【昭和天皇も観戦した東京六大学野球】
秋深き外苑に 晴の球場開き
摂政殿下台臨され 観衆二万五千の前に
荘厳だつた入場式
七十万円の工費と一ヶ年の工程によつて完成した東都第一の大球場といはるゝ
明治神宮野球場開きは風静かな二十三日正午一戸宮司の始球式、
次で行はれた東京、神奈川の中学選抜チームの試合に始まつた、
手いれの行届いたしかも開放された初日の外苑に雪崩れ込んだ大半は
『球場へ球場へ』とひしめき入場者二万五千を数へた
◇
中学チームの試合が終ると君ケ代の奏楽中に摂政殿下[のちの昭和天皇]には
閑院宮殿下と共に浜口内相、一戸宮司等を従へて御臨場せられる、
次で早、慶、明、法、立、帝の順序で六大学チーム、それに東京神奈川の
中学十七チーム約三百名が入場、軍楽隊を先頭に各大学監督に引率されて
広い場内を一周、ダイヤモンド内に整列して国歌を合唱して荘厳なる入場式を終つた
◇
かくて六大学選抜チームの紅白試合に入つたが
殿下には安部前早大野球部長、内海明大野球部長の説明を
御聴取遊ばされ、試合終るまでいと御熱心に御覧あらせられた
(『東京朝日新聞』 大正15年10月24日)
六大学と東都の合併話は戦前からあったが実現しなかった。
六大学との連携促進を決議 意気込む五大学聯盟
東京五大学野球聯盟では予てより同聯盟の更生策を講じ、
先進六大学聯盟との提携を熱心に希望しつつあつたが、
5日夜山水楼における同聯盟理事会の結果、文部省体育課並に
六大学聯盟に対し積極的に働きかけ、合同の機運を促進することを
決議したので、近日中に開催される六大学野球聯盟では
本問題に就き相当論議されるものと見られてゐる。
なほ五大学聯盟側の希望するところのものは
一、六大学側前シーズンの最下位チームと
五大学側優勝チームの対戦
一、五大学聯盟の六大学聯盟加盟
(『東京朝日新聞』 昭和11年3月6日)
東都大学野球聯盟の加盟を拒絶 東京大学野球聯盟回答す
東都大学野球聯盟が去る3月17日躍進策として東京大学野球聯盟に
加盟を申し込んだことは春の野球シーズン開きを前にして学生野球統一の
機運となるものだと頗る注目を集めたが、東京聯盟(六大学)は
その後常務委員会で研究した結果、24日午後4時細川理事長は
丸ビル事務所に東都聯盟百瀬理事長を招き、
御希望に副ひたいと思つたが、当リーグに加盟することは
試合数が増すので学業にも妨げとなり、文部省としても
許可しないだらうから困難だ。然しリーグとしてではなく
各校間の交渉で対校試合を行ふといふことは出来ると思ひ、
さうするうちに何等か形の整つたものも生れるでせう。
と口頭で回答した。依つて東都聯盟は25日部長会議を開き右に就いて
協議したが、結局東都聯盟は一致団結して六大学に対し各校別に
試合申込みをなしつゝ可及的速かに当初の目的達成に努力することを
申合せた。
(『東京朝日新聞』 昭和11年4月26日)
現実問題として、統合したら六大学からどれだけ残れるかな?
東大は論外としても、他の大学も厳しいじゃないの?
東都では一時期圧倒的に強かった青学や、名門の日大が二部にいるぐらいだから。
でも東都って最近、全国大会でクソ弱いだろ。
昨年の選手権と神宮大会で優勝したのは六大学の立教と首都の日体。