【単刀直言】小泉進次郎環境相 環境先進国・日本の逆襲始まる
2020.7.15 21:13政治政策
政府は9日、インフラ輸出に関する戦略を見直し、石炭火力発電所の輸出支援要件を厳格化して「相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉(ちしつ)していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする」と明記しました。
これほど明確な政策転換はありません。環境先進国である日本の逆襲が始まる。そんな思いです。環境相として昨年、国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で一身に批判を浴びた経験がものすごく大きかった。石炭政策の見直しは絶対にやるんだ。そういった思いで取り組んできました。
海外で脱石炭が急速に進む一方で、日本のエネルギー政策は平成23年の東京電力福島第1原発事故以降、思考停止に陥り、がんじがらめになって動けなかった。日本は5年連続で地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減を実現し、フロンガス対策でも先行していますが、日本の技術革新や企業の取り組み、国民の努力は、政府の石炭政策によって全てかき消されていました。
石炭火力の輸出厳格化は、ボウリングが真ん中のピンを倒さないとストライクを取れないように、「エネルギー政策のセンターピン」になった。海外にとどまらず、国内の非効率な石炭火力発電所も梶山弘志経済産業相のリーダーシップで令和12(2030)年度までに段階的に休廃止する方向になりました。日本=石炭と批判をされ続けることは二度と繰り返さない。
同時に、気候変動という地球規模の課題は日本だけが頑張っても解決できない。インフラ輸出の新戦略では東南アジアを含めた新興国に対し、脱炭素化社会への移行を支援する方針も決めました。日本は先進国として責任があります。
産経新聞は原発再稼働推進の立場ですよね。今後のエネルギー政策の見直しでは、あらゆる選択肢をファクトベースで大いに議論すべきだと考えています。石炭政策の見直しもファクトに基づく議論をしたから動いた。エネルギー分野の技術革新のスピードは速く、数年前は当たり前だったことが圧倒的に変わることもある。再生可能エネルギーの価格が高い印象がありますが、海外では安くなっている。12年度の電源構成で再生エネの割合約22〜24%の達成は当然であり、さらに全力で比率を引き上げるべきです。
気候変動政策に取り組むのは今が危機だからです。毎年の台風や水害、地震、火山、雪崩など日本ほど災害の多い国は世界になく、今も九州地方を中心に豪雨で甚大な被害が出ています。もはや環境問題にはリベラルも保守もありません。気候変動対策は国家の安全保障に関わる問題なのです。日本が産油国など海外に資源を依存し続ける道は将来、非現実的になるのではないか。再生エネの比率を高めることで、資源確保でも日本の自立性を高め、より持続可能な国家像を築くことも考えていきたい。
略
https://www.sankei.com/smp/politics/news/200715/plt2007150045-s1.html