ぇ」
「だったら、自分でおりればいい。」
「…う…む…り…」
「このままじゃつらいだけだよ。ほら、そのまま入れてごらん。」
「…や…ぁ」
ブライトはそっと、腕の力を緩めていく。
ミライがその気になれば、後ろに逃げることもできるようになった。
けれど逆に、身体はこちらに近づき、筋肉の少ないその手が、首の後ろにしがみついてくる。
「あ…ぁ…」
ミライは、ゆっくりと‘おりて’いく。
自分の体重だけで、ブライトの熱をしっかりとのみこんで。
「あ…ブライトっ…なか…に…ぃ」
「そうだよ、ミライが自分でほしがって、なかにはいってる。」
ブライトは、ほんの少しだけ、下から揺すってみた。
「あぁ…っそんなぁ…」
「はしたないけど…気持ちいいだろ?」
「…そんな…ゃ…ああっ」
言葉にも煽られてか、ミライはすぐさま達してしまう。
ブライトに身体を預けて、ハァハァと息をする。
…そうか、通常の3倍、だったな。
せっかくの機会だから、もっと、みだれてもらおうか。
あまり強い快感を与えないように、小刻みに動くと、ミライはすぐに反応を取り戻す。
「…ぅ…あぁ…」
いい加減に、理性は力を失いつつあるようだ。
「ミライ…自分で動くと、もっとよくなれるよ。」
「じ…ぶん…で…」
「そう…いいところを、さぐってごらん。そしたら、僕も気持ちよくなれる。」
「ぁぁ…でも…」
「さぁ」
促されても、さすがにそれはハードルが高いようだ。
ミライは何も言わないまま、ふるふると首を振る。
仕方ないな…、もうすこし、追い込んでみるか。
アレクの言葉に触発されたばかりではない。
薬が効いた状態でも、どこかブレーキがかかるミライなのだ。
今を逃しては見ることかなわないであろう痴態を、引きずり出さずにはおれない。
耳に舌を這わせながら、繋がった場所のそばを、なぞる。
「…あっ…ぁ…」
くりっくりっと指の腹でこねれば、ミライは手を震わせ、くわえ込んだものをきゅっとしめる。
「ミライ、しってる?」
そう言って、なかから‘その場所’をそっと刺激する。
「ぁ…あっ!」
ほんの少し触れただけで、全身に小さな電流が走る。
「ここ、あたるとたまらないだろ?
 もっとしっかりすりつければ、こんなものじゃないよ。」
先だけでちょんちょんとつつきながら、誘惑する。
「自分で、気持ちよくなれるんだ、さぁ…」
「ぃや…ょ…ぁっ…」
息を荒げながら、どうしても最後の壁を壊せないミライは、はらはらと泣きだした。

235 : ブライトにだってわかっている。
いくら外的要因に制御されようと、備わった気質は完全に消せないのだ。
ミライの場合、それは貞淑さと羞恥心。
どこまでいっても、ただ性欲だけに流されることない。
そこだけを突いても、ミライは身動きできないのだ。
…それなら、訴えるべきは。
「あいしているよ」
まっすぐに目を見て、そっと語りかける。
「え…」
濡れたまつげが、まばたきをする。
「してほしいんだ…僕の、ために。」
「…ブライト」
「泣かないで、そのまま動いて、僕を気持ちよくしてくれないか。」
「……」
「ミライ」
ブライトの…ため。
それは、ミライがその行為をうけいれるのに十分な理由だった。
その瞳が閉じられると、そこから、また、涙が頬をつたう。
ミライは、ゆっくりと、動き出す。
「あ…あぁ…」
ブライトを気持ちよくさせる、そんなのは、口実だ。
そのために動いても、薬に冒されたミライの方が断然強い刺激を受けてしまう。
それを少しでもごまかそうと、あえてその部分を避けるよう注意しているのに気付いたブライトは、ミライのもくろみを打ち崩すよう腰を捕まえて挿入角度を変える。
泣き処をとらえられては、もう逃れようもない。
ミライは露を溢れさせ快楽にそまってゆく。
「あ…わたし…こん…な…ぁ…」
言葉とは裏腹に、動きが次第に速度を増していく。
ローションに濡れた乳首がブライトの胸にっすべって、ミライは上半身をのけぞらせた。
「あ…やぁぁぁっ」
ブライトはミライの上半身をがっちりと抱いて、下からの突き上げを開始する。
「い…あぁ…だめ…ぇ…ああああぁっ」
絶頂になかを震わせると、休むまもなく、更なる陵辱が続く。
「ああ…やぁ…と…めて…ぁああっ」
そう言って中止を請いながらも、ミライはしっかりと腰を押しつけて愉悦を貪っていた。
ブライトが動きを止めても、ぐちゅり、ぐちゅりと出し入れの音は止まらない。
「ミ…ライ…腰が、動いてるよ。ほら…」
「…ぁ…めぇ…」
たまらないよ、ミライ。
ブライトは自分に跨がって性の悦びに溺れる恋人の姿を、脳裏に焼き付けていた。
可愛くて、可哀想な…そしていとおしい、ミライ。
猥雑なはずのその光景は、なぜか、美しくもある。
「あ…ぁ…ブライト…、ああっああああっ!」
再び動き出したブライトを奥に感じて、ミライの震えが増す。
「あああああああああああぁっ」
浴室とはいえ、外に漏れるのではないかと思うほどの嬌声がこだまし、ミライの意識ははじけた。

236 : 読んでくださってる方がおられるようでありがたや。
それではまた〜

237 : 「…ぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
狭い空間を充たす、荒い息づかい。
ミライがもう何度イッたのか、ブライトにもわからない。
ブライトが少し快くなるころにはミライは頂きの上。
薬の効果が強すぎるのだ。
そろそろ、俺も、…いいよな。
ブライトは一つの企みを頭に思い浮かべながら、ミライに近づく。
背中ごしに手を取って、ゆかに付かせる。
そおっとその身体をなでて、唇をそわす。
「…ぁ」
ミライはまた、熱い息を漏らした。
肌に何度もキスしながら、太ももを引き寄せると、突き出される白くて丸い、尻。
――四つん這いの、後背位。
恥ずかしがり屋のミライが、今にいたるまで拒んでいた、体位。
気付いてか気付かずか、ミライはブライトにされるがまま。
後ろから腰を掴んで、脈打つ欲をひくつくそこに押しつけると、ミライは小さく声をあげる。
「ぁ」
そのまま、うちこんでゆく。
「…ぁ…あ…ブライト…ぉ」
こんな恥ずかしい格好はいやという余裕も失って、
ミライは獣のような姿勢でブライトを受け入れていた。
ゆっくり注送を開始すると、媚肉がからみつく。
「ぁ…はっああっ…」
出し入れするたびに、滴が垂れるほどに分泌される。
連続して強いられる絶頂に、ミライは声すら濡らして、とかされるしかない。
もちろん、ブライトは、まだだ。
「前、見てみろ」
後ろから嬲りながら、ブライトが言う。
呆けたミライがその声に目を開けると、
そこにあったのは、鏡にうつしだされた自分の姿。
頬、唇、それだけではない、全身を赤くして…。
「い…や…あかりぃ…どうし…て」
後ろから犯せば、後ろの穴さえはっきりと見える。
今さら明るい中での交わりに気付いても無意味だ。
「…ぁ…ああ」
見たくもないのに、凝視してしまう、自分の艶姿。
ブライトに両腕を取られて上半身が起き上がると、ふたつの果実がふるふると揺れる。
その先を指にはさめば、唇がふるえて、唾液をこぼす。
「う…い…やぁ」
こんなの、恥ずかしくて…
峯から降りることかなわず真っ白になりながら、ミライは汗に光る身を犯され続けた。

238 : …もう…なにも…
「ブ…ライト…けて…」
‘たすけて’
どうにもならなくなったミライが、最後にブライトにすがる言葉。
涙でぼろぼろになった表情を見れば、たしかにもう、限界なのだろう。
そしてブライトもまた、ようやっと、その予感を迎えていた。
「僕も、そろ、そろいく…よ」
腰をぎゅっとたぐり寄せて激しく打ち付けると、
振り乱されたミライの頭から露の玉が飛ぶ。
「あ…ぁ…ブライト…、ごめんな…さ…ぃ…ふぁあ…ぁ」
「どうした…?」
「あっあっァ…たし…なか…なぃって…ぁあっ」
「泣くほどいいんだ、ろ…我慢すること…ない。」
「そ…うあっ…ぁぁ…っっ……っブラ…イトっ…」
ありのままを許されて堰を切る涙と劣情が、声も切れ切れにブライトをいざなう。
「み…ぅ…っっ」
瞬間、ブライトは自身を引き抜いてミライの背中にぶちまけた。
ミライもまた、痙攣しながら崩れ落ちていった。
――――――
はぁ…はぁ…はぁ…
浴室のゆかに座り込んだブライトは、呆然としていた。
「…ミライ?」
壁にもたれたミライからは、何の返事もない。 
え?
起こすと、手が力なく落ちる。
まさか…イきすぎて…一瞬ひやりとするが、
指がブライトに触れようとかすかに動くのを見て胸をなで下ろす。
完全に、気を失っているようだ。
このままでは風邪を引いてしまう…が、
ローション、愛液、汗、唾液、そして、ブライトの精液。
ミライの身体は何重にも汚れをまとっている。
「洗って、やるか。」
シャワーをさっとかけ、ボディーソープを泡立てる。
無防備な裸体に手を滑らせると、意識のないまま、その反応がある。
「おっと」
再び隆起した自分に苦笑しながらも、
これ以上、ミライに無理をさせまいと注意深く、その身を清めていった。

239 : その日、任務を終えたブライトは、ある目的をもってあちらこちらを徘徊する。
傾いた日が差し込む長い廊下、歩みを進めるその先に、探していた人物の姿があった。
陽気な笑い声をあげながら、…そう、以前と変わらず、女性を口説いている。
後ろからぽん、と肩を叩くと、振り向いたアレクは、
「おう!」
とだけ言ってニンマリとし、逆にブライトの肩に手を回して廊下の隅に引っ張っていった。
言いたいことは、わかっている。
けれどブライトはそれを無視するように、その男のポケットの場所を確認する。
例のものを突っ込もうとしたとき、アレクの手が遮る。
「ちょ、何してんだよ!」
「忘れ物、返すだけだ。」
「お前にやった物だ、返却など不要だ。…それより…さ?」
にやけ成分を増した顔が近づけられる。
「初めから要らないって言ったろ。遊びの女じゃないんだ。」
表情一つ変えないブライトに、アレクもまた、真顔になる。
「まじ?」
「あぁ。」
「っとか言って…ほんとは使ったんだろ…?隠すなよ…、な?」
ブライトは動じず反撃に出る。
「そこにいる女たちに言うってもいいんだぞ。
 アレクセイ少尉には気をつけろ、怪しげな薬を使って…」
「お、おい、待てよっ」
焦って制止する。
「わかったら、この話は終わりだ。」
「え〜、まじかよ、ありえん…」
諦めきれないようで、不満を隠しもしない。
「そそのかす相手を間違ってるんだよ。」
「そうかもしれんがさ…もったいないよなぁ、みすみす手放すのかよ。
 ミライさんとの…めくるめく…とろける…からみあう…うふぉ…っ」
いつものことではあるが、頭の大部分をを桃色にそめているらしい。
「想像の中で人の女脱がすのやめてくれる?」
「だってそうだろう?宝の持ち腐れだぞ。
 …俺ならさあ、毎晩だって、いや…夜に限らずさ…」
「はいはい、ひとりでやってろ。俺は確かに返したからな。」
ブライトはそれ以上絡まれないように、振り向かず場を離れた。
――――――
‘俺は’使ってないぞ、そうだよな?
あれは事故だ、誤ってミライの口に入ってしまっただけ。
自分でもたいした欺瞞だと思う。
しかし、使ったと言えば、アレクは事細かに聞き出そうとするだろう。
昨日のあんなにみだらなミライを、たとえ伝聞というかたちでも、誰かと共有したくはないのだ。

240 : 今朝、ベッドの上で目ざめたミライは、ブライトによって整えられた寝間着姿だった。
「…あ…ら?わたし…え?」
「おはよう。」
ブライトがキスをしてもきょとんとして、状況を飲み込めないよう。
「わたし…昨日は、ごはん…食べて…それから…?」
「おぼえてないのか?」
ちょっと困ったような目をして首をかしげるミライ。
…ほんとかよ。
羞恥心の強い彼女のことだ、
思い出せば、今頃真っ赤になって慌てふためいているはず。
きっと薬の…せいだな。
イきすぎて、溺れすぎて、記憶すら、とけてしまったのか。
「熱っぽかったから、早く寝たんだ。今は何ともないか?」
「ええ…何だか少しだけ、のどが…風邪のひきはじめかしら。」
「かもしれん、あまり無理はよくないな。」
あれだけあんぁん泣きわめいていたんだ、そりゃあのども痛めるだろうと思いつつも、
ブライトは心配をよそおう。
「…やさしい、のね。」
「あたりまえだろ。」
ミライが顔をほころばせると、ブライトの胸はほんのすこし、ちくりとした。
まさに夢…それで、よかったんだ。
ミライは憶えていなくても、その時間はたしかに、存在した。
普段理性に押さえ込まれているものをあらわにして、悦び、啼く姿。
ずっと心身をを通わせ続ければ、あるいはまた、見られるやもしれぬ。
けれど…今は自分のなかで宝物として、とっておけばいい。
動機の不純さはさておき…あいつのお陰と言えなくもない、な。
さっきは冷たくあしらってしまったが、そのうち、飯でもおごってやるとするか。
女癖の悪さをのぞけば、根はいいやつなんだ。
――――――
「こ、これ、…どうしたんだ?」
「え?あぁ、それね、この前の方…えっと…」
「アレクセイ?」
「そう、あの人が、ブライトの忘れ物だって、大事な物だから必ず渡してって。」
「いつ?」
「さっき、食堂の前でよ。わざわざ探してらしたみたいなの、親切な方ね。」

241 : なんでこれが、ミライの手から渡されなきゃならないんだ!?
あいつ、意地でも俺に使わせる気だな。(もう使ったけど…)
「香水…じゃないわよね。開けてみてもいい?」
ミライは蓋に触れる。
「ま、ま、まった、ダメだ。
 軍事機密で…その、ちょっとは危険な物なんだ。」
「え?そうなの。ごめんなさい。」
疑いひとつ抱かずすんなりと小瓶を差し出したミライは、
鼻歌を歌いながらブライトの上着にブラシをかけている。
その後ろ姿に、昨夜の媚態は重ならない。
手の中にあるうす青色の瓶を揺らすと、中の液体が照明の光を反射する。
――人の親切はありがたく受けるのが人の道ってもんだ。
一理、あるかもしれんな。
何度手放そうとしても戻ってくる…なんかこう、人智を越えた、宿命みたいなもの…か?
だとすれば…たまには…
いや、でも、あそこまで敏感になりすぎるのも、考えものだ。
イきすぎるというのも女にとっては苦痛かもしれない。
あるいは量を調整すれば…
ふるふるふるっ
俺は何てことを…もし後々ミライの身体に変な影響があったら…
「体調は、もうだいじょうぶなの?」
「あら、忘れていたわ。なんともないみたい。」
そう言ってミライは首をすくめる。
――今見てる分には何ともないようだぜ?
――それに何やっても憶えてないなら…それはそれで好都合じゃないか?
悪魔のささやき。
いや、やめておこう………ま、年に…半年に一度…くらい…だな。
頭の中でああでもないこうでもないしているブライトの胸に、ミライが頬をあずけてくる。
「どうした」
「ごめんなさい。よけいな心配、かけて…。」
「お互い様だ。快くなったなら、背中流してもらえるか?
 昨日はそんな余裕なかったろ、自分のことすらろくに…」
「え、じゃぁ…?」
「夜着も僕が着せたんだぞ、それも憶えてないのか?」
「まぁっ、そんなことまで…ごめんなさいっ。」
たぶん彼女の想像は、事実とは異なる。
かいがいしく世話をされたとぐらいに思っているのだろう。
「いいよ、その分、今日はサービスしてもらうから。」
「…はい。」
いつも通りの、やわらかな笑顔。
ふつう‘浴室でのサービス’と言えばいくらか性的ニュアンスを感じそうなものだが
ミライの場合はそうでないらしい。
最初「洗って」と頼んだときこそ、緊張を隠さなかったけれど、
今では言葉そのまま、毎晩きれいに洗ってくれる。
基本、セックスはベッドでするものだと、思い込んでいるゆえか。
――――――
でも。
「ブライト…電気は」
さりげなく灯りのスイッチに手をやると、服を脱ぐ手が止まる。
恥ずかしいと感じている…ということ。
逆説的ではあるが、セクシャルな行為をしているという意識はあるのだろう。
「ん…ごめん。」
「ううん、ごめんなさい。」
やっぱり昨夜のあれは、非日常だったのだ。

242 : 背中をスポンジが上下する。
「どうかした?」
「え、何?」
「さっきから何も話さないから。」
いつもなら、他愛もない会話をやりとりしているはずが、今日のミライは寡黙だ。
「それに、さっきから同じ場所ばかり、剥けてしまうよ。」
「ぁ…っごめんなさい」
「どうしたんだ」
ブライトが振り向くと、暗闇に慣れた目に、戸惑うミライがうつる。
「ぁ…の」
「ん?」
「ゃ…わたし…なんか…」
困っている、というか、困っている自分に戸惑っている、というふう。
「なんか…何?」
「わから、ないの…でも、なにか…おかし…ぃ」
落ち着かなく振られる首がおかしくて、ブライトはそっと抱きしめる。
「…ブライト…っ」
「落ち着くまでじっとしてろ。」
今日、浴室に足を踏み入れた瞬間からミライの様子がおかしいのには気付いていた。
一瞬思い出したのかと考えたが、もしそうならばもっとわかりやすい反応がありそうだ。
けれど、気のせいとするには、何かちがう。
腕にとらえた身体はとても、熱く、胸に当たる心の臓は、早鐘を打っている。
手を顎に添え、上を向かせて唇をふさぐと、しばらくもがいて、静かになる。
ミライの身体から力が抜け、かわりに震える指が、肩に触れる。
めくるめく、淫靡な記憶。
頭では忘れていても、五感のどこかに残って、ミライを揺り動かしているなら。
「ミライ」
キスを中断して、ささやく。
「しようか、ここで。」
「…そんな、はずか…しい」
いつもならびっくりしたような声を出しそうなものなのに、今はちがう。
それどころか、しがみつく指に力が加わる。
「誰も見てないよ。それに、じきに夫婦になるんだから。」
「…でも」
じゃあ、これはどういうことだろうね?
昨夜の記憶を呼び起こすように陰茎をすりつけた場所は、しとどに蜜をしたたらせている。
予感は、あった。
あのときから、ここはただ身体を洗うだけの場所ではなくなったのだ。
「…ちがうの…そんなん…じゃ…ぁっ」
有無を言わせず、ずるりと、簡単に侵入していく脈打つ凶器。
「奥のほうまでぐしょ濡れじゃないか…」
「ぁ…ぃわないで」
ゆっくりと前後させると、すぐによい声が上がる。
「ぁ…はぁっ…ああっ…あっ」
「一晩してない(えw)だけで…いつからこんないやらしい身体になったんだ。」
「…ぁ…あなたの…せいっ、あああっあっあぁっ」
とっくに、薬の効き目は切れている。
通常の感じ方でいいんだ、その方がじっくりとかわいがってやれる。
それに、今からすることは全部、ミライの脳裏に刻まれていく。
「気持ちよければ、泣いたっていいんだぞ。」
「ブ…ライト…ぁあ…」
その後薬の出番があったかどうかは…
−−−−−−−−−−−−−−−完−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

243 : 終わりです。
スレ汚し失礼しました。
2ちゃんに投稿は初めてなのですが、
後から修正できない…誤字脱字がたくさんで汗汗。
いずれ修正してpixivのほうにもアップします。
興味ある方、本編投稿してますのでよかったら
R-18 ミライ タグあたりで探してみてください。
それでは…サッ

244 : GJ!

245 : 乙でした!
よかったよ!

246 : GJ!また投下よろ

247 : 停戦信号の見落としが家族共々死刑になる様な連邦の狂った法体系を活かせないものか

248 : そりゃあもう「サイド3」出身って分かった時点で「やりたい放題だろ」って思っちまうクズな士官を出せばいいと思います。

249 : >>247
それの元ネタって何?

250 : Ζガンダム、何話か覚えてないけどマークUを取ったり取られたりしてる最初の方。
クワトロ大尉が言ってた。
カミーユが錯乱して、停戦の発光信号無視した時だったかな?だとすると「カプセルの中」の次かも。
うろ覚えですまんが、台詞自体は余りに酷いんで覚えてる。
「家族共々死刑になるぞ!停戦信号の見落としは!」みたいな。

251 : 過疎ってますな
ここの職人さんって3人くらい?

252 : 君が四人目になればいいさ

253 : ガンダムの男向けR-18小説って本当に少ないんだな
ほとんどが腐向け
pixivで探したらこのスレ関係の人たちのぐらいしか出てこなかったぞ

254 : まあ、萌え萌えキャラみたないなのはあんまいないから、
こう言う所にいるおまいらにはイマイチ人気がないんだろう。

255 : そうこう言ってる間に、南極条約が再び死亡……

256 : え?ゾンビになって生き返ってたのか?
まずそれを知らんかった

257 : 死んで生き返ってまた死んでた(この間いままで誰も気づかず)らしい

258 : エロに関しては圧倒的に腐種多いんだろうな。
ところで南極は実際に稼働してたの?
投稿とかあるって意味で。

259 : あ、南極条約復活してる

260 : そう、これで終わりではないのです。
人類が地球環境を破壊し続ける限り、第二、第三の南極が生まれ続けるかもしれないのです。

261 : ssはほとんど投稿ないっぽいね。
絵ばっかりだ。

262 : 誰か書いてよー

263 : おまえが書け

264 : ここに投下しても反応悪いから躊躇してる
どういうのなら感想書くの?

265 : >>264
躊躇したやつは書くのやめるの?
それともよそに投下するの?

266 : 面白ければ反応はあるだろ

267 : 今までの投下作はほぼ全部つまらんかったってこと?
どれぐらい上回ればいい感じ?

268 : 逆にどの程度の反応が欲しいんだ?
GJ!とかひとことじゃダメなわけ?

269 : ケルゲレン子ちゃんものなら俺が感想書く

270 : 脇キャラっつーかモブキャラか…難易度高そうだな

271 : 逆に考えれば、人物造形自由にいじれるな。

272 : とはいえ、いじりすぎてコレジャナイさんになっても微妙だろうしな…

273 : まあ書く方からすればGJだけとか乙だけもらっても、それだけではpixivあたりで無言で評価もらうだけなのとあんまり変わらないから、もう少し何か言って欲しいという気持ちにはなる
高望みしてるなあってのは分かってるけどさ、自分で感想書くのも難しいし
でも、この辺の手応えのなさに耐えられない人が書かなくなったり、よそに流出したりしてるのかなと思うことはある

274 : ロラン物なら俺が感想を書く

275 : あ、ドアンさんとこのロランね

276 : 人はいるけど好みが細分化されてるんだな
ジャンルが広すぎて住人の好みと合致しないから今の状態になったわけか

277 : 皆細かく萌対象あるならそれぞれ書いたらいいべ。

278 : >>268
正直、GJや乙の一言だけなら読まなくても書けるし、実際読まずに書くしな
古いSSの投下後にいつまでもスレに動きがないと空気が悪くなるし……
SSの具体的な内容に触れていない反応は、まあ、そういうことなんだろうと察してる

279 : むしろちゃんと読めたSSに対してならGJ!一言だけの感想なんか書かないのは書き手スレとか見てれば板の常識だと思うんだが
つまらんSSが投下されたとき、次の雑談やSS受け入れモードへスムーズに移行出来るようにするための地均しに使うおまじない以上の意味は普通ないよ
目が滑って読めないSS相手でもGJ!だけだったら書けるからな

280 : しかし、地均しが必要なほどの雑談もないという現実…
このスレだけの話?それとも板全体に活気がないのか。

281 : 264じゃないが、何となく投下しにくい雰囲気は感じる
一番の問題は活気のなさだと思うが、ロムってるやつは多いのか?

282 : 3人はいるんじゃないかな

283 : 点呼とってみる?w
言い出しっぺなので


284 : 書き手


285 : 読み手
ノシ

286 : まじで人口3人なのか\(^-^)/

287 : >>284は、「フェニックステイルの輩」さんなのかねえ?

288 : 読み書き両方 ノ
反応薄いのは気にしないがマジにただのスレ汚しになってしまうのを恐れて躊躇。
誘い受けみたいな書き込みでスマヌ。
駄作でも投下あるほうがましなのか、実際のところ、どうよ?

289 : 駄作であっても、誰かが「この位なら自分でも書けるかも」と呼び水効果もあり得ない話じゃない。
全体的に見れば駄作であっても、「ここはすごくいい!」って思える部分がある場合もあると思う。
これまで酷いのがなかっただけかもしれんけど、このスレは気に入らないから叩くって奴もいなさそう。
裾野が広がってこそ、山も高くなる。
俺は個人的には駄作も大歓迎。
どっちかっちゅーとパロ元作品で読む読まないを差別しちゃうし、その場合はスルーするけどね。

290 : 書きたいけど、設定を崩さずにしかもエロをメインに盛り込んだストーリー考えるの難しい

291 : >>290
どういう題材で書きたいの?
ちょっと相談乗るよ

292 : みんなでアイデアを出し合えば
いいものが出来るかも。

293 : >>291-292
そんなレスがあるとは思わなかったありがとう
実はぼやんとはストーリーが頭にはあってパーツはちょっとづつは書き溜めてたりしてるんだけど
何というか説明しようとするとダラダラ長くなりそうで難しい
設定の整合性やら展開やら色々考えてるとついエロそっちのけになるのが一番の問題
なんか誘い流しの書く書く詐欺みたいになってごめんなさい

294 : >>198
リクエスト絵、完成しました。pixivに出しましたので、ご覧いただければと思います。
>>287
ノシ

295 : >>294
いいですねえ!
あんな寸止めの上の濡れ衣とかたまらんわ
やっぱりかわいそうだ

296 : 暫く見なかった間にイラストがいっぱい増えてるw
イイネ、おっぱいさん大好き。

297 : 最近はエロブラゲも増えてきたしなぁ…
ガンダムのエロブラゲ…はムリか。版権元が許してくれなさそうだな。

298 : >>297
誰登場希望?

299 : そりゃまあ全女性キャラ搭乗…違った登場が望ましいけど。
フラウやキシリア様はリデザですかね?

300 : >>298
ケルゲレン子ちゃん!

301 : シムス「ニュータイプ能力はありまぁす」

302 : ちょっとクスッときたw

303 : 最強の乳タイプは誰だ?

304 : まずはキャラ・スーンかマヘリアさん
次点でロザミア、マーベットさん
オリキャラありならアイネ

305 : オリキャラありならリベカもアリか……

306 :  ご無沙汰しております。拙作フェニックステイルについて数点、ご連絡させていただきます。
○ハーメルンへの掲載開始
 pixivの他、先日からハーメルンでも掲載開始しました。pixivと異なり、一ページ内に挟める挿絵の数に制限がないことから、より柔軟に挿絵を活用したかたちでご覧いただけます。また匿名での感想書き込みが可能ですので、ぜひご利用いただければと思います。
○改稿進行中
 また本スレッドにて既に投下した分についても、逐次改稿を加えつつ、この両者での保管を進めております。現在、第十二話まで改稿済みです。
 また特に、第十三話と第十四話の中間に当たる>>100-106について、挿絵を加えた上でほぼ全面改稿したものを『散華した少女の悪夢』の題でpixivに投稿しております。
 内容もかなり大きく変わっておりますので、既読の方にもご一読いただければと思います。
○大ジオン仏道イラスト完成
 また>>198でもご要望をいただいた、大ジオン仏道のカラーイラストをpixivに投稿しました。
 年内には第十七話をお届けできるよう、準備して参ります。よろしくお願いいたします。

307 : 期待しています。
季節柄ご自愛ください。

308 : 質問なんだが、原作キャラでIF設定とか、捏造設定てあり?
個人的にはニコルを救ってあげたくてな
ブリッツガンダムとセットで好きなんだよなぁ。未だに。

309 : 原作キャラでIF設定とか、捏造設定は構わないと思うけど
念の為に言っておくが「ガンダム『ヒロインズ』スレ」だぞ?

310 : オリキャラでも何でも構わんけど、男女エロは入れてね。
ってことだよな?

311 : 確かニコルって男だったと思ったもんで
それメインでやられてもなーって思ってさ
あでも種じゃ読まないと思うからお好きに

312 : Vガンダムでネネカ隊の肉迫攻撃があったりするけど
結構生身攻撃って行われてるのかな?
一年戦争時代だと
ドズル閣下が生身でガンダムに立ち向かおうとしたり
ホワイトベース隊にラル隊が仕掛けたりしてるよね。

313 : しょっちゅうですがな

314 : 流石にネネカ隊のようなあんな格好までして攻撃仕掛ける部隊はいなさそう。
対MS用の個人携行火器もあまり発展してなさそうだし。

女性の部下はいても女性の親衛隊とか持ってるのはなかなか居ないだろうな。
(どっかでコンスコンが足長小父さんやってるってのはあったな。
ホワイトベース隊にやられたドムパイロットが彼女達だったって話だっけ)

315 : 対MS戦まで生身でやるのはレアケースでしょ
施設や艦船の内部を制圧する突入とその迎撃がメインかな

316 : まあせめてAMSMとかでも対MS用の装備がありゃ普通にそれ使う罠
肉弾戦なんてそれがなくても戦わなきゃいけない戦いたい時の苦肉の策だろうな
クワラン曹長とかみたいに

317 : 女性パイロット同士のキャットファイトとか見たいかも。

318 : >>317
ファ   「マーオ」
フォウ 「マーオ」
ファ   「マーーオ」
フォウ 「マーオ」
ファ   「マーーーオ!」
フォウ 「マーーオ!」
ファ   「マーーーーーーーーオ!!!!!!」
フォウ 「マーーーーーーーオ!!!!!」
ファ&フォウ 「ギャフベロハギャベバブジョハバ」

319 : エリスとウォルトンの続き、今でも待ってます
どこで執筆されるにしろ、ついてきます。1stとZの間ぐらい時間が経っても待ってます。

320 : 同じ時代を舞台にしているのにVOEとフェニックステイル、どこでここまで差が付いたのか

321 : 同じ時代でも差はつくだろうね…。
一年戦争時代の記録だけでもあれだけ色々話があるんだぜ。(公式的な意味で)

322 : 同じ時代を舞台にしている事と差がつく事とは全く関係ないだろ
何のどんな差かは知らんけどさ

323 : 片や時代を超えて今なお語られる名作
片や唯一の現行作でも忘れられた凡作

324 : アムロだって7年止まってたんだ。
あの復活劇読み直してなお、心からやめたいと思うならともかく、
頭の中のラストシーンにまだ未練があるなら、描きたいなら、その限りは描いていい。
描くこと自体は自由なんだ。

325 :  

326 : 一年ぶりですが、フェニックステイルを投下します。
前回投下は>>165です。
この一年間で、pixivとハーメルンに保管庫を作成しました。
そちらでの掲載分については、今までのスレッド投下分からかなりの細部改稿が施されております。
また画稿の依頼が本格化し、非常に多くの挿絵と設定画を受領しているため、それらと併せてお楽しみいただければと思います。
「フェニックステイル」で検索してください。
申し訳ありませんが、今回はエロ無しです。

327 : 「識別信号確認。接近中の不明機は友軍! P-04根拠地隊所属、ゲンナー・ウェズリー少尉及びサブリナ・ミケリヤ少尉機と確認! ――後方の戦闘艇も識別信号発信、パブリク改級哨戒艇《バチスカーフ》!」
「各砲座とMS隊、聞いたな? 撃つなよ!」
 長い前髪を揺らし、女性通信士が振り向きざまに報告する。
 すかさず放たれた艦長の号令から間髪置かず、RGM-79GSR《ジム・コマンド/ゲシュレイ》の機影がサラミス改級巡洋艦トラキアの艦橋脇を猛烈な相対速度のままで飛び過ぎていく。
 トラキアの単装・連装メガ粒子砲塔と90ミリ対空機銃群が旋回し、スクランブルでMSカタパルト甲板上に出されたロブ・サントス伍長のジムU24がビームライフルの銃口を、
その傍らでVWASSのボールも90ミリ連装機銃を巡らせて機影を追う。
 スラスターが吐く推進材の残滓をトラキアの艦体へ吹き付ける荒々しい機動に、マコトのジムU22が危なげなく追従し、やや遅れて二機のジムUが続く。
 トラキアからいったん離れたジム・コマンドは、航過する一瞬の間に艦橋へ向けたゴーグルアイを明滅させていた。
 トラキア艦橋でその発光信号を読んだ艦長リドリー・フランクス大尉は、艦長席に背を押しつけながら苦虫を噛み潰したような表情で呟く。
「『邂逅ヲ祝ス』、か。ゲンナーの野郎、よく言うぜ」
「あのパイロットを知っているのかね、艦長?」
「ゲンナー・ウェズリー少尉。パブリクの艇長上がりの札付きですよ。昔は奴のパブリクで、よく斬り込み戦をやりました。腕の方は確か過ぎるほど確かなんですがね、まあ、それ以上にいろいろと問題が多くて――」
「ふん、なるほど。『あの男』子飼いの番犬には相応しい経歴だ。それで君と一緒に戦後、ルナツーからここへ『島流し』されてきたというわけだな」
「ハハハ。その辺はまあ、室長のご想像にお任せしますよ」
 言いながら、リドリーは艦橋へ迎え入れていた『来客』の片割れに目を向ける。
 トラキア艦橋への来客は二人。一人は今後の航路の相談や被弾した機関の修理状況、今回の襲撃事案とその事後処置に関して直接話し合っていた、民間貨物船《リバティ115》の船長。
 そしてもう一人は、そのリバティ115に思いがけなく同乗していた船客――地球連邦政府の官僚だった。
「しかし、まさかゴードン室長が民間貨物船でP-04へお越しになるとは思いませんでしたよ。自分も何も聞かされておりませんでした。それでVWASSを護衛に付けて来られたので?」
「フランクス大尉。一応、断っておくがな。何も俺がVWASSを護衛に付けたわけじゃない。
 VWASSの護衛付きでP-04まで行く船があるのをちょうどよく見つけたから、船長に頼んで潜り込ませてもらった。それだけだ――俺にはそんな権限も、予算もないよ」
 自嘲するように淡々と言いながら、背広姿の男はふっと大きく息を吐いてのける。
 現サイド4行政における実質的な最高権力者、シド・ゴードン――地球連邦政府、サイド4復興再開発事業室長。
 その肩書きは『局長』ではなく、『部長』ですらなく、たかが『室長』であるに過ぎない。
 それでもゴードンがサイド4における最高位の文官である事実に変わりはない。
 だがゴードンのその肩書きこそが現在の地球連邦政府における、サイド4復興事業の優先順位に関する現実を何より雄弁に物語っていた。
 すなわち一年戦争の緒戦で大打撃を受けたスペースコロニー群――無傷で残ったジオン共和国(サイド3)とサイド5(旧サイド6《リーア》)を除く各サイドの復興においては、損害が比較的小さかったサイド1と2を優先し、次いでほぼ全滅した6(旧サイド4《ムーア》)。
 そして完全に全滅した4(旧サイド5《ルウム》)は後回し、というわけだ。
 大局から見るならば、真っ当な判断ではある。
 コロニーが一基残らず完全に全滅、ジオン残党その他の怪しげな者どもが跋扈する暗礁宙域と化してしまったサイド4の復興は、あまりにも手が掛かりすぎるのだ。
 わずかな小拠点へへばりつくように残った人口も、他サイドに比べれば無視できるほどに小さい。
 それよりも地球圏全体を見渡せば、いま存在するあまりに多くのスペースノイド難民を収容するため、少しでも多くのコロニーを少しでも早く復旧することが重要である。
 そのためにはサイド1と2の復興を最優先にせざるを得ない。

