教員たちも思考停止に…「道徳」で混乱する教育現場
中略
道徳で定番となっている「星野君の二塁打」という小学6年の教材も、教員たちの悩みの種だ。
バッターボックスに立った星野君に、監督が出したのはバントのサイン。しかし、打てそうな予感がして反射的にバットを振り、打球は伸びて二塁打となる。
この一打がチームを勝利に導き、選手権大会出場を決めた。だが翌日、監督は選手を集めて重々しい口調で語り始める。
チームの作戦として決めたことは絶対に守ってほしいという監督と選手間の約束を持ち出し、みんなの前で星野君の行動を咎める。
「いくら結果がよかったからといって、約束を破ったことには変わりはないんだ」
「ぎせいの精神の分からない人間は、社会へ出たって、社会をよくすることなんか、とてもできないんだよ」などと語り、星野君の大会への出場禁止を告げるシーンが展開する。
個人プレーとチームプレーのどちらを優先すべきか。悩ましいテーマだが、教材は迷うことなく前者を断罪している。現役の小学校教員で『「特別の教科 道徳」ってなんだ?』の著者の一人、宮澤弘道氏はこう語る。
「戦時中の国民学校の話かと思ってしまいます。人権を侵害していながら、道徳の教材として扱われている典型例です。道徳はかつて『修身』が筆頭科目であったような位置づけになるのではと懸念しています」
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昨年3月の小学校道徳の教科書検定に合格した教科書の中には、「国旗や国歌を大切にする気もちのあらわし方」と題して、
日の丸と卒業式の写真を掲載して「き立して国旗にたいしてしせいをただし、ぼうしをとって、れいをします」などと記述したものもあった。
教育出版の教科書だが、「下町ボブスレー」という読み物では、東京都大田区の町工場が開発したボブスレーに乗り込んでピースサインする安倍晋三首相の写真が、何の脈絡もなく掲載されている。小佐野氏はこう言う。
「日の丸・君が代には国民の間でさまざまな意見がある。都立高校で君が代斉唱の際、起立しなかった教員を減給処分などにしたことに対し、裁判所は都教委の『懲戒権の逸脱、濫用』を認めて処分を取り消している。
教育は中立といわれるが、現役の首相の写真を教科書に載せるのはあまりにも無神経です」
ソース元
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180413-00000011-sasahi-soci
おしまい。