舌禍事件を起こしたナインティナインの岡村隆史(49)は今から8年前、ニッポン放送『ナインティナインのオールナイトニッポン』でシンガー・ソングライターの友川カズキ(70)にスポットライトを当てた。「YouTubeで神様を見つけた」とリスナーに紹介したのだ。
その友川を追ったドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』(佐々木育野監督)が先週からインターネットの映画館「仮設の映画館」で公開されている。
全国のミニシアターは今、長期休館で死活問題に直面している。救済のために、想田和弘監督(49)と配給会社「東風」が作ったシステムが「仮設〜」で、全国のミニシアターが参加するネット上の映画館。興行収入は配給と劇場の折半なので、休館中の劇場にも収入をもたらす。想田監督の『精神0(ゼロ)』も配信されている。
さてタイトルの『どこへ出しても恥かしい人』は、アメリカ民謡に友川が詞をはめた自らの楽曲名から取られている。カメラは2010年夏の友川を追う。
肩書は「歌手・競輪予想家・画家」。『トドを殺すな』『夜へ急ぐ人』など岡村を魅了した代表曲も多く、ライブハウスなどで歌い続けている。
一方、生活の大部分を占めるのが競輪。日本各地の競輪場に足を運び、一か八かの勝負に挑み、おけらになったりお大尽になったり(当時は夕刊フジにコラム『競輪三昧』を連載していた)。
当時60のおっさんだった友川は川崎のアパートにひとりで暮らし、テレビで競輪を見ては一喜一憂。「競輪にずっと痛い目にあっているから、そろそろ氷河期が終わる」と根拠のない自信で自分を鼓舞したりする。
ダメっぷりがすごい。「生まれたときからリストラにあっているようなもの」「生まれたときから途方に暮れている」ととらえ、競輪に夢中になる暮らしを「何かに酔ってなきゃ人間じゃないだろう」と肯定する。
友川の無頼は本物。“飲む・打つ・歌う”の一気通貫だ。シンガー・ソングライターとしての実績、画家としての評価にあぐらをかくことなく、落ちるように生きる。おしまいに「どこまで壊せるか頑張っているんだけど、気が小さくて壊せないんだ」と秋田なまりでつぶやくが、それが身震いするほどカッコいい。コロナ禍で右往左往する己の小ささが、バカらしく思えるほどだ。
2度、3度と見て、頭に残したい作品だ。
5/13(水) 16:56配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200513-00000005-ykf-ent
その友川を追ったドキュメンタリー映画『どこへ出しても恥かしい人』(佐々木育野監督)が先週からインターネットの映画館「仮設の映画館」で公開されている。
全国のミニシアターは今、長期休館で死活問題に直面している。救済のために、想田和弘監督(49)と配給会社「東風」が作ったシステムが「仮設〜」で、全国のミニシアターが参加するネット上の映画館。興行収入は配給と劇場の折半なので、休館中の劇場にも収入をもたらす。想田監督の『精神0(ゼロ)』も配信されている。
さてタイトルの『どこへ出しても恥かしい人』は、アメリカ民謡に友川が詞をはめた自らの楽曲名から取られている。カメラは2010年夏の友川を追う。
肩書は「歌手・競輪予想家・画家」。『トドを殺すな』『夜へ急ぐ人』など岡村を魅了した代表曲も多く、ライブハウスなどで歌い続けている。
一方、生活の大部分を占めるのが競輪。日本各地の競輪場に足を運び、一か八かの勝負に挑み、おけらになったりお大尽になったり(当時は夕刊フジにコラム『競輪三昧』を連載していた)。
当時60のおっさんだった友川は川崎のアパートにひとりで暮らし、テレビで競輪を見ては一喜一憂。「競輪にずっと痛い目にあっているから、そろそろ氷河期が終わる」と根拠のない自信で自分を鼓舞したりする。
ダメっぷりがすごい。「生まれたときからリストラにあっているようなもの」「生まれたときから途方に暮れている」ととらえ、競輪に夢中になる暮らしを「何かに酔ってなきゃ人間じゃないだろう」と肯定する。
友川の無頼は本物。“飲む・打つ・歌う”の一気通貫だ。シンガー・ソングライターとしての実績、画家としての評価にあぐらをかくことなく、落ちるように生きる。おしまいに「どこまで壊せるか頑張っているんだけど、気が小さくて壊せないんだ」と秋田なまりでつぶやくが、それが身震いするほどカッコいい。コロナ禍で右往左往する己の小ささが、バカらしく思えるほどだ。
2度、3度と見て、頭に残したい作品だ。
5/13(水) 16:56配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200513-00000005-ykf-ent