(ブルームバーグ): 米国の金持ちトップ50人の合計資産額は、下位半分に属する米国民の富の合計とほぼ等しい。新型コロナウイルスは少数の億万長者が偏った恩恵を受ける経済の変化を加速させた。
米連邦準備制度理事会(FRB)がまとめた2020年上期末までのデータで、人種、年齢、社会的階層による著しい資産格差が浮き彫りになった。上位1%の富裕層の合計純資産額34兆2000億ドル(約3620兆円)に対し、下位50%(約1億6500万人)の資産額は合計2兆800億ドルにとどまり、全米の家計資産の1.9%にすぎない。
一方、ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、金持ち上位50人の合計資産は今年初めに比べ3390億ドル増え、約2兆ドルに達した。
新型コロナは流行に伴う雇用喪失が低賃金のサービスセクターに集中し、有色人種の罹患(りかん)率と死亡率も高く、米国の不平等を増幅させた。専門職のアッパーミドルクラスは安全な在宅勤務が可能であり、政府の支援策が退職口座の価値も押し上げた。
株式保有の有無も富の格差の重要な要因だ。下位90%の株式市場へのエクスポージャーは約20年にわたり縮小し、FRBのデータによれば、今では米国民の上位1%が株式の50%強、次の9%が3分の1余りを保有する。これは上位10%が88%強の株式を持つことを意味する。
パウエルFRB議長は6日、「パンデミックが富と経済的モビリティーの格差をさらに広げつつある」と述べ、政府の追加支援がなければ米経済の回復ペースが弱まるだろうと警告した。
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