町民の約1割にあたる1286人が犠牲になった大槌町。大きな被害の象徴となっていた旧役場庁舎は、7年以上にわたり解体か保存か、長く議論が続いてきました。
先月、旧庁舎を解体しないよう求めた住民たちの訴えが裁判所で退けられ、建物の解体作業が進められています。
この建物に対する複雑な感情と別に、ここで働いていた役場職員の遺族たちには、共通の思いがありました。
「あの現場で何が起きたのか知りたい」
その1人、小笠原人志さん(66)は、大槌町で福祉課の職員だった娘の裕香さん(当時26歳)を亡くしました。
しっかりもので親思いだった裕香さん。放課後に小学生を預かる学童保育を運営していた両親の影響で、「子どもに寄り添う仕事がしたい」と、大学では児童福祉を学び福祉の専門家を目指していました。
小笠原さんは、かつて裕香さんにかけたことばをいまも悔やんでいるといいます。
「『公務員は住民のための奉仕者だぞ。場合によっては自分の命をかけてもやらないといけない仕事がある。それができるかって』裕香に話したこともあった。本当に申し訳ないし悔しいという思い」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190219/k10011819031000.html