328 :  かつて数十のコロニー、数百数千の艦船だった無数のデブリが巨大な暗礁宙域を形成するサイド4宙域は、見通しも利かず危険なために船舶の行き来すら満足に出来ない、正真正銘の魔の宙域だ。
 さらにその暗礁宙域は四年前の《デラーズ・フリート》がそうしたように、今日も《ルスラン・フリート》に限らずその他多くのジオン残党や臑に傷持つ連中の隠れ家として、便利に使われてしまっている。
 まともに叩けばいったいどれだけ埃が出るのか、正確なところはもう誰にも分からない。
 むろん、地球連邦宇宙軍もサイド4駐留艦隊を置いてはいる。だがそれも広大な暗礁宙域に有機的連携を妨害されながら、どうにか各地に小規模な拠点を設けてバラバラに分散しているに過ぎないというのが実情だ。
 現状は実効支配にはほど遠く、実際に四年前のデラーズ紛争時も、サイド4宙域内に設けた拠点から出撃したデラーズ・フリートを捕捉することすら出来なかった。
 サイド4駐留艦隊の各拠点間は、単純な直線距離でならそう離れてなどいない。だが濃密なデブリとミノフスキー粒子のため、相互の連絡が密に行われているとは世辞にも言い難い状況である。
 先日『大ジオン仏道』の襲撃によって轟沈したサイド4駐留艦隊の巡洋艦アバリスも、トラキアとは異なる根拠地と戦隊の所属であり、それゆえまともな接点も交流もほとんどなかった。
 いや。異なるのは、単に所属部隊ばかりではない。
「しかし、ゴードン室長。艦隊司令部を通していただければ、室長のお供に正規巡洋艦の一隻や二隻は工面できましたのに」
「ふん、言ってくれるな。君がいちばん良く知っているはずだろう――サイド4駐留艦隊は一枚岩ではない。
 今回もたまたま救援に来てくれたのが君のトラキアで良かったが、そうでなければ……はて、一体どうなっていたことやらな」
 皮肉げにそう唇を歪めてゴードンが笑えば、リドリーはそれ以上の言葉を返せずに沈黙する。
 地球連邦政府の限られた復興予算がまず地球に、次いでサイド1と2、6に搾り取られていく中、
そこから滴り落ちるわずかな予算をサイド4のためにかき集めようと手を尽くして奔走する官僚がゴードンという男であることを、リドリーは知っていた。
 そして、それゆえゴードンの存在を疎む者が、地球連邦政府と軍の中にも――当然、当のサイド4駐留艦隊の中にすら、少なくないということも。
「……それに今回は、なにぶん火急の用件でな。軍に根回しする余裕がなかった。あと、少し……あと少しなんだ、艦長」
 艦の前方を周回したジム・コマンドが僚機のジム・キャノンと、ようやく足並みを揃えたトラキア隊のジムU三機を引き連れるようにカタパルトデッキへ進入してくる。
 淀みない着艦動作による鈍い衝撃がトラキアの艦体を揺るがす中、リドリーはその呟きを聞いた。
「やっと『本物』の、チャンスを掴んだ。サイド4は、L1は、これで――本当に、甦る」

329 :  巡洋艦トラキアのMS格納庫は、にわかに色めき立った。
 模擬戦訓練のさなか、予期せず登場した二機のMS。
 その二機から急な着艦と補給の要請を受けて、それでも大した混乱もなく格納庫内を整理し、短時間のうちに整然と受け入れ準備を完了できたのは、ウェンディ・アーデル曹長率いるトラキアMS整備班の高い能力を証明するものだったろう。
 模擬戦に参加せず整備中だったロブ・サントス伍長のジムU24は、不明機発見の報で警戒任務に出されたきりだ。格納庫内へ収容して整備中だったVWASSの《ボール》も、バートン班長とアシュリーの操縦で艦外へ出ている。
 そうして無理矢理に空けたスペースを通った四機が、いまMSベッドにその身を横たえていた。
 そのうち二機は模擬戦訓練を繰り広げてきたトラキア所属の艦載機、シュン・カーペンター伍長のジムU23と、アイネ・クライネ伍長のジムU25。
 そして残る二機は《P-04》駐留部隊のMS――RGM-79GSR《ジム・コマンド空間戦仕様改/ゲシュレイ》と、RGC-80SR《ジム・キャノン空間突撃仕様改》だった。
「あの、《ジム・コマンド》のパイロット……」
 自機同様にトラキアMS格納庫のベッドにその身を預け、冷却材の充填・循環を受けて放熱していくその機体を全天周モニター越しに睨みつけながら、アイネは慄然と呟いていた。
 シュン・カーペンター伍長と繰り広げた激しい模擬戦の最後に、敵味方識別信号も伏せたまま照準レーザーを放ち、突如として接近してきたその機体。
 RGM-79GS《ジム・コマンド》は一年戦争末期に投入された、いわゆるオーガスタ系の後期生産型ジムの一種だ。
 高出力のスラスター多数を装備することで高い機動性を誇る一方、同時に推進材の消費が激しく継戦性が低い、という特性を持った局地戦仕様機である。
 運用側と操縦者の両方に機体の特性を理解した高度な戦術眼がなければ、高いカタログスペックを活かすこともなく、早々に推進材を尽かしてただのデブリに成り下がる。
 そのため多くが腕利きパイロットに配備されたという、そんな尖った機体だった。
 そして《ゲシュレイ》はジム・コマンドにジムU規格の部品を可能な限りに組み込み、局地戦機としての特性はそのままに性能の底上げを図った機体ということだ。
 それがP-04の拠点警備隊に配備されている主力MSなのだと、アイネはトラキアで与えられた資料の内容を反芻していた。
 そんな機体を完全に乗りこなして見せつけられた技術はまさに圧倒的で、自分の遠く及ぶところではない。
 しかし同時にその行為は完全に軍規を無視し、友軍相撃すら引き起こしかねない危険行為だった。容易に許せるものではない。
 順調に冷却され続けていた機体温度が安全域にまで達して、アイネは管制の指示に従いながらコクピットハッチを開放した。他の三機もほぼ同時にハッチを開く。
 アイネは視線をジム・コマンドから降りてくるパイロットに据えたまま、自らもパイロットスーツのバックパックに掛かったリニアシートとのロックを解く。立ち上がろうとした。
「っ!」
 そしてアイネはその男が繰り出した次の動きを見て、その表情をさらに大きく引き攣らせる。
 カタパルト甲板上に22を露天繋止してきたマコトが、ハッチから格納庫内まで降りて、壁沿いのタラップに姿を見せていた。かと思えば彼は自機のハッチを蹴るや、そこへ一直線に飛んでいったのだ。
 ヘルメットを背中へ掛けながらマコトの眼前で身体を止めると、その豊かな胸元へ下から潜り込むようにしながら、気安い調子で話しかける。
「よぉマコト。てめェ相変わらず男殺しのエロい身体してやがるな。だからその乳いっぺん揉ませろ。っつーか、一晩抱かれろ」
「ヤですよゲンさん。いい女なら、そっちにもう一人いるじゃないですか」
 顔中に古傷を刻んだ中背の男は開口一番、マコト相手に下卑た軽口を叩いた。だがマコトも唇の片側を平然と釣り上げ、からかいを返すように悠然と笑ってのける。

330 :  そのマコトの視線の先では、ジム・キャノンのコクピットから降りた女性パイロットも泳いでくるところだった。
「ダメダメ、マコト。あたしゃれっきとした人妻だよ? こんなふざけた死に損ないのクソ野郎ごときに揉ませてやれる乳なんか無いよ」
 凛とした美女はショートの髪を揺らしながらその豊かな胸元を誇らしげに抱き寄せ、さっぱりした風で笑い飛ばした。
「うるせぇぞサブ。ガキと亭主にさんざ吸われたてめぇの萎び乳なんざどうでもいい、つってんだよ」
「ゲンさん、そういうのを酸っぱい葡萄って言うんですよ」
「ああん? てめぇの乳首がもはやすっかり干し葡萄だって話か?」
「いやいや、ゲンさんの枯れた小枝じゃあどんなに振っても届かないって話ですよ。あたしゃ高嶺の花でして」
「はっ、抜かせ。俺ので叩きゃあ一気に濡れて弾け落ちるぜ」
「マコト、おひさっ。元気してた?」
「ええ、サブリナ。おかげでどうにかやっていますよ」
 サブ――サブリナ、と呼ばれたジム・キャノンの女性パイロットは、ゲンナーをマコトの側から押しのけるような強引さで身体を止めた。そのままどこか懐かしむように、彼女はトラキアMS格納庫内の様子を眺め回す。
「ふぅーむ。しっかし、アレだ。この艦もさあ、私らのいた頃からぜんぜん変わんないよねぇ……てか、あの分捕り品のMSベッド、まだ使ってたんだ?」
 サブリナが指さしながら呆れるように言い放ったのは、アイネのジムU25が巨体を預けているベッドだ。ジム系MSにも適合するように手を加えられてはいるが、その原型は旧ジオン公国軍規格の代物だった。
 一年戦争時代にトラキアがゲリラ戦で襲撃したムサイ級巡洋艦から鹵獲してきたもので、紆余曲折を経つつ、結局七年以上も使われ続けている。
「恥ずかしながら、ここは相変わらずご覧の通りのゴチャゴチャですよ。一式丸ごと最新設備で改装すれば、このトラキアでもスペースを効率化して六機運用体制が構築できると言いますが、なにぶん予算が。
 六機体制の確立は、まだまだ先の話でしょうね」
「はっ。そりゃ要はティターンズだろ。今日日の予算はあの地球上がりの穀潰しどもがあらかた飲み干して、その余りモンをルナツーとコンペイトウの傍流連中で回し飲みだからな。
 こんなド田舎の部隊にまで回してやれる絞りカスなんか無ェ、って話だろうよ」
「ふーん。……ま、いろいろキッツいのはこっちも同じか……」
 整備兵の行き交う格納庫内を眺め回して物憂げに呟くサブリナに、マコトは改めて問いかけた。
「そういえば今日は、お二人ともどうしたんです。《P-04》のトップエースお二人が、たまたま哨戒中にウチの模擬戦を嗅ぎつけて……といったわけでもないでしょうに」
「ハハッ。まあ、それはさぁ――」
 サブリナは快活に笑い、そして不意にマコトへ顔を近づける。肩を組みながら急に声を落とし、他に聞こえない調子で続けた。
「……で。どうだった、マコト?」
「どう、……とは?」
「だから、とぼけなさんなって」
 不意に調子を変えてきたサブリナにも、マコトはあくまで平静を保つ。だがサブリナは深く、陰の濃い笑みを浮かべてのけた。
「《エゥーゴ》。やり合ったんでしょ?」
「……さすがサブリナ、お耳が早い」
「ナニ言ってるのさ。あんたらの上げた第一報からこっち、《P-04》じゃあずっと幕僚どもが上へ下への大騒ぎ。あれで聞こえてこない方がどうにかしてるよ」
 新たな強敵《エゥーゴ》、宙域に現る!
 トラキアから風雲急を告げるその報は、ジオン残党勢力との実戦に慣れたP-04の面々までもを浮き足立たせたらしい。それもあの衝撃的な戦力を思えば無理からぬことではあろう。
 それでもエゥーゴとの接触やその動向などに関する情報は、最重要機密に類する情報のはずだ。
 一介の第一線パイロットの身でありながらそれをあっさりと入手しているサブリナの情報網に、マコトはただ苦笑した。
「それよ、マコト。どうなんだ、奴ら。骨はありそうなのか?」
 そして正面からも、距離を詰めたゲンナーが不敵に――本当に楽しげに獣じみた笑みを浮かべ、爛々と目を輝かせながら尋ねてくる。さすがに諦めたように、マコトも大きく息をついた。

331 : 「基本は軍人崩れとにわか民兵の寄せ集めのようです。しかし士気は旺盛で強力な新型機に、手練の士官も揃えている気配がありました。……連中、単にジオンの残党連中が衣替えしただけ、ってわけでもなさそうです」
「ほぉ。まるっきりの新手ってわけだ。だがマコト、俺は細かいところはなんでもいいぜ。俺が知りたい、肝心のところはほんのひとつだ――」
 マコトの言葉を受けて、くくっ、とゲンナーは笑う。その笑う瞳が濁るように暗い光が宿るのを、マコトは見ていた。
「なァ、マコト……そのエゥーゴどもは、ルスランのジオン残党どもと同じぐらいには、俺を楽しませてくれるのか?」
「……ええ。おそらく、ゲンさんのご期待には……添えると、思いますよ」
 マコトの答えに、にい、とゲンナーが笑みを深めた。
「そうかァ。お前が言うなら安心だ」
「――で、マコト。いま表で模擬戦やってた二人は誰? ガルノフとロブじゃあなさそうだったけど」
「ええ、そうですね、せっかくなので挨拶させましょう。23、25。来い」
「……はい!」
 マコトから無線で呼ばれて、アイネとシュンはほぼ同時にそれぞれの自機からコクピットハッチを蹴った。顎を引き、負けん気と真剣さを前面に出して飛来するアイネを前に、ゲンナーとサブリナは目を丸くした。
「え? この子ら、新しく入った若手? うはー、でか……、でえっ、かあっ……。いや、しかし。二人とも、かわいいね?」
「おい、マコト。なんだアレ、オイ」
「なんだ、とは?」
「だって、アレ、……どう見ても、お前のより、さらに……」
 自分の胸の前で巨大な球体ふたつの存在を表現するような手振りを繰り出すゲンナーと、ただ感心したように二人を交互に見るサブリナを前に、マコトは到着した部下たちを澄まし顔のままで紹介した。
「いま小隊でハイパー・バズーカの運用を任せている23、シュン・カーペンター伍長と、先日撃沈されて全滅した友軍艦《アバリス》MS隊の生き残り、25のアイネ・クライネ伍長です。我がトラキアMS隊の期待の俊英ですよ。
 ――こちらは《P-04》拠点警備隊所属、ゲンナー・ウェズリー少尉とサブリナ・ミケリヤ少尉だ。二人とも、元は本艦MS隊に所属していた」
「「よろしく願います!」」
 マコトから相互の紹介を受けて、二人はその場に姿勢を正しながら声を合わせる。サブリナは二人をじっくりと見た後、不意に相好を崩しながらシュンに向かって微笑みかけた。
「へえ〜……? マコトがバズを君に、ねえ……。ねえ、シュン君。この艦、女が多いでしょ」
「? は、はい。確かに、宇宙軍一般の比率より、女性乗員が多いとは思っておりますが……」
 ぐっと近づいてきたその笑顔を前にしながら、やや下がり気味にシュンは答えた。
 MS隊の要職を占めるマコトとウェンディを筆頭に、トラキアには女性乗員が多い。その比率は実に四割近く。
 一説によれば一年戦争時には連邦宇宙軍の実に三割を女性将兵が占めたとも言うが、その後の軍縮に伴う動員解除で、女性比率は再び大きく低下したはずだ。トラキアの比率は確かに異例と言えた。
「で、どう? シュン君。その中に、イイ女、……いた?」
「!?」
 サブリナは艶めいた声で囁きながら、シュンへもたれかかるように身体を寄せる。ヘルメットの下で汗ばんできた髪から漂う女性の香りに、シュンは思わず頬を赤らめながら下がった。
 だがサブリナはそんなシュンを逃がすことなく、同一距離のまま追いかける。あっさりとタラップ際に追いつめた。
「ふふっ、君。ひょっとして、今フリーだったりするのかな? ――なんだったらこの後、お姉さんが一対一で、さっきの模擬戦の特別指導をしてあげちゃおうかな――」
「しょ、少尉殿……っ」

332 : 「…………」
 傍観するアイネの表情がにわかに冷たく険しさを増し、ぎゅっと拳を握りしめながら、サブリナの肩越しにシュンを冷たく睨みつける。
 だがシュンはアイネの視線を感じながらも、サブリナに主導権を奪われたまま欄干の奥へ押し込まれていくしかない。
「ほう、そうですかサブリナ。それはご親切にどうも……向こうに着いたらその件についてしっかりと、ご主人に直接お礼を言わないといけませんね」
「!!」
 そのとき背後でぼそり、とマコトが一言呟いた。それが耳に入ったとたん、サブリナは電撃されたようにびくんと震える。それから錆び付いた歯車のようにぎこちない動きで、マコトへ恨みがましく振り向いた。
「ちいいぃい〜っ……! おのれマコト、許せん。自分ひとりだけ若いツバメ囲って、イイ思いしやがって……!」
「サブリナ、未婚の女のみんながみんな節操なくやってるわけじゃないです。アレと一緒にせんでください」
「やっほー! ゲンさんにサブちゃん、おひさーっ!」
『アレ』と呼ばわりながらマコトが投げた視線を逆に手繰ってきたかのように、ちょうどマリエル以下の部下たちに一通りの作業指示を飛ばし終えたウェンディが、格納庫作業へのとっかかりを付けさせて飛んできた。
「おー、まだ生きてたかウェンディ」
「おうよゲンさん! 女ウェンディ、バリバリだぜい!」
「しっかしアンタさー、いつ見てもツヤツヤしてるよね。羨ましい。何か秘訣とかあんの?」
「んー。秘訣、ねえ。何だろ、……『好き嫌いせずに、おいしいものは何でもちゃんと食べること』……かな?」
「…………」
「なるほどわかった。単に相変わらず、ってこったね」
 微笑みながら一瞥してきたウェンディの視線から、アイネは不器用な笑みを浮かべながら半歩引く。
 そんなアイネを見るでもなしに、サブリナはため息混じりに頭を振った。気を取り直したように、シュンへ再び微笑みかける。
「あ、カーペンター伍長のことは前から聞いてるよ。久々の大型補充新人ってね! へーぇ、君だったんだぁ。その前がガルノフとロブだったでしょ? 君みたいな男子がいてくれるとー、お姉さん、嬉しくなっちゃうんだなー。ヨロシク!」
「よ、よろしく願います……」
「…………」
 背後から刺さるアイネの視線を知ってか知らずか、半歩引きながらぎこちない調子でシュンは答える。そのしぐさにも満足の意を見せながら、次にサブリナは背後のアイネへ目を転じた。
「でも、クライネ伍長……だっけ? マコト、さっき、アバリスの生き残りって言ってなかったっけ」
 サブリナがアイネを見た。その神妙な視線を向けられて、アイネはその場にびくりと姿勢を正したまま立ちすくむ。
「『大ジオン仏道』にやられた艦でしょ? 確かあれ、全滅したんじゃなかったっけ。トラキアの上げた第一報もそうだったと思うんだけど」
「ええ。唯一の生き残りが彼女でした」
「ちょっと待った。そこが分かんないんだけど……生き残り? 大ジオン仏道にやられて?」
 サブリナの声が大きくなった。まじまじとアイネの顔を見つめてから、マコトに言う。
「……あいつら、サイド4の外じゃあ凄いみたいよ。完全成仏だか極楽浄土だかなんだか知らないけど、とにかく襲った相手は徹底的に皆殺しにして、目撃者を誰も残さない。
 だから名前はほとんど売れてないんだけど、どうもルスランの『外回り』に関わってるみたいでさ。
 よその方面じゃ拠点や小部隊の襲撃から要人暗殺までもう何でもありで、あちこちの部隊で古株の手練も含めて相当殺られてるのが、実はその大ジオン仏道の仕業らしいって話になってきてんのよ。
 ――クライネ伍長、そいつらと戦って生き残ったってことでしょ。それ、相当すごくない?」
「はっ。自分も撃墜され、気絶しながら漂流しましたが、今ここにこうしていられるのはハヤカワ准尉以下、トラキア隊の迅速な救援のおかげです。おかげで九死に一生を得ました! このご恩は必ず戦場働きで返します!」
「いや、そうじゃなくて」
 ここしばらくで慣れっこになった、もはや定型の説明を力強く返したアイネを、軽やかに押しとどめて捌きながらサブリナは尋ねた。

333 : 「あいつら、すごい勢いでトドメ刺しに来るでしょ、って話よ。撃破して戦闘力を奪った相手でも、その生き残りをいちいちビームでノーマルスーツを一人一人焼いて回ったりするらしくて、それで目撃証言がほとんど残らないらしいんだよ。
 よく見逃されてたね? 特にMSパイロットで奴らと戦って生き残った人間は、私の知る限り他に存在しない。徹底してるのよ、奴ら」
「そ、それは……」
 そう言われてみれば、確かにそうだ。
 大ジオン仏道のゲルググは、わざわざアバリスMS隊長の脱出ポッドを捕らえてビームナギナタで破壊した。
 アバリスに最大規模の誘爆を発生させての大爆発で轟沈させ、そして、自分も……自分のことも、機内に閉じこめながらビームナギナタで殺しに来た、ような、気がする。
 だが、あれは単なる悪夢。現実ではなかったはずだ。そうでなければ、自分が今ここでこうして生きていることの説明がつかなくなる。記憶にないどこかのタイミングで、自分は無意識のうちに脱出に成功していたのだ。
 しかし……いったい、どのタイミングで?
「…………」
 アイネが言葉に詰まり、背後のマコトが何かを切り出そうとしたとき、予期せぬ方向から助け船が来た。
「まァ気にすんなよサブ。世の中、理屈で図れん不死身の人間ってのもいるってこったろ。
 俺だってパブリク乗りの時分さんざ落とされたが、その都度毎回死に損ねた。大ジオン葬祭だかなんだか知らんが、そいつらだって食い残すこともあるだろうよ」
「ああはいはい。そりゃまあ『リバース・エース』不死身のゲンナーに言わせりゃ人間、機体が爆発しようが船ごと爆沈しようが生身でザクマシンガンに狙い撃ちされようが、そう簡単にゃ死なないことになっちまいますよ」
「だからそんなもん、別に俺だけに限った話じゃねェだろ。
 マコトだってジオンのわけのわからん連中にぶち当たったのに生き残って、何だか言うご大層な渾名を貰ったことがあるらしいじゃねぇか。それにほら、昔あいつもいたろ、あいつ――」
 ゲンナーは記憶の糸を手繰るように顔をしかめ、そして何気なく、その思い出した名を口にした。
「エリナ。あいつもかなりの不死身だったろ」
 一瞬。
 その名を聞いた瞬間、アイネはなぜか、ぞくりと全身が総毛立つような気配を感じた。
「あいつも似たような感じだったろ? ボールで出撃して、なんべんも派手に撃墜されて。ソロモン戦の時に俺も一回見たが、
直撃もらって機体が消し飛ぶくらいの大爆発で、どう考えてもあれ死んだろって殺られ方だったのに、どうにか生きて戻ってきてたこともあったろ。すげえな、あれでどうやって生き残ったんだあいつ。
 そういやその時、おかしなこと言ってた奴もいたな。その撃墜の後ノーマルスーツも無しに、素っ裸で宇宙を漂うエリナを見た、とかって奴がいたよな。覚えてるか?」
「何それ? エリナはア・バオア・クーの時もあたしの編隊にいたよ? ソロモン戦でボールごと爆散したり、宇宙に素っ裸で放り出されてたら、さすがにア・バオア・クーで出撃できんでしょ」
「知らねえよ、見たって言ってた奴に聞け……あ、でも言ってた奴も死んだわ。あいつ誰だっけ? こっちは名前も思い出せねえ」
「あはははは。すっかり戦場伝説ですね」
 マコトが笑った。
「あの頃はもう、何でもかんでも乱戦でしたから。補充と再編成を繰り返しながら、ジムとボールでかっちり組んだ編隊だってすぐに崩れるような勢いで敵味方入り乱れながら戦ってたのに、
やられた機体が本当は誰のだったかなんて、正確なところは誰も分かってなかったでしょう。ゲンさんが見たボールの爆散は、エリナじゃなくて誰か別の機体だったんですよ」
「それにあの子さー、相当いい体してたもんね! 昔のパイロットスーツって、今のよりずっと体の線が出やすかったから……あの子の裸を想像しておかずにしてた野郎どもって、あたしゃ相当いたと思うね!
 恐怖と緊張でおかしくなっちゃったチェリー諸君が宇宙に見る幻覚としては、すんごいあり得るわ〜」
「あー、……まあ、確かに、そりゃあね……。実際そんなとこだろうね」

334 :  

335 : おいこら! のため、続きが投下できません……

336 :  ウェンディがマコトの言葉を継げば、ゲンナーは黙り、サブリナは納得したように頷く。
 だが、なぜそこでサブリナとゲンナーは自分をチラ見するのだろうとアイネは思ったものの、傍らのシュンも慌てて彼女の胸元から視線を逸らすところを目撃して、アイネは眉間にしわを寄せた。
「ウェズリー少尉、ミケリヤ少尉!」
 そのとき、マリエルが彼らの方へ上がってきた。いつも通りの強い意志を込めた態度のまま薄くて小さな胸を張り、ゲンナーとサブリナに向かって言い放つ。
「艦長から内線です。状況の報告を求めておられます。ウェズリー少尉、ミケリヤ少尉の両名はただちに艦橋まで上がってこられるように、とのことです!」
「おお、こわ。リドリー君、こわっ。敵味方識別装置の不調が原因、ってさっきちゃんと報告しといたのになあ」
「艦長殿のご命とあらば、出頭せにゃあなるまいよ――マコト、また続きは後でな」
「ええ。久々ですから、リドリーも楽しみにしていると思いますよ」
 気迫を乗せて睨みつけてくるマリエルの言葉にも、サブリナはニヤニヤと笑い、ゲンナーも不敵に笑い飛ばすだけだった。が、そのとき急にサブリナが振り返る。
「それから、ガルノフ!」
「ひっ」
 彼女が一喝すると、格納庫の物陰で聞き耳を立てていた巨漢の影がびくりと震えた。サブリナがぎろりと睨む。
「ウェンディから聞いてるよ! アンタ、肝心の時になんだかアホな怪我して出撃できなかったんだってね!? たるんでんだよ! 後でたっぷり絞ってやるから、覚悟しときな!」
「み、ミケリヤ少尉ぃ……勘弁してくださいよぉ……あ、あれは、あれは不可抗力で……」
「やかましいわボンクラァ!! お前いまのトラキアMS隊の序列二位だろうが! それで下に示しが付くと思ってんのか!? あぁん!? 後で殺す! 死ぬまで殺す!!」
「ん、んな殺生な……」
 怒鳴りつけられてへたり込むガルノフを一際嬉しそうに見つめるウェンディをよそに、ゲンナーとサブリナは艦内通路へ続くエアロックへ身を躍らせた

337 : つC

338 :  ウェンディも無言でマコトの肩を叩くと、マリエルの冷たい瞳に迎えられるようにしてジム・コマンドへ飛び去る。
 そしてタラップ際には、三人のMSパイロットだけが残った。
「あの、ハヤカワ准尉……」
「どうした?」
「えっと、……その……」
 シュンとともに残ったアイネは迷いながら、しかしやがて意を決して、おずおずとマコトに質問した。
「エリナさん、って……ハヤカワ准尉の、戦友の、方……ですか?」
「そうだ」
 ――どんな方、だったんですか。
 しかしアイネは言葉を継げず、氷柱のしずくでも背中へ落とされたように、その場に堅く立ちすくんだ。
 殺気。
 たった一言で質問を切り捨てたマコトが発する気配は、鋭く、もはや殺気に近い何かだった。
 アイネはその目に覚えがあった。口調だけは和やかに、微笑みながら、しかしその『エリナ』の記憶をゲンナーが語ろうとしたとき、その話題に入り込んで流れを変えたときの、まったく笑っていない、あの目だった。

339 :  それ以上、いっさいの質問を許さない。そんな無言の強烈な圧力を伴いながら、ふっとマコトは柔らかく微笑み、二人へ短切に命じた。
「機体について、整備への申し送りがあるだろう。行け」
「……はっ!」
 その微笑みでアイネを縛っていた、見えない縄が切り落とされたようだった。どっと汗が吹き出る。そうして命じられれば、二人はそれぞれの機体へ向かって飛ぶしかなかった。
「……存在しない」
 最後にひとりその場へ残り、25のコクピットへ消えていくアイネの後ろ姿を見送りながら、マコトは暗い瞳で呟いた。
「不死身の人間など……、存在しない」
 そっと目を閉じる。
「エリナ……」

340 : >>337
支援ありがとうございました。
一年間投下しない間に、また掲示板の仕組みが代わっていたようで面食らいました。
長文書きにはずいぶん厳しくなったというか……。
次回は近いうちにお見せできればと思います。

341 : 乙です。
これからも楽しみにしてます。

342 : おー続き来てたのか
乙!

343 : Pixivの方に、今回登場のゲンナーとサブリナの画稿が上がりました。
次回以降、新展開にてしばらくジオン残党側視点になります。
ご感想お待ちしてます。

344 : 感想書くのはードル高いけど
楽しませて貰います

345 : >>2にある関連サイトのうち、
■公式サイト
AC:機動戦士Zガンダム エゥーゴvs.ティターンズDXサイト
http://www.bandaigames.channel.or.jp/list/ac_zdx/
GNO ガンダムネットワークオペレーション
http://www.gno.ne.jp/
■SS保管所三つぜんぶ
あたりは次から削除していいよな?
サービス停止してたり404だったりだし。

346 : サイコフレーム共振て最強ですね
なんでもありだもの。
みんな勝てない

347 : Gレコはここの対象作でよいのかな。
ミック・ジャックとクリムで、読みたいもんだ。

348 : まず自分で書いてみればどうだろうか
1、2レスものでも

349 : こんな過疎板の過疎スレにまだ新参さんが来ることに驚く
今のスレ民なんてもはや五人もいないだろ

350 : 1!ノシ

351 : 2

5人もいないな

352 : スレ民:2名

353 : 2人で1人ばろろおむ♪

354 : 3
本当にたまに来るだけだが…

355 : 3人いたら60匹はいると思え

356 : 4 様子見てなにもなくてとぼとぼと帰る…

357 : ウン年前に投下した書き手ですノ
保管庫無くなっちゃったのか…

358 : 5人揃ったね!

359 : 一週間かかったけどな

360 : なあに
5人集まっちまえばこっちのもんよ!

361 : なんか書くの?

362 : 1年ぶりに来たけどまだスレあってワロタ

363 : スレ民:6名

364 : 鉄血1話を見て、キャラの名前もまだ頭に入ってない状態なのに、
「主人公が、お嬢様やミサンガ編んでた娘とラブラブ風にHした後、
 前髪兄貴たちがゾロゾロ出て来て『次はどうする?』で肉奴隷エンド」
という胸糞展開を思いついてしまうのは我ながらどうかと思う。

365 : 毎度の事ながら思う
ガンダムじゃなくていいじゃん
でも看板を生かし続けるには必要なんだろうなあ

366 : 大人はいつもそうだ!本心じゃガンダムなんて思ってないくせに、これをガンダムだと言う!
こいつのどこがガンダムなんだよ!!

