■ジョブズの後悔
ジョブズは取材したアイザックソンにこう告げました。
「体を開けていじられるのが嫌で、ほかに方法がないかやってみたんだ」
そのように当時を回想するジョブズの声には悔やむような響きが感じられたと、アイザックソンは述べています。
2008年になるころ、がんが広がりつつあることが明らかになりました。
それが一般にも知れわたるようになり、その懸念からアップルの株価が下がりはじめました。
肝臓移植手術もしましたが、内臓を囲んでいる腹膜に斑点が認められました。がんの進行は思ったよりも速かったのです。
2010年11月に体調が下り坂となり、痛みがひどくて食事ができなくなりました。
翌年1月には3度目の病気療養休暇をとることになり、7月には骨など体のアチコチにがんが転移し、もはや分子標的治療でも適切な薬を見つけられなくなったのです。