日本の航空会社の機内食は質が高いと聞いていたが、確かに丁寧な作りだった。日本流の細やかな料理に、抹茶や日本酒、アイス。そしてCAさんの笑顔。すっかり魅了されてしまった。
3時間ほどで羽田空港に到着した。北京から日本に着くと、気温は多少下がったようだったが、期待で気持ちは高まっていた。われわれはみなせっかちだが、焦らず入国の列に並ぶ。深呼吸し、北京から遠く離れたのを実感する。
旅ではいつもハプニングを期待する。しかし、トラブルとサプライズのどちらが先にやってくるかは誰にもわからない。離れた場所で仲間がスーツケースを押して来るのを見ていると、どうも様子がおかしい。今回はトラブルが先にやってきたようだと直感が私に告げた。
果たして、本当に問題が発生していた。スーツケースが破損していたのだ。
近くにいた日本人の地上スタッフに事の次第を話し、交渉を始めた。同等のスーツケースに弁償してもらうことになるだろうと考えていたのだが、双方とも特徴的な発音の英語で1時間ほど話していくうちに、自分たちの考えがずいぶん甘かったことに気付いた。
若い女性スタッフは申し訳なさそうな表情で破損したことを謝罪したが、お金を支払うわけでもなく、新しいスーツケースと交換するわけでもなかった。壊れたスーツケースは彼女たちの方で修理を行い、1カ月後に自宅へ届けるというのだ。
そして、航空会社から予備のスーツケースを借りてきてくれた。旅を終えて帰国したら、送り返すか現地の空港に預ければいいという。
初めて使ったスーツケースが壊れたのは残念だったし、手続きはとても面倒だったが、日本のスタッフにはとても誠意が感じられ、私たちももう責任を追及する気にはならなかった。
今でも若い女性スタッフの慌てた様子や緊張した面持ちを思い起こすと、彼女たちの気持ちが自分のもののように感じられて何とも良心がとがめてしまう。
外国で心細く思い、残念な気持ちになっても、「ソーリー」と言って頭を下げられると、妙に安心できる。ある国を知ろうとするならその土地の人を知るべきだし、ある人を知ろうとするなら問題への対処の仕方を見るべきだ。
今回の慌てた様子の背後には、日本人の高い素養があるのだと感じた。
後日談。1カ月後、航空会社から電話をもらった。新しいスーツケースに交換するか、あるいは同等品の交換費用を支払うというものだった。(翻訳・編集/岡田)
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