367 : 三ヶ月ぶりに投下します。前回投下は>>326です。
ハーメルンとpixivに挿絵付きで過去分が掲載されておりますので、これまでの話はそちらを参照していただければと思います。
新展開です。
ジオン残党軍視点で、ツインテロリ、黒髪ロング賓乳娘、三つ編み眼鏡爆乳お姉さん、黒ギャルなんかが出てきてザクで暴れます。
それではどうぞ。

368 :  少女の手指が、ゆっくりとページを繰る。
 ハードカバーに綴られたそれは、インタビュー記事だ。
 インタビュワーから一対一で繰り出される質問に少年がじっくりと答え、その難解な回答の不明瞭な部分を、記者の頼りない推測が補おうと試みる。
 そんな展開が延々と続く。
 しかし話者たる少年の言葉は常には迂遠で、抽象的な文言があまりに多い。そのうえ軍の検閲が入ったらしく、そこかしこに不自然な欠落がある始末だ。
 そこで扱われる話題に関して十分な興味と知識のない者が読もうとすれば、わずかな時間で眠りの海に誘われ、甘美な水底へ沈んでいくだろう。
 長い黒髪の少女はそんな睡魔の誘惑に耐えながら、辛抱強く読み進めていた。
 古本である。奥付によれば、一年戦争後間もない時期の出版物であるらしい。それにしては紙質そのものはそう悪くないが、ぞんざいに扱われた時間が長かったようだ。
 サイド5のとある古書店の片隅に置かれていたそれは、頁のそこかしこに何かしらシミがあったり、いくつかの頁はすでに折れ曲がって消えない皺を刻んでいた。
『最終総括・ニュータイプ論0080』。
 ハードカバーの表紙に掲げられた、やたらと若い男女ばかりが目立つ連邦軍将兵の集合写真の上で、古本はそう自身の題名を告げている。
 その集合写真の中心近くではにかむように佇んでいるのは、一年戦争において生ける伝説となった、地球連邦軍の白いMS『ガンダム』を駆った天才少年パイロット――アムロ・レイ。
 彼をはじめとする強襲揚陸艦《ホワイトベース》隊の将兵はその数奇な運命と、地球人類全体を巻き込んだ未曾有の大戦争の帰趨にすら影響を与えたのではないかとまで囁かれるほどの、空前の大活躍を成し遂げた。
 戦後の彼らは地球連邦軍最大の英雄として――そしてスペースノイドの独立と優性人類生存説を掲げたジオン公国ではなく、地球連邦の側に現れたNT部隊として、大いに祭り上げられた。
 戦争の痛みと復興への遠さを忘れようとするかのように、当時の世間は彼らの情報を求めて狂奔した。これもそんな彼らへのインタビューを通じて、NTの実像を描き出そうとした一冊だったらしい。
 そうした書籍は戦後、雨後の筍のように出版されていた。
 そして彼らが語るNTという概念の難解さと、戦後復興という眼前の課題の大きさから、すぐに世間から忘れ去られていった。結局のところ俗世にとって、NTとは一過性のブームでしかなかったのだった。
「…………」
 そんな忘れられた一冊を手に取り、自身の鼓動を聞きながら、少女は静かに頁を繰っていた。
 ひたすら続く難解なばかりの文章を、彼女は眉をしかめながら必死に追う。何か使命感を帯びたかのように、泥濘の山道を行く旅人のようにゆっくりと、次第に鈍りゆく集中力の中でも着実に読み進めていく。
 彼女の手指が、次にめくったある一頁でふと止まった。
 桜の花弁のように可憐な唇がかすかに震え、小さく言葉を紡ぎ出す。
「『アムロ・レイ』……」
 その頁には一枚、大きく写真が掲げられていた。
 文中でインタビューを受けている話者、アムロ・レイその人の写真だ。実際のインタビュー中に撮られたのだろうか。画質も良く、高精細な一枚だった。
 少女がそれまで見たことのない角度から、アムロ・レイの知られざる新たな側面を伝えようとしているかのような、そんな写真だ。
 かつて己が戦場で感じ、そしていま思うところを世の人々に伝えようと語りながらも、それらを確かな言葉として紡ぎ出して万人へ伝える術を持たず、苦悩し懊悩する赤毛の少年の姿がそこにあった。
「ニュータイプ、……アムロ・レイ……」
 いまだ表層に色濃く残る少年の端整な幼さと、あまりに濃密で荒々しい四ヶ月間の戦いによって磨き抜かれた、内なる魂。両者の相克を感じて、少女は思わず再び彼の名を呼ぶ。
 熱い吐息を漏らしながら、自らの手指を少年の頬へ添えようとした。

369 : 「ノーラぁ〜〜〜」
「っ!!」
 そのとき幼い少女の頓狂な声色が、彼女の真後ろでいきなり響いた。
 彼女は目を白黒させながら凍り付く。
 眼前に本を広げていた彼女の両腕、その両脇の下から別の両腕がにゅっと伸びて――彼女と同じぐらいに細く小さく、そして彼女同様に濃緑色を基調としたジオン系パイロットスーツを着た少女の腕が滑り込んでいる。
 そして起伏に乏しい、彼女の胸元をまさぐっていた。
「ううっ。ノーラがボクにかまってくれない……。寂しい。ボクは寂しくなると死んじゃうの。
 だからボクが今この瞬間に死んじゃったら、それはノーラのせいなの。だからさぁ、ノーラぁ。そーんな辛気くさい顔でこんな本なんか読んでないでさー、もっとボクと一緒にたわむれようぜ〜〜〜」
「……てぃっ、ティア……っ……。あ、……あんた、ねぇ……!」
 恨めしげに言いながら、その両手はなお執拗にパイロットスーツの上から胸元を捏ね回そうとし続けている。
 だが悲しいかな、ノーラと呼ばれた黒髪の少女に胸元の肉付きは乏しく、ましてパイロットスーツの生地越しとなれば掴める膨らみはさらに小さい。
 というか、ほぼ、無い。
 そんなろくでもない介入で読書を中断されたロングヘアの少女、ノーラがこめかみに青筋を立てながら怒り満面で振り向くと、長い髪をツインテールにまとめた幼い少女の不満げな表情が出迎えた。
 大きく出した額の下で大きな瞳をくりんと動かし、幼い彼女は本を見る。そして可愛らしい顔立ちの中で、不機嫌そうに眉根を寄せた。
「まーたノーラ、アムロ・レイの本なんか読んでる……。ふふーんだ。そんな変ちくりんな天然パーマより、ボクの方がずっとずーっと、ずうううううーぅっと強いもん! だからノーラはアムロの本なんか読まずに、ボクと戯れていればいいのさ〜〜〜」
「…………」
 つまらなさそうに文句をごねる間も、ティアと呼ばれたツインテールの少女は両手でノーラの胸をまさぐったまま。そして少女は最後に、駄目押しの一言を言い放った。
「ノーラはそんなのよりもっと広い心、大きな心を持ちましょー。でないといつまで経ってもこのペチャパイも、Aカップから大きくなんないぜ!」
「……ティアぁぁぁあああ!!」
 絶叫とともに、ノーラがキレた。
 よく訓練された躍動感に溢れる動きで一気に全身を捻り、自身の胸元を弄ぶ両手首を取って掴み挙げようとする。
 だがツインテールの少女はその動きを読んでいたように、猫科の野生動物じみた動きで両手を引く。発条のようにしなって体ごと飛び退き、数メートル先で天井を蹴っていた。
「バカにしてぇっ!! ティアーナあんたねぇ、今日という今日こそは絶対っ、絶対に許さないんだからぁーっ!!」
「うきゃあーーー!!」
「待てこらデコスケーーー!! 今日こそそのピコピコしたツインテふん縛って、ザクマシンガンに吊してやるーーーッ!!」
 心底楽しげな悲鳴を上げ、脱兎のごとくティアーナは逃げる。その後頭部めがけて涙目のノーラが『最終総括・ニュータイプ論0080』を投げつけた。ちょうどツインテールの分け目を狙った正確、かつ強烈な横手投げ。
 だがティアーナは後ろに目でもあるかのように、最小限の首振りだけでその一撃をかわしてのけた。二人と一冊はそのままパイロット待機室から、隣接していた広大なMS格納庫へ飛び出していく。
 そこには彼女たちが操る緑の巨人が三体、その身をベッドに横たえていた。
 それはMS-06F《ザクU》――いや、彼女たちがMS-06F3《ファドラン》と呼ぶ機体だ。整備兵たちが呆れた様子で苦笑しながら見上げる格納庫の空中に、二人の少女は暗緑色のパイロットスーツに包まれたしなやかな体を泳がせていく。
 ノーラとティアーナ。二人はジオン残党組織『ルスラン・フリート』に属するMSパイロットだった。

370 :  サイド5船籍の貨物船《ケンドー丸》は今、サイド5からサイド4宙域へと足を踏み入れつつあった。
 ケンドー丸は一年戦争後、地球連邦軍から民間企業に払い下げられたコロンブス級輸送艦の一隻だ。今は主にジャンク類を取り扱う貨物船として登録されていた。
 サイド4の復興再開発事業として細々と進められている、デブリ回収作業から得られる各種有用資源のジャンク。
 全滅したサイド4の貧弱な工業基盤では満足に再生できないそれらを、前大戦で中立を堅持したために高い工業力を維持しているサイド5――旧サイド6まで輸送して売り出し、代わって各種の物資を仕入れてサイド4まで取って返す。
 それが貨物船ケンドー丸の『表』の顔だった。
「減速終わり、機関出力異状なし。航路定針よろし」
「主レーダー及び各見張り員、全周警戒異状なし」
「あと一時間で、友軍勢力圏内です」
 船橋で次々に報告を上げる乗員たちの表情も、心なしか明るい。それらを受けた老船長もまた、一段高い席上から鷹揚に頷きながら、傍らに立つスーツ姿の女性に声を投げかけた。
「ファーガスン大尉。残念ながら、どうやら貴女のMS隊が実戦経験を重ねる機会は今回、これ以上はなさそうだな」
「平和が一番です、キャプテン。あの子たちの鍛錬よりも、皆さんが無事に帰れることの方が大事ですから。あと少し――最後まで、無事の航海をお願いしますね」
 船長からのおどけたような言葉にも、丸眼鏡を掛けた彼女は優しげな微笑みを添えてたおやかに返す。
 ファーガスン大尉と呼ばれた彼女はやや幼い顔立ちの、若く美しい女性だ。
 一筋の三つ編みにまとめられた栗色の髪と、小柄なスーツ姿の胸元で並外れた質量を主張する二つの膨らみが、ともに柔らかくたわわに弾む。控えめな彼女のそんな可憐な仕草だけで、船橋には暖かな空気が満ちた。
 イオタ・ファーガスン大尉はルスラン・フリートの『外回り船』に同行し、護衛を中心に各種の作戦行動を行うMS隊の指揮官だった。ファーガスン隊はノーラとティアーナの少女二人を含む、女性パイロット四名で編成されている。
 ケンドー丸は出先で入港時の検査を避けるため、正規戦闘艦のように有力な固定武装を持っていない。ほぼ非武装であるケンドー丸にとって、唯一の有効な戦闘力となるのが彼女の率いるMS隊、三機のザク・ファドランであった。
 サイド4宙域への進入という、長期航海の最終段階――連邦軍との不意の遭遇もあり得る局面にあって、彼女はそのMS隊指揮官として船長と調整するため、あるいは突発的な不測事態へ対処するために、この船橋を訪れているのだった。
「このまま、何事もなければ良いのですが」
「――しかし船長。今週、未だに《週刊誌》が届かないのは気になります」
 イオタに癒されたように和やかな空気が広がる中、ひとり訝るように操舵士が呟いた。
《週刊誌》とは、彼らルスラン・フリートが買収した地球連邦軍サイド4駐留艦隊のある巡洋艦から定期的に届く、連邦軍内部情報レポートの隠語だった。
 その連邦艦が要求してくる賄賂は決して安くはなかったが、どうも艦隊司令部の中枢に安定した人脈を築いているらしい彼らの情報はかなりのものだった。
 このためにケンドー丸やルスラン・フリートの他の偽装貨物船は、少なくともサイド4宙域周辺においては今まで、連邦艦隊との遭遇、臨検や交戦などという事態をかなりの部分まで免れ続けることが出来ていたのだった。
「確かにな。今回、前の週刊誌から、ちと長い……」
「やはり、何かあったのでしょうか?」
 イオタもまた、誰へ言うともなく不安げに呟く。
『週刊誌』のわずかながらの、しかし、いつにない遅配。その事態の陰に何か不穏な気配を感じたがため、彼女は今こうして船橋を訪れているのだから。
「ここまで来ては、引き続き警戒を厳に……としか言いようがないな。彼女たちは?」
「二時間前から全員を起こしています。今は皆でアラート待機についてくれています」
「そうか。なら、万一でも安心だな」
「はい、船長」
 船長とイオタが微笑みを交わし合う。だがイオタはそのとき老船長の表情の陰に入り交じった、わずかな寂しさを見逃していなかった。
 その『万一』があったとき、丸腰のケンドー丸が持つ唯一の剣にして盾、ザク・ファドランを駆って最前線で命を懸けることになるのは、彼の孫娘のような年頃の少女たちなのだから。

371 : 「いずれにせよ、あと一時間でそれも終わる。それまで頼むよ、ファーガスン大尉」
 だがそれも一瞬のことで、船長は破顔した。このまま暗礁宙域を進行し、その途中で彼らは連邦政府へ申請してあった航路を外れ、ルスラン・フリートの拠点へと向かう。その勢力圏内まで辿り着ければ安心だ。
「一ヶ月ぶりの我が家、か」
「ほう? サイド4の我らが同志は、この廃墟を我が家と仰るか」
 そのとき船橋に朗々と、不意の来訪者が声を響かせた。
 イオタと船長は同時に振り向き、そしてイオタは戸惑いを、老船長は苦み走った表情をそれぞれ浮かべる。
「グロスマン大尉。私はまだ、軍服の着用許可は――」
「許可? この期に及んで、許可など必要なのですか! 我らジオン公国軍人が、この誇り高きジオン公国軍服を身に着けることに!」
 苦みばしった口調で咎めた船長に対し、ジオン公国軍尉官制服を身につけた男は揶揄するような口調で反駁していた。
 イオタや船長をはじめ、ケンドー丸の乗員たちはみな私服だった。ジオン残党組織ルスラン・フリートに属してはいても、その所属をことさらに誇示するような軍服の類を着ている者は誰もいない。
 例外は格納庫でアラート待機中のMSパイロットたちのノーマルスーツぐらいのものだ。
 それは確かに軍人の誇りなどというものからかけ離れた、正規軍らしからぬゲリラとしての振る舞いではある。
 だがそれは、いつ現れるとも知れない連邦軍部隊というより、むしろその他の民間船舶などとの接触を考慮してのことだった。
「同志は地球圏の各地に散り、仮の住まいは数あれど、我々にとっての真の家――取り戻すべき故郷はサイド3ただ一つ。
 連邦とその傀儡どもの手に落ちた故郷を取り戻さんがため、我らは今もこうして戦っている……違いますかな、ファーガスン大尉?」
 グロスマン大尉と呼ばれたその男は、歴戦に鍛えられ、どこか暗い光を宿した双眸で船橋内を一瞥した。そのまま、怯んだようなイオタの手前まで一気に跳ぶ。
 よろめくように後ずさったイオタを船橋の壁際にまで追いつめながら、グロスマンは女性としてもそう身長の高い方ではない彼女へ頭上から囁くように語りかけた。
「あっ。えっ、その……っ」
「敵の気配があるのなら、ぜひ私の部隊にお任せいただきたい。機体をお貸しください。実戦のキャリアが違いますよ。
 ここまでの船賃と、サイド5の同志が受領したザクの分を多少なりとも、槍働きでお返ししたいものでしてね。
 辺境部隊の腐った連邦兵ごとき、三倍だろうと即座に殲滅してご覧に入れましょう。貴女の美貌のために、ね……」
「ぐ、グロスマン大尉……」
 ギュンター・グロスマン大尉は、サイド5方面で活動していたジオン残党組織の構成員だった。
 いわゆる『外回り』に従事するルスラン・フリートの主要任務のひとつが、彼らが潤沢に保有するMSと、外部の残党組織が有する人材との交換である。
 ルスラン・フリートの開発したザクUF型の改修機ファドランは、地球連邦軍が一年戦争後に配備を進めたMS群、ジムUやハイザック、ガルバルディβといった戦後世代の新型機にも対抗可能なスペックを有している。
 このファドランの新造機をそのまま供与する、あるいは外部組織が未だに運用を続ける陳腐化したザクUを改修し、ファドラン仕様にアップデートする。
 ルスラン・フリートはそうしてMS戦力の拡充と近代化を破格の条件で提供する見返りに、多くの場合は組織そのものの合流、あるいは実戦経験を積んだ熟練古参兵の出向を要求していた。
 サイド4のジャンクを売却するという表の目的の裏で、ケンドー丸はサイド5の残党組織と接触。
 ジャンクの陰に積んできたファドラン、その予備部品と武器弾薬に整備機材一式を提供し、グロスマン大尉ら歴戦のジオン残党兵を出向人員として受け入れてきたのだった。
 こうした任務を重ねてきた中でイオタが今でも特に印象深く思い出すのは、『キャリホルニヤの悪夢』を名乗っていた禿頭の少佐が率いる三人組だ。なかなか個性の強い人々だった。
 あのときはティアーナがずいぶん喜んで、ハゲ坊主云々と連呼しながら彼らにしょっちゅう要らないちょっかいをかけていたのを覚えている。
 彼らがルスラン・フリートで戦力の一角に組み込まれてしばらく経つはずだが、元気にしているだろうか。
 そんな過去の記憶への逃避は一瞬にとどめ、イオタは目の前に迫る自信に満ちた表情へ、苦笑にならないように微笑みを返した。

372 : 「ぐ、グロスマン大尉のお気持ちは、本当に嬉しく思います……。ですが本船の護衛は、私の隊の任務です。
 グロスマン大尉と部下の方々の機体は、もう我々の拠点で新たに用意させていただいております。どうか今しばらく、ごゆっくりお休みください。大尉の部隊の素晴らしい実力は、それから拝見させていただきます」
「ファーガスン大尉。私は貴女に、楽をさせて差し上げたいだけなのです。美しい花には、咲くべき場所があるでしょう――」
「あっ……」
 グロスマンが笑みを深め、同時にさりげなく、その腕をイオタの細い腰へ伸ばす。壁際へ追いつめた彼女をそっと抱き寄せようと、さらに距離を詰めようとし、イオタの表情が強ばった。
「前方、中型デブリ! 回避します」
「任せる!」
 そのとき唐突に操舵手が叫び、間髪入れずに船長が答えた。ケンドー丸の姿勢制御スラスタが火を噴き、生じた加速度が船橋の人々をわずかに揺らす。その揺れでイオタはよろめくように身を翻し、一気にギュンターの側から逃れていた。
 イオタを逃したギュンターは小さく舌打ちし、船橋の外を睨む。
「デブリの発見遅いぞ。対空監視厳となせ」
「申し訳ありません、船長」
 船長は落ち着き払ったまま叱責し、操舵手も背中で応じる。
 不穏な気配を察した操舵手らがあえて発見したデブリの報告と回避を遅らせ、イオタがギュンターから逃れるタイミングを作るためにあえてケンドー丸へ急制動を掛けたことなど、二人は目配せすることもなく分かり切っていた。
 白々しい芝居が繰り広げられた船橋のすぐ前を、砕けた巨大な鏡板が流れていく。ひどく傷ついた表面は、それでも今なお太陽光を乱反射させている。開放型スペースコロニーに据え付けられ、内部へ太陽光を取り入れるための巨大なミラー、その一部だ。
 ケンドー丸の周囲には、一年戦争開戦劈頭の無差別核攻撃で爆散、崩壊したスペースコロニー群の破片が無数に漂っていた。
「こんなところにも、流れてきて……まだ……眠れないのね」
 グロスマンから僅かに離れたイオタは船橋の外をじっと見つめながら、豊かな胸の前で祈るように両手を合わせている。
 真空の宇宙に放り出されたまま、八年間も強烈な宇宙線に暴露し続けてボロボロになり、デブリ同士で何度も激突し砕けて潰れた、かつて確かに人がその生を営んでいた民家の残骸を、彼女は見つめていた。
 消え入りそうな、誰にも聞こえない声で呟く。
「……ごめんなさい……」
「馬鹿どもの墓標だな」
 掠れるようなイオタの声をかき消すように、ギュンターが苛立たしげに吐き捨てた。
「スペースノイドの真の独立を求めて連邦と戦う気概すらなく、ただ飼い慣らされてなすがままに搾取され操られ、挙げ句は愚かにも自らジオンの行く手を阻もうとした卑しい家畜どもの末路だ――ファーガスン大尉、ルウム戦役のとき、あなたは?」
 怒気を孕んだ獰猛な笑みを向けたグロスマンに、イオタはわずかに怯えた表情で答えた。
「私はあのとき、予備パイロットで……機体がなくて。支援要員として、乗艦していたムサイ級の砲術に回っていました」
「ほう。では、ご覧になったでしょう」
 口角を釣り上げ、グロスマンは笑った。
「あの星空を美しく彩った、ジオンの栄光の輝きを。三倍以上の勢力を揃えて愚鈍に勝ち誇った連邦艦隊を叩き潰し、スペースノイドが真に進むべき道を見誤った愚民どもに下した、ジオンの精兵による裁きの鉄槌を!」
 ミノフスキー粒子の全面散布によって在来型電子兵装のほとんどが麻痺した中、華麗に踊るザクが火線を放ち、連邦軍の戦闘機を蹴り飛ばし、あるいは艦船をヒート・ホークで切り裂いた。次々と沈み、総崩れとなる連邦艦隊。
 その後方からレーザーを放ち、なお必死の抵抗を続けようとするサイド5ルウムのコロニー群へ、ザクが、ムサイが、次々と核ミサイルを――。
「馬鹿は死なねば治らぬというが、少なくともルウムの馬鹿どもは死ねばこうして悔い改めてくれたらしい。
 かのデラーズ・フリートもこの暗礁宙域に身を潜めて大義を成したという! そして我々も今ルスラン・フリートの一翼となって、再び愚民どもへの鉄槌を下すのだ。ルウムで散った英霊たちが築いた、この瓦礫の城の中からな……!」

373 : 「…………!」
 陶酔したように滔々と語るグロスマンに、イオタは何かに耐えきれなくなったかのように無言のまま背を向けた。そうして背を向けた先にあるのは船橋の窓で、そこに広がるのはコロニーの残骸ばかりだ。
 悲痛に唇を噛み、胸の前に握りしめた両手は震え、蒼白な顔面で俯く。
「……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 連邦艦隊の第一線を突破し、砲列を並べたムサイ級巡洋艦から放たれるメガ粒子の雨。
 コロニーの側壁へ集中した弾着が閉じた世界を食い破り、町と人間を蒸発させていく。
 開いたその穴をめがけて展開したザクUC型がバズーカを構え、次々と核弾頭を放つ。
 たっぷりの大気を詰め込まれたコロニーの内部で、膨れ上がる数億度の火球。
 逃げ場のない数千万の人間を一瞬で焼き尽くし、堅牢なコロニーが内側からの爆圧に負けて破裂する。
 ザクのパイロットも、ムサイの乗員も、殺した相手の顔を見ることはない。
 誰の断末魔も聞こえない。
 だからその閃光は巨大で、ただ美しいだけなのだ。
 散華するコロニーが焼け落ちる様を恍惚として見届けながら、ジーク・ジオンの唱和が艦内に響く。
 だが、それで終わりではない。
 次も。
 次も。
 その次も。
 また次も、ひたすら同じ光景が、戦役の最後まで延々と続いた。
 二十億人が暮らした円筒形の世界、そのすべてを、核の炎で――偉大なるジオンの勝利と栄光の輝きで、滅ぼし尽くすまで。
「ン? どうされました、ファーガスン大尉。気分が優れないようですな?」
 イオタの様子に気づいたグロスマンが、いったんは離れた彼女へ再び近づく。
 老船長は二人に何か言おうとしたが、そのとき船長席の内線電話が呼び鈴を鳴らした。老船長は苦虫を噛み潰したような顔でそれを取る。
「船長だ。……何? MS格納庫から……ノーラが、ティアーナを? 『いつものアレ』……?」
 呆れたように応答しながら、船長は額に手をやった。モニターを操作し、艦内通路のいくつかを次々と表示する。その途中で見つけた光景に眉を潜めた。
 すぐ近くの艦内通路でリフトグリップを蹴飛ばしながら、通常の三倍近い速度で吹っ飛んでくる少女たちが映っていた。
「ここの風は、貴女の身体に障るようだ。今お部屋までお連れしましょう――」
 それでも彼女が反応を示さずにいると、グロスマンは苦笑し、イオタの肩に肩に手を掛けようとした。

374 : 「ティアーナ・きいーーーっく!!」
「グバアーッ!?」
 そのとき船橋の入り口から音もなく吹っ飛んできた強烈な『何か』がグロスマンの胴を強打、彼を吹き飛ばして船橋の窓まで一気に叩きつけていた。
 砲弾よろしく高速で飛来した物体は、濃緑色のジオン公国軍式パイロットスーツに身を包んだ少女だった。
 グロスマンへ放った飛び蹴りの反動で跳ね返るように空中に浮かぶと、くるくると回転して天井を蹴り、長いツインテールを揺らして鮮やかに船橋の床へ着地。そしてようやく振り向いたイオタへまっしぐらに飛び込み、抱きつきながらその頭を豊満な胸に埋めていた。
「きゃ……っ、てぃ、ティアーナ? どうしたの?」
「ねぇ聞いてよイオター! ノーラがボクのこといじめるの! このままじゃボク、ザクマシンガンから吊されちゃう! 助けて!」
「ざ、ザクマシンガン……? なに??」
 左右それぞれが彼女の顔ほどもある、イオタの見事な乳房へスーツ越しに顔面を埋めて頬摺りしながら、柔らかく変形させられたその胸の谷間からティアーナが口を尖らせて見上げてくる。
 その傍らで、衝撃から復活したグロスマンが顔面を沸騰させながら立ち上がった。
「貴様ァァァッ! 上官に対してッ、何だその態度は!!」
「へーんだ。イジメはダメ、絶対だもん! オジサン、さっきからイオタのことイジメてたでしょ。ボク分かるよ!」
「お、オジサン、だぁ……? なにがイジメかっ――小娘がぁっ、愚弄するかッ!!」
「女の子をいじめるオジサンなんて、格好悪いよって言ってるの!」
「や、やめてくださいッ!」
 もはや問答もなしに、グロスマンはティアーナを殴打せんと突進した。
 抱きつかれたままのイオタが必死にティアーナをかばおうとする中、ティアーナはひとり不敵な笑みを浮かべたまま、横目でグロスマンではなく船橋入り口の方を見ていた。
「待てこらデコスケぇえええーーーっっっ!! ここがお前の墓場だ、天誅ーーーッ!!」
「ガバッ!?」
 そのとき少女の絶叫とともに全力投球で吹っ飛んできたハードカバー本が、殴りかかったグロスマンの後頭部へまともに突き刺さっていた。
『最終総括・ニュータイプ論0080』は背表紙を軽く陥没させながら跳ね返り、グロスマンの身体はティアーナへの軌道を逸れて脇へ泳いだ。
「た、大尉殿……? あ。えー、と……これはまた、その……たいへん、失礼、いたしました……」
 新たに船橋へ進入してきたパイロットスーツ姿の少女――ノーラは消え入るような声で謝罪すると、借りてきた猫のようにその場で不動の姿勢を取って敬礼した。
 だらだらと冷や汗を浮かべ、マズいことしちゃったなあ、という顔をしている。まだイオタの胸に頭を半分埋めたままのティアーナが、勝ち誇ったようなニヤケ顔でノーラとグロスマンを交互に見た。
「ぐっ、……ぐうううぅぅぅ……っ。な、何を……ッ……」
 二人の少女たちからそれぞれ胴と延髄に強烈なダメージを受けて、もはや瀕死の体となったグロスマンが幽鬼のように立ち上がった。襟に光る大尉の階級章に、ノーラが慌てて弁明を連発する。
「の、ノーラ・ジャンセン伍長であります! じ、自分はその、ティアーナ・エイリス上等兵がですね、その、格納庫で自分を無体に挑発して、そのままここまで逃げてきましたので、つい、その、何と言いますか、つい……そのー……」
「ノーラちゃん、そうやってすぐにティアーナの挑発に乗るようだからいけないのでしょう? MSパイロットでなくても、自制心はとても大切よ。いつも言っているでしょう?」
「う、うん。イオ姉……それは……うん。分かってるよ。ちゃんと分かってる、けどさ……」
「やーい、ノーラ怒られてるぅ〜〜〜。ノーラが怒られてるぅぅぅ〜〜〜」
「あ゛??」
 優しくノーラを叱るイオタの胸で鼻の穴をフガフガさせて、満面の笑みを浮かべたティアーナが両手のWピースで挑発した。
 ノーラは額に青筋を立てて睨んだが、頭上の老船長からの冷たい視線を感じて再びその場に縮こまった。

375 : つC

376 : 連投規制かかりました。
続きは翌日です。

377 : >>375
支援ありがとうございます。
しかし2chのシステムが変わってしまったようで、どうあっても『おいこら!』と止められてしまい、これ以上の連投はさせてもらえないようです(こうした短文は投下できますが、今回はまだ半分ぐらいの文量が残っています)。
2chに長文SSを投下するのは辛い時代になってきました。
皆様もご自愛ください。

378 : 乙です!
1回の投下は8レスまでが限界って感じでしょうか
それを超える場合は日を置いての分割投下を前提にすべきなんでしょうかねえ

379 : 「グロスマン大尉……本当に申し訳ありませんでした! この子たちには、私の方からよく言い聞かせておきます! 二度とこんな失礼な振る舞いはさせません。ですので、どうか……どうか今回だけは穏便に、済ませてはいただけませんでしょうか……?」
 薄く涙を浮かべ、祈るように両手を組んでイオタがグロスマンに懇願する。その胸と腕の中でティアーナは得意満面の笑顔を浮かべていたが、不意にその表情が陰り、にわかに真剣さを宿した。
「……何か、……いる……」
「ティアーナ?」
 問いただそうとしたイオタから素早く離れ、ティアーナが向かったのは索敵手の席だった。後ろから席に取り付き、モニターを指さして指示する。
「ねえ、この辺……。この辺、もっと詳しく見てみて」
「よし、分かった」
 いきなり話を振られた中年の索敵手は疑問もなしに、あっさりとティアーナに従った。センサー群を操作して志向し、ティアーナの示した位置に入念な索敵を掛ける。
 そして顔色を変え、大声で叫んだ。
「なっ――後方七時方向、高熱源反応! 望遠映像出します――サラミス改級駆逐艦一と確認!!」
 主モニター上に映し出されたのは、細く鋭角的なシルエットを持つ連邦軍の戦闘艦。その艦首と砲門は間違いなくケンドー丸へ指向され、そして今まさに主機へと火が入れられて、ケンドー丸を追う進路での加速を開始したのだ。
 サラミス改級駆逐艦は一年戦争後の連邦軍再建計画で、個艦戦闘能力とコストパフォーマンスの両立を追求し、サラミス級の冗長性を徹底的に削ぎ落とすかたちで再設計された。
 新時代の連邦軍宇宙艦隊の屋台骨を担う新型戦闘艦として量産されながらも、デラーズ紛争とその後の情勢の変化によって、満足なMS運用能力を持たないことが問題化。
 結果として駆逐艦へ種別を変更され、宇宙軍の傍流に追いやられた不遇の艦種だった。
 今も艦内MS格納庫やカタパルトこそ持たないものの、一年戦争後期の連邦軍戦闘艦の大多数がそうだったように、外装式MSベッドを増設されている。
 ケンドー丸めがけて突進を開始した艦上からも、前部甲板に屹立するRGM-79R《ジムU》三機のゴーグルアイが睨みを利かしていた。
「連邦艦……!? なぜこの宙域に!? 『週刊誌』では哨戒予定などなかったはずだ!」
「だが、明らかに本船を狙っている――待ち伏せかっ!」
「連邦艦から、通信入ります!」
 報告と同時に通信士が開いたスピーカーに、サラミス改級駆逐艦からの通信が入電した。
『前方の貨物船に告ぐ。こちらは地球連邦軍サイド4駐留艦隊、駆逐艦アルマーズである。対テロ特別措置法に基づき、貴船を臨検する。ただちに機関を停止し、停船されたい』
「捕まったか――」
 船長は瞑目し、呟く。もっとも恐れていた事態が現実となったのだ。
 この段階で臨検を受け入れれば、格納庫内のファドランを隠し通すことなど出来ない。ならば選択肢は二つしかない。
 戦うか、逃げるかだ。
 だが、船長とイオタは同じ結論に達していた。

380 : 「まだ、……逃げきれる」
「最大戦速! コンテナ類別C及びDを投棄! 総員戦闘配置! 友軍勢力圏内まで、一気に突破する!」
 コロンブス級輸送艦は元来、サラミス級巡洋艦やマゼラン級戦艦などの連邦軍航宙戦闘艦で編成された艦隊に随伴し、必要な支援を提供できるだけの機動力を付与して設計されている。
 ましてや今のケンドー丸は往路で満載していたジャンクとMSを下ろしており、格段に軽くなっている。
 サラミス改級駆逐艦のメガ粒子砲の有効射程はおおむね分かっているし、サラミス改級駆逐艦にMSカタパルトはない。MS隊を出されても、本格的な接触を受ける前に、間近に迫った勢力圏内へ逃げきれる。
 彼我の位置関係と距離、そして前方航路と友軍の掩護まで計算に入れて算盤をはじき、二人は決を下したのだった。
 だが、グロスマンがそこへ食い下がった。
「逃げる、ですと? たかがサラミス一隻にジム三機ごときに!? あんなもの、私にザクの三機もあれば五分で宇宙の塵としてくれましょう! 逃げる必要など、どこにあると言うのです!」
「本船の任務は輸送です。連邦軍部隊の駆逐ではありません。避けられる戦闘は避けるのです」
「…………っ!」
 毅然として即断を下した船長と、MS隊を率いる身でありながらそれに反論しようともしないイオタを、グロスマンは軽侮の念を隠すことなく睨みつけた。そのまま無言で床を蹴り、船橋を去っていく。
「何してんのティア! 行くよ!」
「待って、ノーラ。……まだ、何か……」
 敵襲の情報、そして総員戦闘配置の船長命令に、今すぐMS格納庫まで取って返そうとするノーラがティアーナの腕を引っ張る。
 だがティアーナは額に手を当てて俯くばかりで、その場を動こうとしない。ノーラがイオタと船長の顔を見ると、二人は力強いうなずきを返してきた。
「ティア! 先、行ってるからね!」
「ん……」
 ノーラはティアーナの背中を叩くと、小脇に本を抱えたまま、急加速を開始した艦内通路へ消えていく。
「あー、残留ミノフスキー粒子のため、受信状況悪し……内容取れず。再度送信されたい……」
 通信士がわざと自分の音声にノイズを混入させながら、駆逐艦アルマーズと名乗った連邦艦へ返信している。
 急加速を始めたケンドー丸を見てその内容が信じてもらえるとは思えないが、時間稼ぎのために出来そうなことは何でもやっておくべきだった。
「彼我の予想航路図出します!」
「行けるか……!」
 主モニターにサラミス改級駆逐艦やジムUのスペックを反映した、戦況の推移予想図が表示された。近傍拠点から緊急出撃した友軍が姿を現すまで持ちこたえられれば、小規模な敵は追撃を断念して撤退するだろう。
「――!」
 やはり、行ける――船長が確信したそのとき、ティアーナが不意に表情を変えた。
 今度は操舵手めがけて驚くようなバネの力で飛びつきながら、思い切り強く叫んだ。
「操舵、下げ舵10! 今すぐ! 急いで!!」
「下げ舵!?」
 すでに航路を定針させていた操舵手は驚愕に目を見開いたが、しかし船長の判断を待つこともなく、すぐにティアーナの叫びへ従っていた。急制動の衝撃がケンドー丸を揺らす。
 そしてケンドー丸が行き過ぎるはずだったその場所を、前方から飛来した太いメガ粒子の光条が突き抜けていった。

381 : 「艦砲射撃!?」
「高エネルギー反応確認、十一時方向!」
「待ち伏せかっ!!」
「前方、大型隕石の影!!」
 その悲痛な叫びとほとんど同時に、ケンドー丸の進行方向の彼方で何かが赤く煌めく。またも数条の艦砲級メガ粒子が光条を曳いて迫り、ケンドー丸の背後へ消えていった。
 同時に隕石の影から、それが姿を現す。
 新手。
 もう一隻の、今度は――サラミス改級『巡洋艦』。
 索敵手が即座に最大望遠を掛け、主モニター上にその姿を映し出す。いまメガ粒子の奔流を放ったばかりの両舷側の連装砲塔が、震えるように照準を微修正させてケンドー丸を狙う。
 甲板の中央付近にはMSが鈴なりになっており、そこからMSカタパルトが暗い赤みを帯びた塗装の機体を吐き出してくる。
「ぜ、前方にサラミス改級巡洋艦一! 艦載機《ガルバルディβ》二、《ハイザック》四を確認……発艦中!」
「ハメられたか……っ!」
 即座に指向された望遠カメラが新たな敵艦を捉え、その艦容を船橋主モニターへ映し出す。船長は肘掛けをきつく握りしめながら、乾いた笑みを浮かべた。
 ガルバルディβにハイザック、だと? MSなどせいぜい旧式機改修のジムUが関の山のサイド4駐留艦隊にしては、ずいぶん奢った装備の部隊じゃないか。
 後方の駆逐艦、前方の巡洋艦。
 追い込まれた。
 もはやここに及んでは、取り得る選択肢は二つしかない。
 このまま連邦軍の停船命令に従い、臨検を受け入れるか。
 ここまで用意周到に身構え、待ちかまえていた連中だ。適当にやり過ごして、そのまま無罪放免ということなどまずあり得まい。
 それとも――二隻の戦闘艦と九機のMSを相手に、三機のザクで戦いを挑み、ケンドー丸を守り抜きながら突破するか。
『あー、前方の貨物船ン! 当方は地球連邦宇宙軍サイド4駐留艦隊、第223戦隊旗艦《マカッサル》であるゥ! 貴船は完全に包囲されているゥ! ただちに停船し、無駄な抵抗は止め、武装を解除せよォ!』
 前方のサラミス改級巡洋艦から、レーザー通信で音声が入ってきた。勝ち誇ったかのような興奮気味に喚く男の声に、ケンドー丸の船橋要員一同は眉をひそめる。
『さもなくばァ、実力を行使するゥ!』
「言ってくれるの……」
 老船長は苦笑しながら、傍らのイオタを、そして、ティアーナを見た。
 イオタはぎゅっと唇を噛んで、眼鏡の下で祈るように瞑目する。ハンドバッグをきつく抱きしめ、それからティアーナを見た。
 船橋の乗員たちも、長いツインテールを揺らす幼い美少女を、それぞれに見た。
 その視線すべてを受け止めて、ティアーナはにっこりと微笑んだ。ノーラやイオタに悪戯を仕掛けたときと同じ、屈託のない笑顔で。
「大丈夫! ちょっとだけ待ってて。ボクがみーんな、やっつけてきてあげる。……ねえ、イオタ。あれ、ちょうだい」
「…………」
 向き直ったティアーナに要求され、イオタは苦渋と悔恨に埋め尽くされた表情を浮かべる。
 しかし、逡巡は一瞬。
 イオタはハンドバッグからいくつかの小箱を探り、その中から一つを選んで取り出した。受け取ったティアーナが中身を開いて確認する。
 薬剤が充填された、数本の注射器が収まっていた。
「うん……、オッケ……」
 中身を確かめて小箱を閉じると、ツインテールを翻し、満面の笑顔で少女は船橋に敬礼を送った。
「ティアーナ・エイリス! いってきまーす!」

