去年1月、噴火と津波被害を受けたトンガに向けて、支援物資を積んだ船が呉から出港しました。現地でどのような力になれたのか、1年が経った…現状を取材しました。
≪去年1月21日≫
【加藤アナ】
「呉基地上空です。輸送艦おおすみのそばには物資とみられる箱がたくさん置かれています」
いまから1年前、被災地・トンガを支援するため呉基地を出港した海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」…。
日本からおよそ8000キロ離れたトンガはこの時、海底火山の大規模な噴火と津波により大きな被害を受けていました。
【在トンガ日本国大使館・藤原一成 二等書記官】
「夕方の5時くらいに噴火があり煙が見えて音が聞こえて衝撃がきてという順番でそれから1時間くらいでインターネットが切れて大使館も海の近くにあるが、その近くでも大きな岩が転がっていたり、館員も一部家の中まで水が入ってきたり色々な被害が出ていた」
そうした状況を支えるため日本からの物資輸送を任された「おおすみ」とはどのような船なのか…。
【五十川記者】
「あ!クレーン車が止められています。おおすみ内部にある車両甲板です。普通車であれば25台、20トントラックであれば10台以上積むことができるそうです」
海上輸送のほか水陸両用作戦を主な任務としていますが、災害時には給水や入浴支援などで活躍しているこの船…。
迷路のような艦内で人ひとりがギリギリ通れるハッチを降りるとたくさんのベッドが並んでいます。
そして、集中治療室や手術室などが設けられ、災害派遣では重要な役割を担いもう一つ、大きな特徴なのがLCACと呼ばれる艦艇が近寄れない現場に出動するホバークラフト型の輸送艇を乗せられることです。
【藤原一成 二等書記官】
「到着したのをみたときは胸が熱くなった。津波被害が大きかった西部の村を中心に水やシャベルや食料品を配った」
実は、トンガ政府が最も求めたというのが「水」の支援…。トンガに住む人の飲み水はだいたいが「雨水」で、水道は限られたところにしかなく、火山灰の影響が出ていたのです。
さらに高圧洗浄機を使って汚れを落とすため、より一層、水を必要としていました。
【藤原一成 二等書記官】
「状況は非常に厳しかったが『ありがとう、ありがとうこれを待っていました。よく持ってきてくれました』とみなさん笑顔で迎えてくれたのが印象的だった」
東日本大震災の時には多くの義援金がトンガから日本に寄せられ、 “助け合い”ながら“仲を深めて”きたトンガと日本…。あの日から1年が経った現在の国内はどのようになっているのでしょうか。
【藤原一成 二等書記官】
「西部の方は津波の被害が大きくてまだ復旧していないところがあって…大使館のあるトンガタプ本島ではほぼすべて火山灰の状況も終わり一部を除いて元通りの生活に戻っている」
災害への備えはモノだけでなく、万が一の時に助け合う「心の準備」も重要といえます。
http://www.tss-tv.co.jp/tssnews/000018115.html