https://mainichi.jp/articles/20220526/k00/00m/040/203000c
「一般的な常識からかけ離れた不合理な弁解だ」――。
鶏卵業者から賄賂を受け取ったとして収賄罪に問われた元農相、吉川貴盛被告(71)を有罪とした26日の東京地裁判決は、
「政治献金の認識だった」とする元農相側の無罪主張を一蹴した。地元の北海道からも「往生際が悪い印象だった」と批判の声が上がった。
午前10時ごろ、元農相は紺のスーツに水色のネクタイ姿で、同地裁で最も広い104号法廷に現れた。
「高度の倫理性が求められたにもかかわらず、自覚が欠けていた」「政治家としての規範意識の低さに対する反省には至っていない」。
主文言い渡し後の判決理由の朗読で、向井香津子裁判長から厳しい言葉を投げかけられても、証言台に座った元農相は
手を組んで視線を下に落とし、じっとしたままだった。
判決の言い渡しは約1時間に及び、贈賄側からの現金提供の趣旨や元農相側の便宜は、ほぼ検察側の主張通り認定された。
元農相は、言い渡しが終わると一言も発せずに法廷を後にし、弁護人を通じて「主張が受け入れられなかったことは誠に残念。
判決内容を精査し、弁護人とも協議の上で適切に対応したい」とのコメントを発表した。
元農相が衆院議員時代に選挙区としていた札幌市北区の主婦(68)は「(元農相が)裁判で賄賂と認めなかったのは往生際が悪く見えた」と非難し、
長年支持者だったという同区の自営業男性(72)は「北海道のために働いてきた人なので、こんな形で(政治家としてのキャリアを)終えるのは残念だ」と話した。
自民党北海道連の伊東良孝会長は「かつて所属した元国会議員を巡り、このような事態に至ったことは誠に遺憾。
国民に改めておわび申し上げる」などとするコメントを出した。
安倍政権の閣僚ら相次ぎ有罪