382 :  ノーラが格納庫へ到着するや出会したのは、慌てふためいて飛び出してきた知己の整備兵だった。
「わっ――どしたの? 私のファドラン、出られる!?」
「ノーラ!? どうしよう今、格納庫とんでもないことになっちゃってて――!」
「はぁ!? 何だってのよ――って、何。これ――」
 ノーラは飛び込んだMS格納庫内は、整備兵たちと殺到した残党組織の船客たちが押し合い、罵声とともに掴み合う鉄火場となっていた。
「お、お客さん、ダメです! 船長の指示に従って、所定の位置で待機しててください! ここは我々が、我々のパイロットがなんとかします!」
「どけ! 俺がやる、開けろ!」
「このまま何もせずにやられるつもりなのか!?」
 ノーラとティアーナのファドランへ押し寄せていたのは、歴戦MSパイロットも多いグロスマンとその部下たちだった。
 彼らにとって扉ひとつ向こうの格納庫にザクがありながら、戦うこともなくむざむざ連邦軍の手に落ちるなど、絶対に許すことの出来ない最悪の結末だったのだ。
 ケンドー丸の整備兵たちがコクピットの間際で文字通りに身体を張って、機体を奪おうとする彼らを必死に食い止めている。
「この機体には正規の、正規のパイロットがいるんです! ここは我々に任せて、どうか持ち場に戻ってください!」
「何が正規パイロットだ! 俺は見たぞ、ただの女子供だろうが! この鉄火場で、あんな小娘どもに自分の運命など委ねられるか!!」
「うおわあああっ!!」
 叫びとともにもみ合っていた整備兵がひとり、コクピットハッチの前から派手に投げ飛ばされた。
「ちょっと、ウソでしょ!」
 さすがに焦ったノーラが床を蹴り、自機のコクピット前で押し合う肉饅頭へ突っ込む。
「ノーラ! 戻ってきたのか!?」
「ちょっと、すいません、通してください……っ。私、私です! 私がこの子の、この機体の、正規パイロットなんですっ!」
「ああん?」
 整備兵たちが声を上げる中、屈強な男にぎろりと睨みつけられ、ノーラは思わず立ちすくんだ。男はノーラを鼻で笑う。
「はっ。生きるか死ぬかの瀬戸際に、こんな貧相なお嬢ちゃんが当てになるかよ! いいからお前等そこを退け! 俺がやってやる。俺は撃墜数十一機のダブル・エースなんだよ!」
「きゃっ……!」
 そのまま肩を強く小突かれ、ノーラが小脇に抱えていた本が身体を離れた。
「ああ? 何だこりゃ?」
「ちょっ――やめてよ! 返して!」
「『最終総括・ニュータイプ論0080』……アムロ・レイ? ホワイトベース隊……?」
 それを取り上げ、パラパラとめくって読み上げていた男の声が、次第にどす黒い憎悪と憤怒に染まっていく。
「ふざけんな、敵性書籍じゃねぇか!! アムロ・レイだぁ? 俺のダチはなぁ、ア・バオア・クーであいつのガンダムに殺られたんだよ!」
「あぐっ――!」
「あんな連邦の赤毛坊主がいいのかよ! この売女が!」
 ノーラの貧弱な胸元を男の豪腕が掴み、締め上げながら振り回した。男からの一方的な暴力に晒される悔しさに、ノーラの瞳へ涙が滲む。それでもノーラは怒りとともに反論していた。
「そんなん、だから……っ、そんなんだからっ、あんたたち……壊すだけ、壊して……殺すだけ、殺して……挙げ句に負けたん、でしょうが……っ……」
「ああ!?」
「そうやって……そうやって、あんたたちが解んないものに、勝手なレッテル貼って……解ろうともしないで、ぜんぶ力任せに潰してたから……負けたんでしょうが……。
 だから私たちが今、その後始末と尻拭いを、やらされてるんでしょうが……!」
「おい、ガキ――あんまり大人、バカにしてんじゃねえぞ」
「…………!」

383 :  ――殴られる
 ノーラの反論を浴び続けた男の瞳が無感動な暴力に染まり、その大きな拳を誇示するように少女の眼前へ掲げた。ノーラは歯を食いしばりながら、それでも目だけは逸らすまいと、男の瞳を強く睨み返した。
『あ、そーゆーのウチじゃNGなんで』
「――あん?」
 そのとき機外拡声器から女の声を発しつつ、三機目のファドランが滑らかに動いた。
 小隊長機。
 ノーラとティアーナが馬鹿げた追いかけっこを始める前から、ずっと機内で待機していた小隊長が、ここへ来て格納庫内でファドランを動かしたのだ。
 ノーラ機へ殺到していた残党兵らを払いのけながら、無造作にマニピュレーターを伸ばす。逃げようとした男の胴を、その指先で掴み上げた。
「ぐっ、ぐおあああああ!!」
『先輩、こんなんであんまり情けない声上げないでくださいよー。歴戦の勇士なんしょー?』
「ミリ姉……!」
 男の手から解放されて宙に浮かんだノーラを、ファドランのもう片方の手が捉える。
 彼女の目の前でコクピットハッチが開き、桃色がかった金髪をサイドテールにまとめた、褐色の肌の娘が気だるげな視線を投げかけてきた。
 待機中にネイルを入念に仕上げていた手入れ用品の箱が浮かぶのを掴み、小物入れに放り込みながら面倒くさそうに言う。
「ノーラ、アンタの男の趣味にとやかく言う気はないけどさー。まあ最低限、あーやって女殴るような男だけはないっしょ」
「う、うん……。私も、そう思う。ミリ姉……あんがと……」
「あいよ。そんじゃあ、仕切り直すとすっかね」
「――かはっ!」
 ノーラの瞳に宿る闘志を直接対面で確認して、彼女は捕らえた男を宙に放しながら機体を巡らせた。
『先輩方ー? そこらでまだ暴れてる先輩方。ちょーっとあたしの方に、耳貸してもらっていいッスかね』
 ノーラにミリ姉と呼ばれた褐色のMS小隊長、ミリアム・バーレット少尉は拡声器越しに言いながら、格納庫内をファドランの巨体で歩き回らせた。
 壁に掛けられたマゼラ・トップ砲、ザク・マシンガンとそれらの予備弾倉、ヒートホークを何事もなかったかのような滑らかさで次々と機体に装備しつつ、ついでのように語りかけていく。
『今ウチら、結構キツい状況なんスわ。前から来る六機と一隻、後ろから来る三機と一隻。
 もろに前後から挟み込まれて、丸腰のケンドー丸へ指一本触れさせずに、あいつら全部撃退しなきゃなんないンすけど――そんな完璧な芸当、先輩らに出来んの? って話ッス。
 ま、こんなん正直、赤い彗星だの深紅の稲妻だのだってキツいだろって思うんスけどね』
「そんな困難な任務だからこそだ! そんな困難な任務だからこそ、少しでも成功の確率を高める必要がある! その機体を我々が使えば、成功の確率はぐっと上がるんだぞ!」
 すでにMSの一機を動かされ、格納庫内での実力行使も辞さずの方針を示されてしまっている以上、主導権はすでにミリアムらケンドー丸所属MS隊の側にある。
 だが、それでも戦闘をただ『乗客』という無防備な身に甘んじて傍観せざるを得ない立場に耐えかねて、残党兵らは口々に異を唱えた。
 そもそもルスラン・フリートは熟練兵の層の厚さに不安を抱えているから、こちらに対して機体と引き替えの出向協力を要請してきたはず。
 そのルスラン・フリートの、しかもこんな可憐な少女パイロットたちで編成されたMS隊など、実力的に問題にもならないはずなのだ。

384 : 『ハハッ、先輩方。その理屈マジ受けるッス。『確率が上がる』とか、そんなもんクソの役にも立たねえンすよ。今ここで必要なのは――『確実に』、『絶対に』、『間違いなく』、ケンドー丸を生き残らせられる部隊なんスよ』
「それが……そんな困難な任務が、自分たちには出来るというのか」
『出来るんスよ』
 思い上がるな、小娘ども――言外へ露骨に籠められたそんな威圧を、ミリアムは当たり前だと言わんばかりの傲慢さで、何の感慨もなく切り捨てた。
『あたしたちには、出来る。あたしたちだから、出来る。でしょ? ティア』
 ファドランのモノアイが、格納庫の入り口へ向いた。
 パイロットスーツを着た幼い少女が、長いツインテールをなびかせながら飛んでくる。
 彼女が顔を上げる。
 まだ思春期のただ中にある幼い顔立ちに、強い意志と希望をみなぎらせて、少女は頷く。自信に満ちた笑顔で、堂々と言い放った。
「そう。ボクらだから、出来るの。オジサンたち、そこで見ててよ――すんごいの、見せてあげるから!」
「クソッ……。どうなっても、知らんぞ……!」
 もはやこの期に及んで、彼女の飛来を阻もうとする者は誰もいなかった。そこいらじゅうに浮かぶ人間たちの真ん中を貫くようにティアーナは進み、ノーラもまた意を決して自機を目指す。
 ノーラとティアーナは、ほぼ同時に自機のハッチへ取り付いた。ティアーナはノーラへ微笑み、ノーラも負けじと笑みを返す。
 コクピットへ潜り込んでハッチを閉じ、システムを起動させると、全天周モニターが格納庫の風景を映し出した。
『減圧開始十秒前。ノーマルスーツ未着用の人員は、ただちにエアロックから退避してください』
 格納庫管制からのアナウンスが秒読みに入ると、さすがにグロスマンの部下たちも下がりはじめた。
 苛立たしげな、恨めしげな気配を宿した多くの視線と、そして僅かに何か――理解を超えた、信じられない何者かの出現を期待するような視線を残して、彼らは全員がエアロックの後方へ後退した。
 勢いよく始まった減圧は急ピッチで進み、すぐに真空となった格納庫で、数人のノーマルスーツが誘導灯を手に浮かび上がっていく。
 ノーラ機がザクマシンガンを取り、ティアーナ機はザクマシンガンとゲルググ用のビームライフルを手に取った。
「ってなとこで、イオっち。こんなもんでいい?」
 ミリアムは出撃準備を整えた機内で、他の二人に聞こえない専用回線経由で船橋のイオタへ呼びかけた。
 グロスマンとその部下たちをMSという強硬手段まで使って追い出したのは、イオタの命令によるものだった。
『ありがとう、バーレット少尉。この状況を――ここまで悪化してしまった状況を突破できるのは、もう、あの子しかいないの』
「ま、いんじゃねッスか? ウチらは自分の仕事やるだけっしょ」
 あのままグロスマンたちに機体を渡し、彼らを戦いの矢面に立てるという選択肢は、多くの問題点はあるにせよ、まったく無いわけではなかった。
 だがイオタは、ミリアムに彼らの強制排除を命じた。
 彼女に馴染みのない、命を落としたとしても大して良心を痛めることもない屈強な男たちではなく、彼女を慕うあどけない少女たちを矢面に立てることを選んだ。
 ケンドー丸を――より大きな全体を、この危機から守るために。
 彼女は自らの意志で、それを、選んだ。
『――ごめんなさい……』
「だからさ、イオっち。そうやっていちいち謝られんの、面倒くさいって言ってんでしょうが」
『……お願い、バーレット少尉。……あの子たちを、……守って……』
「そんなモン……言われなくたって、分かってるんスよ」
 専用回線は、そこで切れた。

385 :  ミリアムが格納庫に目を転じると、二人はすでに機体の武装を終えていた。彼女の機体の前へ出てくる。
『全機体、全兵装システム点検完了。異常なし』
『戦況図と作戦図を送ります』
 船橋のイオタから声が届いて、ノーラは全天周モニタに転送されてきた映像を投影する。そこには前後から迫る連邦軍部隊の配置と、三機のファドランとケンドー丸が取る作戦行動に合わせた動きが示されていた。それを確認しながらノーラは乾いた笑みを浮かべ、唇を震わせた。
「ハハッ……ホントに、……これでやるんだ」
『大丈夫。出来るよ』
 カットインが開き、ティアーナの屈託ない笑顔が浮かぶ。
『言ったでしょ? ボクはアムロ・レイなんかより、ずーっと強いもん。イオタの作戦も完璧だし。ノーラとミリアムがちゃんと助けてくれたら、連邦軍なんか全部やっつけて、みんなで元気にここへ帰ってこれるよ』
「……うん……そう、だね」
 これから遊びにでも行くかのように、ティアーナの声は楽しげに弾んでいる。それを聞きながら、その声色の裏側にあるティアーナの本当の感情を思いながら、ノーラは操縦桿をきつく握りしめた。
 彼女の意識に、イオタの指示が入り込んできた。
『出撃は二分後から建制順。31ティアーナ、32ノーラちゃん、33バーレット少尉の順で。艦を出たら、もう接敵まで時間がないわ。……お願い、みんな……必ず、……必ず無事に、帰ってきてね……』
『格納庫ハッチ開放!』
 格納庫のハッチが開放され、無限の宇宙空間が眼前に開いていく。格納庫内に申し訳程度に設けられたリフトグリップ式の補助カタパルトを、三機のファドランは次々に左手で握った。前方の宇宙空間に誘導灯が伸びて、その彼方には出撃してくる敵MSの軌跡が見えた。
『ノーラ、ティア。そんじゃあ、行くよ――あたしらの戦い方を教えてやりに、ね』

386 : 投下終わり。追ってpixivにノーラ、ティアーナ、イオタ、ミリアムの四人の画稿を掲載していきます。
ご感想お待ちしております。
>>378
長文投下は24時間以内に7レスまでが限度で、その後は短文しか書き込めない感じですね。
今回は二回に分けてギリギリでした。

387 : GJ!

388 : 乙です!
続き楽しみにしてます!

389 : 乙
よく続いてて好感

390 : 継続は力なりだねえ
内容もいいよ設定もそれなりに踏まえた上でオリジナリティも見られておもしろい

391 : フェニックステイル第十九話の前半部分を投下します。
話はあまり進んでいませんし区切りも悪いのですが、文字量が一万字に達したため、これ以上は一日で投下できないための分割処置です。
どうかご容赦ください。
今回もエロはありません。ご容赦ください……。

392 :  補助カタパルト・グリップからの加速支援を受け切って、ファドラン31はコロンブス級の格納庫ハッチが途切れる直前で左手を離した。
 虚空へ放り投げられた機体はスラスターで緩やかに加速しながら、デブリ漂う宇宙空間へと突き進んでいく。
 偽装貨物船ケンドー丸から出撃する三機の先陣を切ったファドラン。ティアーナ・エイリスはそのコクピットで、この段階に至ってもまだヘルメットを着用していなかった。
 一年戦争時代の第一世代MSを近代化改修した機種と同様、ザク・ファドランは肩部他にサブカメラを増設して、センサー機能をそれら戦後世代機の水準にまで拡大している。
 それでも正面から来る六機はまだその有効範囲のずっと外で、火器の照準はおろか正確な捕捉すら出来ていない。
 だがティアーナは迫りくる敵パイロットたちの昂揚した息吹と鼓動を、彼我機体の装甲板と宇宙の真空を通じて、おぼろに感じていた。
「…………」
 後方から32ノーラ、33ミリアムが出撃してくる。彼女たちが自機に後続しながら陣形を組み上げていくのを背中で感じながら、ティアーナはイオタから受け取った小箱を開いていた。
 赤と青。
 そう着色された注射器が、それぞれ数本。
 ティアーナはその中から、赤の注射器を手に取る。
 操縦桿やコンソール、リニアシートに貼られた、何枚もの写真シールを見た。
 サイド5の繁華街で撮った、私服姿の少女たちの写真。
 ノーラとのじゃれ合いや追いかけっこ。
 豊かな胸へ抱きつかれたイオタの困り顔。
 気怠げなミリアムの隣で真似っこしながらキメ顔。
 ケンドー丸の船員や整備兵たちに肩車されたり、出来立ての料理をもらった場面。
 どの写真の中でも、ティアーナはいつも幸せに笑っていた。
 今のティアーナも、少し寂しげに笑う。
「……いくよ。ティア」
 一瞬のためらいの後、大きく息を吸う。
 そしてティアーナは赤い注射器を、自身の首へ突き立てた。
 シリンダを押しきり、その内容物を一気に体内へ注入する。
 少女の中で、世界が弾けた。

393 : 「おい砲術、どういうことだ。今の威嚇射撃、危うく当てそうになったんじゃないのか」
 隕石の陰に待ち伏せていたサラミス改級巡洋艦《マカッサル》の艦橋で、艦長のカミラ少佐は温厚そうな顔をわずかにしかめて叱責した。
 マカッサル両舷の連装メガ粒子砲塔から放たれた威嚇射撃の初弾は、まだ遠すぎる距離からすれば奇跡的な精度で不審船を襲っていた。
 直前に不審船が妙な下げ舵を当てていなければ、初弾命中などという、マカッサル砲雷科の練度を思えば奇跡としか言いようのない結果を叩き出していたかもしれない。
 が、ここで当ててもらっては困るのだ。
「不審船、コンテナ投棄作業継続中。なお加速しています」
「ミノフスキー粒子濃度なお上昇中。不審船より散布中の模様――間もなく戦闘濃度!」
「ここまで露骨に脅して止まらんか……カミラ。こいつはどうやら、いよいよ狙い通りの『宝船』のようだな?」
 艦橋要員から次々と上がる報告の中、カミラ艦長の隣に座る佐官が笑みを浮かべた。
「活きのいい獲物なら、ティターンズヘのいい手土産になる――《アバリス》の穴埋めで骨折りなどと思ったが、まさか福に転じるとはな」
「リード司令。窮鼠は猫を噛みますよ」
「カミラ、君は悲観的だな。これだけの戦力を以てして、まだルスランの偽装貨物船一隻が怖いのかね」
 第223戦隊司令リード中佐は、旗艦艦長カミラ少佐の慎重さを笑った。
 戦隊旗艦を務めるマカッサルは僚艦である同級艦《トラキア》と異なり、MS六機の運用が可能な艦内格納庫を有している。
 MSベッドをはじめとして、格納庫内の空間を効率的に運用できる新型設備一式を導入しているためだ。
 そしてマカッサルが新型を有するのは、格納庫設備だけではない。
 そこに満載されてきたその艦載機、二個小隊六機のMSはすでにMSカタパルト甲板上に林立している。
 朱色を基調としたRMS-117《ガルバルディβ》が小隊長機として二機、菫色のRMS-106《ハイザック》がその僚機として四機。
 いずれの外観もジオン系MSの色彩が濃い。
 ジオン公国との一年戦争に勝利して接収した優れた公国系MS技術を自軍系のそれと融合させて生まれた、まさに戦後地球連邦軍の申し子と言うべき機体群だった。
『リード司令、目標を確認した――準備万端です』
 カタパルト甲板で身を屈めたガルバルディβの一機から、異様なまでの自信に目をギラギラと輝かせる屈強な男が主モニターへ映し出された。
「不審船がルスラン・フリートの偽装貨物船なら、追いつめられて向こうもMSを出してくる可能性が高い。着任早々だが、頼むぞ。マイデン大尉」
『笑止ですな司令。敵ながら哀れなものです。たかがザクの改修機ごときで、未だにジム装備の田舎部隊ならまだしも、よりによって我々の前に立ちふさがろうなどとは』
 サイド4方面で活動する大規模ジオン残党組織《ルスラン・フリート》と、その主力機であるザクU独自改修型の情報は、すでにサイド4駐留艦隊で知られつつあった。
 連邦軍によるジムU計画にも匹敵する規模の近代改修が施されたとも言われるザクUは、ガルバルディβやハイザックをもってしても決して侮れる戦力ではない。
 機数も不明だ。コロンブス級輸送艦は一年戦争中、一隻あたり実に数十機ものMSを搭載、運用した実績で知られている。
 だが、彼の自信は揺るぎない。
『敵がいかに多勢を頼もうとも、自分の敵ではありません――ペズンで研ぎ澄まされし連邦最強の剣、奴らに見せてやりましょう』
 マカッサルMS隊長ターゲル・マイデン大尉は、にいっとその歯を剥いて静かに笑う。
 ターゲルは小惑星《ペズン》に駐留する、地球連邦軍MS教導団からの転属者だった。
 ペズンという秘密基地めいた僻地の宇宙要塞に拠り、MSの運動全般を司るソフトウェア《IMPC》の開発に携わる教導団。
 俗世から隔絶された彼らは一種孤高の武芸者集団じみた、連邦軍最高の戦技集団と言われている。
 そんな彼らを自らのMS隊へ組み込むことが出来たのは、リードの政治力の賜だ。
 連邦軍サイド4駐留艦隊の内部には、明確な派閥があった。旧ルウム出身者を中心とした一団と、彼らを抑えるために外部、地球連邦軍中央から派遣された一団である。リード率いるマカッサルは、明確に後者だった。
 旧ルウム派と連邦中央派の溝は深く、確執は大きい。
 そのサイド4駐留艦隊内のパワーバランスを中央派へとより大きく傾けるためのテコ入れとして、コンペイトウ鎮守府の手配で教導団からリードの元へと送り込まれたのがターゲルたちだった。

394 : 『そしてルスラン・フリートは今や、我が兄の憎き仇でもあります。必ずや、この手で討ち果たしてくれましょう……!』
「頼もしいな、大尉」
 ターゲルの兄は、サイド4駐留艦隊の巡洋艦《アバリス》のMS隊長だった。
 特に中央派の色彩が濃い一隻だったアバリスは先日の哨戒任務中、ルスラン・フリートの一部と見られるゲルググ小隊『大ジオン仏道』に遭遇。奇襲を受けてあえなく殲滅されていた。
 その証言をもたらしたアバリス隊の生存者は、配属されたばかりの新任女性パイロットが一人だけだったという。
『司令! 敵艦と敵機を拿捕した後、敵兵の尋問は自分に任せていただきたい。卑怯な不意打ちに散った兄の無念……この手にて、わずかなりとも晴らしたく!』
「構わん。一任しよう、マイデン大尉」
『ありがたきお言葉。我が働きのほど、とくとご覧いただきたい!』
「楽しみにしておこう」
 新任MS隊長の猪じみた野太い笑みに、リードもまた太い笑みを返す。
 古来より敵からの略奪ならば、指揮官は自分の懐を痛めることなく兵を満足させられる。
 その略奪の過程ではいろいろと『問題』を起こすこともあるだろうが、それが本当に問題となるような頃には、自分はこんな宇宙のゴミ溜めからはおさらばしていることだろう。
『ガルバルディβ01、ターゲル・マイデン大尉! 出るッ!!』
 笑うリードの眼前で、大電力を帯びたMSカタパルトが軋む。大胆に肉抜きされた軽装甲の機体を瞬時に加速し、宇宙空間へ放り投げていた。
 全身に掛かるGの中で歯を食いしばりながら、ターゲルは獲物を狙う野獣の目で眼前の偽装貨物船を睨みつける。
 その後方左右へ二機のハイザックが展開し、もう一機のガルバルディβと残ったハイザックの第二小隊が展開した。一糸乱れぬその陣容を横目で確認しながら、ターゲルの口元には暗い笑みが宿っていく。
「『大ジオン仏道』とやら! 聞けばゲルググ三機のうち、二機は女の操縦だったというではないか。――許せぬ。……許せぬな……!」
 小惑星基地ペズンと教導団について、もう一点特筆すべきことがあるとするなら、それは女性将兵の不在であろう。
 この一年戦争後の宇宙世紀にあって一体いかなる意志が働いたものか、教導団はまるで中世期の軍隊のように全員が男性によって編成される、きわめて特異な存在であった。
 そしてそれゆえに彼らはしばしば腐敗し惰弱化しつつあると言われる連邦軍の中で、一頭群を抜く精強さを示していると一部の人々から信じられていた。
「ジオンの残党どもめらが。追いつめられて、女どもを前線へ駆り出すとは。
 人口の半分が死んだこの世で、強く優れた男の子種で孕んで産み育てるに勝る務めなど、もはや女の身には無いという真実を……この俺が、きゃつらに思い知らせてやらねばならぬ!」
 優秀な戦技成績を買われて教導団へ配属されたターゲルだったが、実戦の経験は未だ無い。
 だが連邦軍共通の形なき兵器となるIMPCを磨き上げるため、教導団の潤沢な物資と予算を投じて、猛訓練と模擬戦を数知れずこなしてきたのだ。
 そして今、ついに実戦の機会が訪れた。

395 :  ターゲルは己の技量のみならず、熟練した士官級パイロットに与えられるこの機体、ガルバルディβの性能にも絶対の自信を持っている。
 ガルバルディβはジオン公国軍が一年戦争末期に開発中だった次期主力MS、MS-17《ガルバルディ》に連邦軍が戦後の技術を投入して開発したMSだ。
 MS-15《ギャン》から引き継がれた新駆動系技術の流体パルスアクセラレータは高い運動性を保証し、さらに新素材を用いながら肉を削ったことで果たした大幅な軽量化によって、傑出した機動性を実現。
 軽装甲かつ高機動ゆえに扱いは難しいが、ゲルググ用ビームライフルをEパック方式に改修した長射程ビームライフルに、シールド内蔵式のミサイルランチャーと火力も充実している。
 自分のように優秀なパイロットが操る限り、ジムUやハイザックのように凡庸な機体に遅れを取ることは絶対に無いのだ。
 ましてやルスラン・フリートのザクU改修機ごときは論外と言える。十や二十の機体を出してくるというなら、多少は楽しめそうだが。
「女なら、簡単に撃墜しては面白くない……。機体の四肢を落として、パイロットを引きずり出し……敗者の女に相応しい扱いを与えてくれようて」
 初の実戦へと向かう異様な興奮を帯びたターゲルの中では、兄の艦を沈めたという大ジオン仏道の女性パイロットについての強烈な印象が溶け出していた。
 それはターゲルの脳内で間もなく目の前に現れるだろう敵部隊のそれと混じり合い、まだ見ぬ敵パイロットについての奇怪な先入観を形成していく。
 表の世界から光が届くことのない、見捨てられた辺境宙域での実戦。そこでの勝者は、すべてを手に入れる――。
 サイド4宙域での任務について兄から時折聞かされてきた、数々の『戦利品』についての心躍る話題を思い出す。
 今まで磨き上げてきた力を用いてそうした『勝利の果実』を得ることに、ターゲルはどこまでも貪欲だった。
 偽装貨物船は友軍駆逐艦に追われてなお突進を継続しているが、それでもまだガルバルディβの有効射程外だ。まともに仕掛けるには、まだ一分近くは待たねばならない。
 その貨物船の開放されていた格納庫ハッチから、何かが続けざまに飛び出してきた。噴炎を曳いて向かってくるが、その数はなんとたったの三機だった。ザクか?
「来たかッ、ジオンの女ァ!!」
 くわっと目を見開き、獲物へ向かってターゲルは吠える。
 まだ機影も捉えきれない距離の彼方で、何かが光った。

396 : 「おうおう。リードの旦那、やっとこお出ましかいな」
 サラミス改級駆逐艦《アルマーズ》はつかず離れず、必死に逃げるコロンブス級貨物船の後方を追っていた。
 アルマーズ搭載MS隊のジムU三機は甲板上に屹立したままで、いっこうに出撃する気配がない。理由は二つある。
 一つには、サラミス改級『駆逐艦』アルマーズはその従来型の半分近くまで絞り込まれた細く小柄な艦体に、MSへ強力な初期加速を与えるカタパルトを持っていないこと。
 そして、もう一つの理由は――こちらが決定的なのだが、この場での彼らは『狩人』ではなく『勢子』に過ぎない、ということだった。
 第441戦隊所属の巡洋艦アバリス轟沈の報を受けた際、第223戦隊旗艦マカッサルと僚艦アルマーズはサイド4駐留艦隊司令部に投錨していた。
 限定された戦力での宙域哨戒計画に破綻を来して混乱に陥る艦隊司令部で、第223戦隊による即座の穴埋めを提案したのが、アルマーズ艦長ジャクソン・ヘイズ大尉だった。
 ヘイズは以前から、アバリスの行動に疑念を抱いていた。
 ――アバリスはジオン残党に内通し、連邦軍の内部情報を漏らしているのでは?
 避けられ続ける連邦軍の哨戒と掃討作戦、捉えきれない不審船の流れ、あざ笑うように出没しては繰り返されるルスラン・フリートによる破壊工作。連邦軍は常に後手に回り続けた。
 そんな状況の中、アバリスが時に見せる異様な行動と奇妙なまでの羽振りの良さから、ヘイズはそう睨んでいたのだ。
 しかしアバリス艦長らはサイド4駐留艦隊の主流派中枢に近く、明白な証拠無しに何かを仕掛けることは出来なかった。
 そんな疑念の日々の中、唐突にアバリスが沈む。
 しかも謎めいた異端のジオン残党組織《大ジオン仏道》の手によって。
『何か』が起こったのだ、とヘイズの直感が叫んだ。
 ヘイズは戦隊を動かしてアバリスの任務担当領域を一時的にでも奪わせ、即座にその内側で新たな活動を起こすことで、今まで掴みきれなかったジオン残党勢力の動きを捉えようとしたのだった。
「まさか、こうも早々に『当たり』を引くとは思わなんだが」
 余計な面倒ごとだと渋るリード司令を、その腹心のカミラ少佐を巻き込むことで説き伏せる。そしてアルマーズはマカッサルとともに、かつてアバリスが担当した宙域で息を潜めて哨戒を開始した。
 早速そこで網に掛かったのが、目の前を逃げる不審船だ。
 やはり、アバリスがジオン残党へ情報を流していたのか。そして『何か』があって彼らは大ジオン仏道に始末され、連邦軍からジオン残党への情報漏洩の流れが途切れたのだろうか。
 この不審船も本来ならアバリスからの情報提供を受けて、『安全』な航路を進むだけのはずだったのかもしれない。
 とにかく、ようやく敵の尻尾を掴んだのだ。
 ここまでの追跡劇に最大の功労者がいるとすれば、それは普段からの観察によってもたらされたアイディアを元に、そして消えることのない執念と情熱をもって任務に挑んだヘイズたちだろう。
 だが不審船の接近を発見して二隻による伏撃作戦が開始されたとき、アルマーズに与えられたのは『狩人』ではなく『勢子』としての立場だった。
 艦長ヘイズ大尉以下アルマーズ乗員の大半は、旧ルウム出身者を中心に占められていた。
 彼ら旧ルウム出身者も《P-04》を率いる将官を核として、一種の派閥こそ形成してはいる。しかしその組織力は限られており、連邦軍という巨大組織の内部にあっては、しょせん孤立した少数派に過ぎなかった。
 ゆえに彼らはサイド4駐留艦隊における傍流に過ぎず、連邦軍主流派と利害のぶつかり合う場にあっては、劣勢と忍従を強いられることが常であった。今もそうだ。
 トラキアから受けた『エゥーゴ襲来』の一報以来、戦隊司令リード中佐の頭の中は、今をときめくティターンズへ取り入るために目前の事態をどう利用するかでいっぱいだ。
 ティターンズ側からも、エゥーゴが接触を試みているサイド4宙域のジオン残党勢力に対する情報を要求されているという。
 そんな中でこの貨物船を拿捕することが出来れば、ティターンズに対して大きなアピールとなることこの上ない。
 コンペイトウに根回ししてペズンの教導団から呼び寄せたという、自慢のMS隊の良いお披露目にもなる。

397 :  だから貨物船にはマカッサル隊が仕掛け、拿捕も尋問もそちらで行う。アルマーズは後ろでただ見ているだけだ。捕虜も情報も物証も、直接手に入れることは出来ない。
「MS隊は引き続き待機。不測事態に備えてくれ」
『了解です艦長――しかし、見物だけでは締まりませんね。ウチの期待の新人の、いいデビュー戦になると思ったんですが』
 甲板上のアルマーズMS隊長機、ジムU42から入った苦笑混じりの通信に、ヘイズはさっぱりとした笑いを返した。
 アルマーズは数日前、MSパイロット訓練課程修了直後の新人女性パイロットを受け入れている。
 ジムU44を駆る彼女は細身で小柄な美少女だったが、寡黙で人を寄せ付けないような峻険さがある。着任早々から数度の模擬戦を実施したが、その実力は歴戦のアルマーズMS隊長が舌を巻くほどのものだったという。
「何といっても、兵隊は待つことが一番の仕事だ。派手な実戦なんてほんの一瞬。彼女にも、そいつを実地で教えてやればいい」
『確かに。違いありません』
「よそから敵の増援が来る可能性がある。いつでも出られるように頼むぞ」
『了解!』
 モニター越しに苦笑を交わしあい、二人は通信をいったん閉じた。ヘイズは艦長席の肘掛けに頬杖を突いて一瞬、どこか遠い場所を眺める。
「裏方でも何でもいいさ。……それで本当にここが、ルウムが……本当の復興に近づくならな」
 ――ルウムだけ、なのだ。
 人類の半分を滅ぼす劫火に焼かれた四つのサイドのうち、唯一ルウムだけが今も戦後復興から取り残されている。
 世界のすべてから忘れ去られたかのように、今もただ墓標の連なりとして。
 ルウム戦役によるあまりにも徹底的な破壊と、その広大すぎる暗礁宙域を頼みにここへ潜んだジオン残党勢力が、戦後復興の歩みを強力に妨げているのだ。
 せめて残党どもを討つことさえ出来れば、宙域復興への歩みは少しでも加速するはず。
 軍人としての自分が故郷の復興に貢献できることなど、それしかない。マカッサルがいかに中央派であっても、残党軍を好きにのさばらせておくよりはずっと良い。
 だから、これでいいのだ。
「そうでなけりゃあ、笑われちまう――リドリーさんにも、マコトにも、な」
「前方にビーム光を確認!」
「始まったか。いや、しかし……まだ遠すぎないか?」
 要員の報告にヘイズが顔を上げれば、艦橋の窓から遙か彼方、不審船とマカッサルの中間あたりの空域に遠くビームの光が飛び交うのが見えた。連射されている。
 しかし、彼我にはまだ艦砲並みの射距離があるはずだ。あれでは威嚇にすらなるまい。
「マカッサルのMS隊が撃ち始めたのか? 連中はペズンのエースだろう、狙撃仕様機でも持ち込んでいたのか」
『ガルバルディβは元々長距離射撃向きですが、それにしたって遠すぎます』
 ヘイズの疑問にMS隊長が不審そうに応じる中、不意に索敵手が顔を青ざめさせ、裏返りかけた声で叫んだ。
「艦長! ま、マカッサルのMS隊が!」

