「最初はカエルかと思ったんです」
そう切り出したのは、都内のオヒースに勤めるAさん。
「残業を終え、終電を急いでいますと、何かこう、最前に申し上げた、カエルのようなポーズの何かがピョンピョンと跳ねていて。
で、都内にもカエルがいるんだなんて、呑気なことを考えながら近づいていくと」
ここで彼女は、何かしら思い出したようにゾッとした表情を浮かべ、小さく言った。
「女性が……M字の開脚をしながら、パンテエの中央、あの、所謂クロッチっていうのでしょうか、その部分に手をあてがいながら、痙攣するように身を弾ませていたのです」
「あっ、やだ、そこ、すごい。ううん、やだっていうのは、凄く良いって言う意味。いちいち言わせないで頂戴。あっ、良い、良い! わたくしを、ドスケベ桃源郷に連れて行ってくださらない!!みたいなことを絶叫しながら、そのまま痙攣しつつ、ゆっくりと通り過ぎていってしまったのです。まるで、一瞬の悪夢だったかのような、そんな出来事でした」
そんなことを言いながら、彼女は記者を見るなり、
「あなた、凄くハンサムでいらっしゃるのね。わたくしのパンテ、あ、いえ、なんでもないのよ。気にしないでぐださいまし……」
と、意味深に言葉を止め、頬をほんのり赤らめるのであった。
クロッチ通信(不定期刊行)