398 :  何が起こったのか分からなかった。
 システムだけが機械的に異常を告げている。
「はっ――?」
 ターゲル・マイデン大尉のガルバルディβは、気づいたときにはもう右肩に被弾していた。
 ビームだ。機体右腕は肩関節部から切断され、握ったビームライフルごと漂流していく。
 なぜ?
 理解できない。有効射程にはまだ遠すぎる。
 まぐれ当たりか。敵がでたらめに盲射した殺気のない流れ弾のひとつが、たまたま運悪く命中したのか?
 ガルバルディβのビームライフルは、ゲルググ用ビームライフルにEパック対応などの小改修を施したマイナーチェンジ版だ。
 ビームスプレーガンから発展してきたジムU用ビームライフルとは対照的に、一撃の威力と射程や精度を重視する一方で、継戦性や速射性はやや低い。
 ターゲルがそのビームライフルを速射するときと同じリズムで、次の射弾が飛んできた。
 ゲルググの影響を色濃く残す頭部ユニットが真正面からモノアイを貫かれ、一瞬にして内側から破裂し消し飛ぶ。
 主センサー群が一挙に壊滅した全天周モニターにノイズが走り、生き残った部分も大きく解像度を落とした。
「バカなッ!!」
『か、回避運動!』
 二発目の直撃、それもたった二発の射撃で。
 超長距離からの百発百中。
 もはや偶然などではあり得なかった。
 呆気に取られた僚機の中で、第二小隊長が声を張り上げてようやく回避運動の開始を命じる。まだ彼我の距離が遠すぎたがため、彼らは直線的な機動しかしていなかったのだ。
「そ、そんな――そんな、バカな!!」
『ぎゃあっ!!』
 ひたすら繰り返すターゲルの眼前で、その第二小隊長機が被弾した。
 右肩。またしても右腕がちぎれ飛ぶと、今度はその手のビームライフルそのものが誘爆を起こし、機体の近くで火球となって弾けた。
 ビームライフルを装備していたハイザックの一機が右腕を撃ち抜かれ、続けざまに同じ運命を辿る。
「何だこれはッ。何だ、何だこれはあッッッ!!」
『まさか――』
 ペズンの教導団はあの伝説のNTパイロット、アムロ・レイが一年戦争末期に叩き出した、超人的としか言いようのない戦闘データも保有している。
 そのデータを元に理不尽なまでの反応速度や長距離・全周認識及び交戦能力を再現した戦闘シミュレーターは、ターゲルも何度も体験していた。
 だが目の前の敵は明らかに、そのアムロ・レイすら超越している。

399 : 『まさか、……ニュータイプ、……だとでも、……言うのか……』
「……ぬおおおおおおおっっっ!!」
 列機の誰かが掠れるように漏らした声をかき消そうとするかのように、ターゲルは雄叫びを振り絞った。
 ガルバルディβに唯一残った射撃兵装であるシールドを振り上げる。内蔵式連装ミサイルランチャーの砲口を正面へ向け、主センサーを失いながらも概略照準だけで貨物船を狙った。発射する。
 敵機がまたビームを放ち、狙撃されたミサイルがいくらも行かないうちに爆散。巨大な爆炎の華を咲かせた。
 ターゲルは機体のバランスを修正しながらシールドを構え、その爆炎めがけて先頭を切って突進する。
「このまま守りを固めて距離を詰めるッ!! 必勝の信念、特攻精神をもって当たれィッ!!」
『りょ、了解ッ!!』
 ターゲルの強烈な気迫と闘志が、崩壊しかけたマカッサルMS隊を立て直した。

400 : 『ぐうっ――!』
 また一機のハイザックがビームライフルに狙われたが、今度は用心深く右肩と左腕のシールド両方で固めた守りでビームを止めた。
 他の機体もそれぞれシールドを前面に出し、右腕とビームライフルを失った機体も片腕でのサーベル戦に備える。
 敵MS隊は貨物船の前面に展開しながら前進しており、彼我の距離は急速に詰まりつつあった。
 まだ頭部ユニットを破壊されていないマカッサル隊のMSが、ここでようやく敵機の姿を捉える。情報通りのザクU改修型だ。やはり敵影は三機。
 先頭の一機がゲルググ用のビームライフルを構えて矢継ぎ早に放ち、その後方にザクマシンガンとマゼラトップ砲を構えた同型二機の姿が見える。
 ハイザックの一機が連続したビームの弾着にシールドを破られ、その左腕を切り離された。
 だがその間に、ついに両者は有効射程を割る。
 接近戦だ。超長距離狙撃を繰り返していたザクUもビームライフルを腰にマウントし、ザクマシンガンに持ち替えながら突進してくる。E-CAPが尽きたのだろうか。
『くたばれ化け物ォォォ!!』
 二機のハイザックがザクマシンガン改を連射し、第二小隊長機がシールドミサイルを叩き込む。爆発と火線の中で軽やかに躍りながら、ルスラン・フリートのザクU先鋒機は悠然とザクマシンガンを構え直した。

401 : 今回は以上です。最後の投稿で『おいこら!』と止められました。
あと少しだったので短く切って完走出来ましたが、やはり一日一万字では厳しいのかもしれません。
またハーメルンの方に、一覧性重視で登場人物紹介コーナーを新調しました。長引いておりますので、今までの復習にご活用ください。
ご感想ありがとうございます。本当に嬉しいです!

402 : おふう!
続き来てたんだな!
今後も楽しみにしてます!

403 : 乙です!

404 : おお!
まだここに投下してくれるのか
ありがたい

405 : ガンダム保守

406 : エロ強化人間のとかのSSでお勧めあったら教えてくれさい

407 : フェニックステイル第十九話の後半部分を投下します。
ただ後半部分が予想外に一万文字を大きく超過したため、途中で投下が途切れる可能性があります。
フェニックステイルで検索していただければ、Pixivで関連画稿多数をご覧いただけます。
過去分はハーメルンでご覧ください(挿絵付き)。
今回もエロはありません。戦闘だけです。ご容赦ください……。

408 : 「ここと、そこと、ここと、ここ――」
 ひとり呟きながら、ティアーナは自機の火器管制系統をマニュアルで操作し、ファドランにビームライフルのリズミカルな発砲を繰り返させていた。
 ザクUファドランの機体構造には連邦軍ハイザック以上のビーム兵器運用能力を付与したルスラン・フリートだったが、その反面、MS用携行ビーム兵器の安定供給には未だに目処が立っていなかった。
 ティアーナが操るゲルググ用ビームライフルも、ジオン公国軍の中古品に共食い整備を繰り返して何とか維持しているものだ。
 それでも組織に数少ないビームライフルはティアーナ機に優先配備され、ノーラやミリアムたち一般パイロットの多くは実体弾兵器を携行している。
 ティアーナの意識は戦場で拡大していた。
 ほんの数十秒前まではおぼろげだった、迫り来る敵パイロットたちの脈拍、呼吸、思惟、感情――それらのすべてを今のティアーナは手に取るように掌握し、取り込み、理解できていた。
 いや、敵パイロットだけではない。
 後方に控えるノーラとミリアム。ケンドー丸の人々。前後から迫る連邦軍戦闘艦の乗員たち。
 ティアーナの意識から伸びて広がる無数の見えない触手は、周囲に存在する人間たちのすべてを捉えて、そして彼女の中に詰め込んでいく。
 その情報量の凄まじい奔流がもたらす負荷に耐えつつ、そこから敵機の未来位置を読み取って、ティアーナはその右腕を、頭部を、自機のビームライフルに狙い撃たせていく。
 決してその胴体を撃ち貫くことがないよう、慎重に、そして精確に。
 言うまでもなく、ザク・ファドランはサイコミュ搭載機などではない。その操縦系統はあくまで単なる通常型MSだ。
 確かにファドランはザクUの優れた操縦性を継承してはいるが、それでもティアーナの能力を本当に活かしきるためには、すべての性能が絶望的なほどに足りていない。
 それでもティアーナは淡々と発砲を続けていく。
 光速にはほど遠くとも、実体弾などよりは遙かに速いメガ粒子が二十数キロの空間を一瞬で渡り、また連邦軍MSの右肩を砕いた。
 自らの能力を解放したティアーナがまず最優先で潰したのは、敵MS隊長機の頭部と右腕だった。正面の敵の中で一番の腕利きはこのガルバルディβのようだったし、隊長機のメインセンサー群を潰せば部隊の意志決定を遅らせられる。
 だからティアーナは敵隊長機を狙って二射を放ち、続けて第二小隊長らしき機体を叩いた。
 あわよくば、これで恐れをなして撤退してくれるかもしれない――ティアーナの淡く抱いたそんな希望は、頭部と右腕を失いながらもシールドミサイルを乱射し、突入してくる敵隊長機の姿で儚く霧散した。残りの五機も損傷に構わず突撃してくる。
「――うう……っ!」
 溢れるほどの敵意が、憤怒が、恐怖が、邪悪な欲望が、ティアーナの小さな胸を圧し潰そうとするかのように押し寄せる。
「ここで、止まってよ……止まってよ……っ!」
 ティアーナは歯を食いしばり、その感情の真っ黒な怒濤に耐えた。ケンドー丸から少しでも遠くで敵をすり減らすべく、なお射撃を続ける。
 彼我の距離は縮まり続けて、間もなく敵MSの有効射程を割り込む。最大の脅威として優先的に狙った敵MS隊のビームライフルは全滅させることには成功したが、ザクマシンガン改やミサイルポッドまでは潰しきれなかった。
 ビームライフルを失った機体も、ビームサーベルやヒートホークは残している。脚部の破壊までは手が回らなかったから、AMBAC能力と運動性に大きな影響はない。距離が詰まれば斬り合いになる。
「ボクが、やらなきゃ……ボクが、やっつけなきゃ……!」
 震える声で呟きながら、ティアーナはここでビームライフルを腰にマウントした。コネクタを介してジェネレータの余剰出力をE-CAPのチャージに回していく。
 MS単体でE-CAPをリチャージするなど、非現実的なほど非効率な手段ではある。だがこの後の対艦戦闘のことを考えるなら、例え一発分でも回復させておきたかった。
『よし来た出番だっ! さあ、行くよっ!』
『めんどくさい仕事は、さっさと終わらすしかないかんね――ティア。ここで一気にまとめて片付けるよ』
 代わってティアーナが自機にザクマシンガンを構えさせると、すぐ後方にいたノーラが自分へ気合いを入れるように叫びながら横へ出てきた。
 マゼラ・トップ砲を構えたミリアム機も後方にいる。左右に開いた通信小窓のカットインを通して、ティアーナはいつものように微笑んだ。
「――うんっ!」
 ティアーナはそこから一気に加速し、再び突出。敵の殺気と照準を自らの機体ひとつへ集めさせる。

409 : 『くたばれ化け物ォォォ!!』
 実弾火器の有効射程距離を割りこんで、敵機が一斉に火蓋を切って落とした。集中してティアーナ機を狙う。
 ガルバルディβは頭部ユニットを失った隊長機がやや遅れ、第二小隊長機が追い抜きざまに放ったシールドミサイルが至近で弾けた。まだ五体満足のハイザック二機が前衛に出て、ザクマシンガン改を連射しながら突っ込んでくる。
「当たんないよーーーっ!!」
 ティアーナは爆炎の海を泳ぐように駆け、一対のうねる毒蛇のように迫ったザクマシンガン改の射線を紙一重でくぐり抜けた。連なる敵弾と敵弾の狭間でザクマシンガンを構え、続けざまに単射で放つ。
 120ミリ徹甲弾が右腕のオプション・シールドをリズミカルに穿つと、ハイザックの片割れは弾着の衝撃で射撃姿勢を崩した。弾むように躍るように、ティアーナは誰より自由に機体を操って肉薄する。
『ひっ!?』
「おそーい!!」
 ハイザックの全天周モニターをファドランが埋め尽くす。敵機が何かする前に、ティアーナは右足蹴りでその首を跳ね飛ばしていた。
 頭部メインセンサー群を失った機体の上を抜きながら、ぐるりと右腕を回してザクマシンガンを背後に向ける。目もくれないまま短連射を二回、ザクマシンガン改ごとその右腕を、そして左腕までもを切り離した。
『野郎ッ!!』
 首を蹴飛ばしながら抜けてきたティアーナ機へ、右手を失ったまま後続してきた機体群がヒートホークを、ビームサーベルを振りかざして殺到する。
 頭部ユニットを失ったターゲルより先行した第二小隊長の指揮下、片手にも関わらず、全力でスラスターを噴かした最大加速で一気に迫った。
 白兵の三機が近距離から一斉にティアーナを狙う。同時に三対一、これなら例えNTだろうと仕留められると彼らは踏んだ。
 だがそのハイザックの一機に、ノーラのファドランが立ちふさがった。ティアーナを横合いから襲わんとする機体の行く手を塞ぐ。
『なっ!?』
「させないってんでしょ、このザクもどきぃ!」
 ノーラ機が堅確に両手構えしたザクマシンガンが火を噴き、曳光弾の迸りが宇宙を裂いた。
 ハイザックの胴体主要部に直撃させないよう気持ち右側を狙って撃ち始めたノーラは、曳光弾の流れを見つつ銃口をそこから左へ振る。
 修正された弾道が脚部へ導かれて火花を散らすと、そこだけを精確に狙って射弾を集中。両脚を叩き斬るようにして破断させた。
『うっ、うおあああっ!』
「そのまま寝てろっ!」
 兵装類の指向と操作に集中すべき腕部と異なり、MSの脚部はAMBACによる姿勢制御の大半をこなしつつ主推進器も擁している。まさに機動の中核となるべき存在だ。
 その脚部を失って運動性の低下したハイザックが不格好に宇宙を泳ぐと、ノーラはそこへ再びザクマシンガンの連射を掛けて左腕まで斬り落とす。
『もらった!』
 それでも残った二機がティアーナへ執拗に絡みついていくその死角から、無傷で残った最後のハイザックが飛び出した。ザクマシンガン改でティアーナを狙う。
 もはや射撃戦には至近距離だ。しかも二機の味方が肉薄して敵機の回避機動を大きく制約する今、連射によって点ではなく線での制圧能力を持つザクマシンガン改にとっては、必中の間合いと言えた。
『死ねッ――があっ!?』
「はい、お疲れちゃーん」
 しかしザクマシンガン改が火を噴く前に、その右肩が爆発して腕ごと吹き飛ぶ。ティアーナとノーラの後方に位置していたミリアム機が、過たずマゼラ・トップ砲で狙撃したのだ。

410 :  高初速の175ミリ砲弾がさらにハイザックの右脚を貫いて砕き、咄嗟にかざしたオプション・シールドを穿つ。ミリアムが続けざまに繰り出す速射が弾着を重ねて左肩ごと貫くと、最後に左脚も撃ち抜いて無力化した。
「残り、ふたつっ!」
 ミリアムとノーラの援護が確実に一機ずつを撃破していく戦闘の流れを感じながら、ティアーナは同時に迫りくる二機の片割れに相対した。
 殺気もろともヒートホークを振り上げて機体ごと激突しに来る相打ち覚悟のハイザックへ、ティアーナは自ら突進する。
『なっ!?』
 ガルバルディβに自機の無防備な脇腹を見せながら、ティアーナはあまりにも大胆に、しかしそれでいて繊細にファドランを操った。思い切った斬撃同士が交錯する。
 赤熱した敵刃がミリセカンド単位、センチメートル単位で襲来する真下をティアーナは潜った。
 下から跳ね上げた左手のヒートホークでハイザックの左腕を斬り落とすや、左肩のスパイク・アーマーでコクピットハッチを強打する。
『ガフ!!』
 直接打撃に機体ごとシェイクされたハイザックのパイロットは、激震するリニアシートのコンソールに顔面を強打した。バイザーが割れ鮮血が飛び散る。
「あぐぅっ……!!」
 自機の肩関節サスペンション越しに激突の反動を軽く受け流したティアーナはしかし、まるで自分自身が敵兵と同じ衝撃を受けたかのように顔面を歪めた。悲鳴を必死に噛み殺して呻く。
『死ねぇい!!』
「――!!」
 光刃が走る。裂帛の気合いとともに、そこへ第二小隊長のガルバルディβがビームサーベルを叩きつけた。
 流体パルスアクセラレータと軽量の機体が生み出す神速の突きを、ティアーナは咄嗟にヒートホークで受ける。
 刃部加熱機構のIフィールドがかろうじてビーム刃を食い止めるが、メガ粒子の圧倒的なエネルギー量で少しずつ、だが確実にその基部が食われていく。
 ティアーナ機はその間に右腕のザクマシンガンを跳ね上げた。ヒートホークの後ろからガルバルディβの関節部を照準する。
『いかな凄腕であろうとッ!!』
「!」
 だが発砲直前、ガルバルディβは頭部信号弾を至近で放っていた。
 二機の間で、センサーを焼くほどの強烈な閃光が爆ぜる。
 先んじて自機のセンサーを遮断していた第二小隊長は、同時にビームサーベルを切ってメガ粒子を霧散させた。
 ヒートホークとのつばぜり合いを解くや、即座にセンサーとビームサーベルを再起動。メガ粒子が奔り、スラスターが吼え流体パルスが唸る。
 光の海が溢れる中で敵機の影へ、渾身の斬撃をあらぬ角度から振り抜いた。
『もらったッ!!』
 この抜き打ちの斬撃こそ、一年戦争が産んだ究極の白兵戦用MS、ギャンの系譜に連なるガルバルディβの真骨頂だ。ペズンの教導団でも、この距離から自分が放つ斬撃に対応できた猛者は居なかった。
 そう勝利を確信しながら、彼は剣閃を振り抜く。
 だからこそ彼は、その光刃がまたしてもヒートホークにがっちりと受け止められていたことを、ザクマシンガンの銃口がぴたりと彼の機体を狙っていたことを、すぐに認識することが出来なかった。
『なっ――』
 銃炎。
 短連射の弾着を浴びて、彼の機体の左肩が砕け散る。ビームサーベルを握ったままの左腕が、宇宙へ流れていく。
 一瞬であれ、センサーは確実に潰したはずだった。
 にもかかわらず、敵機は斬撃を受け止めた。どうやって? 答えは、おそらく一つだ。
 敵パイロットはMSのセンサーなどに頼ることなく――おそらくは彼の放った『気』だけを読んで、その太刀筋を読み解いたのだ。
 何もかもが、違いすぎる。
 両腕を失ったガルバルディβの機内で、第二小隊長は慄然とそれに気づく。覚えず、口に出していた。
『こ、これが――この、分かり方が――』
 ――ニュータイプ、ということなのか。
「これで、おしまいっ!」
 単射で放たれたザクマシンガンの120ミリ徹甲弾が、ガルバルディβの脚部を次々に撃ち砕く。
 そして最後に頭部ユニットを貫通、破砕した一撃が、事実上のマカッサルMS隊全機の大破と壊滅を高らかに告げた。

411 : 『な……なな、なんだ……なんだと言うのだ、これは……ッ!!』
 部下たちの突撃に出遅れたターゲル・マイデンは、完全に機を逸していた。彼の機体はまだ左腕と両脚を残しており、もっとも損傷軽微な機体と言えなくはない。
 だがもはや乱戦を制して態勢を立て直しつつある三機相手に、傷ついた単機で仕掛けられなどはしないことを、誰より彼が理解していた。
『ぐっ、ぐうう……っ!!』
「さっさと諦めろっ、落とすぞコノヤロー! そのまま帰っちゃえっ!!」
 そこへノーラのファドランがザクマシンガンの銃口を向けて威嚇すれば、ターゲルのガルバルディβはもうその有効射程外を遠巻きに退避していくしかない。
 そしてその中破したMS隊長機の存在など、マカッサルにとってはもう何の慰めにもならないことは、ここまでのMS戦の経緯を見れば火を見るよりも明らかだった。
 マゼラ・トップ砲を構え直しながら、ミリアム・バーレット少尉は戦場全体を俯瞰する。
『や、やった……やれた!! あとは艦だけ、――こいつさえ、何とかすればっ!』
「ティア、ノーラ? 三機でプレッシャー掛けて、巡洋艦を押すよ!」
 作戦の第一段階である、敵MS隊の無力化には成功した。あとはケンドー丸の正面を塞ぐサラミス改級巡洋艦に突進し、脅威を感じさせることで撤退に追い込んでケンドー丸の退路を確保するのが作戦の第二段階だ。
「……ま、正直――ここから先が、一番キツいんだけどねー……」
 心の中だけで一人吐き捨て、ミリアムは眼下のティアーナ機と、通信小窓の中の少女自身を一瞥する。
 ここまで敵には死者はもちろん、重傷者も出してはいないはずだ。MS戦をやっているとは思えない、奇跡的な最低限の犠牲で抑えていた。
 ティアーナは疲弊してはいたが、作った笑顔でそれを塗りつぶせる程度には余力がある。
 行ける、とミリアムは踏んだ。
「ここから多分、後ろの駆逐艦もMSを出してくる。時間無いよ――速攻で片づける!」
『了解!』
『りょーかい!!』
 ここから先は対艦戦だ。まるきりすべての勝手が違う。
 ティアーナ機を先頭に編隊を組み直しながら、唱和する少女たちの声に今までと異なる緊張が混じっているのを、ミリアムは感じ取っていた。
「MS隊、……全滅です」
 痛切な声色とともに、マカッサル艦橋で通信士が振り向いた。艦橋要員たちがリードとカミラを、チラチラと見る。
 顎でも外れたのかと思う表情のまま、リードは司令席で固まっていた。
「て、敵MS隊、来ますッ!!」
 自らは無傷のまま、数で倍するマカッサルMS隊を一方的に撃滅してのけた三機のザクが、これ見よがしに武装を誇示しながらマカッサルへの突進を開始した。
 その先頭機が――超長距離狙撃を皮切りに、白兵戦でも悪魔のごとき破壊力を振るったあの機体が、右手の武装をザクマシンガンからビームライフルへ持ち替えた。かと思うと、そのままマカッサルに向けて発砲する。
「ひッ――」
 無造作に放たれた光軸は、マカッサルの艦橋をギリギリで掠めていた。飛散した希薄なメガ粒子に艦橋窓が叩かれ、いくつもの細かな傷を刻みつける。のけぞるリードの傍らでカミラが叫んだ。
「状況報告!」
「艦橋右舷機銃銃身溶解、射撃不能! 右舷主レーダー溶解、機能停止!」
「艦内気密異常なし、人員報告――人的損害無し!」
 メガ粒子の飛沫に炙られた90ミリ連装機銃の銃身が一対と、ロバの耳のようなレーダー部が溶解していた。それでもマカッサルの艦内には何の損害も与えることはなかった一方、人間の心理には大打撃を与えていた。
 泡食いながらリードが叫ぶ。
「た、た、た……対空砲火開けッ! 奴らを落とせ……近づけさせるなッ!!」
「司令!? しかし前方空域には、まだ本艦のMS隊が!」
「構わん、艦が沈めばどのみち同じだッ! 通信、アルマーズに打電! ただちにMS隊を発艦させよ!」
「も、目標は!?」
「敵MS隊を最優先とする! アルマーズはMS隊と自艦火力をもって、敵MS隊を全力で駆逐せよ!」
「司令、それで本艦はどうするのです!」
「ほ、本艦は――」
 カミラの鋭い詰問に、リードは思わず硬直する。
 状況は当初の想定を遙かに超えて、あまりに激変しすぎていた。
 本来ならば今頃、敵MS隊は完全に駆逐され、不審船はマカッサルとそのMS隊に強制停船を命令されていたはずだった。
 だが実際に駆逐されたのはマカッサルMS隊だ。不審船は今なお当初同様の突進を継続し、その前面にはあの恐るべきMS隊が迫ってくる。
 今や不審船ではなく、マカッサルの方が獲物と化したのだ。そして今、そのマカッサルは完全に行き足を止めている。

412 : 「ほ、本艦は――本艦は――」
 どうする? 逃げるのか? アルマーズ隊を敵にぶつけ、その間にマカッサルだけで撤退するのか?
 いや、それは……出来ない。
 ペズンの精鋭を借り受けた新鋭機主体のMS隊まで投入しておきながら、一方的に撃破された挙げ句にルウム閥の艦を盾に撤退するなど、もうどこに対してもメンツが立たない。
 戦術的判断と政治的判断が、ぐるぐるとリードの脳裏で渦を巻く。一瞬でも早い決断が求められるこの局面に圧迫され、ついに戦隊司令は目玉もこぼれよとばかりに見開いて叫んだ。
「本艦は直進、――直進ッ!! 敵MS隊に対空砲火を浴びせつつ前進、このまま不審船にぶつけろ!!」
「了解。主砲は不審船、副砲はMSを狙え! 不審船の行き足を止める、マカッサル微速前進!」
(これはもう、駄目かも分からんな)
 カミラは内心で半ば自棄になりつつ、矢継ぎ早の指示を飛ばした。
 並外れて強力なMS隊相手に、MSの掩護を失った巡洋艦が単体で突進するなど、もはや正気の判断ではない。あからさまな自殺行為だ。
 だが決断は下された。統一された方針の元で迅速に動くことは、戦術行動の最低必須条件である。そして兵は巧遅より拙速を尊ぶ。
 だから指揮官による迅速かつ明確な意志決定は何より重要な存在であり、そしてそれが下されてしまった以上は、もはや従って戦うしかないのだ。
 それは通常の戦闘ならば、おそらく最悪の決断だっただろう。
 しかし今回のそれは、通常の戦闘ではなかった。

「なんだこれは、……なんだこれはッ!」
 MS格納庫からケンドー丸船橋へ飛び込んできたグロスマンは、目の当たりにした戦況に興奮を隠しきれない口調で叫んだ。
 デラーズ紛争後に連邦軍が投入した新型MS、ハイザックやガルバルディβのことはグロスマンも知っていた。サイド5では自ら接触し、交戦した経験もある。
 ザクの意匠と名称を露骨なまでに継いだ機体が、地球連邦の紋章を掲げてジオンの兵を撃つ――グロスマンたちはそのおぞましさに怒った。
 怒りながらも、ザクの堅牢さと汎用性や優れた操縦特性を殺すことなく、むしろさらに洗練しながら戦後技術で磨き上げてきた、ハイザックという機体そのものは評価せざるを得なかった。
 ガルバルディβについても同様だ。戦後の連邦軍に好敵手と呼べるだけのパイロットは数少なかったが、その数少ない手練の実力を十二分に引き出すポテンシャルを秘めた、まさにエース仕様の名機と見ていた。
 一方でハイザックの優れた操縦特性は、未熟な兵にも安定した戦闘力を発揮させるものだ。
 いずれもジムUなどというガンダムの安物、まがいものをマイナーチェンジしただけのハリボテ風情とはわけが違う『本物』のMSなのだ。
 距離が詰まり、両者が激突した。
 ファドランのビームライフルで一方的に撃たれるばかりだった連邦軍MS隊が、ザクマシンガン改やミサイルランチャーの砲火を開く。
 ファドラン隊がそれを潜り抜けて射線を交えると、彼我入り乱れてもつれ合う激しい白兵戦になだれ込んだ。
「ああっ!?」
 と、照明弾の閃光が、なお十数キロを隔てたケンドー丸の船橋でも観測できるほどに目映く輝いた。船橋にどよめきが走る。
 誰もが固唾を呑んで見守る中、消えゆく光の中から現れたのは、四肢と頭部を次々に撃ち抜かれて流れていくガルバルディβと、無傷のままのファドラン31だった。
「ティアーナ……!」
「ティア坊! よっしゃあああ!!」
「敵MS、全機大破! 敵MS隊の無力化に成功しました!」
 船橋が、一斉に沸いた。
 最初の狙撃から最後の剣撃まで、時間にしてわずか三分足らず。
 ハイザックとガルバルディβで編成された二倍の敵を、ケンドー丸の少女たちは鎧袖一触、まさに一撃で粉砕してのけた。
 しかもジオンの魂と呼ぶべき名機ザクUをそのまま洗練、改修した機体によって。
「圧倒的っ、……圧倒的ではないか、我が方は……ッ!!」
 昂揚したグロスマンの口からは知らず、彼が敬愛するジオン公国総帥の末期と同じ言葉が漏れ出していた。だが船橋窓に張り付いて双眼鏡を構えながら、彼は同時に別の疑問にも気づく。

413 : 「しかし……しかし、なぜだ。なぜ殺さん? 敵に情けを掛けているのか……?」
 少女たちのファドランに撃破されて漂流する敵MSは、いずれもコクピット・ブロックを損壊していない。
 被弾が誘爆に繋がりやすいバックパックもほぼ無傷のままで、そのために今も全機が一定の機動力を維持している。
 大半がもはや胴体だけというおそろしく不格好な状態のまま、彼らがファドラン隊の射程圏内を避けつつ危地の母艦を遠巻きにする姿は、ひどくシュールなものがあった。
 確かに無力化はなされている。武装もAMBACも失ったMSなど、もはや脅威でも何でもない。
 たとえ彼らが今からケンドー丸に突進してきたとしても、プチ・モビルスーツや、ノーマルスーツの乗員が持つ携帯火器だけでも迎撃は可能だろう。
 だが、問題はそれだけではないのだ。
 パイロットスーツのまま口元を堅く結び、食い入るように戦場を見つめる女性士官の姿を船橋に見つけた彼は、威儀を正して詰め寄った。
「ファーガスン大尉! 貴女の部下の技量は、確かに素晴らしい……それは認めよう! それは認めるが、あの戦い方は何かっ!?」
 船橋窓の向こうを流れ行く敵MSの胴体部を指さしながら、彼は眼鏡の小柄な女性士官を詰問する。
「技量を鼻に掛けて戦場で敵兵に情けをくれようなぞ、侮辱と傲慢でしかない! いかに優れた技量を持っていようが、それでは敵に足下を掬われる!
 あれほどの精密狙撃が可能なら、最初から一撃で胴体部を貫き爆散させるべきであった! 彼女らには今後のため、事後、厳重な修正が必要である!!」
「…………」
 イオタが顔を上げた。痛切な感情に張りつめた、寂しげな、悲しげな瞳でグロスマンを見返す。
「本当に、……本当に――そんな理由であの子たちが、ああして戦っているとお思いなのですか」
「……何っ……?」
 グロスマンがイオタの予想外に強い視線に怯み、理解できずに立ちすくんだそのとき、索敵手が目を剥いて叫んだ。
「……んなッ!? 正面の敵艦、来ます!」
「何ッ!?」
 誰もが目を剥いた。敵艦がこちらへ舳先を向け、加速してくる。メガ粒子砲身が生き物のように蠢き、ケンドー丸を狙っていた。
 MS隊を失ってファドランに迫られるサラミス改級巡洋艦は、後退ではなく、逆にケンドー丸への突進を選んだのだ。
「正気か!?」
「敵主砲、高エネルギー反応!!」
「ビーム攪乱膜弾を前面へ――」
「間に合いません! 来ます!!」
 マカッサルの主砲、左右両舷四門の大型メガ粒子砲が射撃した。
 MS用ライフルなど問題にもならない威力のビームが飛来し、その円形の断面が船橋全員の網膜に焼き付く。
 ――直撃
「させない!!」
 ティアーナ・エイリスは反射的にビームライフルを発砲していた。
 何もない空間へ向けて。
 いや。正確にはその一瞬後にマカッサル主砲が放った四発のうち、ケンドー丸への直撃コースを取る一発の進路上へと、彼女は発砲していた。
 二隻の中間で閃光が破裂。収束したメガ粒子同士の激突、干渉が火花を散らす。
 ティアーナのビームライフルに、巡洋艦の主砲と渡り合えるだけの出力など無い。だが弾道をわずかに逸らすだけならそれでも足りた。
 四条の艦砲級ビームはギリギリでケンドー丸を外し、そのまま宇宙の彼方へと消えていった。
『う、嘘でしょ……』
『ティア! 青の注射!!』
 呆然とノーラが呟き、いつになく切迫したミリアムの声が、ティアーナの耳朶を蹴り上げた。
「えっ――」
『このサラミスはイかれてる。もう殺るしかない。青の注射でティアが『力』を抑えたら、そのまま沈める!!』
『そんな! ミリ姉、薬がすぐに効くわけないじゃん!! ――うあっ!?』
 90ミリ機関砲弾の猛烈な弾幕、そして単装メガ粒子砲が放つ光軸の嵐が彼女たちを襲い続ける。一隻の巡洋艦が放つその火力は、MS隊などの比ではない。
『なんでッ。なんでコッチに来んのよおおおぉぉぉっ!!』
 必死の回避機動を展開しながら、ノーラとミリアムは反撃の火線を開いた。だが、その射弾は一発として敵の艦体を捉えることはない。全弾が外れている。
 いや、必死に外していた。
 彼女たちは敵を怯えさせられるようにギリギリの線を狙いつつ、しかし決して命中弾だけは出さないよう、『当てない』狙撃を繰り返していた。

414 : 「エネルギー切れ……っ!!」
 ティアーナは斜め上方からサラミス改の右舷主砲を狙い撃ち、その砲身を溶解させた。あれなら射撃不能だろう。だが彼女のビームライフルは、そこでE-CAP残量を使い果たす。
「こ、ここと……ここと、ここと、ここなら……っ!!」
 対空砲火の中で役立たずな武器を投げ捨てると、ティアーナはザクマシンガンを構えた。
 誘爆のおそれがなく、敵乗員の存在を感じない部分だけを狙って単射で狙撃を繰り返す。初めてマカッサルの艦体に直撃弾が入り、見た目には派手な小爆発を繰り返す。
 だが敵艦は止まらない。
『もういいティア! 早く! 早く、薬を!!』
『ティア!!』
 ノーラが絶叫した。余裕を投げ捨てたミリアムの切実な声がティアーナに命じる。
 ミリアムは撃ち尽くしたマゼラ・トップ砲の五発弾倉を交換して、非致死性のトリモチ弾で敵艦を狙撃し始める。荒れ狂う弾幕の中ではまともな狙撃など出来はしない。
 三発は艦体を外れて明後日に消え、艦体を捉えた一発も何もない甲板にむなしくトリモチを広げる。一発だけが90ミリ連装機銃塔の一門を搦め取って沈黙させた。
「…………っ!」
 悲痛に顔面を歪め、ティアーナが後方へ下がる。なお追いすがる弾幕を回避しながら、手元の小箱を開く。
 その近傍に、ターゲル・マイデン大尉機は居た。

 通信・索敵関連機能の主要部を構成する頭部ユニットを失った、ターゲル・マイデン大尉のガルバルディβ。
 彼はあらゆる火力を発揮しながら不審船へ突撃するマカッサルと敵MS隊の戦闘を、ただ遠巻きに眺めるしかなかった。
 五人の部下たちの機体は戦闘の末に例外なく、四肢も武装もすべて失った。
 頭部ユニットを最初の一撃で喪失したために出遅れた自分の機体だけが、あれきり仕掛けるタイミングを失って半端に損傷した機体を抱えたまま、今もこうして役立たずの遊兵として漂っている。
 激しい交戦のさなか、母艦マカッサルすら彼の存在を忘れたかのようだった。もう呼び出しの通信すら入ってこない。
 もはやペズン教導団のメンツも何もない。恥辱の極み。ただそれ以外の何物でもなかった。
 その彼の眼前に一機のザクがフラフラと、交戦継続中の二機の僚機を置いて下がってくる。
 忘れもしない。超長距離狙撃で彼を痛めつけ、そのまま彼の部隊を壊滅させた機体だった。
 その情けない姿が、彼の奥底でくすぶる何かに火を点けた。

415 : 「――舐めるなぁぁぁあああっっっ!!」
 絶叫とともに、ターゲルは胴体だけのガルバルディβを突進させた。マカッサルが放つ対空砲火の嵐と踊る、憎きザクUへ向けて真っ直ぐに。
 特攻。
 もはやそれ以外の何物でもない。
 十分な距離の中で練られた十分以上の加速で、ターゲルはただ一心にその機体を狙う。
「何、こいつっ!?」
 距離を開いてなお強烈な90ミリ弾と副砲からのメガ粒子を回避し続けるティアーナは、その敵意と怨念が沸き上がるのを感知してはいた。
 しかし実際に自分を狙い、敵機が突進してくるのを目の当たりにすれば、動揺せずにはいられなかった。
 ティアーナですら逃げの一手に回るしかない、濃密な対空砲火のただ中だ。そこにわざわざ飛び込んでくるなど、完全に自殺行為以外の何物でもない。
 その不合理で無意味な行動にティアーナは戦慄し、そして同時に気づいていた。
 ここから彼を『殺すことなく機体だけを無力化し、なおかつ安全に生き残らせる』方法は、もはや自分の手元には存在しないということを。
『死ねよやーーーッ!!』
 十分に加速した首無しのガルバルディβがビームサーベルを振り抜く。マカッサルから執拗に迫る数条の90ミリ弾の火線から逃れつつ、ティアーナはあっさりとその下を潜って逃れた。
『外したッ!? ぐっ!? ぐあああーーーッ!!』
 乾坤一擲の突撃を外したターゲル機は、マカッサルが放つ対空砲火の流れ弾に捉えられた。
 機体の右足が、そして左足までもが砕け散る。一気に機位が崩れた。必死に制動するも慣性を殺しきれないまま、彼はマカッサルが撃ち上げてくる弾幕の中を逆落としに突進していく。
『うあっ、味方機が!?』
『退避ッ! にッ、逃げろーッ!!』
 その対空射撃を必死に放っていた90ミリ連装銃塔の一つへ、ターゲル機は吸い込まれるように落ちていく。銃手たちが慌てて逃げ出すが、とうてい間に合わない。
「あっ――」
 その避けられない破滅を前に、ティアーナの瞳が恐怖と絶望に染まった。涙が溢れる。
『ぎゃあああーーーッ!!』
 ターゲル機はそのまま墜落しマカッサルに激突、機銃塔を叩き潰しながら甲板へ深くめり込んだ。
 弾薬を使い果たし、一定の制動にも成功していたガルバルディβの機体は爆発しなかった。
 だが激突の余波は、逃げ遅れた数人のマカッサル乗員を巻き込む。変形した艦体構造がノーマルスーツごと彼ら自身の四肢を挟み、潰し、打ち砕いた。気密を破られ宇宙へ抜けていく空気の中を、おびただしい血が流れ飛んでいく。

『ぁあああああああーーーーーっっっ!!』

 魂もろとも砕け散ったかのような少女の絶叫が、ノーラとミリアムの、そしてイオタの鼓膜をつんざく。
『――ティア?』
『うそっ――』
 ティアーナ機はそれきり、糸の切れた操り人形のように崩れる。
 火線の嵐の中で。
 動きを止めた彼女のファドランへ90ミリ弾が続けざまに直撃し、その機体をズタズタに引き裂いた。

416 : 今回は以上です。
とうとう連投後には短文投下ですら出来なくなってしまいました。
ここへの投下には厳密な字数管理が必要になるようです。
pixivとハーメルンに、小改稿版と挿絵(戦闘場面と人物紹介)を用意しました。フェニックステイルで検索してみてください。
ご感想お待ちしております。
>>406
エロ強化人間ってどんなのですか?

417 : エロい方に強化されすぎて普通のSEXじゃ満足できなくなった人とかじゃね?

418 : 条件付けされた相手に従順に性的奉仕をする様に催眠療法や薬物で強化された人間
脳波を感知して相手の望みや好みを察して先読みする様にプレイや性的奉仕をする
勿論相手のどこが気持ちいいかのツボも脳波を感知する事で理解して攻める
但し偏頭痛持ちなのでバファリンを常備の事
また一時的な健忘症で誰だか分からなくなったりするし
更に情緒不安定でヒステリーを起こし時々噛み千切ったりするドジっ子(テヘペロ

419 : ほとんど見てないけど今やってるガンダムってどうなん?

420 : 見ないなら気にしても仕方あるまい。知らない方がいいこともある

421 : 女の子だらけの宇宙戦艦(ただし全員ヤクザ兄貴の情婦)とか
それを真似してお嬢様と一緒に主人公ハーレムの一員になる事を夢見る健気っ子とか
突っ張った主人公の相棒を大人の余裕でたしなめる有能な秘書風お姉さんとか
ライバルキャラの金髪貴族に懐いている幼女婚約者とか
エロパロ向きのネタはこれくらい?

422 : 宇宙世紀後なのか?

423 : >>421
ぽっちゃり系お兄ちゃん大好きなロリ双子もいるべ

424 : 今さらだが、一軍を生かしていたら絶対クー様とフミタン輪姦されたから、ぶっ殺して正解だ。

425 : フェニックステイルの第二十話を投下します。
申し訳ありませんが、今回もエロなしです。

426 :  少女が通されたのは、予想外に小綺麗な一室だった。
 テーブルに生けられた可憐な花束は鮮やかに咲き誇り、煎れられた紅茶は馥郁な芳香で鼻孔をくすぐる。
 インテリアの道具立ては質素ながらも、洗練された女性的感性によって端整に彩られたその部屋は、およそ軍人らしい無骨さなどからは遙かに懸け離れた存在のように感じられた。
 そんなジオン残党軍という組織には異質な空間の真ん中で、ジオン公国軍下士官制服に身を包んだ黒髪の少女はぴんと背筋を伸ばしたまま、目の前の大尉を見つめている。
「ノーラ・ジャンセン伍長。あなたが来てくれて、とても嬉しいわ」
 手ずから少女に紅茶を煎れた、この部屋の主――若い女性大尉が、にっこりと微笑んだ。
 柔らかそうな栗色の髪を三つ編みにまとめ、丸眼鏡の下に温厚そうな微笑みをたたえる美女。
 そしてもうひとつ異彩を放つのは ジオン公国軍尉官制服の胸元を、マゼラ・トップ砲の弾頭でも押し込んだのかと思うほどに大きく突き上げる、あまりに豊かな膨らみだった。
 ――美人で、女子力高くて、大尉で、爆乳で、爆乳で、爆乳で、爆乳。
 目の前でぷるんと柔らかそうに揺れ弾む、ド迫力の175ミリ級連装砲弾。自分の平坦な胸元とはあまりにかけ離れた圧倒的な破壊力に、少女はその魂を根こそぎ引っこ抜かれていく。
 ――おおおおおお……すごい、すごい、すごい……。
「ごめんなさいね。いろいろと立て込んでいて、お待たせしたのに何も出せなくて。イオタ・ファーガスン大尉です。これからあなたが所属するMS隊の、指揮を執らせてもらっています」
「えっ……? あっ、はっ! の、ノーラ・ジャンセン伍長でありますっ! 大尉殿、よろしく願いますっ!」
 悲しくなるほど慎ましやかな自らの胸元との無益な比較を繰り返すように、信じられないものを見るような視線を女性士官の魅惑的なボディラインへ食い込ませていた少女は、弾けるように席から立ち上がって敬礼した。
「きゃ……っ!? じゃ、ジャンセン伍長。そんなに慌てなくても、大丈夫よ」
 ――どうしよう、さっきからずっとおっぱいばっかり見てたのがバレた!
 急に話しかけられ、そう思いこんで焦ったノーラの唐突な動きに小動物じみた動きで反応しつつ、イオタは気弱そうな笑みで彼女の制止を試みた。
「か、堅苦しいのは抜きでいいのよ。私も、そういうのは苦手だから……。私たちのことは、あなたのお姉さんのように思ってくれればいいわ」
「そーそー。あたしらはさー、そーゆーお堅いのとか、いーから。求めてないから」
「は、はぁ……」
「仕事だけキッチリやってくれれば、それでいーよ」
 部屋の後ろの片隅で控えるように陣取っている、桃色がかった金髪をサイドテールにまとめた褐色の娘が気怠げに呟いた。
 同じくジオン公国軍尉官軍服に身を包み、そして光るのは少尉の階級章とMSパイロット徽章。この場にいるということは、彼女もこの小隊のMSパイロットなのだろうか。
 大尉が指揮官で部下に少尉。士官パイロット二人とは、このご時世ではずいぶん豪華な戦闘編成だと思える。
「ノーラっつったっけ? だから楽にしていーよ。楽すぎるほど楽に」
「……バーレット少尉。あのね、私は思うのだけど、でも、さすがに、それは……」
「あに? イオっち、なんか文句あんの?」
「い、いえ、そういうわけでは、ないけれど……」
 上官の大尉を軽く『イオっち』呼ばわりしてのけた褐色の女性士官――バーレット大尉は、軍制式の白タイツに包まれたすらりと長いその脚を、堂々とテーブルの上に乗せている。
 ノーラが部屋に来たときからこの格好だった。
 それはこうした軍務の場ではあまりに非常識な姿勢だったが、彼女の場合はその非常識で気怠げな仕草までがどこか絵になってしまっており、ノーラは大きな違和感もなくすんなり自然に受け入れてしまっていたのだった。
 ――なんか、オトナだ。……ちょっとワルそうな、オトナの、オンナだ……っ!

427 :  部下のはずのバーレット少尉にあっさりと威圧され、気持ち涙目になったようにも見えるイオタが、気を取り直したように紹介した。
「あ、あちらは、ミリアム・バーレット少尉よ。一年戦争には参加していないけれど、ルスラン・フリートでは最古参級のベテランMSパイロットなの。
 今まで地球圏の各地を転戦していて、デラーズ・フリートの支援作戦に出たこともあるのよ」
「えっ。『星の屑』作戦ですか?」
「私たちの簡単な履歴は、これを見てね」
 イオタが渡してきたのは、二人の簡略化された軍歴表だった。
 ミリアムは0083年入隊の『戦後組』。新兵としてデラーズ・フリート支援作戦に動員され、その後はルスラン・フリートの通称『外回り』艦隊で勤務していたが、最近になってイオタの指揮下に配属されたらしい。
 そしてイオタは、一年戦争前にジオン公国軍に入隊した『戦前組』――正真正銘の残党兵だった。
 一週間戦争からルウム戦役に続く緒戦に従軍し、地球侵攻作戦の発動後は突撃機動軍で宇宙勤務。その後は研究機関付を経て、ア・バオア・クー戦に参加。
 その後は共和国軍の統制に服さず離脱し、各地を転戦しながらルスラン・フリートと合流し、現在に至るという。
 ――すごい経歴だな。
 イオタとミリアムの二人を上目遣いで交互に見ながら、ノーラは思った。
 表看板としては『ジオン公国軍残党組織』を掲げ、規模としてもかなりのものがあるルスラン・フリート。
 だが実際のところ実戦経験者の割合は乏しく、まともに長期間の訓練を受けた熟練将兵も少ない。ほとんどの者がザビ家健在時のジオン公国軍を知らない『戦後組』という有様だ。
 もっとも古参・熟練将兵の不足そのものは、一年戦争という想像を絶する消耗戦による必然の結果であり、主敵たる地球連邦軍も事情は似たり寄ったりと言われてはいるのだが。
 そんな事情の中では、この二人はかなりの精鋭ということになるだろう。
 ――ひょっとして、私……すごい精鋭部隊に配属されるのかな?
 確かにパイロット訓練生課程での成績は上位だったが、まさか、いきなり、そんな。
「ごちそうさまでした。紅茶、美味しかったです。あの――」
 心臓を高鳴らせながら二人の履歴表を読破したノーラは、思い切って紅茶を飲み干すと顔を上げた。質問する。
「私……これからここで、何をすればいいんでしょう?」
 言われて、ミリアムが一瞬イオタを見た。その視線を受けたイオタは、いつものように微笑みながら答える。
「今から一緒に、見て欲しいものがあるの」

428 : 「――戦闘シミュレーションルーム、か……」
 地球連邦軍の新型量産機、RMS-106《ハイザック》を皮切りに配備が始まった、新型コクピットシステム。
 それは球形の緊急脱出用イジェクション・ポッドに、広大な視野を提供する全天周モニターと、急激な高加速の負荷を軽減するリニア・シート、最新の操縦系統を統合したものだ。
 アナハイム・エレクトロニクス社が開発したというそれを、ルスラン・フリートはなぜか大量に入手していた。すでに主力MS《ザク・ファドラン》は、ほぼ全ての機体がコクピットにこれを採用している。
 しかも輸入ではなく、どうやら自前でコピー生産出来ているらしかった。いったん盗んでしまえば、技術そのものはそれほど高度なものではない、ということなのだろうか。
 ノーラが管制室から見下ろす広大な室内には、その新型コクピット・システムがずらりと並んでいた。
 MS実機の心臓部として搭載するためではなく、それ単体を相互接続して戦闘シミュレーション・システムとして運用するために配置されているのだ。
 それ自体はMSパイロット訓練生課程の頃から見慣れた風景だった。
 だが、管制室からこうして見下ろすのは初めてだ。正面に掛かっている大型の主モニターとその周囲に、これからシミュレーションの各種戦況が表示されるのだろう。
 管制室にはイオタとミリアムの他に多数のオペレーターが詰めているが、ノーラをいま緊張させているのは、ルスラン・フリートのお偉方らしき佐官級将校たちの存在だ。
 何人もが管制室の中央にどっかと腰掛けて陣取っている。そのうちの何人かはノーラを見て露骨に怪訝な表情を浮かべたが、他の数人に耳打ちされて、ああ、となぜだか納得していた。
 オペレーター以外で下士官など、この場に自分一人だけだった。場違い感が強く、非常に居心地が悪い。
 ちらりと横を見れば、さすがにミリアムもこの状況下では大人しくしていた。と思えば、退屈そうな欠伸を噛み殺していた。流石だ、とノーラは思う。
 前列の端に控えていたイオタが進み出て、全体に向かって話しはじめた。
「ご列席の皆様、本日は大変お忙しいところをお集まりいただき、まことにありがとうございます。自分は本計画の担当者、ミリアム・ファーガスン大尉であります。本日、これより行います演習の想定は――」
「大尉、能書きはいい。資料はすでに全員の手元に渡っている。時間が惜しい――準備がいいなら、始めたまえ」
「……分かりました」
 ――いや、私はまだ今からここで何をやるのか、ほとんど何の説明も受けてないんですけど。
 そんなノーラの思いをよそに、佐官たちの先任者らしき士官が命じると、イオタは管制室長に目配せした。頷きを受け取ると、凛として号令する。
「状況開始!」
「状況開始!」
 イオタの号令にオペレータたちが復唱し、主モニター上のシミュレーション画面が動き始めた。数十の光点が移動を開始し、イオタが解説を加える。
「敵MS隊迎撃のために我が方、青部隊のMS隊が演習宙域へ進入して参りました。
 操縦は第一・第二MS大隊です。なお情報保全のため、これら二個大隊は現在地ではなく、別棟の第二・第三シミュレーションルームからの遠隔操縦となっております」
 ――情報保全? 何の情報を保全するの?
 ノーラの疑問をよそにシミュレーション上の作戦宙域へ侵入してきたのは、実に二十四機ものザク・ファドランの大部隊。
 ザク・マシンガンやマゼラ・トップ砲、ザク・バズーカやビームライフルにミサイルランチャーなど、各種の火器を装備しながら堅固な編隊を組み、同一の方向目指して宇宙を進軍していく。
「赤部隊MS中隊、展開開始」
 おおっ、と室内にどよめきが漏れる。ノーラも画面を見て、そして、さっと血の気を引かせた。
「――《ガンダム》」
 それは、地球連邦軍に敵対する者にとっての悪夢。双角、双眼の白い悪鬼。たった一機で名だたる歴戦のエースやNTを含む、百機以上ものジオン精鋭MSを屠ったと言われる恐怖の伝説。
 ガンダム・タイプMS――それが六機、並んでいた。
 一年戦争型の機体ではない。コンペイトウ――旧ソロモン周辺で何度か目撃情報の出ているものだ。
 ティターンズが自慢の高級量産機、RGM-79Q《ジム・クゥエル》をベースにしながら最新技術を投入したのではないかと言われる、新型のガンダム・タイプを基にしているらしかった。
 画面上に再現されているCGモデルは情報量の不足ゆえか所々で細部が粗いが、それでも一年戦争当時のRX-78を大きく上回る性能を実現できていることは疑いなかった。

429 : 「なお事前配付資料通り、今回――」
 淡々とイオタが言った。
「赤部隊のMSパイロットは全員、ア・バオア・クー戦時のデータに基づく仮想アムロ・レイとなっております」
「撃った!?」
 イオタの言葉も終わらぬうちに、誰かが叫ぶ。六機のガンダムが、一斉にビームライフルを発砲していた。
 未だセンサー有効距離の遥か圏外だ。それでも超高速のビームが禍々しく煌めいたと思った次の瞬間には、四機のザク・ファドランが機体中枢を射貫かれ、機体中央から膨れ上がる巨大な核の爆光を咲かせていた。
『やられた!? 大隊長!?』
『大隊長戦死、指揮権は02が継承! 散開っ、回避うんど』
『副大隊長戦死! 動けっ、とにかく動いて距離を詰めろ――ぎゃあ!!』
 こことは別棟のシミュレーションルームにいるという、二個MS大隊のパイロットたちの通信回線が管制室で開いていた。撃墜判定を受けた機体の回線は実戦同様、即座に遮断される。次々に指揮系統が混乱していく。
 六機のガンダムが新型ビームライフルから次々に放つ強力な火線は、超長距離からルスラン・フリートのMS隊に壊滅的な打撃を与えていく。
『目潰し! 撃てェッ!!』
 生き残ったファドラン隊は大混乱の中、当てずっぽうの照準でミサイル・ランチャーを斉射した。数十発が宇宙を走る。むろん誘導は効かず照準もデタラメだが、時限信管が作動し彼我の半ばで炸裂した。
 その爆光を目くらましに頼んで、生き残った十数機が突進する。
『ぎゃっ!!』
 だがその爆光すら貫いて直撃したビームが、また二機のファドランを火球に変えた。
『せ、接近戦なら!』
 数の優位を頼んでの接近戦なら、NT相手でもまだ勝算はあるはず。そう唯一の勝機と考えての肉薄攻撃だったが、敵機をファドラン隊の有効射程内に捕捉してさえ、射撃戦はなお一方的に推移していく。
 さらに数機が討ち果たされて機数は二桁を切り、生き残りがザクマシンガンを乱射しながら近接戦闘へもつれ込む頃には、もはや彼我の機数は互角となっていた。
『当たれ、当たれ、当たれ――クソッ!!』
 二機がかりで放ったザクマシンガンの弾幕が、ガンダムを捉えようと唸る。
 だがガンダムはあろうことか、瞬間移動で消失した。別の地点に現れると反撃の火線を開き、すぐに一機を撃墜した。
 あまりにも理不尽な動き。だがこれはNTの先読みに基づく超絶の回避機動を、現行のシミュレーション上で強引に再現する場合の特例措置だ。返す銃口でもう一機のファドランもすぐ撃ち抜かれ、火球に変わった。
 そして新型ガンダムはパイロットの能力のみならず、機体性能でもファドランを圧倒している。鮮やかな機動性と運動性で翻弄しては次々と貫き、斬り裂き、打ち砕いていった。
 そうして一機のガンダムも落とせないまま、ビームライフルに貫かれた最後のファドランが虚空に爆ぜても、管制室内は無言のままだった。
「青部隊、全滅です」
「時間は?」
「状況開始より、二分四十秒」
「ふん、……三分は保たなかったか」
 重苦しい空気が、管制室を支配した。
 二個大隊、二十四機もの大戦力の全滅。だがそれも、新型のガンダムタイプMSに乗る、六人ものアムロ・レイ級ニュータイプパイロットを想定するこの状況設定ならば、妥当な結果ではあろう。
 ア・バオア・クー戦の時点においてガンダムの性能は、すでにジオン公国軍の新型量産型MSに対して必ずしも優位ではなかった。それでもアムロ・レイは超絶の戦闘力を見せつけ、戦史に不朽の威名を刻みつけた。
『赤い彗星』ことシャア・アズナブル少佐がNT専用機で抑えてくれたらしいが、あれが野放しになっていたらどれだけの被害を生んだか、想像したくもない。
 まして現在、我が方にあるMSはザク・ファドランが関の山。そして地球連邦軍、ティターンズはさらに強力な新鋭機の開発を続けており、彼我の機体性能差は開く一方と見られている。

430 :  先任らしき大佐が立ち上がり、全員を見渡して告げた。
「諸君、これが現実だ。アムロ・レイ本人は現在なお地球上で連邦軍に軟禁されており、情報部の見積もりによれば即座に第一線へ投入される可能性は低いという。
 だが地球連邦が有する各地のニュータイプ研究所は、今日この瞬間にもアムロ・レイの『量産』を実現するべく、人工ニュータイプ――戦後型強化人間の研究を続けているのだ」
「ニタ研……」
 呪詛にも似た呟きがどこからか漏れる。
 一年戦争時にはニュータイプ研究で地球連邦軍に先行したジオン公国軍。
 だが戦後はそれらの技術はアステロイドベルトのアクシズへ退避するか、あるいは地球連邦に接収され、ニュータイプ研究所として敵の手に落ちるかのいずれかだった。
 もはやルスラン・フリートのようなジオン残党組織が利用可能な手段など、無いに等しいのだ。
「だが……我々にも、これに対抗する手段がないわけでは、ない。ファーガスン大尉――やってくれ」
「はい。……青部隊、増援部隊を投入します」
 ――増援?
 ここまでの展開で魂が抜けかかっていたノーラが耳を疑う間に、新たな機影がシミュレーション上の戦闘宙域へ外縁部から進入する。
 そこに現れたのは、たった一機。
 たった一機だけの、ザク・ファドランだった。
「あのザク、一機で……何を――」
 思わずノーラが言いかけたそのとき、ファドランは初期位置から無造作にビームライフルの銃口を跳ね上げた。続けざまに発砲する。
 コクピットを貫通された三機のガンダムが爆発し、その反応をシミュレーション上から消失させた。
「はい?」
 多分これ以上はないというくらいの間抜け顔で、ノーラは呟いた。
 赤部隊――仮想NTが操る残り三機のガンダムは、そこでようやく反応を開始した。新参のファドランへ向かって、最大加速での突進を開始する。当然、互いにセンサー有効半径の遥かに外だ。
 編隊というものを組もうとしないまま、荒々しい機動で思い思いに迫る三機のガンダムはまだ発砲しようとしていない。ニュータイプの超感覚を以てしても、まだ捕捉することが出来ていないのか。
 だがファドランは発砲した。
 正確無比に走るビームの光軸。また一機のガンダムを貫くかと思われた瞬間、その機影はそこから消失して別の位置に出現する。ニュータイプ特有の回避機動の再現だ。
 そして次に現れたその場でバイタル・パートを貫かれ、ガンダムはそのままくの字に折れて爆散した。

431 : 「え? え……? え?? ……えええええええ??」
 最初の一瞬、ノーラはまったく事態を理解できなかったが、少し考えてそれに気づいた。
 あのファドランは、ガンダムの――敵ニュータイプの回避機動を先読みしたのだ。
 最初の一発は牽制。正確に狙いつつも、あえて避けさせるのが真の狙い。そして敵機が避けていく先を精確に予測し、あらかじめ狙撃していたのだ。
 ――何それ。
 ノーラが唖然とする間にも、また一機のガンダムが爆散する。とうとう最後の一機となったガンダムが、そこでようやく反撃を開始した。
 ガンダムの持つビームライフルは、新型のEパック式だ。高出力の機体ジェネレータでチャージしつつEパックの交換を繰り返せば、実用上ほぼ無限とも言える弾数を射撃できる。
 その火力をフルに活用し、ビームの雨を降らせながらガンダムは迫った。ファドランも巧みに回避しつつ応射するが手数で劣り、命中弾もシールドに止められて致命傷を与えられない。
 二機はそのまま近接戦闘にもつれ込む。ガンダムは頭部60ミリバルカンを連射し、ファドランもザクマシンガンで応戦。互いの盾と装甲に被弾の火花を散らしながら、ビームサーベルとヒートホークが斬り結んだ。
 電光石火の剣撃、すれ違う二機。
 そして最後のガンダムはコクピットの位置から上下に分かれ、ファドランの後ろへ流れて二つの火球に変わった。
「赤部隊、全MS喪失。状況終了」
 オペレーターたち、そして佐官たちから、声にならないどよめきが漏れる。ノーラもその一部になっていた。
 イオタ・ファーガスン大尉だけが、最初から全てを見透かしていたかのような冷静さのまま、再びその場に言葉を発した。
「……以上が現在、我々が有するニュータイプ・パイロットのご紹介になります。
 当該パイロットが戦力を維持・向上し続ける限り、いずれ地球連邦軍がニュータイプと強化人間を戦場へ投入してきたとしても、その駆逐は十分に可能です。
 ルスラン・フリート全体で、今後ますますのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
 佐官たちが顔を見合わせ、一斉にざわつく。当然だろう。
 たった六機で自軍の二個MS大隊をあっさりと殲滅してのけた怪物――一年戦争の白い悪魔、仮想アムロ・レイの一個中隊を、イオタの紹介するパイロットはたった一人で、これまたあっさりと殲滅してのけたのだ。
 あまりにも強力すぎる。果たして、これは本当に人間なのか。
「た、大尉。あの……あのパイロットは、一体……何者なのかね??」
「申し訳ありません中佐、軍機につき詳細はお答え出来ません。ただ決して当該パイロットはAIなどではなく、生きた人間である、という点のみお答えさせていただきます」
「…………」
「当該パイロットは現在、各種戦術や部隊間連携についての訓練中です。
 このポテンシャルをルスラン・フリート全体の戦力と有機的に連携しながら発揮し、有事の際に敵中核戦力を確実に無力化できるよう、皆様のご協力を必要としております。
 今後ご支援を要請した際には、どうか柔軟な対応をお願いいたします」
 全員の視線が、眼下のシミュレーションルームに集中した。あのポッド群のどれか一つに、そのパイロットがいるのか。
 再び先任の大佐が前へ出て、余裕を持って全員へ言い放った。
「連邦軍がアムロ・レイ本人やその量産型を投入してこようと、それら敵ニュータイプと強化人間は、我のニュータイプを以て殲滅する。我々には、それが可能だということだ。
 諸君、これからも自信を持って自己の任務に精励しようではないか」
 大佐はまとめに入ったが、確かにその効果はノーラが一見して分かるほど大きかった。
 公開された情報は乏しく、未だ半信半疑ではあっても、自軍にそこまで強力なニュータイプが存在するらしい。その情報だけでも、士気に与える影響は極めて大きい。
 この場にいる佐官たちだけでも、その情報を密かに握ってどっしり構えていれば、部隊に及ぼす影響は大きいだろう。
「それでは解散といたします。本日はお忙しい中のご列席、まことにありがとうございました」

432 : 今回は以上です。
年内には第二十話を決着できるようにいたします。

433 : 待ってまーす!

434 : 「お披露目、……かぁ……」
 佐官たちがどよめきながら退出し、その姿が廊下にも見えなくなった頃、ノーラはひとり管制室から歩き出した。
 イオタは管制室のオペレーターたちと演習の後始末や、残った大佐との調整事項に追われているようだったし、ミリアムはいかにも自由人らしく、いつの間にやらどこかに姿を消していた。
 ノーラだけが手持ちぶさたで、外の風を浴びたくなったのだ。
 あの新型ガンダムのCGモデルは初めて見たが、仮想アムロ・レイAIの存在自体は噂に聞いていた。
 一年戦争末期に覚醒を果たしたというその究極の戦闘力を、不完全ながらもモデル化した、幻の戦闘シミュレーター難度『SSS』。訓練生たちの都市伝説に過ぎないとも言われていたが、実在していたのか。
 そしてそのSSS難度を、一対六などというデタラメに輪をかけた悪条件で完封勝利出来るような怪物も、また。
「ファーガスン大尉……私に『見せたいもの』って、きっと、これのこと……だよね。でも、……桁違いすぎる」
 もはや天災じみた伝説上の強敵、連邦の白い悪魔。不完全な再現AIとはいえ、その集団を一蹴していとも簡単に殲滅してのけた、本物の『怪物』。
 桁外れの存在だ。だが、それはいい。
 肝心なのはそんな桁外れの存在の前で、自分のような凡人に、いったい何が出来るというのだろう? ということだ。
 思案しながら歩いていたノーラの前で、ぴょこん、と長い髪が揺れた。
「?」
 ツインテールだ。
 腰まで届くような長いツインテール。それをリボンでまとめて額を大きく出した身軽そうな運動着の少女が、くりんとした大きな瞳に興味津々の光をたたえて、ノーラをじいっと覗き込むように見つめていた。
 可愛らしい顔立ちは十分に美少女と言えるものだが、その身長は女性としてもやや小柄なノーラよりなお低く、全体の印象はかなり幼い。
 ――エレメンタリーかジュニアハイ、ぐらいかな。可愛い、けど――なんでこんな子がここにいんのよ?
 その少女が不意にいたずらっぽい笑みを浮かべ、八重歯を覗かせながらノーラへ言った。
「ふーん……。キミがイオタの言ってた、今度新しく来る女の子なんだ〜〜〜」
「……?」
 ファーガスン大尉の名前を出しながら、少女は歩み寄ってくる。
 ――この子、大尉の知り合い?
 ノーラがそうして戸惑う間に、ツインテールの少女は自然な動きで彼女のパーソナル・スペースへ侵入し――そして無造作な動きで両手を伸ばすと、ノーラの慎ましやかな胸の膨らみを鷲掴みにしていた。
 堂々と揉みながら、まじまじ見つつ言う。
「!?」
「うわー、ホントにちっちゃい……ボクのと変わんないじゃん。ペチャパーイ!」
 ノーラのささやかな膨らみを揉みながら、少女は残念そうな表情を浮かべて言い、そして元通りの悪戯っぽい笑顔に戻っていった。
「!? !? ……!!??」
 まさかの軍施設内で白昼堂々、年下と思しき少女からの痴漢行為。しかも、
「ぺ、ぺ、ぺ……」
 ノーラの唇がわなわなと震える。
「誰がペチャパイだゴラァーーーッ!!」
「うきゃあ!!」
 護身術の要領で胸元に伸びた手を捕らえようとノーラが動いた瞬間、少女はツインテールを翻して跳ねる。楽しげな悲鳴とともに体操選手並みの鮮やかなバク転を決めて、一気に距離を開いていた。
 逆立ちしながら、ビシッ、と片手でノーラの胸元を指さして言う。
「ふふふ。それ、Aカップでしょ。わかるよ、ボクのブラとおんなじだね! くすくす、ちっちゃーい!」
「はぁ!? アンタのと同じなら別にいいでしょ!」
「そう。今はまだおんなじ。でも――」
 意味不明な挑発にいちいち頭から湯気を出して反応するノーラを、ツインテールの少女はなおドヤ顔で挑発する。
 跳ね上がって立つと腰に手を当て胸を張り、そこから一気に両手でWピースサインを繰り出しながら叫んだ。
「ボクはもうすぐ、Aカップ卒業だもんねっ!」
「なっ……!? 将来の拡張性……だとっ!?」
 確かにこの少女は幼い。そして幼いということは、成長の余地があるということだ。
 伸び代が、可能性が、違う――もはや十代も終盤に差し掛かりつつあるノーラは、少女が宣告したその残酷な現実に愕然と立ちすくんだ。
「ま、負ける……!? こ、こんなちんちくりんのデコスケに……!? ……で、でも……か、……かたちは……、形は、自信、あるもん……」
 控えめな胸元を両腕で抱き隠すように屈みながら、ノーラはぶつぶつと呟きはじめる。普段気にしていたことを年下であろう少女からいきなりピンポイントでフルボッコにされた衝撃は、それだけ大きかった。

435 : 「むふふふふふ――、あ」
 そのとき少女のツインテールが、再び不意にぴこん、と跳ねる。
「――ジャンセン伍長? ごめんなさい、遅くなっちゃって――きゃっ!?」
 管制室のドアが開き、イオタ・ファーガスン大尉が姿を現す。それだけの動作でもたゆん、と揺れる異次元級のたわわなバストへ、ツインテールの少女は引き絞られた矢のように勢いよく飛び込んでいた。
「大尉!? ふざけんなこらっ、離れろデコスケ!!」
「むふぅ〜〜〜……」
 ノーラにはもう何カップなのかの見当すらも付かないイオタの未確認爆乳を、少女はジオン公国軍尉官制服越しに頬ずりしてのけた。
 いかにも満足げに顔面を埋め、あまつさえその手でぐりぐりと変形させて弄んでいる。ふと少女はその深淵なる胸の谷間から、ノーラへ向けてニヤリと笑った。
「どう?」
「は……?」
「うらやましい??」
 むふー、とたっぷりの鼻息を荒く吐き出しながら、ツインテールの少女は勝ち誇った表情でノーラを見た。
「はあ??」
「ふふ、分かるよ。うらやましいでしょ。でも、ダメ。イオタのおっぱいは、ボク専用なのっ! このぷるんぷるんの柔らかさは、ボクだけのものなのさ〜〜〜」
 ――さっきからホントに一体なんなのよ、このクソガキは……。……まあ確かに正直、私もファーガスン大尉の胸、ちょっと触ってみたいな、とは思ったけどさ……。
 ノーラはこめかみに青筋を立てながら、少女に破廉恥行為をされるがままのイオタを見る。イオタは困り顔のまま胸元の少女とノーラの間で視線を往復させていたが、やがていつもの優しげな口調で呟いた。
「え、ええっと……。ああ。二人とも、もう先に会っていたのね……。ティアーナ、お疲れさま」
「あんなのラクショー! ちょーよわい! だってあんなの、ただのプログラムだもん。痛いとか、怖いとか、苦しいとか――そういうの、全然ないもん。だから、ラクショー!」
「そう……流石ね。でもティアーナ、もう薬は打ったの?」
「……まだ」
 しかし話題を移されると、ティアーナと呼ばれた少女はばつ悪そうにぷいっ、と顔を背けてしまった。イオタは優しく微笑み、ティアーナの頭を撫でながらノーラを見つめる。
「あら、そうなの? 駄目ね、早くしないと……くすっ。ティアーナ、今日はそんなに待ちきれなかったのかしら?」
「…………?」
 二人の会話に付いていけず、ノーラはイオタへ説明を求める視線を送る。軍服越しにバストをいいように玩具にされているイオタが、それでも気を取り直してノーラへ少女を紹介しようとした。
「ジャンセン伍長、紹介するわ。この子が――」
「――あっ」
 そのとき、少女が震えるように目を見開く。自由気ままだったその動きを、一気に凍りつかせた。
 それは、恐怖と絶望の表情。
 少女がそんな表情を急に浮かべたことにノーラが驚く中、どこか遠くで何かが響いた。
 何か堅固な重量物が、それなりの速度でぶつかった激突音だ。その衝撃が足下の床、そしてこの区画の構造材を通して、遠く小さく響いてくる。
「? 何――?」
「うっ――」
 そして突然、少女は床に崩れ落ちた。
 自分自身を抱きしめるようにしながら、受け身も取れずに音を立てて床へ倒れる。
「うっ、……うぅ……ううぅぅぅぅ、うううぅ〜〜〜」
「てぃ、ティアーナ? ティアーナ!?」
 明るく自由奔放で元気いっぱいだった少女の表情は、今や苦痛と苦悶で完全に押しつぶされていた。顔面はすでに蒼白。鼻水と唾液が溢れ、全身から汗を吹き出しながら痙攣するように震えている。
 イオタが駆け寄って抱き起こすが、反応しない。

436 :  尋常の様子ではなかった。イオタが色を失う。
「まさか――」
「基地門前の交差点で交通事故! エレカが二台に、歩行者も何人か巻き込まれてる――イオっち、ティアに鎮静剤と緊急抑制剤! 急いで!!」
「事故……っ! わ、分かったわ!」
「? え? 交通事故? 基地の表で?」
 ――それって今、この子の状況に何の関係があるの?
 今までどこにいたのか、全力疾走で駆け込んできたミリアムが叫び、イオタがハンドバッグを探って箱を取り出す。
 ノーラ一人だけが目の前の状況から取り残され、何も理解できないまま、ただその光景を凝視していた。
「い、イオタぁ……いたいっ……いたいよ……いたいよぉ……っ……」
「大丈夫。大丈夫よ、ティアーナ……私はここにいるわ。気をしっかり持って! すぐ……すぐ、楽になるわ」
 確かに少女の状況は異常だ。何か持病の発作だろうか? 今イオタが取り出して注射しようとしているのも、そのための薬なのだろうか。
「うっ、うう! ああぁっ、ああああああーーーっ!!」
 だがイオタの腕の中で、少女はさらに狂ったように暴れだす。もはや注射どころではない。そこへ飛びつきながらミリアムが叫んだ。
「ノーラ! 一緒にティアを押さえて!!」
「えっ――」
「早くッ!!」
 イオタとミリアムが二人がかりで暴れる少女を押さえつけようとするところへ、ノーラも訳も分からぬまま咄嗟に加わった。
 必死に暴れ狂う少女の力は、幼く可憐な容姿からは信じられないほどに強い。それでも三人がかりで押さえつけた末に、後ろから組み付いたミリアムが麻酔薬を浸した布で少女の口元を覆った。
「んっ、んんうぅっ……んん、んんんっ……」
「お願い、間に合って……」
 ようやく麻酔薬が効きはじめ、少女がぐったりと力を失う。鎮静が確認されたところへ、イオタが祈るように呟きながら、慣れた動作で少女の首筋へ注射針を刺した。
 青く着色された注射器から薬剤を注入する。注射器が空になると素早く針を抜き取り、容器へ格納した。
 響く靴音に顔を上げれば、通報を受けた基地の衛生隊がようやく担架を抱えて駆けつけてくるところだった。意識を失って無防備な頭部と頚部を保護しながら、三人は少女を担架へ抱え上げる準備に移る。
「……ごめんなさい……」
 イオタの頬を伝う涙を、ノーラは見た。

437 :  基地医務室のベッドで、少女は寝息を立てていた。
 麻酔薬で意識を失った後も、最初の数時間はひどく苦しげな様子だった。だが、それもようやく落ち着いてきたようだ。注射が効いたのだろうか。
 ノーラはずっと彼女の側に付いていた。医療スタッフや警備要員、そして関係部局との連絡と調整――イオタとミリアムは少女を寝かせた後も、各方面に奔走しなければならなかったからだ。
 特に出来ることもないノーラだけが、ひとり少女の側に残されていた。
「あ、――ファーガスン大尉、お帰りなさい」
 そして今、ようやくイオタが帰ってきた。穏やかな微笑みを浮かべているが、憔悴の気配は隠しようもない。
「容態の方、異常ありません。先生の話だと、とりあえず安定したみたいです」
「そう……。ごめんなさいね……ジャンセン伍長。最初からバタバタしてしまって、今まで何も事情を説明できなくて……」
「大丈夫です! これでも軍人ですから。――それも、軍機絡みなのでしょう?」
「そうね……。そうなのだけれど、ジャンセン伍長――あなたには、それらを知る権利と――そして、義務があるわ」
 ――これからの、任務のために。
 ノーラは息を呑む。その隣の椅子に、イオタはそっと腰を下ろした。
「この子は、ティアーナ・エイリス。私たちルスラン・フリートが現時点で有する、最強の――そして恐らく、唯一のニュータイプよ」
「それじゃあ――やっぱりこの子がさっき、あのシミュレーターで」
 ――仮想NTが操る六機のガンダムを、単機で次々と殲滅してのけたのか。
 イオタはゆっくりと頷き、続けた。
「ティアーナはL1宙域の小規模ステーションで、ご両親と家族三人で暮らしていたわ。でも七年前、一年戦争が起こって……ルウム戦役の巻き添えになって、ご両親は亡くなった。
 見捨てられた暗礁宙域の破損したステーションに、幼い彼女だけがたった一人で残されたの。――それから何年もずっと、誰の助けも来ないまま」
「そんな、子ども一人で……どうやって、生き残ったんですか?」
 いくら物資があったとしても、宇宙での居住環境は常に綿密な維持整備を必要とする。幼児がたった一人で数年間を生きながらえるなど、不可能のはずだ。
「『パパとママが教えてくれた』と、ティアーナは言っていたわ。ご両親はいつも側にいて、難しい機器整備のやり方を教えてくれたと。
 でもティアーナが近づこうとすると、ご両親はいつも悲しそうな顔をしながら遠ざかって、一度も抱きしめてくれることはなかった、と」
「それって――」
「……ティアーナは、……宇宙で生き残るためにニュータイプ能力を発現させて、そして理不尽に劣悪な環境で生き残り続けるために、その能力をどんどん肥大化させていったの。正真正銘の、『宇宙に適応した新人類』なのよ。
 消耗していく物資、劣化していく設備――不可逆的に悪化し続けていく状況の中で、幼児一人ではどう頑張っても手が回りきらない巨大な生活環境を維持するために、ティアーナはその能力を拡大させながら戦い続けた。
 それでも、ついに限界が訪れそうになったとき――私たちの艦が、偶然にティアーナのステーションを見つけたの」
 イオタはそこで、いったん言葉を切った。何かを呑み込むようにしながら、絞り出すようにして続けていく。
「彼女のニュータイプ能力は、過去に類例がないほどに強いの。それこそ、桁違いにね。その結果がさっきのシミュレーションで見せた、あの圧倒的な戦闘力であり……そして、今のこの状態でもあるのよ」
「あの、大尉。質問なんですが――強力なニュータイプだから戦闘能力もすごく高い、っていうのは、なんとなく分かります。でも、……それと今のこの状態は、一体どう関係しているんですか?」
 ノーラは眠りこけているティアーナを見つめ、突然の絶叫とともに苦悶し倒れた瞬間を思い出す。
「簡単よ。ティアーナのニュータイプ能力は、『強力すぎる』の」

438 : 「『強力すぎる』……?」
 問い返すノーラへ、寂しそうにイオタは笑った。
「ジャンセン伍長。ニュータイプの『戦闘における強さ』の根本、って……いったい、何だと思う?」
「ニュータイプの、ですか? えっと、……空間認識能力、予知能力……強力で特異な脳波の存在……それから、読心術……?」
 パイロット候補生課程で受けた座学の知識を、ノーラは怪訝な顔で暗誦する。とはいえニュータイプの知人がいるわけでも、実物を見たことがあるわけでもないため、その認識はひどく怪しい。
「ええ、そうね。それらに付随して――というかおそらく、こちらが『本質』ではないかと言われているけれど。ニュータイプの力は『分かりあえる』力なのよ」
「分かりあえる力?」
「そう。分かりあえる力。一年戦争というあの地獄の中では、戦闘力という側面だけが注目されていたけれど……物事の本質を誤解なく洞察し、他者と理解し合える共感の力。
 戦闘力などは本来、その副産物に過ぎない。でも……その分かりあえる力が、感覚が……強すぎたら?」
「……強すぎたら……?」
「戦場で展開する広範囲の事象、多数の敵兵の行動や心理を完璧に理解し、把握することが出来るなら。そして戦闘の中で、それらの人々が死んでいったら――」
 その理解してしまっている相手が、戦場という異常な環境の中で恐怖し、傷つき、死に至っていく。
『強力すぎる』ニュータイプはそんな状況で、一体どうなってしまうのか?
「……アムロ・レイのニュータイプ能力は、戦場という環境下で発現した。だからその能力は、戦闘に最適なかたちに花開き――敵の行動を理解しつつも、その敵を殺しても自分はダメージを受けずに済む程度の、絶妙な水準で抑えられた。
 だから彼らは巨大な戦場で多数の敵兵を殺しても、それによって自身の精神が大きな打撃を受けるようなことはなかった。……でもティアーナには、そのリミッターがない。この子の能力は……あまりにも、強すぎるのよ」
「それって、つまり――」
 ――『理解してしまった』相手の恐怖や苦痛が、そのまま自分の意識を直撃してくるというのか。
 交通事故の直前、それを察知したティアーナが浮かべた恐怖の表情を、そしてその後の発作的な苦痛を、ノーラは思い出す。その直前の言葉と、その真の意味も。
『あんなのラクショー! ちょーよわい! だってあんなの、ただのプログラムだもん。痛いとか、怖いとか、苦しいとか――そういうの、全然ないもん。だから、ラクショー!』
 ――だとしたら。
 だとしたら、ティアーナは。シミュレーターでは多数の仮想NTを歯牙にもかけずに撃破してのけた彼女は、実際の戦場では、どうなってしまうというのか。
 いや。それどころか彼女は、日常生活すら――
「イオっち?」
 そのとき不意に声を掛けられて、ノーラははっと顔を向けた。いつの間にか戻っていたミリアム・バーレット少尉が、ドアの向こうから横目で室内を覗いている。
「大佐。呼んでるよ」
「――すぐ行くわ。ジャンセン伍長……また、後でね」
「あっ。はい」
 どこか疲れた微笑みを残してイオタは去り、ミリアムもそのままどこかへ行ってしまう。再び取り残された病室で、ノーラはティアーナの寝顔をじっと見つめた。

439 : 「大尉。彼女の容態は、安定したんだな」
「はい……。ご心配をお掛けいたしました」
 悄然として答えるイオタに、大佐は苛立たしげな視線を向けた。
「デモンストレーション後、なぜ即座に投薬しなかった? 抑制剤を投与していない状態の彼女では、一般市民としての日常生活すら危険すぎる。
 いつ、どこの誰から『巻き添え』を食わされるか分からんのだからな。そのことは、君が一番よく理解しているはずではなかったのか」
「申し訳ありません。私の監督不行き届きです」
「困るのだよ、こういうことではな。『敵ニュータイプ殺し』の強力な手段を、我々が確実に保持している――外に対しても内に向けても、その事実はこれから絶対に必要となる。そして彼女は依然として我々の、唯一有効な対ニュータイプ手段なのだぞ」
「大佐……。ティアーナ以外の、……新規のニュータイプ発掘計画は、その後……」
「継続中だ」
 君が結果を知る必要はない、と言わんばかりの素っ気ない回答。イオタはそれ以上、追求することは出来ない。
「……前から君が希望していた、彼女の対等な話し相手になれそうな少女パイロットは、今日配属してやっただろう。新型抑制剤の研究も含め、必要なものは今後も与える。管理と練成を万全に行いたまえ」
「ありがとうございます。抑制剤の改良は、少しずつ進んでいます。
 第三者の死や苦痛に影響されない水準にまでニュータイプ能力を抑え込んだ状態でも、ティアーナは一般パイロット以上の戦闘力を見せるようになってきました。今後も訓練と研究を続ければ、いずれは――」
「だが抑制剤を投与してしまえば、彼女の戦闘力は並みのニュータイプ以下だ。それではとても新型機を操るアムロ・レイには対抗できん。
『その時』が来たならば、彼女には抑制剤なしで出撃してもらうことになる。それでも敵ニュータイプの『最初の一人』だけは倒せよう」
「…………!!」
 指が白くなるほどに、イオタは拳をきつく握りしめた。
 確かにティアーナが本来の力を抑えていなければ、いかなるニュータイプに対しても確実に勝つこと自体は可能だろう。
 それでもニュータイプ同士の戦闘の激しさや、彼我MSの性能差までも勘案すれば、その敵ニュータイプを『殺さずに無力化して勝つ』ことまでは、限りなく不可能に近い。
 敵ニュータイプと最初に交戦した時点で、彼女はその相手を殺害せざるを得なくなり――そして反動で、自らの精神を破壊する結果に終わるだろう。
 一人一殺。
 真っ先に敵ニュータイプを抹殺するための、使い捨ての切り札。
 それが現在のルスラン・フリートでの、ティアーナ・エイリスという少女の存在意義なのだ。
「彼女の運用方針に変更はない。戦場に投入された敵ニュータイプの跳梁を放置すれば、友軍に生じる被害は想像を絶する。彼女一人の犠牲で、どれだけ多くのものが救われることになるか……分かるな、大尉」
「……はい」
「抑制剤なしで投入した彼女が戦闘力を失わないまま、敵ニュータイプと接触し撃破できる状況を作為するための作戦は、今後も研究を続けていく。その時が来るまでは、抑制剤を投与しながらの運用を続けるがいい。頼んだぞ、大尉」
 結論など分かり切っていた話が終わると、敬礼を交わして二人は別れた。
 大佐が施設を出ると、冬を再現した冷たい外気が肌を刺す。車止めに付けられていた専用車へ乗り込むと、運転手が大佐に紙片を渡し、車を発進させながら告げた。
「大佐、奥様より伝言を言付かっております。お嬢様がご希望の品だそうです」
「ああ……そうか。すっかり、準備を忘れていたな」
 車窓から見える道路脇には、ところどころで樅の木が飾られている。年末の風物詩だ。
 大佐は手帳を開き、家族写真を見る。彼の一人娘は、ティアーナと同じ年頃だった。
 遠ざかっていく基地施設を振り返りながら、何かを吐き出すようにそっと呟いた。
「寒い……時代だな」

440 : 「…………」
「……起きた?」
 ティアーナが目を覚ましたとき、目の前にはノーラの寝ぼけた顔があった。
 窓から射し込んでくる『朝日』のなか、イオタとノーラ、二人が肩を寄せ合うように座っている。
 イオタはまだ夢の中だ。ミリアムは廊下の長椅子に足を伸ばして寝ている。
 口元によだれの痕をくっきり残しながら、ノーラはひとり眠たげな、そして恨めしげな瞳でティアーナを見つめていた。
「アンタの話。大体のとこは聞いたよ」
「……そう」
 抑制剤は十分に効いていても、まだ苦痛の残っているティアーナが、つまらなさそうにそっぽを向く。
 ――ボクの話、聞いちゃったんだ。
 いったん事情を知ってしまえば、彼女の態度は普通でなくなるだろう。彼女は軍人であり、そして自分はその軍にとっての特別な存在なのだから。
 そうなる前に会いたかった。
 イオタたちの協力がなければ、継続的な抑制剤の投与がなければ、自分は人間社会で生きていくことが出来ない。その支援の条件として、いつか敵のニュータイプが攻めてきたときには抑制剤なしで戦うことも、ティアーナは納得していた。
 自分の運命を受け入れてはいる。イオタやミリアムのことも好きだ。
 だけど一つだけ、自分にはどうしても欲しいものがあった。
「――わぷっ!? えっ!?」
 思考の途中で、急な圧力が上から掛かってティアーナは慌てる。
 まだ十分に身体が動かないティアーナの上へ、ノーラがベッドに乗り上げながら圧し掛かっていた。上から腰に体重を掛けて押さえ込み、片手で両腕を捻り上げながら、目を白黒させるティアーナの動きを封じてしまう。ノーラの瞳が怪しく光った。
「!? な、なにっ!?」
「へへへへへ……。アンタさー、さっきはよくもやってくれたね? ……おいデコ、誰がペチャパイだコラ」
「えっ? だって、それはホントにそうじゃん……」
 マウントポジションでティアーナを制したノーラが、密着しつつ不気味な笑みを浮かべながら両手指をわきわきと蠢かせる。
「情状酌量の余地なし、……処刑開始ッ!!」
「!?」
 ノーラの両手がティアーナの腹へ入り、そして無茶苦茶にまさぐり始めた。ティアーナが限界まで目を見開く。
「!! うっ、……うきゃきゃきゃきゃ!! やっ、やめてぇ! 死ぬ! しぬうううう!!」
「ククククク、ニュータイプといえど所詮ガキンチョよ。ここは脆いわ」
「んむっ!? んむうううううう!!」
 ノーラは嗜虐的な笑みを浮かべながらティアーナの口を塞ぎ、もう片手で容赦なくティアーナの腹を巧みに責めていく。顔を真っ赤にして涙を溢れさせ、呼吸困難に陥りながらティアーナは喘いだ。
「騒ぐなよ、声出すなよー。デコスケ風情が私のおっぱいを揉んだ罪は重いのだ。私は断じてペチャパイではない! 賓乳と呼べいッ!!」
「んー! んーーーっ!!」
「バカめ、私に上を取らせた時点でお前の負けだデコスケ。お前の事情なんか知るか、上下関係というものを身体で教えてやるっ。いいか? これから私のことは『ノーラおねえさま』と呼べ。そしておまえは『下僕デコスケ一号』として、私に服従するのだ!」
「んぶうぅぅ、ぷぅうっ、ふっ――ふざけんなーーーっ!!」
「なんとぉーーーっ!?」
 ティアーナが全身に思い切り反動を付けながら捻ってのたうち、ノーラと一緒に派手な音を立ててベッド上から転げ落ちた。
「え……っ? ちょっ……ちょっと二人とも、何をしているのっ!?」
「んぷっ!」
「おおっ!?」
 その轟音でようやく目覚めたイオタが青くなって立ち上がり、なお取っ組み合おうとしていた二人をまとめて胸に抱き込んだ。
 顔を真っ赤にしたままなお反撃しようとするティアーナと、初めて味わう爆乳の感触に圧倒されながらも応戦するノーラの両方を、イオタは強引にねじ伏せながら引き離す。

441 : 「いい加減に、しなさい……っ! もう、二人とも……何をしているのっ!!」
「だって大尉。どんな凄いニュータイプかと思ったら、こんなのただのクソガキじゃないですか。どう逆立ちさせてもこいつ一人じゃ何の役にも立ちそうにないから、さすがに可哀想なんで私の下僕として鍛えてあげようと思います」
「べーーーっだ!! うるさいペチャパイ! まな板、アイロン台、サーフボードっ!」
「うるせぇ黙って掛かってこいや! そのツインテふん縛って吊してやらぁー!!」
「だからっ、やめなさいってば! もうっ、バーレット少尉!」
「いーんじゃないすか、ンなもん放っといて。二人とも、好きなだけやらせときましょ」
 いつの間にか入り口から腕組みして覗き込んでいたミリアムに、事態収拾の助けを求めてもあっさりと却下されてイオタは思わず涙ぐむ。
 そして涙ぐみながら、イオタはティアーナの表情をじっと見つめていた。
 ――この子のこんな表情、初めて。
『ノーラ・ジャンセン伍長。あなたの、私の部隊での使命は、この子を――ティアーナを、守ること』
 ――そしてティアーナの、友達になってあげてほしい。
 数時間前に自ら直接下した命令と、その命令に含めなかった願いを思い出しながら、イオタは微笑みとともに二人を見守る。
 ファーガスン隊はこの日、編成を完結した。

442 : 今回は以上です。次回から戦闘に復帰します。
よいお年を。

443 : >>442乙です!
狐尾さんも、良いお年を!
来年も続きを楽しみにしてます!

444 : >>443
実は狐尾ではなかったりしますが、ありがとうございます!
よいお年を。

445 : フォックステイルじゃねえやw
不死鳥尾だったw

446 : おー来てたんだな乙!

447 : 乙乙!

448 : 新年投下初めはよ

449 : お世話になっております。
本編の方は近日中に更新出来るよう準備を進めておりますが、相変わらずの戦闘場面でプロットの都合上、情事場面は向こうあと二、三話ほど出せない見込みとなっております。
実はこのたび、フェニックステイルの本編小説と依頼画稿を掲載させていただいている、ウェブ小説公開サイトハーメルンとpixivにおきまして、
拙作へ感想提供していただいた特定ユーザーへの限定公開、というかたちでif短編(挿絵付き)二作を掲載いたしました。
拙作におけるif短編ということで、いわばセルフ三次創作とも呼べる特殊なものであることから、こうした処置を取らせていただいております。
内容の方は全編情事で、拙作の内容をご存じで、かつ自分の情事描写がお気に召した方ならお楽しみいただける仕上がりかと思います。
現在準備できているのは、
・第二話でアイネとシュンが最後まで交わっていたら?
・第五話でガルノフがアイネを最後まで犯していたら?
という内容です。詳しくはこちらにて。
http://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=88942&uid=57256
もし400字程度であれば自分の小説に感想を書いてやっても良い、という方がおられましたら、ハーメルンもしくはpixivにてログインのうえ、ご感想をお寄せ下さい。
感想などいただければ、非常に励みになります。感想に添えて、リクエストの提案もお待ちいたしております。
どうかよろしくお願いいたします。
それでは、お目汚し失礼いたしました。

450 : お疲れさんです!

451 : 続いてるんだすごいな乙

452 : ルペシノ姐さんとショタのお風呂プレイマダー?

453 : 第二十一話の前編を投下します。
相変わらず戦闘だけです。

454 :  地球連邦軍、MSパイロット徽章。
 大きく翼を広げたその徽章を指先で弄びながら、地球連邦軍の制服を着た小柄な少女はひとり、生活感の消えた空っぽの部屋を眺め回していた。
 彼女は先ほど、MSパイロット訓練生課程の修了式を終えたばかりだ。ぴかぴかに磨き抜かれた床が照明の光を照り返して輝いている。訓練の日々を今まで過ごした部屋からは、すでにすべての私物が撤去され、最後の清掃までも終えていた。あとは来期の入所者を待つばかりだ。
 居住区に人気はない。小柄で細身の身体にメガネを掛けた怜悧な美少女は腕時計を気にしつつ、ひとり廊下にまとめた手荷物の側に立っていた。
 不意に遠くから足音が響く。疑似重力下を息切りながら、同じく地球連邦軍制服に身を包み、そしてMSパイロット徽章を身につけた少女が全力疾走で駆け込んできたのだ。
「……ごめん、シエル! 待たせてっ」
「別に待ってない。アイネがいちいちトロいのは、おかげでとっくに慣れてるからさ」
「と、トロくないよ!?」
 腕時計とスペース・バスの時刻表をそっと死角へ隠しながら、シエルと呼ばれた少女は駆けつけてきた彼女へ素っ気なく答える。息を切りながら顔を上げたのは、やや長身で明るい黒髪の少女。
 シエルのごく慎ましやかなそれとはかけ離れた、目を疑うような大きさの胸の膨らみが、連邦軍制服とMSパイロット徽章の下で弾んでいた。
「とにかく、ごめんね。配属先の資料もらってくるの、思ったより時間かかっちゃって……。んっと、シエルは……シエルの配属先は、まだ決まらないの?」
「艦隊司令部の人事が、未だに揉めてるらしくてね。だから当初の配置は司令部付なんだと。……ったく。なんでアイネごときの配属先が真っ先に決まって、首席の私がこの期に及んで決まんないんだか。まともに仕事しろボンクラども」
「ごときって言ったよ!? 今シエル、アイネごときって言った!!」
「ん、いま私そんなこと言った? 人事の愚痴の聞き間違いでしょ」
「そこで目を逸らさない!!」
 ぷうっと頬を膨らませる少女の前で、どうでもいいことのようにシエルは話題を変えた。
「……で、結局。アイネは441戦隊の《アバリス》に行くんだっけ」
「う、うん。艦隊配属。なんだけど……なんか、あんまり戦ってない部隊みたい。サイド4の艦隊なのに、なんでなのかよく分かんないけど……デブリ除去作業支援とかの裏方任務が多い部隊、ってことなのかな……?」
「ハハッ、ゴミ掃除部隊か。ま、アイネにゃお似合いかもね」
「シエル、ひどい!」
 ぷうっと頬を膨らませて、豊かな胸の少女――アイネは抗議した。だが彼女はすぐ、その表情を穏やかに安らがせる。暖かな、希望に満ちた微笑みを浮かべて呟いた。
「でもね。これで、私も……やっと、人の役に立てるよ」
「…………」
「ルウムを――L1宙域を復興するには、とにかくデブリの回収を進めなきゃ。
 作業に来てくれる民間業者がジオンの残党にやられないようにちゃんと守って、あいつらをやっつけて、私たちも自分でデブリを片づけて……出来ることから、少しずつやっていくの。MSは戦闘力だけじゃない。作業能力もすごく高いもの!」
 アイネとシエル。二人の少女パイロットは出身コロニーこそ違うが、旧サイド5ルウム出身という点では同郷だった。
 一年戦争劈頭の激戦ルウム戦役で、旧サイド5の住民二十億人はほぼ全てが殲滅された。その生き残りはほんのわずかで、それは地球連邦軍への入隊希望者に占める割合にしても同じことだ。
 二人の少女はMSパイロット訓練課程で出会い、同郷の出身者として、そして今なお数多くはない女性パイロット同士として、この同じ部屋で支え合いながら今までの日々を歩んできた。
 そして二人がともに志願した配属先は、サイド4駐留艦隊。
 拠点は分散しているうえ設備の程度も悪く、予算の優先順位は低く給与遅配すら珍しくない。それでいて任務の過酷さと危険度だけは圧倒的に高いという、典型的な不人気部隊だった。どうやら連邦宇宙軍内部でも、いわゆる『島流し先』の一種として扱われているらしい。
 それでも二人はここを『熱望』し、そして叶えられた。
 ふとアイネが、寂しげな顔を見せた。震える瞳を潤ませながらシエルを見つめる。
「サイド4駐留艦隊って……拠点も活動領域も、ぜんぜんバラバラだもんね。……ねえ、シエル。私たち……また、会えるかな……?」
「…………」

455 :  L1点の全体に広がる、あまりに巨大で濃密な暗礁宙域。そして、そこを根城にするジオン残党その他の敵対的勢力に自由な連絡を妨げられて、サイド4駐留艦隊の拠点はバラバラに点在している。
 艦隊司令部に至っては、そもそもサイド4内に置かれてすらいないという始末だった。ゆえに各部隊の独立性は高く、隣の部隊に誰がいて、何をやっているのかも理解できないことすら少なくない、とまで言われていた。
 だから二人は今この瞬間が、一生で最期の別れになるかもしれない。
「あのね。だからね……これ」
「?」
 抱えた荷物の中から、アイネはおずおずと小箱を出した。大仰な包装紙をまとっている。
「これ――シエルに、あげる。きっと、似合うと思って……買ってきたの!」
「……このタイミングで? あのね。アイネ、分かってる? もう私の手荷物はいっぱいなの。今さら渡されても――」
「最後まで迷惑かけてごめん! でもね、私、どうしても最後に、シエルにこれを受け取ってほしいのっ!」
「近い。近いよ。いや、アイネほんと近い」
 いかにも迷惑そうにためらうシエルを、いつにない強気さでアイネは無理矢理に押してくる。両手を取って自分の胸に押し付けつつ迫り来る、有無を言わさぬアイネの強引な気迫に、とうとうシエルが根負けした。
「ああ、……もう。分かった、分かった。――ここで開けるよ?」
「うんっ!」
 言いながら包装を解いたシエルの目の前に現れたのは、新品のメガネだった。手に取りながら、慎重に検分する。
「掛けてみて」
「…………」
「掛けてみて」
 満面の笑みを浮かべたアイネに同じことを二回言われて、シエルはついに諦めの吐息を漏らした。今までのメガネを外し、アイネからの贈り物に掛け替える。一目見た途端、アイネは手を打って喜んだ。
「似合う! 似合うよ、シエルっ!」
「……そりゃどうも」
「よかった。一生懸命選んだの。最後に渡せて――本当に、よかった」
 鼻息荒く興奮したアイネが渡してきた手鏡で自分の姿を眺めつつ、シエルは苦笑を浮かべた。
 同時に、ちらと腕時計を見る。スペース・バスの時間は、すぐそこにまで迫っていた。
「もう、――時間なの?」
「……まあね」
 目を合わせずに言いながら、シエルはしばし逡巡する。贈られた眼鏡の弦を確かめるように何度も触り、そして思い直したようにポケットを探った。掌に掴んだ何かを、アイネの掌に差し出す。
「せっかくだから。要らなくなったから、あげる」
「――髪留め?」
 そしてアイネの掌に落ちたのは、露骨なまでに安物の、飾り気もない汎用品の髪留め。
「要らなかったら、捨てていいから。――じゃあね」
「あっ――」
 それきり手荷物を担ぎ、シエルは足早に港への道を急ぐ。
「ありがとう! ありがとう、シエル。大事に、するね」
 無言のまま、ただ肩越しに手を振る。
 今のアイネはきっといつも自分に見せる、あの馬鹿みたいな笑顔を浮かべているのだろう。
 決して振り向かないまま、足早に進むシエルは思う。
 二人がともに過ごした日々は、これで終わりだ。ここから先は、もう別々の人生が待っている。違う道を歩んでいく。
 そうでなければならない。
 だから、振り向かない。
 居住区を出るとき、最後に声が追ってきた。
「強くなるよ、私! 強くなるから――次に会うときには、私、シエルに負けないぐらい強くなってるから!」
 シエルは答えない。逃げるようにエレベーターへ飛び込んで、扉が閉まると、贈られたメガネを外して顔を拭った。
 結局それが、シエルがアイネを見た最後だ。
 だからシエル・カディスの中でアイネ・クライネは、今でも昔のままの髪留めを付けた姿で止まっている。

456 :  全天周モニターの前方画面に何かが映った。
 かつて伝統的日本風家屋の一部だったらしいそれは、足場となっている駆逐艦の加速開始に伴って急速に接近してくる。
 パイロットの少女はほんのわずかに乗機の上体を傾けさせた。それだけの動きで彼女は機体を艦体から離すことなく、機体頭部の脇にデブリを通してやり過ごさせる。
 同時に、機体足下からの接触回線を通じて通信が入った。
『42より各機。戦隊旗艦《マカッサル》から入電、《アルマーズ》と同艦MS隊は全力を持って敵MS隊を駆逐せよ。――MS隊は42に続いて離艦。アルマーズ射線上を迂回して加速接敵、敵MS隊を捕捉・撃滅する』
『43、了解』
『44、了解』
 サラミス改級駆逐艦《アルマーズ》上甲板に立つMS、RGM-79R《ジムU》44。その機内で新任パイロットの少女シエル・カディス伍長は、前方宙域に展開する戦闘の推移を睨み据えていた。
 ペズン教導団から呼び集めた最強の精鋭、との鳴り物入りで出撃した旗艦マカッサル所属のMS隊は、鎧袖一触とばかりに撃破された。
 しかも敵はコクピットやジェネレータなどの機体主要部が集中する胴体にはいっさい打撃を与えず、MSの四肢や頭部などの部分だけを精密に狙って破壊している。
 そこまであからさまな手心など、圧倒的な実力差がなければ決して加え得ないものだ。敵はあのアムロ・レイ以上に強力なニュータイプだとでも言うのか。
 その異様な戦闘の一部始終を言わば『特等席』から見物していながら、アルマーズMS隊の誰も恐れは抱いていなかった。
『42より41。ひとつ確認を』
『何か?』
 42――アルマーズMS小隊を率いる華僑系の女性士官、リン・リンリー少尉が41、アルマーズ艦長ジャクソン・ヘイズ大尉に問いかけた。細長い目にいつも通りの穏やかな微笑みをたたえたまま、あくまでさりげない調子でヘイズに聞く。
『『ゲーム』の主導権は今、我々の側に移った。――こういう認識でいいんですよね?』
『そういうことだ。アルマーズは敵MS隊を撃破しつつ、適宜『必要な行動』を執る』
『42了解』
 いろいろと面倒くさい政治的な意図の絡んだ状況を、ヘイズとリンは互いに曖昧な言葉と含み笑いで受け流す。それだけで彼らの間に意志は通じて、MSベッドや機体固定装置と同様、甲板上へ急造されたMS用信号がグリーン・ライトを灯す。
『アルマーズMS隊、出撃!』
 足部ユニットを拘束していた甲板側の固定装置と、MS側の電磁石が同時に解ける。ジムU42は軽い噴射だけで舞い上がった。艦体からほんの少し離れた位置で背部と脚部のメインスラスター群に火を噴かせると、43、44がそれに続く。
 三機のジムUは敵MS隊を目指して、突進するアルマーズの下面象限へ潜り込んだ。母艦の進路と射線上からわずかにズレつつ、その斜め前方を突進していく。安全離隔距離を確保した時点で、三機は滑らかに推進軸を母艦と平行に戻した。
 正面に構えた連邦軍制式シールドに小型のデブリが砕け、五メートルはあろう巨大な岩塊を最小限の機動で回避し、三機は危なげなく暗礁宙域を猛烈な勢いで加速していく。
 標的は敵MS隊。

457 : 「――へぇ。シエルちゃん、遅れずちゃんと付いてきてるかぁ」
 先頭機42を駆るリン・リンリー少尉は、全天周モニターの正面カットインに新人少女パイロットの機体44を映しながら、よく感情が読みにくいと言われる細い目を眇めて楽しげに笑う。
「えらい、えらい。すっかり立派になっちゃってさぁ――お姉さん、嬉しいよホントにもう」
 一年戦争、そしてルウム戦役が起こったとき、リンは十六歳の貨客船員だった。
 地球連邦とコロニー公社から宇宙移民に対して課された引越費用と税の負担は、償還まで数世代を要すると言われるほどに重い。リンは早くに家を出てサイド間を航行する民間貨客船の下級船員を務めつつ、航宙士試験を受ける道を目指していた。
 戦争が全てを変えた。
 学費と税金を引いて残ったなけなしの賃金を送っていた両親と四人の弟妹は、ジオンの核攻撃でコロニーもろとも塵になった。
 戦闘の混乱の中、かろうじて港外に出られた彼女の船も攻撃された。プロパガンダで描かれる英雄譚ならともかく、緒戦において徹底的な殲滅戦略を採ったジオン公国軍に、逃げる民間人をわざわざ見逃す選択肢などあり得なかった。
 そうでなければ人口の半分など減らせはしない。貨客船はMS-06Cから問答無用に放たれた核バズーカ砲弾を受けて、定員を大幅に超過した数万人の避難民ごと小さな太陽になって消えた。
 その光球からリンが生き残れたのは、寝る間を惜しんで学んだ航宙技術と、たまたま当時の配置がランチの発着口に近かったこと、そして助けを求めて殺到した無数の人間を平気で見捨てられる心の醜さがあったおかげだ。
 まだ艇内に多少の余裕があったランチを貨客船から脱出させるとき、リンは船内で泣き叫ぶ無数の避難民の憤怒と絶望を見た。
 そしてザクの接近を知ったリンが彼らを見捨ててランチを急速発進させたから、数十人の避難者は貨客船に見捨てた数万人と一緒に核の爆光に焼き払われずに済んだ。
 追いすがるザクとガトル戦闘爆撃機の執拗な追撃を振り切りながら、ルナツーへ退却する連邦軍の巡洋艦に収容されたとき、数十人いたはずの生存者はほんの数人になっていた。最後まで追尾してきたガトル戦爆の放った機銃掃射が、キャビンを直撃していたのだった。
「しかし、まさか……あのときの女の子が、ウチの艦に来るなんてね」
 バイザーの下で、形良い唇を皮肉げに歪めてリンは笑う。
 数千万人ごと爆散したコロニーから数万人ごと爆沈した貨客船に乗り込んで、そこからさらに数十人だけが乗り込めた脱出艇の中で、最後の機銃掃射にも殺されずに生き残れた、たった数人の避難民。
 シエル・カディス――母親に連れられていた当時まだ十歳の彼女は、その天文学的なまでに幸運な数人の一人だった。
 たとえ母親が上下真っ二つになってその片割れを宇宙に吸い出されていくところを見せつけられたとしても、あの同じ日に死んだその他大勢の数千万人、数十億人に比べれば、十分すぎるほど幸運だろう。とにかく、生き残れはしたのだから。
 そう思うしかなかった。
 娘を守ろうと抱き締めた格好のまま半分だけになった母親が、真空に吸われてもうそれ以上どこかへ飛んでいかないよう、シエルは寸法の合わないノーマルスーツを返り血で真っ赤に染めながら、錆び付いたようにきつく抱きついていた。
 サラミス級巡洋艦に収容されてもまだ母親の遺体から離れようとしなかった彼女に、思い切り強い平手打ちを食わせて無理矢理に引き離した瞬間の痛みを、リンは今でも覚えている。
 リン・リンリーにとって、それがそのとき最後のシエル・カディスに関する記憶だ。
 何かに憑かれたようになったリンは、そのままルナツーで連邦宇宙軍への入隊を志願した。まだ幼かったシエルはどことも知れない難民収容施設へ送られたという。その後のことはまったく知らない。
 ほんの数日前に艦隊司令部から突然、新人パイロットの配属を知らせられるまで、リンは彼女のことを忘れていた。より正確には、忘れようとしていたに過ぎないのだが。
 結局あの子もこの道に来たのか、とリンは思う。復讐と再生の狭間で細く小さく揺れ動く吊り橋のような、かつて自分が辿ったそれと同じ道を。
 そしてその道があまりに細いから、こうして再び出会うことになったのも、あるいは必然だったのだろう。
「ふうむ。……ジオンの分際で殺生はせず、か?」
 リンの回想を断ち切るように、前方から撃破された友軍機の残骸――MSの胴体部分が近づいてきた。

458 :  RMS-106《ハイザック》だ。
 地球連邦軍が各地で接収したジオン公国軍系MS生産インフラの流用と、流体パルス駆動方式やモノアイ式センサーユニットをはじめとするジオン系MS技術の連邦系との融合を図って開発された、地球連邦軍による戦後初の新型量産機。
 そうして出来上がった機体は拡張性に富む先進的なブロック構造を盛り込まれつつ、流体パルスとフィールドモーターの利点を組み合わせて高度な操縦性と運動性を確立している。
 一方でその新機軸を組み込んだ機体にはジェネレーターとの厄介な相性問題があり、それは最後まで解決できなかった。同時に二系統のビーム兵器を運用することが出来ないという不具合を抱え込んだまま、ハイザックは制式化されて本格的な大規模量産化に至っている。
 つまりハイザックではビームライフルで中距離から敵機と撃ち合いながら急接近しつつ、そのままビームサーベルを抜いて切り結ぶような、ジムUなら当たり前にこなせる空間戦闘の常套戦術は使えない、ということだった。
 とても戦後開発の新型機とは思えない欠陥兵器とも言えたが、一方でその素直で柔軟な操縦特性と軽量かつ堅牢な機体構造は、特に空間戦闘に不慣れな新兵に受けが良かった。
 そして諸事情により、MSパイロットの育成が順調に進んでいるとは言えない連邦軍にとって、この特性は非常に重要である。未熟な新兵を乗せて戦わせるなら何度も改修を重ねてきたジムUより、新設計で動かしやすいハイザックの方が格段に有利とまで言われるほどだ。
 こうしてハイザックは現在、連邦宇宙軍でも政治的信頼性の高い部隊に優先配備されている。サイド4駐留艦隊などという辺境部隊にありながら、マカッサルがハイザックを受領できた事実は、軍中央との強いパイプの存在を何より雄弁に物語っていた。
 そして僚艦であるアルマーズやトラキアにハイザックが配備されるという計画は、現状ではまったく存在していない。
「ま、要らんけどね」
『きゅ、救援を――』
「待っててくださいな。後で拾いまーす!」
 四肢を失ったきり為す術なく漂流していたハイザックの一機が頭部を巡らし、何か言いたげにモノアイセンサーを向けてきたが、リンはあっけらかんと言い捨てたきりさっぱり無視した。あんなものにいちいち構っている時間などない。
 そうして勢いよく追い抜く間にそれらの機体の破損状況だけを記録し、全天周モニターに小窓を開いて映し出す。同様に数機ぶんの残骸を分析して、リンは明確に結論した。
「うん、やっぱり。この敵さん、どうにも妙ちきりんな癖があるねえ。ニュータイプなのか何か分からんけれど――確実に、敵MSの主要部への直撃を避けながら撃破しに来てる。何か怖いことでもあるのか……徹底的に、過剰なほどにね」
『しかし、何が目的だ? この状況で機体の鹵獲や捕虜の確保が狙いとも思えんが』
 ジムU43を駆る寡黙な古参兵、ネイサン・リドル曹長が訝しむ声にも、リンはあくまで淡々と返す。
「何にせよ、マカッサルのエリート勇者諸君が頑張ってくれたおかげだね。敵さんはもはや弾切れ寸前と見たよ。
 42より各機、シールドで防御姿勢を確実に保持。ビームライフルとマゼラ・トップ砲からの狙撃を警戒しつつ、中距離を維持しながらアルマーズと連携して射撃――」
『またマカッサルに爆発! 被弾か――いや、友軍機の墜落?』
「ん。今、敵のニュータイプっぽいやつ被弾した? 対空砲火で??」
 リンが出そうとしていた命令の途中で、戦況は瞬時に激変していた。
 ニュータイプ・パイロットを含むと思しきMS小隊を相手に、有らん限りの火力をばら撒きながら不審船へと特攻まがいの肉薄攻撃を仕掛ける戦隊旗艦マカッサル。
 その蛮勇に半ば舌を巻き、半ば呆れ果てながら見守る彼女たちアルマーズMS隊の前で、マカッサルMS隊の隊長機らしきガルバルディβが母艦へ墜落した――と思った次の瞬間、ザクの一機が被弾したのだ。続けざまに着弾する。
 三機中で一機だけビームライフルを装備して、ほぼ単機の働きでマカッサルMS隊を壊滅させてのけた機体だった。90ミリ弾の嵐に機体の各所を乱打され撃ち抜かれたかと思うと、そのまま明後日の方向に流れていく。
『いったい何だ? どうしてあの機体が急に……リン。今いったい、何が起こった??』
「ありゃ、ありゃ。こりゃあ何とも拍子抜けだねえ。何があったかは分からんけど、これはどうやら……このまま小細工抜きで行けそうだわ」
 その目をいっそう細め、リンは肉食獣じみた笑みを浮かべる。
 ジムU42の右手で、90ミリ口径のジム・ライフルが鈍く光った。

459 : 前編終わりです。
続きは近いうちに。

460 : 次スレの季節か

461 : 拙作第21話の途中ですが、次スレの季節ですね。
余裕を持って次スレ準備に取りかかりたく、新テンプレを準備させていただきました。
勝手ながら、>>1>>2からリンク切れのコンテンツを取り除かせていただいています。ご確認ください。
――――――――――
語るも良し!エロパロ書くも良し!
ガンダムの娘ッ子どもで妄想が膨らむ奴は集え!
ガンダム以外の富野作品やGジェネ、ガンダムの世界観を使った二次創作もとりあえず可!
で、SSは随時絶賛募集中!
■前スレ
ガンダムヒロインズ MARK ]X
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1385961055/
■関連スレ
ガンダムビルドファイターズでエロパロ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1381888018/
機動戦士ガンダムAGEでエロパロ part2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1336492879

462 : ガンダムヒロインズ
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1007/10076/1007655458.html
ガンダムヒロインズ MARKU
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1040/10405/1040508424.html
ガンダムヒロインズ MARKV
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1056/10568/1056852515.html
ガンダムヒロインズ MARKW
http://pie.bbspink.com/eroparo/kako/1071/10716/1071647163.html
ガンダムヒロインズ MARKX
http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1082/10821/1082193496.html
ガンダムヒロインズ MARK VI
http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1093/10936/1093639318.html
ガンダムヒロインズ MARK VII
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1103/11032/1103211618.html
ガンダムヒロインズ MARK VIII
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1111/11118/1111804843.html
ガンダムヒロインズ MARK IX
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1120/11208/1120835291.html
ガンダムヒロインズ MARK,X ( 10 )
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133328333/
ガンダムヒロインズ MARK ]T
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149928068/
ガンダムヒロインズ MARK ]U
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169384276/
ガンダムヒロインズ MARK ]V
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197866886/
ガンダムヒロインズ MARK ]W
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250978555/
■公式サイト
SUNRISE official Site
http://www.sunrise-inc.co.jp/
機動戦士Zガンダム
http://www.z-gundam.net/
■SS保管所
(全滅)
■参考リンク
シャア専用辞典
http://www.geocities.jp/charsenyou_jiten/e/v.html#2

463 : ■過去スレ
ガンダムヒロインズ
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1007/10076/1007655458.html
ガンダムヒロインズ MARKU
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1040/10405/1040508424.html
ガンダムヒロインズ MARKV
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1056/10568/1056852515.html
ガンダムヒロインズ MARKW
http://pie.bbspink.com/eroparo/kako/1071/10716/1071647163.html
ガンダムヒロインズ MARKX
http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1082/10821/1082193496.html
ガンダムヒロインズ MARK VI
http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1093/10936/1093639318.html
ガンダムヒロインズ MARK VII
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1103/11032/1103211618.html
ガンダムヒロインズ MARK VIII
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1111/11118/1111804843.html
ガンダムヒロインズ MARK IX
http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1120/11208/1120835291.html
ガンダムヒロインズ MARK,X ( 10 )
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133328333/
ガンダムヒロインズ MARK ]T
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149928068/
ガンダムヒロインズ MARK ]U
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169384276/
ガンダムヒロインズ MARK ]V
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197866886/
ガンダムヒロインズ MARK ]W
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250978555/
■公式サイト
SUNRISE official Site
http://www.sunrise-inc.co.jp/
機動戦士Zガンダム
http://www.z-gundam.net/
■SS保管所
機動戦士ガンダム Voice Of The Earth まとめリンク
http://www.eonet.ne.jp/~spiritshout/vote/top.html
■参考リンク
シャア専用辞典
http://www.geocities.jp/charsenyou_jiten/e/v.html#2

464 : また一点質問させていただきたいのですが、拙作のWEB小説サイト・ハーメルンのURLをSS保管庫として記載させていただいてもよろしいでしょうか?
ご検討よろしくお願いいたします。

465 : 乙です!
URL貼りについて個人的には構わないと思うよ?
ほとんど一人でスレを維持してくれてるんだし
御新規さんで最初から読みたい人もいるかもしれんし
次スレ立ててくれるんなら入れて
でも反対があれば次次スレに向けてその時に考えればいいんじゃね?

466 : >>465
ありがとうございます。
とはいえ、本当に人の少ないスレになってしまいましたね。
中編を投下します。

467 : 『ノーラ! ティアを拾って!』
「!!」
 ミリアム・バーレット少尉がそう叫んだとき、彼女のザク・ファドランはすでにマゼラ・トップ砲の弾倉交換を終えていた。
 母艦《ケンドー丸》へ肉薄するサラミス改級巡洋艦《マカッサル》を直接に狙いつつ、信管測合を終えるやミリアムは即座に連射する。
 数門の機銃と主砲までもを沈黙させられながらも、なお苛烈な火線の嵐を吐きながら迫る艨艟へと175ミリの射弾は迫り、そして艦体直前で巨大な光球となって弾けた。
 照明弾。目眩ましだ。
 至近で生じた閃光に呑まれて標的を見失い、巡洋艦がばら撒く火線が弱まる。ミノフスキー粒子下で至近距離での照明弾は覿面に効いたが、所詮は一時しのぎに過ぎない。
 その一瞬の間に、ノーラ・ジャンセン伍長機はティアーナ・エイリス上等兵機のもとへ急行していた。
 90ミリ機銃弾の暴風に装甲のそこかしこを食い破られ、電装系から火花を散らしながら力なく漂う無惨なザク・ファドランを、マニピュレータで引っ掴むやスラスターを全開に噴かす。
 近距離赤外線通信に応答はない。誘爆の可能性も恐れず、ノーラは強引にティアーナの機体へ接触した。
「ティア! ティア、返事してよ――ティアっ!!」
 互いの機体構造そのものを通信回路として利用する、接触回線へ向かってノーラは絶叫した。なお撃ち続けている敵艦からの距離を開きながら、機体の状況を概観する。
 ティアーナ機の被弾箇所は、その大半が四肢に分散していた。
 腕部も脚部もボロボロに食い破られてしまえば、機体構造強度の大半を外部装甲板で支えるモノコック構造のザク・ファドランは、すでに運動機能の大半を失ったと思われる。
 それでもティアーナが最後の力を振り絞った回避とダメージ・コントロールが的確だったのか、今のところ誘爆の気配はない。
 そして、肝心の胴体部――ジェネレータとコクピットブロックという、MSにとって文字通り心臓であり頭脳である区画を有するその部位にも、サラミス改級巡洋艦からの対空砲火は容赦なくその弾痕を刻み込んでいた。
「あ、ああ。う、嘘――嘘。そんな……ティア……!」
 コクピットハッチ周辺を穿った数カ所の弾痕に、ノーラは戦慄する。
 ファドランはコクピットブロックの換装時に、胴体装甲の一部を原型機の超硬スチール合金からチタン・セラミック複合材へと換装していたが、その新型装甲が撃ち破られていたのだ。
「とにかく、下げなきゃ……!」
 前方ではマゼラ・トップ砲やシュツルム・ファウストの非致死性弾頭を放ち、ミリアム機が正面から敢然と敵艦を足止めしている。
 ノーラは彼女を後目にティアーナ機を引きずりながら、ケンドー丸を目指して自機を飛ばしていく。
『……のー、…………ら…………?』
「ティア!? 生きて――!」
 そのとき掠れるような、血を吐くような――ひどく苦しげな少女の声が、ようやくノーラに届く。コクピット内の映像も同時に入った。
 コクピットハッチを貫通した90ミリ弾の破片が内部を跳ね回ったのか、コンソールやリニアシートに全天周モニターから、パイロットスーツに至るまでの各所に破損が見えている。
 だがティアーナ自身の肉体に大きな外傷の気配は見当たらない。あくまで敵艦に生じた負傷者から苦痛の『おつり』を貰っただけだ、とノーラは判断した。
「ティア……! 良かった、良かった……! いま……いま、助けるからっ!」
 同時にティアーナ機から、機体状況の自己診断情報を引き出す。ティアーナが突然の激痛に苛まれながらも、最後の力を振り絞って回避したためだろうか。ほとんどの被弾箇所は主要部を避けるように分布していた。
 エネルギーの循環も適切にカットされており、即座に機体が誘爆する危険は小さい。

468 :  とはいえ、被弾によってコクピット内の気密構造はすでに破られている。まだ多少の即効性が望める注射はもはや実行不可能だ。
 ティアーナのパイロットスーツに装備された、気管支経由での気化抑制剤の自動投与はすでに開始されていた。
 だが気化抑制剤の効き始めはさらに緩慢で、現状では気休め未満の代物でしかない。今からでも静脈注射で追加投与しなければならなかった。
 安全域まで能力を落としきるまでの間にこれ以上、戦場から彼女の精神を壊すほどの衝撃が加われば、ティアーナは――
「!」
 警報。ノーラ機の全天周モニターに警告表示が走る。
"《RGM-79R》x3"。
「後方の駆逐艦から、MS――ジムU三機。何、こいつら……ジムのくせに、さっきのガルバルより速いっ!?」
 全天周モニターの正面にカットインが自動で開き、迫る敵機の影を拡大する。
 未だ彼我ともに有効射程外。だが命知らずなのか思い切りがいいのか、異様なまでに荒々しい加速で敵は迫る。このデブリが怖くないのだろうか?
 いずれにせよこのままでは、ノーラがケンドー丸の格納庫へティアーナ機を放り込むより前に、彼女たちは敵ビームライフルの有効射程内に捕捉されるだろう。
 状況を判断して唾を飲み込み、ノーラは覚悟を決めた。
「やっ、やってやる……やってやるっ。ジムUなんかサイド5で、力を抑えたままのティアと一緒に何機も落とした! 絶対、絶対あんなのなんかに負けない……やってやるっ!!」
 あと三機。それだけの敵機をしのげば、残りは二隻のサラミスだけだ。友軍の救援部隊だって、きっともうすぐ来てくれる。必ず道はある。
 しかし、やれるのか?
 無防備なティアーナとケンドー丸を守り、自分も死なず相手も殺さず、三機のMSを拘束・無力化しつつ持ちこたえる、などという離れ業が。
 もともと敵のパイロットはいっさい傷つけずにMSだけを撃破するなど、能力を解放したティアーナがその絶技をもって常人を相手にする場合、ようやく可能になる神業の類だ。
 それこそアムロ・レイと常人との間以上に大きな戦力の開きがなければ成立し得ない。
 ティアーナはおろかミリアムからの援護すら期待できない現状では、たとえ格下相手でも自分にそれが可能だとは思えない。そして前方からは巡洋艦が、後方からも駆逐艦が来る。ケンドー丸に取り付かれたら終わりだ。
 それでも自分を叱咤し、奮い立たせるようにノーラは叫んだ。
「ティアーナは、……私が守るっ!」
 軌道計算してティアーナ機をケンドー丸の予想進路上へ押し出し、ノーラ機はザクマシンガンの弾倉を交換しながら構え直す。
『警告:高エネルギー反応』
「!?」
 そのとき艦砲級の強烈な火線が、ケンドー丸から前方のサラミス改級巡洋艦へ走った。
 敵艦の至近を強烈なメガ粒子の奔流が突き抜けていく。
「あの火力、ビーム・バズーカ――イオ姉!?」
 ケンドー丸の格納庫から放出された、MS以上に長大な砲身と内蔵ジェネレータを持つ巨砲――ビーム・バズーカ。
 MS用兵器としては最大級の火力と寸法を誇るそれは本来、MS隊長であるイオタ・ファーガスン大尉自身が出撃する際の兵装として用意されていたものだ。
 ケンドー丸の艦体に固定して電力ケーブルまで接続しつつ、作業用のプチ・モビルスーツが操作していた。グラス・キャノピーの向こうにパイロットの姿が見える。
 女性的な肉付きの良い身体に、並外れて豊かな円みを帯びたバスト。イオタだ。

469 :  重厚長大な砲身を非力なプチモビで巧みに操り、彼女は矢継ぎ早の第二射を敵艦へ放つ。
 だがビーム・バズーカがいくら強力といっても、その威力はせいぜい一年戦争時の巡洋艦の主砲クラスでしかない。あくまでMSが装備して、機動戦の中で運用するから価値がある代物だ。
 外付け電力とプチモビ運用では発射速度も照準精度も俯仰旋回も、すべての面でサラミス改級が多数有するメガ粒子砲塔の一つ一つとすら渡り合えまい。
 同時にケンドー丸の格納庫から、カタパルトでコンテナが勢いよく放出された。コンテナは艦の前方で内部から起爆して炸裂、膜状の何かを展開する。サラミスからの砲火はそこで搦め取られた。
 ビーム攪乱膜だ。展開され、拡散していく膜はすぐケンドー丸に追い抜かれるが、カタパルトからは矢継ぎ早に次のコンテナが放たれては爆ぜ散り、常に艦の前方へと対ビーム防御を確保し続ける。
『沈めってのよ、この野郎ォォォッ!!』
 その間にミリアムが、猛烈な気合いとともにマゼラ・トップ砲を速射した。至近で連続炸裂する照明弾が巡洋艦を乱打し、巨大な閃光に艦体を包み込む。
 白い光に目を眩まされながらも、ノーラは敵艦のその動きを確認して叫んだ。
「――敵艦、転進! やった!!」
 必死に牽制するイオタとミリアムの猛射、そしてビーム攪乱膜を張りながら突進するケンドー丸による強烈なプレッシャーの複合が、ついに敵艦の戦意を挫いたのだ。
 ケンドー丸への衝突コースを取っていたサラミス改は針路を修正、射撃を継続しつつも側方へ逸れて離脱していく。
 チキン・レースに、ケンドー丸は勝った。
 正面の退路をこじ開けたのだ。あとはここを真っ直ぐ逃げ切れれば、それでいい。
 だが後続のジムUが予想外に速い。駆逐艦も来る。友軍の気配はまだない。
 離れゆく敵巡洋艦に最後の照明弾を叩き込んで牽制を終えたミリアムが、マゼラ・トップ砲の弾倉を交換しながらノーラ機の側方へ急行してきた。
 急拵えの二機編隊を組みながら、ミリアム機は対MS用の徹甲榴弾を装填したその砲口を敵方に向ける。
『ノーラ、ここから先は通常戦闘! 最初から殺す気で行きな!』
「えっ――!? で、でもミリ姉――もし、直撃出して……殺しちゃったら――」
『こいつらはさっきの連中とも、あたしらが余所のサイドで相手してきた連中とも違う。全力で殺しに行かなきゃ掠りもしない、ただこっちがあっという間に殺られるだけ!
 ノーラ? 敵が死んでもあたしらが死んでも、どのみちティアーナは助かんないのよ!』
『…………!』
 ミリアムの告げた冷酷な言葉が、熱くなりかけたノーラの意識を一気に冷やす。
 最初に出撃したときから理解していたはずの、こうなるかもしれないという、どうにもならない現実。
「了解……!!」
 それを再び突きつけられながら、それでも少女を救える僅かな可能性を信じて、ノーラは明確な殺意とともに敵機を見た。
 ミリアムがひとり小さく呟く。
『とうとう出てきたか、――『ルウムの亡霊』ども』

470 : 「敵艦転進! 左舷下方に抜けます!」
「左舷カタパルト、攪乱膜コンテナ投射はじめ! 機銃弾来るぞ、耐衝撃姿勢!!」
 ルスラン・フリート偽装貨物船、ケンドー丸の船橋に歓声はなかった。誰もが必死に自分の正面で戦っている。
 全力で展開したビーム攪乱膜がメガ粒子砲を封じてはいる。だがサラミス改級巡洋艦はすれ違いざま、照明弾の隙間から帰りがけの駄賃とばかりにケンドー丸へと90ミリ機銃弾をバラ撒いてきた。
 船体に鈍い衝撃、被弾音が構造材を伝って船橋まで揺らす。命中した数発はあっさりと船体外板を反対側に突き抜けていった。対MS用の徹甲榴弾をそのまま撃っていたらしく、致命的な被害は生じなかった。
 コロンブス級輸送船にはご大層な装甲板など無いから、内部の信管が作動することもなく、風穴だけ開けてそのまま向こうに抜けていったのだ。
「被害報告!」
「A-7、C-3、D-8区画被弾! 応急班対応中――全被弾区画閉鎖及び減圧完了、火災鎮火!」
「各部署、人員報告異常なし!」
「堪えたかっ。ビーム攪乱膜コンテナの残りは格納庫の後方に回せ! すぐにジムと駆逐艦が来る、そっちに対応させろ。MS戦の支援にもカタパルトを回すぞ、急げ!」
「両舷格納庫、緊急停止ネット展開完了! ティアーナの回収はどっちでも行けます!!」
 ケンドー丸にとって目下最大の脅威だった、サラミス改級巡洋艦は後方に過ぎ去った。敵艦はケンドー丸の側面を行き過ぎたまま、もう鋭角の切り返しを入れてくることもなく、ただ緩やかに離脱していく。
 デブリに邪魔されて満足な操艦が出来ないのか、それとも単に戦意が低いのか。いずれにせよ距離は開くばかりで、もはや無視して何の問題もないと船長は判断した。
 だが、後続の敵は別だ。
「速い……!」
 前面に展開するジムU小隊もそうだが、その母艦であるサラミス改級駆逐艦もまた、異様な加速で追撃してきていた。
 いかに駆逐艦とはいえとても戦闘艦とは思えない、まるでMSか突撃艇のように軽快な動きでデブリを縫って、見る間にケンドー丸との距離を詰めてくる。今までよほど実力を抑えて遊んでいたらしい。
 それとも、あるいは――正面にいた巡洋艦に『遠慮』させられていたのか。
 今まで上がってきた『週刊誌』の行間にも見え隠れしていた、サイド4駐留艦隊独特の政治力学と内部構造を船長は想起する。
「ふっ、そうか。これが『ルウムの亡霊』――『あの男』の子飼いども、ということか」
「――前方哨戒点503より入電!」
「読め!」
 通信士がはっと口走ると、船長も反射的に叫んでいた。船橋じゅうから集まる視線の中、通信士が読み上げる。
「我前方哨戒点503、貴艦の信号弾と救援要請を確認。コムサイ改二隻で一個MS中隊が緊急発進。到着予定は六分後、それまで持久されたし!」
「六分、か。……保つか……!」
 ミリアムとノーラのザク・ファドランが、ケンドー丸とティアーナ機を守るように展開し、ジム隊相手に防衛線を張ろうとしている。
 船橋メインモニターに映し出される戦場の中、迫り来る連邦軍機がビームの火線を放った。

471 :  宇宙が光る。
 線ではなく、点になったまま迫り来る。
 ――やばい
 咄嗟に右肩の防盾を正面へ回したノーラの眼前で、ジムUから放たれたビームは見えざる手に押し曲げられたように屈折、そして拡散しながら霧散していた。
 サラミス改級巡洋艦への防御策として、ケンドー丸が大量に展開したビーム攪乱膜の残滓だ。それがなければノーラ機は、今の一撃で火球と化していたかもしれなかった。
「こ、この距離からいきなり当ててくるの……!?」
『ノーラ、攪乱膜を壁に使いながら機動! 少しずつ下がりながら止めるよ!』
「りょっ、了解!」
 二機は回避運動を交えながらじりじりと後退していくが、ミリアムは牽制にほんの一発マゼラ・トップ砲を放っただけで、ノーラはまだ全く反撃の射線を開いてはいない。
 この中距離からジムUのビームライフルと渡り合える兵装は、ミリアム機のマゼラ・トップ砲しかない。もはやその残弾も心許なく、彼女たちは後手に回るしかなかったのだ。
 ビーム兵器の威力を減衰させるこの雲の存在だけが、今の彼女たちにとってほぼ唯一の勝算だった。
 ティアーナの能力解放戦闘は本来、敵軍において傑出する最強の戦力――少なくともアムロ・レイ級以上のニュータイプ・パイロットが操る、おそらくは最新型のガンダム・タイプMSを、前哨戦の段階で早々に駆逐することを第一の目的としている。
 超絶の異能を以てなお制御しきれない付随的被害の発生が不可避となる、多数の通常戦力との交戦などは最も忌避されるべき事態なのだ。
 それでも『最悪』の状況を想定して、対多数戦闘の訓練自体は行われていた。
『決して敵パイロットを殺傷せず』に敵MSの無力化を目指す場合、敵機を一撃で仕留めることは不可能である。
 通常ならばコクピットや主ジェネレータの集中する胴体部への直撃が決定打となるが、能力を解放したティアーナにとってそれは単なる自爆に等しい。
 よって細心の注意を払いつつ、敵パイロットに直接影響しにくいMSの頭部や四肢、武装や背部推進器などを個別かつ精密に破壊していくことになる。
 互いに砲火を交えつつ彼我高速で入り乱れるMS戦闘中に、このような超・精密狙撃を強いられること自体がすでに荒唐無稽ではある。

472 :  それでもティアーナ自身にはそれが可能だったし、彼女に随伴するミリアムやノーラも、それらの状況を前提とした戦技と戦術を訓練していた。
 つまりティアーナがその戦闘力で突出しながら敵の注意を引きつけている間に、彼女の側背を守りつつ敵機を横合いから叩いていくのだ。
 それでもなお常人にとっては悪夢に等しい難度ではあったが、二人は訓練の末、実戦でその離れ業を実現してのけた。
 だが、消費弾数の問題は残ったままだ。
 敵機の武装やセンサー類に始まり、推進力やAMBAC機能まで全ての脅威を無力化していくためには、最低でも一機相手に五〜六発の命中弾が必要となる。むろん命中までに要する総弾数はさらに多い。
 だからティアーナ機のビームライフルは早々にE-CAPが底を突いたし、ミリアム機とノーラ機の残弾にしても決して多くはない。
「援軍が来るまで……あと、五分半……!」
 ようやくケンドー丸が受信した友軍からの通信も、明るい材料になってはいなかった。
 五分間。この状況でのMS戦においては、無限のように長い時間と思える。目眩がした。吐き気も。敵は強く、こちらは手足を縛られたような戦いを強いられ、そして守るべきものはあまりに多い。
 残存攪乱膜にビームライフルでの中距離戦を封じられた敵機が、このまま突撃を継続してこちらの射程に入り込んだところを、マゼラ・トップ砲とザクマシンガンの火力を先制発揮して一気に叩くのが最善手ではある。
 だが果たしてこの強敵が、そこまでこちらの狙い通りに動いてくれるのか?
 訝しむノーラの眼前で、敵機は突撃を継続した。
 マゼラ・トップ砲の狙撃を警戒するように三機入り乱れるように機動しつつ、何発かビームを放ってきたが、狙いは正確ながらも攪乱膜に搦め取られ、まったく有効打になっていない。
 こちらの援軍を警戒して、敵は時間を惜しんだのだろうか。一気に距離を詰めて、接近戦で決めるつもりか。
「――行けるっ」
 引き攣った笑みがノーラの口元に浮かんだ。間もなく敵機の先頭がザクマシンガンの有効射程を割り込む。精度重視の両手構えでザクマシンガンを向けながら、ノーラは敵を待ち構える。
 ジムUの装甲が相手なら、ザクマシンガンの徹甲榴弾は十分な威力を有している。そして装甲さえ抜けるなら、百発もの装弾数を連射で叩き込めるザクマシンガンは、近距離戦闘においてむしろビームライフルより有利だ。
 勝てる。
(ノーラ、だめ。逃げて――)
「えっ?」
 先頭を来るジムUが不意にシールドを下げ、そこから真っ黒な銃口が丸くノーラの瞳を覗いた。
 迸る90ミリ高速徹甲弾の嵐が、ザク・ファドランの装甲を撃ち抜いて火花を散らした。

473 : 今回は以上です。
現在493KB。新テンプレ案に異議がなければ、次回投下は前述通りの新スレ立てとセットで行いたいと思います。

474 : >>4-8 フェニックステイル第11話
>>32,34-35, 50, 52, 69-70 再会 ―ジュピトリスにて―
>>38-42 フェニックステイル第12話
>>45, >>82 フェニックステイルおまけ
>>55-64 フェニックステイル第13話
>>101-106 フェニックステイルα
>>110-117 フェニックステイル第14話
>>133-140 フェニックステイル第15話
>>166-175 フェニックステイル第16話
>>209-215, >>218-228, >>232-242 悪友〜秘薬〜
>>318 キャットファイト
>>327-339 フェニックステイル第17話
>>368-374, >>379-385 フェニックステイル第18話
>>392-400, >>408-415 フェニックステイル第19話
>>426-431, >>434-441 フェニックステイル第20話
>>454-458, >>467-472 フェニックステイル第21話(中編まで)

475 : 以上、XVスレにおけるSS投下は宇宙世紀もの四品目でした。
スレ期間内の新作であるGレコと鉄血も、需要の声は散見されたものの、SSの投下はありませんでした。
せっかくですので宇宙世紀ものであれば、私のオリキャラではない原作キャラで、簡易リクエストを受け付けたいと思います。
(2レス程度を想定、あまりマイナーなキャラには対応できない場合があります)。
簡単なシチュとキャラを添えてどうぞ。

476 : リクエストします。気が乗らなければスルーして頂いて結構です。
ファ・ユイリィ、テンプテーションでのグリーンノア1脱出前。
カミーユの知り合いだからと親子共々ティターンズに逮捕。
尋問だとカーチャソと引き離され、ティターンズに無理矢理アレコレされる。

477 : ケルゲレン子、ロラン、エマリー、ルー・ルカのどれかでレイプ凌辱もの希望
アヘやら「くやしい…!でも…感じちゃう!ビクンビクン」みたいな堕ちは一切なしで
最後まで全力で抗ったり嫌がったり許しを請うたり欲しいです

478 : 希望キャラに同名のキャラがいるのを思い出しました
「ロラン」はドアンの島の方です
ホモは希望しません

479 : 新スレッドを立てました。
ガンダムヒロインズMARK ]Y
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1455334594/
リクエストへのご応募、ありがとうございます。
少しずつ進めさせていただきます。

mmpnca
lud20160228163302caこのスレへの固定リンク: http://2chb.net/r/eroparo/1385961055/
ヒント:2chスレのurlに http://xxxx.2chb.net/xxxx のようにbを入れるだけでここでスレ保存、閲覧できます。

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